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真っ青な秋空に、一つの黒い何かが横切る。目を凝らしてみると、それは鳥の形をしていた。どういう鳥なのか調べようと机の中を探していると、前から声が聞こえた。
「あの鳥はモズっていうんだ。知ってる?」
声の主は、クラス1のモテ男で陽キャな瑛太だった。周りにいた女子が、「私が鳥見ていたの気づいてたのかな?」「誰に言ったのかなぁ」などと妄想を口にし、チラチラと瑛太を見る。私に言ったのではないと願いながら瑛太を見ると、残念なことに視線をこちらに向けていた。そしてさらに残念なことに、「村上さん、わかる?」と静かに言う。 その言葉で、彼に向けられていた甘い視線は凶器のように尖り、それが私に向けられた。冷たい視線に気づかないふりをしながら、半端強制的に思考モードに入る。(そんなに凄いものではないが)
モズ、モズ、モズ。
単語を探すが、残念ながら、私の脳内辞典には載っていない言葉のようだ。しかし、私は満面の笑みで首を縦に振る。いかにもモズを知っている人のように、ゆっくりと頷いた。私の反応を見て、女子たちは顔を見合って口角を上げる。もし私が首を横に振ったら、お節介な瑛太は一から説明すると考えたのだろう。
しかし、その考えは間違っていたのだ。
瑛太は突然立ち上がり、私の机を横切る。その時、机に紙の切れ端が落ちた。
そっと持ち上げてみると、何かが書いてあった。
「放課後、図書室に来て」
私にはこの言葉が死刑宣告にしか思えなかった。