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#転生pr
るあ . 🍵
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第5話、読み終えました。屋上での奏の「ごめん」と「苦しそう」っていう澪の返し、すごく印象的でした。あの弱さを見せた瞬間、奏のキャラが一気に立体的になった気がします。それと最後の「壊れると思う」のライン、冗談じゃない重さがじわじわ来ますね…。奏がいない世界の静けさと寂しさ、続きがすごく気になります。
第4話『檻の鍵』
逃げなきゃ。
そう思ったのに。
翌日になっても、澪は何もできなかった。
学校へ行けば奏がいる。
帰ればメッセージが届く。
夜になれば「おやすみ」。
朝になれば「おはよう」。
気づけば一日のほとんどに奏がいた。
まるで呼吸みたいに。
昼休み。
澪は屋上へ逃げた。
誰もいない場所が欲しかった。
風が吹く。
少しだけ安心する。
その時だった。
ガチャ。
屋上の扉が開く。
振り返らなくても分かった。
「……奏。」
「正解。」
声が近付いてくる。
「どうしてここに?」
「澪がいたから。」
当たり前みたいに言う。
「一人になりたかったんだ。」
初めて、はっきり言った。
すると奏は少しだけ黙った。
「俺といても?」
「……。」
答えられない。
その沈黙だけで十分だった。
奏は静かに笑った。
だけど、その笑顔はどこか寂しそうだった。
「そっか。」
風が二人の間を通り抜ける。
「嫌われちゃったんだ。」
「違う!」
反射的に否定する。
「嫌いじゃない。」
「じゃあ好き?」
言葉が詰まる。
恋愛感情なんて分からない。
だけど今の奏を見ていると、簡単に答えられなかった。
「……分からない。」
その返事を聞いた奏は、少しだけ安心したように目を細めた。
「なら、まだ大丈夫。」
「何が?」
「嫌いじゃないなら。」
その考え方が理解できなかった。
放課後。
澪は勇気を出して担任に相談しようとした。
だけど職員室の前で足が止まる。
もし言ったら。
もし奏に知られたら。
そう考えるだけで怖かった。
「何してるの?」
背後から声がした。
振り返る。
奏だった。
心臓が大きく跳ねる。
「なんでもない。」
「職員室?」
「用事。」
「先生に相談?」
息が止まった。
「……なんで。」
「顔見れば分かる。」
奏は苦笑した。
「俺、そんなに信用ない?」
「そうじゃなくて……。」
「じゃあ何?」
答えられない。
すると奏はふっと目を伏せた。
「ごめん。」
予想外の言葉だった。
「え?」
「最近、重いよね。」
澪は言葉を失う。
「分かってる。」
奏は小さく笑った。
「自分でも分かってるんだ。」
初めて見た。
弱々しい奏を。
「昔からなんだ。」
奏は窓の外を見る。
「好きな人が離れていくのが怖い。」
「……。」
「だから繋ぎ止めたくなる。」
その声は震えていた。
「気付いたら、みんな離れてた。」
夕日が差し込む。
奏の横顔が少しだけ寂しそうに見えた。
「俺、おかしいかな。」
澪はすぐに答えられなかった。
確かに怖い。
普通じゃない部分もある。
だけど。
今目の前にいる奏は、ただ苦しそうだった。
「おかしいっていうより……。」
「うん。」
「苦しそう。」
奏の目が少し見開かれる。
そして。
「……初めて言われた。」
小さく笑った。
本当に小さく。
今までで一番弱い笑顔だった。
その日の夜。
珍しく奏から連絡が来なかった。
一時間。
二時間。
何も来ない。
不思議と落ち着かない。
すると深夜近くになって通知が鳴る。
奏
『ごめん。』
一言だけ。
続けて届く。
『少し距離を置こうと思う。』
澪は画面を見つめた。
望んでいたはずなのに。
胸が少し痛む。
その時。
さらにもう一件届いた。
『でも最後に一つだけ。』
『もし澪がいなくなったら、俺は壊れると思う。』
そのメッセージに、澪は言葉を失った。
冗談には見えない。
重すぎるほど真っ直ぐな本音。
そして翌日。
黒瀬奏は学校に来なかった。
その瞬間。
澪は初めて知る。
奏がいない世界が、思ったより静かだったことを。
そして。
思ったより寂しかったことを。
──第5話『消えた居場所』へ続く。