「どうしましたか?」
「えっと……その……異議ありです!」
どうしよう!何も考えずに手を挙げてしまった。と、取り敢えずなにか言わないと!
「異議ありとはどういうことでしょう?」
「り、理不尽だと思うんです!」
「理不尽!成程、貴方は此裁判が理不尽だと仰るんですね?」
「は、はい!」
「では具体的に何処が理不尽だと言うんです?」
「そ、其れは……その」
何処ら辺がって言われても……!全部だと思うんだけどなぁ……早く言わないとただの変な人になっちゃう!
「抑、仲がいいからって被害者を殺そうとしないはずです。其れに、確かな証拠がない限り死刑にはなりません」
「でも彼以外に誰がいるんです?」
「其れは今から調べて行って疑わしい人に話を聞いていくんです!中也さん!」
「お、おう!」
「この人じゃ無くてもいいです。誰かに事情聴取されましたか?」
中原さんは今までの出来事を思い返してるのか考え込んでいる。
「そこまで言うなら貴方が彼の弁護人になっては?」
「え!?」
僕は全く其のつもりは無かった。ただ見ていられなくなったから声を上げただけなのに。国木田さんの方を見るとグッドサインを送られた。酷い。
「分かりました。中也さん思い出せましたか?」
「あぁ、忘れ物を取りに教室に向かってる途中急に連れてかれたんだ。事情聴取なんてする暇もねぇ程だったな」
「ありがとうございます。其れと検察官さん」
「なんでしょう?」
「被害者の死体を見た第1発見者は誰ですか?」
検察官が指を指した先には乱歩さんが居た。乱歩さんは真剣な表情で、此方に歩いてくる。
「あぁ、そうだ。僕が第1発見者だ」
「乱歩さん……?」
「どうしたんだい?早くこの理不尽な裁判を終わらせよう」
乱歩さんは眼鏡をかけ、推理をする気満々だ。僕は検察官に向き直って確認する。 まず、死体が見つかったのは17時23分だったよね。
「被害者はどんな人でしたか?今わかっているのは中也さんと仲が良く、喧嘩もよくある事だったと言うことです。中也さん、覚えていますか? 」
「あ〜なんだろぼんやりとしか思い出せねぇわ。確かテスト順位が毎回上位だったから俺の事煽ってた気がすんな」
「そ、そうですか…乱歩さんは被害者となにか接触した事はありますか?」
「ん〜まあ抑学年違うからあんまりね。あ〜でもよく授業サボってるって聞いたことあるよ」
うーん。被害者の情報が少ないな。中也さんの被害者に対する記憶が殆どないということはこれから先の捜査が難しくなるけど乱歩さんがいるし大丈夫かな。
「ね〜検察官さん。被害者の遺体は何処?写真でもいいけど」
「写真ならここにありますよ」
検察官さんが見せた写真には頭が固い何かに原型が無くなるまで叩き潰された制服を着た遺体が写っていた。
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