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No.26 パラキス
魔獣類シシナシクンピラ科
体長1.8m〜2m
体重280kg前後
能力値 (野生下での平均値)
『力』300〜(死ぬまで成長するのでこれ以上になる個体も存在するであろうとされる)
『魔力』50〜80
『機動力』150前後
討伐依頼受諾可能最低ランク
F
・カムラ地方にのみ生息。
・薬草集めの際、たまに見かける。
コイツはパラキスという、後肢〝のみ〟を持つ大型のトカゲのような魔物だ。
ニ肢はあるのにシシナシクンピラ科なのはおかしい。と言われそうだが先祖が近い事からそっち側に分類されているのだ。盛大に矛盾しているが間違いではないし、俺のせいでもないから知らん。
パラキスは恵まれた体格をしていながらも、可動域の広い後脚を自転車のペダルのように回転させる事で意外と素早く移動する。また、そうして移動するためか腹部の皮膚は非常に固く、大抵の攻撃は弾き返してしまう。
多くの生物にとって弱点であるはずの腹部への攻撃が効かないとは、なかなかに優秀な魔物である。前腕が無かったのは彼等には寧ろ好都合だったのかもしれない。
しかし、それだけではない。何とパラキスはドラゴン等数少ない魔物しか所有していない『火炎袋』という器官を人間で言う喉頭のあたりに持っているのだ。
これのお陰で魔力を溜め込んで炎へと変換し、火の玉として撃ち出す事が出来る。
とまあ、パラキスはなかなかに有用性のある特徴を持っている魔物なのだが……上記の特徴のメリットを全て打ち消してしまう程に悲惨であり、彼等の生活は過酷である。
今まで褒めちぎっていたのに急に何を言い出すんだ、と思うかもしれないがそうとしか言えないくらい彼等は可哀想なのだ。
これについて説明するには、まず『火炎袋』の存在、そしてそのデメリットをお教えしなければならないだろう。
先祖である竜型の魔物の名残だと言われているこの火炎袋。実はパラキスにとってこの器官は最も不必要なものと言っても過言ではない。
何故なら先程も言った通り『喉頭』のあたりにあるので、移動中に何かの弾みで暴発してしまう事がよくあるのだ。
そして次に強靭な腹部、これも正直に言えば大きなデメリットとなる。カムラ地方との相性が最悪なのだ。
カムラ地方にはマンドラゴラが多く自生しているのは周知の事実だと思われる。
そう、パラキスはその固い腹部のせいでマンドラゴラを掘り起こしてしまうのだ。しかも泡を吹いて仰向けにでもなったら最後、自力で起き上がる事はできない。
ちなみに野生下におけるパラキスの死因の約3割はこの二つだ。つまりパラキスに前腕は必要なのである。絶対に。
そんなパラキスにも、実は輝ける場所がある。
それは魔物使いの飼育下、特に大会……
『一対一での勝負』の時だ。
昔、とある魔物使いがパラキスに『立ち上がる』という離れ業(?)を覚えさせ、試合に挑んだらしい。
するとどうした事だろう。それ以上動けないパラキスは自然と火球を撃ち続ける遠距離攻撃スタイルとなり、それのせいで接近する事のできなかった近距離での戦いを得意とする魔物達は次々と敗れていったのだ。
その中には遠距離攻撃の可能な魔物もいた事にはいたらしいが、下位ランクの魔物が使う中途半端な魔法、(または魔力を溜め込んでの属性攻撃)はパラキスの腹部に全て弾き返されてしまったという。
そうして、その魔物使いはパラキスだけでDランクにまで到達したらしい。
……まあ、パラキスに限らず一見ダメダメな魔物でも、場所さえ変われば真価を発揮する時もあるって事だな。