成瀬side
『〇月✕日
なるせと散歩に行った。
外の空気はやっぱり美味しい。
あと何回散歩に行けるんだろう。』
成瀬)…
『〇月✕日
なるせのご飯はとっても美味しい。
残したくて残してるんじゃないの。
食べられなくなっちゃったの。
ごめんなさい。
また食べられるようになったら、たくさん食べさせてほしいな。』
成瀬)… または 、来なかったね 。
『〇月✕日
余命宣告を受けてしまった。
なるせの前で泣かなかった私、偉い。
なるせはボロボロ泣いてたけど。
私のこと大事にしてくれてるのに、置いていっちゃうの、すごく怖い。
ごめんね、好きだよ。』
成瀬)っ、…
『〇月✕日
昨日死にたいって言ったこと、後悔してる。
あなたの悲しい表情が 、ずっと忘れられないから。
生きていられる間は傍に居てね。
私も傍に居るからね。
死んでからも見守ってるよ。
でも、私よりいい人見つけてね。
私にずっと執着してたら怒っちゃうかも。』
成瀬)… そっちが 、執着してる癖に っ、
『〇月✕日
私の付箋とかメモ書き、どうせ捨てられないんでしょ。
捨てないと苦しくなっちゃうのに。
なるせは私のこと大好きだね。
嬉しい。
私も、大好き。
だから、死にたくなくなっちゃった。
生きてたいよ。
ずっとなるせと一緒に居たいのにな 。』
ノートに見受けられる 、涙の跡 。
泣きながら書いてたの ?
生きたい 、とか
死にたくない 、とか 。
言わなかったじゃん 。
言ってよ 、
言って欲しかったよ 、
成瀬)ぅ゙、う …
『〇月✕日 日記 兼 遺書
この日記見つけるなんて、 中々やるじゃん。
遺品整理するの、勇気出したね。
偉いよ。』
成瀬)ぅあ゙ぁぁ …
『あなたのおかげで生きるの楽しかったよ。
ありがとう。
ずっと私に付きっきりにさせちゃってごめんね、 申し訳ないです』
そんなこと 、気にしてないのに 。
『一目惚れだったの。
こんなに笑顔が素敵な人いるんだって、 びっくりしたよ。
私に向けて微笑まれただけでどきってしちゃってさ。
単純だよね、私
でも仕方ないじゃん。
落ちちゃったもんは落ちちゃったもんだから、ね?
そういうことにしてくれると嬉しいな。』
そういうことにしてくれる 、って
分かりきってるくせに 。
『最後の方は、あんまり笑ってくれなかったけど、 それを望んだのは高望みだったんだと思う。
私のせいだったからね。』
違う 、
雫のせいじゃない 。
『とっても悔しい人生でした。
体が弱くなかったら、まだなるせと一緒にいられたのにな。
それだけが人生の後悔だよ。』
… なら 、
『置いていっちゃってごめんね。』
そんなこと思うなら 、
成瀬)おいて 、かないでよ ぉ 、っ …
『私のこと忘れて、なんて言っても、
どうせずっと忘れられないんでしょ。
私にはわかっちゃったよ。
私も、 なるせのこと忘れられないから。』
全部 、
彼女は全部わかってた 。
なのに俺は 。
『死ぬ寸前まで考えることは、きっとあなたのことなんだろうな。
それはそれで幸せかもね。
あなたを最後に見て死ねるのは、とっても幸せだと思う。』
彼女の苦しみ 、何もわかってあげられなかった 。
自分が嫌いだ 。
消えて欲しいくらい 、嫌いだ 。
『ここで約束してください。
この日記を最後まで読めた偉い偉いなるせに、お願い。
1個目 私のこと忘れないで、絶対。
2個目 幸せになって、絶対。
3個目 自分を責めないで、絶対。』
成瀬)!
『言ってること矛盾してるじゃん、って
どうせボロボロ泣いてるんでしょ』
大当たり 。
『建前では私のこと忘れて、他の女の人と幸せに家庭築いて、子供産んで、普通に過ごして欲しいって思ってるの。
でも、そういうこと考える度に涙が止まらなくなっちゃって。
欲張りでごめんね。
でもやっぱり幸せにはなって欲しくて、
乙女心がぐるぐるしてる。
3個目は、なるせは絶対自分のせいでって泣いてると思ったから』
ほとんど 、俺のせいみたいなもんでしょ 。
『めそめそしちゃうなるせはだめだめだね。
なるせは悪くないの。
私も悪くないの。
この病気が悪いんだよ。
なるせは全力尽くしてくれたし、
病気のこと知ってて隣に居てくれたし。
病気のこと知っても隣に居てくれる人少なかったから、すごく嬉しかったよ。
手を握ってくれるだけで勇気が貰えて、
声を掛けてくれるだけで笑顔になれて、
なるせは私にとってのヒーローだよ。』
成瀬)ゃ、さし … すぎんの 、ほんと …
『ばいばい、とか言いたくないから、
またねって言っておくね。
またね、世界で一番好きな人。
死んでも愛してます。
またね、なるせ。』
やっと、読み終えた 。
ノートにたくさん泣いた跡があって 、
俺じゃ頼りなかったのかなって 、
そんなことばっかり考えて 。
… でも 、約束したから 。
自分を責めない 、って 。
らる)みゃぁ 。
俺の頬に付いた涙の跡を 、
ぺろぺろと舐めるらる 。
成瀬)… 優しいな 、らるも 。
少し肩の荷が降りたような 、
そんな気になれた 。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!