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目が覚めてふと横を見ると、まだ見慣れない顔があった。
大戦後。オレたちは療養のために病院に居る。身体中痛くて、ビクとも動かない。頭だけを動かして、隣で寝息を立てるその顔を眺める。
昔から変わらない黒くて綺麗な髪。女子だと間違えるくらいの長いまつ毛。サイほどとは言わねぇけど、白くて綺麗な肌。
そして、体に巻き付けられた包帯。その傷の一部は、オレがつけたモノだ。
いくら何でもやりすぎたような気がするし、そうでもしないと止められなかった気もする。でも隣にサスケが居るだけで、そんな迷いが打ち消されるくらいには嬉しかった。
午後になるとシカマルやチョウジたちが見舞いに来てくれた。
「よう、英雄さんよ」
シカマルがオレを英雄だと茶化す。それを言うなら、英雄さん”たち”だろ。サスケだって、この大戦で功績を残したからな。
「うわー、来てくれたのかぁ」
「まぁね、ここで来ない方が僕は薄情だって思うけど」
そう言って、チョウジは偉そうに椅子に座った。
「んあれ? 赤丸は?」
「赤丸は外にいる……なぜなら、病院に犬を連れ込むと、サクラに怒られるからだ……」
「赤丸は汚くねぇーのによぉ!!」
キバは凄く悲しそうな顔をしてる。でも、流石に病院までは勘弁して欲しいってばよ。
果物を沢山持ってきてくれて、通りかかったサクラちゃんとイノが切ってくれたけど、殆どチョウジが食べちまった。怪我人で英雄への態度がなってねぇよなぁ! でも、こんなふうに過ごすのは久しぶりだったから、なんだかすげぇ楽しかったってばよ!
ただ、オレたちが病室で騒いでるときだって、サスケは何も話さなかった。寝てるかただ外を眺めているだけ。そんなんじゃつまんねぇの。
みんな少しは気にかけていたみてぇだけど、誰も話しかけなかった。どんな声かけたらいいか分からないんだ。みんなも、オレも。
「……なぁ、サスケ」
布団に潜っていて起きてるか分からなかったけど、確かに体がピクリと反応した。
「その……なんか話しようぜ。話つっても、オレたちが別れてからの思い出話とか」
サスケが起き上がった。それでも、オレの顔は見てくれはしない。
「『思い出』なんてねぇよ。ずっと、イタチのことだけだったからな……」
久しぶりに聞いた声は、少しだけ掠れていた。
「なんでもいいってばよ。イタチの兄ちゃんとの思い出でも……あぁ、話したくなかったら良いけどさ」
オレは慌てて挽回する。きっとサスケにとってイタチとの思い出は、温かい物でもあるし思い出すと痛い物だろう。
サスケはしばらく黙ってから、布団から這い出てきた。そして、オレのベッドに座る。
布団で隠れて見えていなかったけど、ペラペラになった服の袖が、とても痛々しく見える。
「……動いてヘーキなのかよ。オレは九喇嘛のお陰で元気だけどよ、お前はまだボロボロじゃねぇか」
「平気だ。お前が動けてオレが動けねぇと思ったか」
そして、相変わらずのスカした顔で鼻を鳴らす。その顔が、ふと昔のサスケと重なる。随分と昔になったあの日々が、鮮明に呼び起こされた。
「あはは。お前ってば、変わってねぇーの!」
「っるせーよ、ウスラトンカチ」
少しだけ口角が上がったように見えた。久しぶりに見た笑ったその顔は、オレがいつも見ていた物と同じだった。
「……オレの、話をしよう」
そう言って、サスケは懐かしそうに窓を見る。
「……イタチ……兄さんは昔から甘いもんが好きだった。かえってオレはそれが嫌いだった。兄さんはオレにとって憧れで、遠い存在だ。父さんから認められたいオレと、認められている兄さん。だから対抗心があって、嫌いだったのかもな……」
と、意味の分からない昔話を始めた。サスケが甘い物が嫌いなんて、第七班では常識だ。それと、納豆も。
「ふーん、それがどーしたんだってばよ?」
サスケはオレの方に顔を傾ける。黒髪がサラりと揺れた。
「……オレがまだ幼かった頃、四、五歳だったか。兄さんが珍しい物を美味しそうに食べていたから、オレも貰ったことがあった」
そしてオレから顔を背け、咳払いをする。
「……それがすげぇ、甘かった」
オレは意味が分からなくて、しばらく放心状態だった。当の本人は急に変な話して、恥ずかしそうに耳を赤くしている。まぁ確かに、昔話をしようって言ったけどさ……
オレはもう、こうなんて言うか、色々込み上げてきて、思わず吹き出した。
「ぷっははははははははは!!」
腹を抱えて盛大に笑った。お腹が痛くて割れそうで、肺がズキズキして、顎も顔も痛くて仕方がねぇけど、それでも笑った。
「チッ……クソ、話すんじゃなかった」
サスケは肩を細かく震えさせている。
「いやいやいや、ぷふっ……サスケェお前っ……クッ……」
サスケは今にも殴りたそうな顔でオレを見た。ガキみたいな赤面で、睨みつけてくる。
でも、オレたちは強がってるだけでかなりの重症だから、今喧嘩なんてする気合いも力も無い。
「いいな!? 絶対にサクラとカカシには話すなよ? っても、昔の話だからな!?」
「あははははは、わかってるってばよ」
オレはしばらくヒィヒィ笑って、流石のサスケにも呆れられた。
「流石にもういいだろ、つまんねぇ……いや、ナルト。お前ムカつくな」
サスケは怒った顔でオレを指差す。もしお互い万全だったら、今頃天照で燃やされてるだろう。
「いや、ごめんごめん。なんだか昔のサスケが帰ってきたなぁって……」
サスケは顔を逸らし、ため息をつく。
「昔のオレ、か……」
「そうそう。サスケは里抜けしてから復讐に囚われてさ。オレってば、カカシ先生の素顔を見ようとしたり、そう言うときの気の抜けたサスケも好きだったんだぜ?」
『里抜け』という言葉で、オレは大事なことを思い出した。
「あ! お前! 言おうと思ってたけど雰囲気的に言えなくってさ!!」
「なんだ、言ってみろ」
オレが叫び出すから、サスケは心底嫌そうな顔をした。それでも付き合ってくれるのが、サスケちゃんの良い所〜だよな!
「お前、服! 前開けすぎだろ!? オレの気持ち考えろっての! なんだよアレ! 大蛇丸の趣味か!?」
オレが叫びすぎたせいか、サクラちゃんが部屋に入ってきた。
「何の話してんのよ、バカナルト。アンタもサスケくんもボロボロなんだから、大人しくしてよ」
「いや、サクラちゃん。オレってばちょー重要な話してんのよ」
サクラちゃんがため息をつきながら、オレの頭を軽く叩く。手加減したのはサスケの前だからか、オレが怪我人だからか。
「どーせ、しょうもない話でしょ? サスケくんも、嫌ならちゃんと言ってよね。じゃないと止まんないんだから」
「あぁ、すまない」
そう言って、サクラちゃんは出ていった。「すまない、すまない、謝りすぎ〜」とか、ブツブツ言いながら。それはオレも同感だけどな。
「サスケェ……オレの話イヤ?」
サスケはしばらく黙る。目を少し伏せて、今更恥ずかしそうな顔しやがってよ。
「いいぜ、暇だから……聞いてやる」
「よし来た! それで、あの服ってお前が選んだのかよ?」
「違ぇよ、大蛇丸が用意した。それに、女子じゃねぇからいいだろ、前開いてるくらい」
あんの大蛇丸め〜!!! あんなのが伝説の三忍?? んなの信じられっかよ!
「でもよ! お前考えてみろ!
オレ唯一の友が、かなりの友達がぁ、里抜けして、久しぶりの再会かと思ったらさぁ〜!!」
オレは思い切り深呼吸した。
「胸元すんげぇー開いた服着てんの! 露出キョーになってんの!! こんなの許せねぇよ!」
「んなの、クソ……黙れよ! あのサイとかいうヤツだって、腹筋見せびらかした服着てんじゃねぇか!」
サスケは眉間に皺を寄せて、布団に埋もれたオレの足を殴った。痛いのに痛いのが重なって、思わず声が出そうになる。
「違うんだってばよ! こう、さ! ベクトルが! サイはサイで、サスケはサスケじゃねぇか!
あんな服着て、敵に体触られたり、大蛇丸と生活してたり、あの香燐? とか言うサスケファンにベタベタされてるって思うと、耐えられねぇよ!!」
オレは渾身の思いを叫んだ。サスケはもう、意味分かんねぇ顔してオレを見る。色んな感情が混ざっているような、そう言う顔。
「あ、そうだよ、オレってばさ、お前のせいで過呼吸起こしてんの! なんだっけ、お前が五影会談襲撃したとき、みんながサスケ殺そうとして……オレってば辛くてよー」
その時のことを色々思い出して、オレは目頭が熱くなった。あの頃は大変だったな。みんなサスケを犯罪者で敵だって思って、今にもサスケが殺されちまいそうで。
泣きそうで俯いたオレの手に、サスケの手がそっと重なる。指が細くて、冷たい手。
「……その、お前、オレが触られんのが嫌って言ったろ……」
オレは驚いて顔を上げた。すると、頬に柔らかい物が当たる。オレは直ぐに、サスケの唇だと気がついた。
オレは硬直して声も出せずにいる。
「……お前で、上書きしてもいいんだぜ」
耳まで赤くなった顔で、黒い瞳が覗くようにオレをチラリと見た。
これはきっと気まぐれだ。秋の風を攫うような、黒猫のイタズラ。ここで尻尾を捕まなければ、また何処かフラフラ逃げてしまうだろう。
「……ぉ、お願い、します」
ドクドクと、耳元で心臓が脈打つ音がする。
オレはただ、情けない声で返事した。
《天を照らす太陽は、軈て朱い瞳に宿る 消えぬ黒炎として、無我の闇を照らす》
「……お前で、上書きしてもいいんだぜ」
初めは本当に、気まぐれだった。
ナルトと話すのは余りにも久しぶりだったから、どう接したらいいか分からなくていつになく変なことを言ってしまった。
そんな建前とは裏腹に、アイツと別れてからここに帰ってくるまでの長い時間を埋めたいとも思っていた。最も親しい友や、かなりの友達なんかじゃ終わらせられないような関係を、築きたいとも思った。
だが、『冗談』で終わったって良かった。そんな曖昧な気持ちだった。オレがナルトを唯一に思っていても、ナルトにとっての本当の唯一がオレなのか、ただ親しい友なだけなのか。そんなこと確かめる術など無くて、オレだけが抱える異常なこの熱を胸の内に沈ませるのでも良かった。
それできっと、諦めがつくと思ったから。
でも、あのナルトが「お願いします」だなんて答えたときに、お前もオレを想っていたのだと、この感情が一方通行ではないのだと確信した。
オレはベッドの上で、ナルトに入院服を脱がされていた。
上半身だけはだけた服。包帯でグルグルにされたオレの体が露わになる。
「……なぁ、触るだけだろ? 脱ぐ必要ってあるのか?」
オレが訊くとナルトは一瞬、眉間に皺を寄せて固まった。
「だってアイツら、サスケのスベスベ生肌触ってんだろ? オレってば、本当は包帯も取りてぇくらいなの!!」
「……それは勘弁だ」
「だろー? 我慢してんだよサスケちゃーん」
それにしても、だ。
外からの物音がやけに大きく聞こえる。オレは視線を扉に向けていた。
ただ『記憶の上書き』をしているだけ……と言っても、オレには邪な気持ちが無いとは言いきれない。
オレの体に夢中になっているナルトを見て、呆れるように咳払いをした。
「おい、サクラが来たらどうする?」
「来ねぇーよ。お前は知らねぇかもだけど、サクラちゃん忙しいんだぜ」
そう言ってナルトは笑った。太陽みたく眩しい、暗い夜道を照らしてくれるような笑顔。どんなに辛くても、この笑顔だけは絶やさなかった。ずっと。
「んで、何処触られたんだよ?」
「あぁ、そうだな……」
オレは昔のことを振り返るために目を閉じる。
そういえば、香燐はサクラによく似ていた。オレの体をベタベタと触って、何があっても結局はオレに着いてこようとしていた。そしてオレは、2人を傷つけた。いや、それ以外の人たちも。
そんなオレが、罪人のオレが今こうしてナルトと共にいて、幸せを掴もうとしているなんておかしな話だ。
「……サスケ?」
と、ナルトがオレの名前を呼んだ。目を開けると、心配そうな顔をしてオレを覗いて見るアイツの顔。
オレの額には、じんわりと汗が滲んでいた。
「……なんで」
オレは喉から声を絞り出して言う。
「なんでこんなことしてんだよ、お前は」
拳に力が入って手が震える。ナルトは目をまん丸にして、直ぐに視線を逸らした。
「なんでって、おめーがオレを誘ったんだろ」
吐き捨てるように言われた言葉。
「普通断るだろ、ウスラドベ」
「普通ってなんだよ! 教えろよ!! お前もオレも、友達なんて初めてじゃねぇーか! 普通とかカンケーねぇってばよ!!」
ナルトがオレの手首を掴む。昔と違って、大きくて強い手。その手で、お前はたくさんの人を闇から救ってきた。
「おかしいんだよ、お前……」
そうだ、おかしいんだ。お前もオレも。長い時間離れていたせいで、きっと距離を測る定規が狂ってる。
だからこの気持ちだって、胸に溜まったお前への感情が変に出てきただけなんだ。そのはずなんだ。
「おかしくていい! オレは、ずっとお前に触れたかった。サスケは違うのかよ!?」
オレはナルトの顔を見る。疲れてて、ボロボロで、どうかしている顔。
「オレはっ……」
身体中熱くて、どうにかなりそうだ。喉奥から何かが込み上げてくるような、そう言う感じ。
オレなんかがお前の隣に立つことはできない。それでも、確かに育ってしまった感情。
これを言ってしまえば、オレたちはただの友達ではなくなってしまうかもしれない。オレの望みが、叶ってしまうかもしれない。
そんなこと――
視界の正面に、青く澄んだ瞳が映っていた。オレだけをただ真っ直ぐに見つめて、青空に空いた穴のような瞳孔に吸い込まれるような気分になった。
「……っ、お前と、ひとつになりたい」
喉奥がヒクついて、声の震えが止まらなかった。今にも泣き出しそうで、コイツの前で泣くなんて真っ平御免だから必死に堪えた。
ナルトはオレの頬に手を添えて、オレの唇に口付けする。
「やっと言いやがったな……ずっと待ってたんだよ」
「っるせー、ウスラトンカチ……」
掠れた声で、いつものように反発した。
ナルトはオレの首にしがみつき、ありとあらゆる場所に口付けと噛み跡を残す。これじゃ、本当に狐みたいだ。
部屋にはオレたちの息遣いと、微かにベッドの軋む音だけ。
「っふ、ふ……ん、はぁ」
「気持ちわりー声っ……出してんじゃねー」
「仕方ねぇだろ、サスケェ……」
クソ……体中が熱い。緊張か?それとも興奮してんのか?兎に角、雰囲気に酔って変な気分だ。
オレ、今すげぇ変な顔してそうだ……
オレは顔を傾けて、ナルトから見られないようにした。
すると、オレの下腹部に硬いものが当たる。
「ぅわ、お前……っ」
オレは驚いて、自分からナルトを引き剥がした。
「っべー、勃っちまった……」
ナルトのズボンが股の辺りで膨れ上がっている。
「マジか、お前。オレで勃つのかよ……」
「そう言うお前もな、サスケちゃん」
照れた顔をしながらも、いたずらっぽくナルトは歯を見せて大きく笑った。
オレは目線を落とす。クソ、アイツの言う通りだ……
「なぁ、サスケ。いーだろ?」
「いいって、何がだよ」
ナルトはオレのズボンをずり下ろす。
「……セックス」
男同士のやり方は知っていた。
だけど、ナルトがあんまりにも慣れた手つきだから、何故か胸の奥がモヤモヤとして気が滅入る。
「……もう、誰かとヤったのか?」
と、いつもは言わないようなことを言ってしまった。
ナルトの指がオレの中に入ってくる。オレは痛みを我慢し、代わりに枕を強く抱いた。
「んなのしてねぇーよ、オレをなんだと思ってんだ」
そう言われて、少し気持ちが軽くなったのを感じる。
「お前も、初めてなのか……」
浅く息をしながら訊いた。
「ん、まぁな……」
ナルトの言葉を聞いて、少しだけ嬉しくなった。やっぱりオレはおかしいんだ。
そのまま、オレは中を弄られ続けた。少し痛くて、苦しい。でも、体の中が飛び跳ねるような感覚で、気を抜いたら変な声が出てしまいそうだった。
「んじゃあ、そろそろ……挿入れるからな」
そう言って、ナルトはそれをオレの入口にピタリとくっつける。オレはいつもより早いテンポで呼吸しながら、ゆっくりと頷いた。
ナルトは目を伏せながら、オレの中に、ゆっくりと入ってくる。
「……ぅわっ」
と、情けない声を出すから笑えそうだったけど、オレはオレでかなり限界だった。オレの中を引き裂いて入ってくる熱い温度。オレとナルトが、ひとつになる。
「っふ……ん、ゔぅ……」
オレは手で顔を覆い隠す。特に口元を。
変な声、出てきちまう……
「サスケ、痛くねぇか」
ナルトの声が鼓膜に響く。それだけで、頭の奥と言う脳髄がゾクゾクして、頭が変になりそうだった。
オレは今日、調子が悪いのか。
「……ぃい、平気だ」
「んじゃ、動くからよ」
そう言って、ナルトは腰を動かし始める。ベッドがギシギシ音を立てて、オレの全身が揺れる。
動く度に気持ちのいい所に当たって、突かれる度に声が出てきそうだった。
「ん、ふっ……ぁん」
オレは唇を噛んで、必死に声を我慢する。ナルトはオレを抱き上げ、オレに口付けした。
舌が絡みついて、熱くてねちっこいキス。それがものすごく長いから、息が上手くできなくて苦しい。頭に酸素が回らなくて、視界がチカチカと点滅する。
オレのがより一層熱くなって、遂には我慢が効かなくなって射精した。
それでようやく、ナルトはオレの唇から離れた。
「っなげーよ、バカ……」
「サスケってば、キス下手すぎ」
そう言いながら、また腰を動かす。
「っや、めろ……オレ、今イった……」
脳が直接揺れる。気持ちの良い場所ばかり当たって、身体中が痺れる。
「声、我慢すんなよ、サスケ」
「サクラに、ばれるだろ……」
上手く呼吸できないまま、オレは言った。
「いいじゃねぇかよ……オレたち、ならよ」
「……ックソ、が、ナルト……あっ」
段々と意識が遠のく。真夏のように暑くて、頭がゾクゾク気持ちくて、ナルトに触れられるところ全部が嬉しくて。
部屋にはオレの小さな喘ぎ声と、ナルトの息遣いと、ベッドが軋む音。
オレはもっと、お前とひとつになりたい。
もっと愛されたい。今までできなかったから。
もっと、もっと……
お前と、幸せになりたい
オレの中に、熱いものが注がれる。ナルトの精子が、ナルトの細胞が、ナルト自身が、オレの中に入ってくる。
オレに馴染んで、オレとひとつになる。
「……ナルト、すきだ」
オレはナルトに抱きつく。ナルトは驚いた顔をしていた。
「愛してる、ナルト……」
そう言い残し、オレは深い眠りに落ちた。
目が覚めた。体中ベタベタで気持ち悪い。
「お、起きたか」
オレの横には、ナルトが居た。
「お前寝すぎだよなー。あ、そうそう。オレが服着させたんだぜ、感謝しろよ。じゃねぇと、サクラちゃんに裸見られてたからなー」
そう言って、いつもみたいに笑う。その顔を見て、何処か安心した。
オレは起き上がる。いくら寝たって、体が痛いのは変わらない。むしろ、さっきのせいで悪化した気がする。
「なぁ、ナルト」
と、名前を呼んだ。オレの低い声に反応して、ナルトはこちらに視線を向ける。
真っ直ぐな瞳と煩い金髪に、デカくて口角の上がった口。その全てが、オレの言葉の続きを待っている。
「……いや、やっぱりナシだ」
「え!? なんでだってばよ!」
今はまだ言ってやらない。それに、そんな顔をされたら尚更だ。
だがナルト……オレを照らしてくれて、闇から救ってくれてありがとう。
そして数日が経ち、オレは今日で退院になる。
「だーかーらー!!」
と、病院の前でナルトが駄々を捏ねた。
「サスケが、投獄なんて!! する必要ねぇーだろうがよ!!」
カカシが呆れたような顔をする。
「まぁ、それもそうなんだけどねぇ……形だけでも処罰は与えないと、他のお偉いさんが黙ってないのよ」
「でもよー、サスケは大戦でたくさん活躍したし! カグヤの封印だって、サスケがいねぇとできなかったじゃんよ!!」
ナルトがオレの手を掴んだ。
「ナルト……気持ちは分かるし、私だってサスケくんとずっと一緒に居たいけど……」
サクラがナルトを宥める。昔の第七班も、こんな感じだったな。
「さ、サスケ。そろそろ行くよ」
「あぁ」
オレがカカシについて行こうとすると、ナルトの手の力が強まった。
「サスケ! オレ、あの、面会もたくさん行くし、綱手のばあちゃんに頼んで――」
オレは、ナルトの手を離した。
「あぁ、分かってる」
ナルトは、酷い顔をしていた。碧瞳にオレがくっきりと映る。父親譲りで、その眼だけでアイツの忍道を語れるような、そう言う綺麗な瞳。
「待ってるぜ、ウスラトンカチ」
オレは昔に戻ったような気持ちで、いつものように笑った。