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Tとなりのおはぎ
『クラスの陰キャ男子は”元”不良でした。』
Episode.31
ぷちぷち→👀
ぽん太→🐤
いむ→🐾
ひなこ→🎀
のあ→🍪
るな→❄️
じゃぱぱ→🟢
Midwinter→” ”
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
side:Midwinter
──気味が悪かった。
居心地が悪いどころじゃない。
ずっと胸の奥でざわめくように嵐が起きていたようだった。
「みっど~、何してるの?」
“ん?息抜きにちょっとな。やってみるか?”
「良いの?やった~っ!」
いつも、オレの周りではろくなことが起きなかった。
だからこそ、この二”人”だけは巻き込みたくなかった。
大事な、仲間だったから。
──────────────
オレの家族はみんな、水色のキラキラと輝く瞳を持っていた。
光を反射するんじゃなくて、まるで自分から光を放つように、まっすぐで、人の目を引く瞳。
オレは、オレの家族の中で唯一、濃い赤色の瞳を持って生まれた。
一瞬母親の不倫も疑われたが、DNAは間違いなく両親のものと一致していた。
……それくらいなら、いっそ一致しないでくれたら良かったのに。
───
「あの子は恐ろしいから」
なんて、物心がつく頃にはとう聞き慣れ尽くした言葉になった。
怖いから近寄りたくない。怖いから声を聞きたくない。
そんな理由で、オレは昔から行動を制限されて来た。
それが嫌で……高校三年生のとき、家から抜け出した。
ザ・都会と言うほど人は多くなかったが、紛れ込めるくらいの人は居た。
時間帯的に下校する生徒も多かったのだろう。オレと同じくらいの背丈の子供がたくさん居たから、もし追っ手が居ても逃げ切れると思った。
……でも、追っ手が来ることは、即ち引き戻す価値があると認めることとでイコールが繋がる。
オレには追っ手が来なかった。
だから、一晩中休み休みで走り続ければ、見たこともないような場所へ辿り着くのは簡単だった。
ありがたいことなのに、「追っ手が来ない」=「感心を持たれていない」と繋げて、勝手にショックまで受けてしまった。
あのときのオレは、きっと頭のネジが何本か抜けてしまったのだと思う。
───
学校の屋上はまだ綺麗で整備もされていたけど、丁度その時期に不良の溜まり場になっていたから人は寄り付かなかった。
時間的にも、その不良さえ居ないような時間だったから、もう邪魔をするヤツは誰も居なかった。
……オレは、一体何のために逃げたんだろう。
逃げてもやることなんて無い。地獄から抜け出したところで天国が待ってる訳じゃない。
そんなこと、どんな間抜けなヤツでも分かることだ。
“……何が、したかったのかな。”
風を帯びてガタガタと揺れるフェンスは、今も昔も変わらず立て付けが悪かった。
それほど高くもないそれを軽々と飛び越え、フェンスの外側の突起に立つ。
赤色の上履きを脱いで揃え、靴下だけを履いた状態で空を見上げた。
太陽が上がりかけていて、まだ辺りは真っ暗だ。
オレを見ているとすれば、そんなものは夜明けを告げて飛ぶ鳥くらいだろう。
“逃げたかったんだよな。
…ちょっとだけで良いから、自由になりたかったんだ。”
ずっと考えていた。
「死ねば、ずっと自由で居られるんじゃないか」…って。
“…はは。分かってたつもりなんだけどなぁ……”
今までずっとそうだったのに、死ぬ瞬間になって唐突に気付くことは誰にだってあるものだ。
それが、オレの場合は「孤独」だっただけ。
……結果的に、オレは寂しかったんだと思う。
あのままずっとあの家に閉じ込められて死ねば、オレはきっと「呪い」だの「祟り」だの言われて、後世まで悪い意味で語り継がれてしまう。
それなら、自分で自分にカタを付けた方がよっぽとマシだ。
“さよなら、オレ。”
“……またいつか。”
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side:松海冬知 -matsumi futi
👀『ん~……思い出せねぇッ!!』
🐾「なんだよ、そんなうるっせぇ声出して」
👀『今さりげなく失礼だったよなお前…
なんか忘れてるような気がしてさ、めっちゃ気になんだよね。』
🎀「あ…何か忘れてんのは分かるんだけど、何を忘れたかは分かんないやつか。」
👀『そうそれ』
記憶の端で、ひなこが飛び降りかけたあの寂れた屋上を思い浮かべる。
──砂埃の舞う石の床。
──雨漏りで濡れたままの日陰の水溜まり。
──下からも後ろからも吹き付ける、強い風。
そのすべてが、最近のことなのに…まるで、昔からずっと感じていたかのように懐かしく思えた。
👀『……ま、いっか。』
🐤「いいんすか?思い出さなくて」
👀『いーんじゃねーの?だって、俺の件じゃねーし』
🐾「それ余計に思い出せよ…」
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Episode.31
「孤独な少年のお話」 終了
Episode.32・・・4/12公開
次回もお楽しみに。
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