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そう思ったのは些細な違いからだった。何かいつもは断ったりすることもすぐ受け入れる、それに抱きついても何も言わない。そんなところが不思議だった。
でも何度見ても文面も流月、どこをどう見ても「愛心 流月」で間違いはなかった。でもどこか違和感を覚え少しむずむずする日々が続いていた。
SNSの更新はたまに更新する程度となり不思議と見る気もなくなってしまった。
あれだけの最愛の人で溺愛してた人のことにここまで興味がなくなってしまうなんて…と、自分でも頭がおかしくなりそうな感覚だった。
でもきっと誰かに話したところで「愛心流月は愛心流月」みたいな感じで言われるのではないかと心のどこかで思っていた。
彼女の裏垢の更新はなし、リストカットもしている様子は見られず、なんなら半袖を着てくる日がちゃんとあるような人になった。
安心できないと言えば嘘になる。だってやめて欲しいことをやめてくれたからだ。
かと言って安心できるわけでもなく複雑な感情だ。
彼女が僕にやめて欲しいと言われたからやめて無理に押さえ込んでいるのではないかと不思議で不思議でたまらなくなる。
んそんなに簡単に止められるものなの?)
流月は流月、そんなこと分かりきっていた。それでも不思議でたまらなくて、考えれば考えるほど頭が痛くなる。
もういっその事何も考えたくない。
愛してるなんて無責任な言葉を放ち続けたのは僕だ。そして彼女も僕に愛を与えてくれた。
だから両想いなんて思っていたがそれが薄れてしまったらこの関係はどうなるのか、怖くてたまらなかった。
だからコレは流月なんだと…いやまぁ流月なんだけど。そう言い聞かせた。
『飴村さん!』
喜んで僕の名前を呼んでくれる流月。
『飴村さん?』
心配してくれたり、不安になったりするとこうやって呼んでくる流月。
『…飴村、さん』
頬を赤く染めながらこちらを向いて名前を呼んでくれる流月。
どれも素敵でどれも愛していた。それなのに今はどんなに可愛い笑顔でもどこかに違和感を覚えるようになってしまった。
『うぅ』
H歴が終わった。僕は自由なはず、それなのに取り残されたように空いた穴は何ひとつとして塞がらない。
どこか寂しくなってしまっている僕は泣き出しそうになる。でもきっと気の所為なんだと笑みを作る。
『会いたい』
そんな感情だけで連絡を入れようとしてしまう。
太陽が僕を照らし暖かい陽だまりに僕をそのまま置いてゆく。
僕はそっと文章を作る。
「流月こんにちは!今暇?遊べる?遊べるよね!いつもの場所で待ってる!」
いつもの場所、なんて書くが本当に待ち合わせのための場所でしかない。カフェとかでもそんなものでもなかった。
無理やり連れていこうとする僕に呆れて嫌われたのだろうか?
嫌われてしまったのなら冷たいような態度、と思ってしまっている仕草などは納得がいく。本人に直接聞きたくとも真実を知ることが怖く、聞けないでいる。
なんで流月のことを流月と見えないのだろう。そんな自分にもよく分からないでいてしまう。
こんなふうに感じているのは僕だけだ。
そんなことを考えていると連絡が返ってきた。
「少しなら会えます」
それだけでも嬉しかった。表情を見ないで言葉だけの方が顔からの感情が分かりにくく流月だと思えるからそっちの方が良かった。
でもあって本当に流月なんだ、と思える日を待ち浴びていた。
よし、と意気込みを入れ準備に進む。
流月でしか埋まらないこの穴は寂しいと叫んでいた。