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⚠️人間標本パロディ
実際のメンバーの特徴改変あり
人間標本の内容改変、省略あり
《標本制作に至るまでの覚悟》
蝶ほど崇高な生物はいない。
この考えは、画家である父から得たものだろう。その父が世間との絶縁を目的として山奥に家族を連れて移り住んだ頃か。
就学前だった私は、それ以前の暮らしを恋しいと嘆くことはなかった。日ごと白く覆われていく窓の外を眺めながら退屈に思うことはあったが、春が訪れ、その年最初の蝶を目にした時から一変した。
蝶を見る度、手を伸ばし触ろうとする私に、母や先生は「可哀想だからやめなさい」とやんわりと口にした。
私は徐々に蝶への興味が強くなり、母に虫取り網とカゴが欲しいと相談した。
そして買ってもらった採集道具で山の中の蝶を、カゴいっぱいになるまで捕まえた。その時美しかった蝶は、翌朝になれば全部タヒんでいた。
その様子を見た母は、それ以降「生きているうちに外に逃がしてやりなさい」そう言った。
胸の内では反抗しつつも、それ以外の考えが生まれなかったので、1番綺麗な草木の傍へ埋めてやった。
夜露が蝶を美しく蘇らせる。そんな想像をしながら。
タヒんだ蝶を美しく埋め、墓石で囲う私を見て、母は四十数年後の自分の息子の姿を、幼い息子の背中から感じたのだろう。
墓石作りは禁止された。
母から反対ばかりされていた私に助け舟を出してくれたのは父だった。
話すのは夕飯の時だけ。
そんな父が、私が蝶に興味があるのを知っていたのか、
「標本を作ってみないか」そう提案してきた。