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視点∶?


…あいつ、今どうしてるんだろう。

罪悪感が永遠に残り続ける自分に吐き気がする。

私が突き放したのに。


「‥うぷ、っ…」


毎日こうだ。

私は人一倍正義感が強いのだろうか‥人を突き放して、少しも守れやしなかったのに。

吐き気を抑える薬が、確かこの棚に‥


「っ…!!」


私はトイレに駆け込んだ。

あいつの声と絶望した顔が頭から離れない。


どうして、どうして…



‥人が居なくなった事、といえば‥昔、もう一人いたな…

あの頃はまだ雪が積もらなかった。

だから、あいつともう一人と、山にもよく遊びに行っていた気がする。


いや‥あの子は一人でも山に行っていたな。

「神社がある」とか、身振り手振り起きたこと話してくれて‥。

でもある時村から出てから、帰ってこなくなって…。


「は、っう…」


思考に集中しても吐き気は収まらない。


穏やかな昼下がり。

明るい太陽と、降り積もる雪と冷たい風。

それさえも私を 煽ってきているように感じた。


‥今日も、行くか。

あいつの向かった、山に。





視点∶gnms

「‥はぁ〜… 」

今日でiemonさんが来てから約1週間。

境内の掃除が終わり、私達はお茶を飲んで温まっていた。

すると、iemonさんが口を開く。

「…そういや、最近‥いや、ここ数日なんですけど‥誰か、山登ってきてません?」

「‥あぁ、iemonさんも気付いてます?」

そう、最近異様な気配がするのだ。

野生動物とかではなく、人間の。

ド深夜にその気配がするのだ。

不健康そうだなぁ。

「うーん‥まぁ私は妖怪なんで、睡眠が無くても生きられますし‥後で試しに見に行きましょうか?」

「あー‥それだったら、俺も行きます」

そうか、彼も一応妖怪もどきだった。

曰く、睡眠時間が2時間もあれば十分なのだそう。

‥本当にそうかは知らないが。

まぁ、着いてきてくれるならその言葉に甘えよう。

見た感じ妖怪特有の能力とかは無いっぽいから、いざという時は私が守らねばならないのだが。

「んじゃ、今日は寝ないでおきましょう」





視点∶???

友達のラテが、深夜に山の方へ行っているようだ。

「これは‥」

俺も(こっそり)着いていくしかないよなぁ!?

あ、―――――も誘おー。

あいつ部屋から出てないらしいけど、ラテが如何わしいこと(?)してるって行ったら着いて来るだろうし。

「お〜っい!!」

『‥あら、___君?――は部屋に居るわよ。』

『あの子、ずっと部屋にこもって出てこないから‥遊びに誘ってあげてちょうだい。』

「はい、もとよりそのつもりですっ!」

―――――のお母さんからその言葉を受け取った俺は廊下を駆けて、奥の方にある部屋の前に着いた。

『開けるな』と書いてある紙がドアの前には貼られていた。

俺はノックして、声を掛けた。

「―――――〜?入っていい?」

『わぁぁっ‥____か…駄目、入っちゃ‥』

「遊び行こう!」

『‥い、良い、けど‥今から?』

「いや、今夜。」

『えっ夜!?怒られない‥?』

全く臆病だな〜―――――は。

そんなの‥

「バレなきゃ良いんだよ。話したいから外行こうぜ。」

『わ、分かった。』

やっとドアが開いた。

ドアを開けた声の主の髪はボサボサで、まともに管理がされていないのが分かった。

「お前、髪ボサボサすぎんだろ‥」

『そ、そう‥?』

ったく、昔のこいつはどこに行ったんだか。

昔は「髪命なんで!」とか言って、常にさらっさらだったし、自己肯定感もバチクソに高かった。‥ まぁリア狂だけど。

今や髪はボサボサ、ネガティブ思考‥ああ、お母さん悲しいよ‥

いや母じゃねぇけど。

『お母さん、今から遊び行ってくる。』

『あら、本当?気をつけてね。』

手を振って俺達を送ってくれた―――――のお母さん。

やっぱり遺伝子ってのが合って、髪色が全く同じだ。

少し濃い目のマロン色‥もうちょいサラサラだったら、もっと綺麗だったんだろうが。

まぁそれは置いといて。

夜‥それもド深夜に、ラテは山の方に行ってる。

それをバレないように着いていく‥それが俺等の任務だ。

‥なんかスパイになったみたいで楽しいなこれ。

この旨を説明すると、―――――の翡翠色の瞳が輝いた。

『えっ、行く行く!』

まるで昔のこいつみたいだった。


日に反射して光る瞳 と髪、そしてヘアピン。

昔とは正反対なこいつ。

何がこいつをそこまで揺れ動かしたのか。

ラテが山へ行く理由よりも気になった。

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