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紅く染まった葉が散り始め、冷淡な風が吹き付けてくる。
教室、窓際の席に在る俺までもその寒さに身震いしていた。
季節はどうだろう。冬の入りと言うべきか、秋の暮れと言うべきか。
隣の席に座る彼は、そんな冷え込みにも動じることなく、教科書を捲る音だけを響かせていた。窓の外をぼんやり眺める俺とは対照的に、指先まで整然とした動きだ。
ふと、彼が手を止めて俺を一瞥する。
「寒いん?」
小さく声を出しているせいか、普段よりも声が低く響き、俺は肩を竦めて誤魔化した。すると、彼は何も言わず、自分のカーディガンを無造作に脱いで俺の机の上に置いた。
「貸す」
それだけを言い残し、再び教科書へと目を落とす。強がりを言う間もなく、俺はカーディガンに手を伸ばした。
まだ彼の体温が残るそれを、そっと羽織る。
冷え込む季節の中で、俺の鼓動だけが微かに熱を帯びた。