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雨降る街とその後の僕ら

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雨降る街とその後の僕ら

3 - 番外編2 ー 自作薬と写真 ( 2 )

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2025年08月04日

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Sm side



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〈 … では 、 本日はありがとう

ございました ! スマイルさん 。 〉


《 こちらこそ … 》


そう俺が言うと 、 目の前に

座っていた男が身を乗り出した 。


もうすっかり暗くなった空を

バックに 、 彼の笑顔は映えている 。


〈 あ 、 そうだスマイル ! 〉


《 ん ? 》


〈 スマイルもシャークん

のとこ行くよね  ? 今週 ! 〉


にこっと笑う記者を見て 、

何かが浄化された気分になる 。


《 まあ … Broooockが行くなら 》


本当 、 この男は切り替えが早い 。

俺が言えたことでは到底ないが 。


〈 えぇ ~ やったぁ w 〉


〈 じゃあシャークんに伝えとくね ! 〉


《 あぁ 》


あのホテルを脱出した後 、

俺たちは全員でシャークんの

店に集まることがあった 。


… 俺は最初の集まりのときも 、

こうやってBroooockに連れられた 。


こいつは仕事でこの街を離れることが

多いくせに 、 わざわざ戻ってきやがる 。


《 … ふ ッ w 》


小さく笑うと 、 Broooockが

気付いたように頬を膨らませた 。


〈 何今の笑い ~ ? ! 〉


《 … 思い出し笑い 、 w 》


俺の小さな反応にも気が付いてくれる

そんな彼にとても好感をもつ 。


〈 も ~ びっくりしたじゃん ! w 〉


《 ぁ ー … それは すまん … 》


〈 はい 、 許しませ ~ ん ! 〉


冗談交じりの会話を交わして 、

安心した気分になった 。


《 … 突然だけどさ 》


〈 ん ~ ? どしたの ! 〉


《 俺 、 あのホテルにお前ら

と泊まれて良かったと思った 。 》


〈 … へ ? 〉


俺がそう言うと 、 彼は美しい

サファイアのような瞳を揺らした 。


《 お前らとあそこで出逢えたから

今の俺が居て 助かった患者が居る 。 》


《 … 特に 、 お前には今も

世話になってるだろ ? w 》


《 だから … 本当にありがとう 》


改めて言うのはどこか

恥ずかしいと思いつつ 、

ありのまま感謝を伝えた 。


〈 … 綺麗 〉

恥ずかしさがかなり増して

俯いたとき 記者はなぜかそう発した 。

《 ぇ 、 ? 》


〈 なんか 、 今のスマイル超綺麗 !

1枚だけ … 撮ってもいい ? 〉


《 … いいっちゃいいけど 》


〈 ありがと ! 〉


なんだ 、 ただ単に記者の血

が前に出ていただけか 。


… そう考えると胸が ちくり と 傷んだ 。


《 … それは新聞に載せるのか ? 》


撮り終わって表情の明るい

記者に話しかけると 、

記者は小さく首を横に振った 。


〈 いや ? これは僕が “ 記者 ” として

じゃなく 、 “ Broooock ” として

撮ったものだから載せない ! 〉


《 … どういうこと ? 》


〈 あれ 、 今かっこよく 言った

つ もりだったんだけど ~ … 〉


〈 まぁいいや w 〉


〈 … 言葉の通り 、 単純に “ 僕 ” が

今のスマイルを見て綺麗って思ったから

他の人には見せたくないってこと ! w 〉


そう 、 記者が … 彼がふわっと笑った

とき 、 暖かな風が俺を覆った 。


《 … そ 、 》


今感じた気持ちを悟られないように

俺は最低限の返事をした 。


また俯いた俺の耳は 、

きっと赤く染まってしまっている 。


《 … もう暗いし 、 帰っとけよ 》


彼を扉の方まで誘導すると 、

少し寂しそうに顔を覗き込んできた 。


〈 えぇ ~ 、 僕まだ居たい ! 〉


《 … どうせまたシャークん

の店で会うだろ 、 それに …  》


〈 それに ? 〉


《 … 何でもない 、 》


《 編集作業まだあんだろ 、

帰ってやっとけば ー か 》


そう言ってBroooockを

扉の 方に 近づけていく 。


こういうとき 、 素直になれない

のは 、  俺の短所だと思う 。


でも …


〈 げ 、 そうじゃん 〉


〈 じゃあ 、 スマイルの良さを

ぜ ~ んぶ纏めた記事書いたげる ! 〉


… いや 、 この心はまだ仕舞っておこう 。


《 だったら自作薬のこと

広めておいてくれ 。 》


〈 も ~ わがままだなぁ ! w 〉


〈 まあいいよ 、 1面じゃ

収まらないくらい書いてあげても w 〉


にやり と笑う彼は 、 ドアノブ

に手を掛けて俺を見つめてきた 。


〈 じゃあまた 、 迎えに来るから ! 〉


《 迎えになんて来なくていい 》


〈 僕が行きたいの ! w 〉


〈 じゃあ 、 またね ! スマイル ! 〉


そう 、 俺に見せた笑顔は …

夜なのに太陽のような 、

暖かい笑顔だった 。




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