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#降谷零
花梨
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#ポケモン夢小説
コメント
1件
あら、面白かったです!特にクラブのざわついた空気と、名前さんのもどかしい気持ちがすごく伝わってきました。「軍人は無理」と言いながらも、どうしても気になってしまう主人公の心情がリアルで。あの眼鏡の訓練生、ベンとはまた違ったタイプですよね。フェイスブックを交換して「training」ってわかった瞬間の「お前まじかよ」に、思わず笑ってしまいました。続きが気になります!
今日はいつもより暑かったけど、日本みたいにべちゃくちゃしていたのがやっぱり海外は最高。そのぶん水の質は悪いし、乾燥するけど、やっぱりこっちのほうが過ごしやすい……。
「ちょっと名前」
ぼんやりからだを動かしていると友達に声をかけられる。
なによ?レクサがかかってるのに、とわたしは呟く。
「大丈夫?ってか、なんでジンしか飲まないの?だからよ」
「読めないのよ!酒に興味がなくてジンしか!」
うえ、とジンを友達に押し付けると、反対側からも話しかけられる。
「見てみて…あそこの席」
一段高い席には白人らが座っており、ふざけあってチークダンスしている。
相当酔ってる。たしかに名前も今まで軍人、と聞くだけで胸が高鳴ったものだが実際やつらは超プライドが高い。
すぐわたしみたいな留学生がついてくるのをわかってるから。
「わたしはパス…」
「じゃあっち…クールじゃん」
目が合った。カラフルなライトに光る金色の睫毛。日本人じゃ絶対にない。
マティーニ片手にからだを緩く揺らして、瞬間名前は張り付かれて息を止めた。
「ひい」
友達が指差して笑っている。なにか耳元で言われたが、英語じゃない気がした。
思い切りからだを擦りつけて、おしりからくびれを越えて線をなぞられ名前はばっと離れて男を睨み付けた。
サビにさしかかり、クラブ内は上下に揺れる。男も大笑いしながら同じしぐさをした。マティーニが頭から降ってきて名前は叫び散らす。
「っぷ!」
人混みをかきわけ出ていく。イェアー!と上の席から聞こえて、そいつは後ろに倒れて抱えられて大笑い。
最低。名前はつかつか出口に向かった。
なんでクラブにいるやつらってさわって当たり前だと思うわけ?うんなんて言ってないし。
再入場のスタンプを押され、名前は外に出た。
「ああ…もう…なにが英会話の練習よ…やっぱり家でホストの娘らと勉強してたほうが絶対いいじゃない」
5歳だけど。
「…」
名前は振り向く。ドアの前にいるばかでかい銃を持ったふたりに肩をすくめられ、移動した。
店のシャッターが閉まった前まで行き、手すりに寄りかかる。
あはは…と聞こえてどんどんクラブに人が吸い込まれていき、ジー、という夜光灯が鳴ったのを聞いていた。
「ねぇ」
はっ、と近くに立つ男に名前は驚く。
こいつさっきわたしのこと撫で回し…と思いながら眉をひそめた。
「隣いい?」
「…ご勝手に」
男はポケットに手を突っ込み、また笑う。
「ひとりでいたい?」
「…」
名前は素直に男を眺めた。光の下できちんと見た。随分若いし、なにより眼鏡をしていてかなりインテリっぽかった。
眼鏡をする白人はなかなかいない。それこそ【勤勉】に女は濡れないからだ。
かしゃかしゃ、と煙草を鳴らす。名前は首を振った。
だがクラブに入る前にIDを見せているはずだから……。
「失礼」
男は微妙な距離をとってしゃがみこむ。
「ふぅ」
「…」
なんだこいつ?名前は素直に手すりから目だけで見ていた。口説くわけでもなくそばにきて……。
「僕が1番【下】なんだ。仕方ない。でもごめんね、さわって」
名前にはdegree(階級)の意味が文法上でわかりかねて、gradeとどう区別したらいいかわからずただ鼻を鳴らした。
「…きみ、名前は?」
「…」
名前は顔を向けた。
「…名前」
「韓国人?」
「なんであんたら、アジア人見るとみんな韓国人なの?」
ふっ、と男は金髪を払った。
「色が白いから」
ぐしゃ、と煙草を踏み潰すと両手を挙げる。
「戻る?」
名前は首を振った。
「そ…」
くるり、と男は背を向けたので名前はぎょっとして引き留める。
「ちょっと!人の名前聞いといてあんたはなんなの?」
男は肩越しに振り向いて、囁いた。
「へぇ…きみ。僕に興味あるんだ…」
名前は殴られた気がした。やっちまった!すぐにわかった。これがこいつの【口説き方】なんだと。
「フェイスブックある?」
「…あるけど、会社のアカウントなの。インスタはないの?」
「じゃ同じだ。はい」
フェイスブックを交換すると、男はそのままクラブに戻っていった。
名前はすぐにチェックしてげっと声を出す。
training(訓練生)……。名前はレイ。
「お前まじかよ…」
名前はぐったりしてしまった。
クラブ内に戻ると、テーブルにいた友達がわっとやってくる。
「ねぇ大丈夫?」
「てかさっきのやつさ!見てよ!」
指差すVIP席に彼はいて、空のグラスを片付けたりテーブルを拭っている。
「どゆこと?あいつあんな大学生みたいな感じで軍人なの?」
「訓練生だった」
名前は叫び、氷で薄まったジンを傾ける。
「なんで知ってんの?」
「まさか口説かれた!?あんたに言い寄るやつみんな軍人じゃね」
はっはっ、と友人は胸元を引き上げて笑う。
「スーパーでさ、つけられたとき助けてくれたやつも…」
「名前なんだった?」
「ベン」
名前は顔をくしゃっとする。
「あれも相当おかしかったじゃん」
「今回のはどんな感じ?」
「いやLのほう。どうこうもああ、軍人は勘弁…」
ぴろん、とメッセージが来た音に名前はスマホを見る。
きみが見えるーー
名前は席を見上げた。
こっちに来る……?友達も……。
名前は目を細めた。相変わらずわちゃわちゃしている【先輩方】を背に、やつは静かに立ったまま。
名前は返事した。
遠慮しとく。ガールズナイトなの…と打っているうちにまたメッセージが来て名前はどくんと心臓が鳴った。
きみだけでも僕はいいよ……
「っ」
「なになに?」
「また…」
友人らは笑って酒を追加しだす。
「軍人は無理。ベンでこりたの」
名前はばっとふたりを鋭く交互に見る。
また音が鳴る。電話番号だった。
きみと話したいな…
「てかフェイスブック見ていい?かなり頭いい大学出てない?」
「まじで?」
「待ってよ、だからなんなの?」
友人らはきょとんとした。
「今までと違うかもしんないじゃん」
名前はふたりを引っ張りあげて、出口に走り出した。
席から見下ろす口元が、笑みを浮かべているのを見ながら……。