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Sm side
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〈 … では 、 本日はありがとう
ございました ! スマイルさん 。 〉
《 こちらこそ … 》
そう俺が言うと 、 目の前に
座っていた男が身を乗り出した 。
もうすっかり暗くなった空を
バックに 、 彼の笑顔は映えている 。
〈 あ 、 そうだスマイル ! 〉
《 ん ? 》
〈 スマイルもシャークん
のとこ行くよね ? 今週 ! 〉
にこっと笑う記者を見て 、
何かが浄化された気分になる 。
《 まあ … Broooockが行くなら 》
本当 、 この男は切り替えが早い 。
俺が言えたことでは到底ないが 。
〈 えぇ ~ やったぁ w 〉
〈 じゃあシャークんに伝えとくね ! 〉
《 あぁ 》
あのホテルを脱出した後 、
俺たちは全員でシャークんの
店に集まることがあった 。
… 俺は最初の集まりのときも 、
こうやってBroooockに連れられた 。
こいつは仕事でこの街を離れることが
多いくせに 、 わざわざ戻ってきやがる 。
《 … ふ ッ w 》
小さく笑うと 、 Broooockが
気付いたように頬を膨らませた 。
〈 何今の笑い ~ ? ! 〉
《 … 思い出し笑い 、 w 》
俺の小さな反応にも気が付いてくれる
そんな彼にとても好感をもつ 。
〈 も ~ びっくりしたじゃん ! w 〉
《 ぁ ー … それは すまん … 》
〈 はい 、 許しませ ~ ん ! 〉
冗談交じりの会話を交わして 、
安心した気分になった 。
《 … 突然だけどさ 》
〈 ん ~ ? どしたの ! 〉
《 俺 、 あのホテルにお前ら
と泊まれて良かったと思った 。 》
〈 … へ ? 〉
俺がそう言うと 、 彼は美しい
サファイアのような瞳を揺らした 。
《 お前らとあそこで出逢えたから
今の俺が居て 助かった患者が居る 。 》
《 … 特に 、 お前には今も
世話になってるだろ ? w 》
《 だから … 本当にありがとう 》
改めて言うのはどこか
恥ずかしいと思いつつ 、
ありのまま感謝を伝えた 。
〈 … 綺麗 〉
恥ずかしさがかなり増して
俯いたとき 記者はなぜかそう発した 。
《 ぇ 、 ? 》
〈 なんか 、 今のスマイル超綺麗 !
1枚だけ … 撮ってもいい ? 〉
《 … いいっちゃいいけど 》
〈 ありがと ! 〉
なんだ 、 ただ単に記者の血
が前に出ていただけか 。
… そう考えると胸が ちくり と 傷んだ 。
《 … それは新聞に載せるのか ? 》
撮り終わって表情の明るい
記者に話しかけると 、
記者は小さく首を横に振った 。
〈 いや ? これは僕が “ 記者 ” として
じゃなく 、 “ Broooock ” として
撮ったものだから載せない ! 〉
《 … どういうこと ? 》
〈 あれ 、 今かっこよく 言った
つ もりだったんだけど ~ … 〉
〈 まぁいいや w 〉
〈 … 言葉の通り 、 単純に “ 僕 ” が
今のスマイルを見て綺麗って思ったから
他の人には見せたくないってこと ! w 〉
そう 、 記者が … 彼がふわっと笑った
とき 、 暖かな風が俺を覆った 。
《 … そ 、 》
今感じた気持ちを悟られないように
俺は最低限の返事をした 。
また俯いた俺の耳は 、
きっと赤く染まってしまっている 。
《 … もう暗いし 、 帰っとけよ 》
彼を扉の方まで誘導すると 、
少し寂しそうに顔を覗き込んできた 。
〈 えぇ ~ 、 僕まだ居たい ! 〉
《 … どうせまたシャークん
の店で会うだろ 、 それに … 》
〈 それに ? 〉
《 … 何でもない 、 》
《 編集作業まだあんだろ 、
帰ってやっとけば ー か 》
そう言ってBroooockを
扉の 方に 近づけていく 。
こういうとき 、 素直になれない
のは 、 俺の短所だと思う 。
でも …
〈 げ 、 そうじゃん 〉
〈 じゃあ 、 スマイルの良さを
ぜ ~ んぶ纏めた記事書いたげる ! 〉
… いや 、 この心はまだ仕舞っておこう 。
《 だったら自作薬のこと
広めておいてくれ 。 》
〈 も ~ わがままだなぁ ! w 〉
〈 まあいいよ 、 1面じゃ
収まらないくらい書いてあげても w 〉
にやり と笑う彼は 、 ドアノブ
に手を掛けて俺を見つめてきた 。
〈 じゃあまた 、 迎えに来るから ! 〉
《 迎えになんて来なくていい 》
〈 僕が行きたいの ! w 〉
〈 じゃあ 、 またね ! スマイル ! 〉
そう 、 俺に見せた笑顔は …
夜なのに太陽のような 、
暖かい笑顔だった 。
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