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『お姉ちゃんを置いてくなんて出来ないよ!一緒に行こう…!』
ー私は大丈夫。絶対生きてまた会えるから。約束よ。だから早く逃げて。
『本当に?絶対破っちゃだめだよ。』
ーもちろん。じゃあ私からも約束ね。絶対に逃げ切って!指切りげんまん。
『わかった。絶対、だよ。また、また後でね…!』
ーごめん。約束。守れないかもしれない。
ーーどうか、逃げ切って。
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この世界には、能力を持って生まれた人間。
能力者が一定数いる。
能力への恐れからか世間から疎まれ、差別され、虐げられている。
そんな世界じゃ、能力者がいる村が焼き払われることは少なくない。
そんな世界に、私は能力者として生まれてしまった。
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母が朝食を作る音が届き、窓からは太陽の光が差し、鳥の鳴き声が聞こえる。
いつも通りの日常が始まって………
いればどんなに良かっただろう。
私は今、15年間生きていた中で1番最悪な目覚めを経験している。
なぜかって?
悪夢をみたから?
ーいっそ昨夜のことが全て悪夢だったら良かったのに。
朝が弱いから?
ー私は朝は強い方だ。
誰かに無理やり起こされたから?
ーむしろ誰かいるなら今すぐ出てきて欲しいくらい。
私は今、自分が15年間生きてきた村の焼け跡で目覚めた。
聞こえるのは静寂。太陽は雲で隠れて辺りはどんよりとしている。
「私だけ、生き残っちゃった。」
「魔女狩りまがいのことして、人って学ばないんだね。」
涙は昨日のうちに枯らし尽くした。
いっそこの恨みつらみも一緒に燃やし尽くして欲しかった。
私が村の外に出ちゃったからだ。
バレちゃったからだ。
全部私のせいなんだ。
ごめんなさい。
私に生きる価値なんてないんだ。
ならいっそここで、
立ち上がった拍子に焦げた家の柱が倒れドスンと大きな音が鳴る。
『生き残りがいるのか?』
誰かの声がする。さっきの物音で誰かが気付いたんだ。
声の低さから察するに30〜40代くらいの男の声だ。
能力者狩りかもしれない。ならばこのままじっと待ってれば、私のことを殺しにやってきてくれる。
今更抵抗する気力も思いも残っていない。
足音が近づいてくる。
『ここか…!呪われた村に生まれておきながら生き残りやがって。』
そう言って男は剣を振りかざす。
ーーーー早く私を殺して。
頭では、心では確かにそう思っていた。
けど
ーー逃げなければ!!!!!!
体は、本能は違っていた。
『指切りげんまん』
昨夜の記憶が脳裏に浮かぶ。
ーーー逃げないと殺される。
約束を守らないと。
お姉ちゃんとの約束を。
『そこの小娘!!死にたくないなら少し下がれ!』
その瞬間。上から降ってきたのは
「幼女…!?」
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気付けば上から降ってきた幼女の手によって、能力者狩りはどこかへ消えてしまった。
『これで一安心だ!大丈夫か?小娘よ』
なにがあったんだ…。あの能力者狩りは…どこに?
頭の整理が追いつかない。
目の前にいるのはどうみても10歳程度の小さい女の子のはずだ。
だが、何故かこの子には絶対に敵わないという事を肌で感じる。
『あの能力者狩りか?彼奴ならワシの能力で転送したぞ。』
ー転送…?もしかしてこの子も能力者なのだろうか。
『お主も能力者なのだろう?ワシにはわかる。見たところ、さきの能力者狩りに村を焼かれたのだろう。』
……!!
『哀れな小娘よ。ワシにはわかるぞ。』
わかる?
あんなにも惨めな思いが10歳程度の子供にわかるものか。
『すこしは喋ったらどうだ〜?』
「貴方は誰…?」
『はぁ…名前を聞くなら、先に名乗るのが礼儀ではないか?まったく最近の若者は…。』
『まぁいい。ワシはトキワだ。』
若者…?
「私はリルリカ。よくわからないけどさっきはどうも。」
「若者ってどういうこと…?私より年下に見えるけど。」
『ワシは不老不死だ。だからお主よりずっと年上だぞ。』
……???
不老不死…?
『能力がある世界なんだからありあるだろう。そんくらい。』
確かにそうではあるのだが…
あまりにも、非現実的だ。
だが妙な納得感がある。
「なんで助けてくれたの?そもそも貴方は何をしているの?」
『人助けに理由が必要か?まぁ、理由づけが必要なら言ってやろう。ある意味、同情していたのかもな。』
同情?
唇を噛み締める。
「貴方になにがわか」
『ワシも、村を焼かれたことがある。』
…!!
『お主を見ていると、過去の自分を見ているようだ。』
「貴方は……」
『突然だがお主、世界を変えたいと思うか?』
『もし思うなら、ここでワシがお主の恨みは全て燃やし尽くしてやる。』
人物紹介
リルリカ この物語の主人公。
誰かと共闘した時に、その誰かの能力を伸ばすことができる能力をもっています。1人じゃ意味ありませんね。
お姉ちゃんのためにも、もう誰も自分のような惨めな思いをしないように必死に生きている15歳の女の子です。昔は明るい女の子でした。
見た目は、藍色のショートカットで1話時点ではボロ雑巾みたいな服を着ています。
自分が能力者だということは知っていますが、どんな能力かは知る機会がなかったので、知りませんでした。
トキワ ロリババアです。名前の由来は常盤です。そのまんまですね。
能力は何かをどこかへ転送することができます。なんかみんな能力地味ですがいいでしょう。不老不死は能力とはまた違いますが、なんかふんわりと見てください。
見た目は10歳くらいの女の子で和装をしています。髪の毛は渋めのオレンジ色でロングです。
実年齢は、覚えられないくらいですね。
誰か立ち絵を描いてくださる方いたら嬉しいです。