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ーーー凛琥sideーーー
リーダーのお嫁さんが来て数日経った。何も日常は変わらないと思っていたが、お嫁さんが来ると作るご飯の量は多少変わった。当たり前だ、お嫁さんも多少食べるようになっていたのだから。そして、洗濯量も変わった。最近までリーダーと実家に暮らしていたが、ここ《本部の邸宅》に来てからみんな大忙しだ。
7月17日12:15、一通の手紙が届いた。任務依頼だ。内容は、闇オークションで不正に取り引きされた商品を取り返して欲しい。との事だった。リーダーは何か引っかかったのか。「闇オークション…」と言った。
ーーー碧sideーーー
闇オークション、俺の嫁がいたところだ。もしかすると、不正に取り引きされたのは夜弧のことではないか…。そう思考を掻き回していると。手紙の裏に1枚の写真が入っていた。それを見た途端、みんなの目の色が変わり。殺意だけがそこに残っていた。しかし、鈴愛だけは違った…。あいつだけは殺さずを貫いてきた。ここで殺してしまってはあいつが可哀想だ。そう思い、普段喋り慣れないそんな口がやっと言葉を発した。
「鈴愛、今回これには参加しなくてもいい。報酬もちゃんとお前の分も山分けする。 」
と言うと、鈴愛は考えたのに向き直り
「いえ、これはリーダーのお嫁さんの問題。俺からしたらあんたらは家族同然だ。だから、家族の問題は俺の問題でもあります。だから俺も行かせてください!」
といつもはヘラヘラ笑ってろくに仕事もしたこともないはずの鈴愛がこういっていた。となると断れるはずもない。俺は頷き、夜弧の手を引いた。震えて不安でいっぱいの手が、俺が握った途端無くなっていた。俺は嫌われてないことを実感し。闇オークション市場へとみんなを引連れて行った。
ーーー鈴愛sideーーー
7月17日15:06、俺は迷子になりました。みんな見当たりません、泣きそうです。みんなと一緒に、闇市に入ったまでは良かったのですが。そこから俺だけ迷子になったようで、ここら辺はひとりで歩いている顔の良い若い男女を狙うようで、俺は顔が良くないので多分捕まらないとは思うが…と、そう考えていると、15:30何も無いところに来てしまいました。俺は服の裾を掴み、今にも泣き出しそうでした。すると、若い男性が声をかけてきました。金髪で、肩より下に伸びた髪を後ろで三つ編みにしていました。見た感じ、闇オークションの人ではなく、年齢は25も行かないような…。
「あんた、誰だ?」
と言うと。彼は急に袋を取りだし、俺に被せた。俺は実戦経験がないせいか、そのまま袋の中に入っていた眠りぐすりで眠ってしまった。
ーーー柑sideーーー
同時刻、僕らは闇市の最中心部に近いところまで来ていました。しかし、後ろから着いてきていたはずの鈴愛がいません。どこへ…。僕は、柚の方をちょんちょんと叩き目を合わせて合図を送りました。僕はバレないよう、みんなの列から抜け出し。鈴愛を探しに行くと、15:45何も無いところで匂いが途切れていました。ただ、このには眠り薬の微かな匂いが残っていて。僕は眠りかけましたが、みんなに伝えるため、柚の近くまでテレポートを使い戻ると。
15:50、なんと目の前で鈴愛が鬼の中に入れられていて。どうやらあの匂いの途切れたところで捕まっていたようです。ただ、僕はサポート役で実践には向かなかったのです。あれ、よく考えるとお嫁さんがいません。すると奥から、奴隷用の服を着せられたお嫁さんが出てきました。そして、僕は気づいた。不正に取り引きされた商品とは、リーダーのお嫁さん…梢 夜弧さんのことだったのだと。そして、闇オークションのオーナー。金髪の男は「寺多 鈴愛《じだ すずめ》」と名乗った。意味がわからない、鈴愛はそこに捕まっている俺らの仲間のはず…。鈴愛と名乗った金髪の男は、琴莉に向かって。
「お兄ちゃんはガッカリだよ、まさか俺の替え玉として呪われた家の呪家《じゅけ》家の長男を選ぶとは…」
と言い出す。そして鈴愛の髪を引っ張り
「なぁ、普通の暮らしは心地よかったか?」
と、まるで鈴愛が普通の暮らしをして来なかったかような、そんな口ぶりだ。そして、夜弧の方を向き
「なぁ、お兄ちゃんの髪の毛引っ張ってる俺が憎いか?」
と鈴愛がお兄ちゃんと…。呪われた家。それがこのふたりの本当の家族なら、このふたりは兄妹ということになる。すると、奥からほかのスタッフが板を持ってきた。その板を2人の首にかけて、鈴愛と名乗る男は闇オークションを始めた。板には、「呪家 雪亡《じゅけ せつな》」「呪家 桜亡《じゅけ さくな》」と書いていた。2人は絶望の顔をしており。これこそもう絶望だ。僕は、もう何も…、そう思おうとしていたが、その前に体は動いていた。僕は走り出し、カッターでみんなの縄を切ろうとした。闇オークションのスタッフがいくら殴ってこようとも、僕は切る事を辞めず。やっと切れた時には、僕は倒れていた。だがいいんだ、リーダーの縄が切れたから!
リーダーは優しく僕の頭を撫でて、普段物静かであまりお嫁さんに気持ちを伝えない口から
「夜弧!お前がどんな気持ちで俺のそばに居てくれたか分からない!だが!好きなんだ!お前が!どんなお前だって俺は受け止める!だから!だから、俺のそばに居てくれないか。」
と、僕らも恥ずかしくなる言葉をつらつら並べていた。そして、夜弧さんは顔を真っ赤にしていたが。次の瞬間、指を噛んだ。そして
「その言葉、忘れなんなよ」
といつもより低い声で言った。まるで本性を隠してたかのようにニヤリと笑った。そして、次の瞬間まさかこの人がやるとは思ってなかったことが起きた。夜弧さんは自分の血を鎌に変化させ檻を壊したのだ。そして、鈴愛の方を向き
「兄ちゃん!」
と言った。鈴愛も指を噛んで自分の血を刀に変化させていた。そして回転を加えて折を切り刻んだ。鈴愛はあまり、戦えない。戦闘経験がなく、とても弱い。そして何より人を斬れない。そう思っていたのに、この鈴愛はまるでこれまでの気配とは違った、殺意に溢れてる。されども美しい殺気。ゆるりゆるりと狂気の笑みを浮かべ揺れて近づく夜弧さん。真っ直ぐ歩いて真顔だが、何処か圧を感じる鈴愛。それを見て屈する僕らと闇オークションのオーナー、何処か安心しているリーダー。そんな、カオスと言っても過言ではないそんな状況。血の雨が振り散った。殺ったのはもちろん、鈴愛と夜弧であった。まるで敵では無かったかのようにそのまま歩いてきた。そして、止まったと同時に2人の武器は固体から液体へと変化した。あとから聞いたのだが。呪われた家の正体は妖家族だったようだ。その中でも、夜弧さんと鈴愛はずば抜けており。家族からは疎まれていたという。怖がられ、嫌われていた。そして闇オークションに出されてしまったそうだ。ただ、琴莉だけは元兄である闇オークションのオーナーの元へ行き。遺体をぶっ叩いたと思ったら今度は抱きしめて泣いていた。あとから聞いた話だが、琴莉の元兄は、ずっと行方不明になっていたようだ。もう会えないと思った琴莉は、闇オークションで、昔の兄の髪型に似た鈴愛を見つけ兄として一緒に暮らすようお願いしたそうだ。