コメント
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- ̗̀⚠︎ ̖́-結構長めです
̗̀⚠︎ ̖́-嘔吐表現あり
̗̀⚠︎ ̖́-キャラ崩壊してるかも
̗̀⚠︎ ̖́-デクくん風邪ひいてます🙃
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「ふぁぁ…………ん…」
目が覚めて起き上がると、なんだか体が重いような気がした。
それに頭も痛い。
だけど、僕は頭痛持ちだったからそう深くは考えずに朝支度をした。
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ガラガラ、と教室の扉を開けると飯田くんが飛んできて、
「おはよう!緑谷くん!!」
と元気にあいさつしに来た。
「ん…おはよう」
いつもなら元気付けられる飯田くんの声だが、今日はそれが頭に響いて痛い。
「元気がないようだが、どうした?」
しまった、飯田くんに気づかれてしまう…
きっと飯田くんに頭痛がバレたら一瞬で保健室に連れていかれる。
それに、今日は午後から基礎トレがあるので参加しないと遅れを取ってしまうだろう。
だから僕は笑顔を作って
「頭痛もちだから、ちょっと頭が痛いだけ!」
と返した。
「…そうか、ちなみに俺の兄が片頭痛もっていて、寝不足や疲労が溜まると片頭痛が誘因される原因になると言っていたんだ。くれぐれも練習のし過ぎには気をつけるようにな!」
飯田くんの知識にへぇ、そうなんだあと心の中で静かに感心しつつ、「ありがとう」とお礼を言って席に着いた。
𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟
しばらく耐えていたけど、これは片頭痛では無さそうだ。
喉が痛いしなんだか熱っぽい。目眩までし始めて、だいぶ体調が悪化していた。
だけど午後からの基礎トレに、どうしても参加したかったので悪化していく体調を無視して僕は耐えていた。のだか…
僕は壁に向かうことになった。
(…食べられそうにないぞこれ…)
食堂で頼んだカツ丼。いつもなら美味しくたべられるのだが今日は風邪のせいか食欲がない。
「おい緑谷、食わねぇのか?」
轟くんが心配して僕にそう聞いた。
「なんか、食欲が無くって…」
「体調が悪いのか?」
「…あー、えっとね、実は片頭痛持ってて、頭が痛いせいで食べられないんだ。すぐ収まるから大丈夫だよ」
「…そうか」
”片頭痛”と言えば病気ではないので、みんなそこまで心配はしてこない。それに、本当に片頭痛を持っているので嘘ではないし、変に心配をかけることも無いので楽だった。
「無理するなよ」
「うん、ありがとう」
轟くんはそこまで疑いをかけてこないので、助かった。
カツ丼は残してしまったが、壁を突破したことで無事午後の基礎トレに参加出来た。
𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟
「つ…つかれた…」
基礎トレを終えた僕の体は悲鳴を上げていた。
「デクくん、だいぶ浮遊はコントロールできるようになったね!」
「うん、麗日さんのおかげだよ。ありがとう」
基礎トレで浮遊のコツを教えてくれた麗日さんに感謝する。
「デクくんが頑張った成果だよ。」
「でも麗日さんが教えてくれなかったら出来なかったんだ。」
「えへへ、そうかな……、ていうか、ずっと言おうと思ってたんだけどデクくん顔赤いよ…?」
「えっ、そうかな?運動したからだと思うけど…」
「ずっと赤いけど…熱でもあるんやない?」
麗日さんにまで心配かけちゃう…
「多分日焼けかな、あは、あはは…」
「え、でも…」
「ごめん僕いかなきゃ!今日はありがとう!」
どうしてもバレたくなくて僕は会話を切り上げて帰ることにした。
𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟
「ん、緑谷くんはどこだ?」
「あれ、確かに緑谷いねぇな」
「おーい、緑谷くん、夕飯の時間だぞ!」
部屋の外で飯田くんが呼ぶ声がきこえる。
「…うぅ…」
頭がガンガンする。唾を飲むと喉が痛い。
「緑谷くん、夕飯だがいらないのか?体調でも悪いのか?悪いなら無理に食べないでいいのだが…ー」
「っ…ごめん!寝てた!今行く…!!」
重い体を持ち上げて、1階へ降りる。
僕がここまでしてバレたくないのは、明日B組と久しぶりに対戦する機会があるからだ。
普段B組と戦える事はめったになく、僕は密かに楽しみにしていた、のに…今回こんなんになってしまった。
「万全な状態で戦いたかった…」
きっと明日までに完治することはないと思う。
「はぁ…」
僕が共同スペースに行くと、轟くんが話しかけてきた。
「緑谷?!顔が真っ青…大丈夫か?!」
先程から気持ちが悪く寒気がしていたので顔が青いのかなぁと呑気に考えながら、
「大丈夫、ちょっと冷えただけだよ」
といい訳を作った。
「え…デクくんなんか危なくない?その顔色…なんか紙色っていうか…白いよ…?」
麗日さんまで心配し始めたので僕は笑顔を作り、大丈夫だよと言った。
「…デェク、てめぇ…」
ぼそっとかっちゃんが呟く。
「な、なに…」
かっちゃんは僕に飛びかかってきた。
「わぁ?!な、に、?!」
「おいクソメガネか半分野郎!救急箱から体温計もってこい!」
「ちょ、何するの、!」
「黙ってろクソナード」
「…や、だ!!」
「あ”?!てめぇふざけんな!んな青い顔してほっとけるかクソが!」
「ん”っ、んん!!」
かっちゃんは抵抗しようとする僕の腕と、口を塞いだ。
だって今熱計られたら明日の対戦が、今日の努力が全部水の泡だよ、かっちゃん…
「腕上げろクソナード脇に挟めねぇだろうが!」
「んー!んんん!んーんー!!」
必死に抵抗したけどダメだ。体調不良の体では力が入らずあっさりと勝たれた。
「…クソデクが」
ピピピピ、となった体温計を僕に見せつけるかっちゃん。
「39°ってなんだ?あ”?爆破されてぇのか?」
そこに出た数字は39.5。こんな熱が出たのは小学校が最後だ。
「…ぷはっ、苦しいよかっちゃん」
やっと手を離したかっちゃんは僕を押さえつけたままみんなに命令し始める。
「…降りてよ…」
「動こうとするからだめだ」
「…僕…」
「あ”ー、ったく、どうせ明日のB組との対戦がぁとか考えてんだろクソナード」
僕の考えていること全部読んでたんだ、かっちゃんは。さすが幼なじみ。
「…だって見たかったんだよ…」
「知るか」
冷たくそう言われてちょっと腹が立った。だけど反論する元気もなく、ただ取り押さえられるだけだ。
「ほら爆豪くん、冷えピタだ!」
飯田くんが冷えピタをもって飛んできた。
「おら」
かっちゃんは僕の額に乱暴に冷えピタを貼った。
「…ありがとう…」
「クソナード、部屋行くぞ」
「…うん…」
そう言われて立ち上がろうとしたら、ふっ、と意識が飛んでいって、僕はその場で倒れてしまった。
𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟
今にも死にそうな顔してるデクの肩を持っていたけど、急にずし、と体重がかかる。
「…デク?」
隣を見ると気を失っていた。
「デク!おいクソデク!!」
面倒な事になった、おぶってかなきゃなんねぇじゃねぇかよ。クソが!
「おい爆豪、緑谷大丈夫か?」
「知らね」
アホ面がそう聞いてくる。クソメガネと丸顔も心配そうにこちらの様子を見ていた。
うっぜぇ…
𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟
「…ん…」
数分経つと、デクは目を覚ました。顔は相変わらず青いままだ。
「っ、ごめ、かっちゃ、!」
デクは口元を抑えて急いでベットから出ようとする。
「ぐ、げほっ、ゔぇ、待って…吐きそう、」
デクは嘔吐いているが何も出ていない。今のうちだ。
「デク、トイレ行くぞ」
「はっ、はあっ、はあっ、う、」
涙目になりながら歩き始め、トイレに着いた途端便器の中に顔を突っ込むようにして嘔吐きはじめる
「ゔえ、げほっ、ごほっ、」
デクの呼吸に合わせて背中を摩っていたら、急にびくっ、と体を震わす。
「ぐ、ゔぇっ、ごほっ、っ、〜〜〜〜〜〜」
「スッキリしたか」
「う、ん、ありがとう…」
吐いたことで体力を使ったみたいでデクはそのまま倒れた。
「はぁ…よく倒れんなぁ…」
𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟
「出久、大丈夫?」
「お熱測ろうか。」
「頭痛いね、辛いねぇ、」
「お粥作ったからお腹すいたら食べよっか」
夢を見ていた。幼い自分がお母さんに看病されている夢だ。
優しく暖かいお母さんの手と、笑顔が恋しくなった。
風邪をひくと心が弱くなる。寂しくて涙が出てきた。
「お、か、さん…」
高校1年生がなに言ってるのか、と思うけど僕はただただ人が恋しかった。
「デク」
隣から聞きなれた声が聴こえて、安心する。
「……かっ、ちゃ…」
暖かいかっちゃんの手を、僕はいつの間にか握っていた。
「…あ、ご、ごめ…」
「ほら、粥。」
「え…」
「適当に作った」
「ありがとう…」
僕はかっちゃんが料理を作ってくれたことにびっくりした。
「ふー、ふー、」
かっちゃんがお粥ふーふーしてる?!僕のためにッ?!
「ほら、食え」
「い…いただきます…」
お粥は暖かくて、とても美味しかった。
「おいしい、」
「へっ、俺を舐めんじゃねえわ。こんくらい余裕だ」
「…ありがとう。凄いおいしい。」
「無理に全部食うなよ。吐いたばっかだからよ」
「…うん。」
僕は、このお粥を全部食べたら、かっちゃんが部屋から出ていってしまう気がした。そばにいて欲しい。離れないで欲しかった。
だから、ゆっくりゆっくり大事に食べてたんだけど、気づいたら鍋は空っぽになってた。
「……ごちそうさまでした…」
「全部食ったンかよ」
「うん、美味しくて」
「よいしょと」
かっちゃんは立ち上がってお粥の入っていた鍋を持って部屋から出ていってしまった。
引き留めようと思ったけど声が思うように出なくて。
「…ぁ…っ…、ちゃん…」
僕一人になった部屋に情けない声が響く。
しんとして寂しくて、涙まで出てきた。
「…戻って来てよ……寂しい……」
布団に潜って眠ろうとしたけどついさっき倒れたばかりで眠れそうにない。
「かっちゃぁん…寂しい……戻ってきてよぉ…」
熱があると人はどうもおかしくなる。普段僕が言わないことを口はどんどん喋っていく。
そんな時だ。
「んだよてめぇ…ふざけんな?」
いつの間にか、かっちゃんが隣にいた。
「うわぁぁぁっ?!」
びっくりして変な声が出て、痛めた喉に激痛が走る。
「げほっ、げほっ、ごほっ、か、ちゃ、なんでっ、げほゲホッ、」
「てめぇが寂しいとか戻ってこいとか命令したじゃねえか?あ”ぁ?!」
「だとしてもなんでっ、!」
「クソが」
びっくりしたのと恥ずかしさとで心臓の音がうるさい。
「かっちゃん…戻って来てくれたんだ…」
「あ?悪いかよ」
不機嫌だけど、どこか満足したような彼を見たらなんだか安心してしまった。
「ふは、あははっ、」
「何笑っとんだてめぇはァ!!!」
「わぁぁごめんなさぁい!!」
手のひらでかっちゃんは小さな爆破を起こした。その音が心地よくて僕は静かに意識を手放した。
𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟
かっちゃんの看病のおかげか、次の日に僕は37°まで体温が下がっていた。
「よし!B組と対戦できる!!」
そう言って寮を出ようとしたら、かっちゃんが僕の肩を掴んで爆破した。
「あっつ!!なに?!」
「ふざけんなよクソデクゥ…また爆破されたいンか?!」
「いやいやいや!!違っ…」
BOOM!!!
「てめえは寝て死ね!!!」
「酷いよぉ…」
抵抗はしたものの、やっぱりかっちゃんには勝てずにベッドまで連れていかれた。
「B組のみんな…ノートにまとめたかったなぁ」
ぼそっ、とそう呟く僕を無視して、かっちゃんは部屋を出ていった。
𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟𓆟
「疲れたぁ!!!」
芦戸さんが疲れた声でそう叫びながら寮に入ってくる。
僕は昼間、誰もいないからと言って共同スペースで課題をしていたのだが、いつの間にか僕は寝落ちしていた。
「あれー?緑谷寝てんじゃん」
「はっ!!!ごめ、」
「俺たちが死にかけてんのに…」
峰田くんが僕を恨むような声でそう呟いた。
「僕は参加したかったよ…峰田くん…」
疲れたみんなの顔をみて、ちょっと羨ましかった。
「あ、麗日さん、B組のみんなどうだった?」
「デクくん!うち怪我して見れんかったんよ」
「そっかぁ、」
麗日さんから情報収集出来ずにちょっと萎んでいたら頭を何かで叩かれた。
「かっ、ちゃん?!」
「ノート」
「え?」
かっちゃんになんかのノートを渡された。
「あれ、これ僕の…」
それは僕のヒーローノートだった。
「なんでかっちゃんが…」
パラパラとページをめくると白紙だったページにB組のみんなの特徴とか戦い方とか必殺技とか、僕が知らない情報がいっぱい書き込まれていた。
「えええええ?!かっちゃんがまとめてくれたの?!」
「っるせえ!!!!」
理不尽に怒鳴られたけど、ここまでしてくれるなんてと感激だった。
「ありがとう、かっちゃん…」
僕はお礼を言って、部屋に戻った。
そしてそのノートを眺めながら、その日は眠りに堕ちるのだった。
そして僕の風邪がかっちゃんを巻き込むことになってしまったのは、また別の話だ。