“頼れる存在”
(アメリカ×日本)リクエスト
最近悩んでいることがある
ため息をつきながら会社へと向かう。玄関に入った目線の先には彼がいた
薄いTシャツの上にジャケットを着ていて、いつもサングラスをかけている
もう誰だかわかるでしょう。
アメリカは日本が居るとこに気がつくと、大きい手のひらをこちらへ向けて挨拶してくる
「よっ!いつもより早いなJapan」
「おはようございますアメリカさん。まぁ…色々あって……」
悩み事のせいか声が暗くなってしまう
そんな様子を見たアメリカは少し顔を顰め、おもむろに口を開く
「また例のあれか?辛いなら俺が力になるぜ」
考えていたことを見透かされてるように、相手から…アメリカから指摘を受けたことにより、日本はぎくりとした
ここで言う”例のあれ”というのは…
「…いいえ。大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます…」
軽く返しながら、困ったことになったと焦る
日本の最近の悩みは……帰り道に後をつけられたり、ポストに自分の写真が届いていたり、帰宅時に家の家具の位置が変わっていたり……
いわゆるストーカー被害だ
最初はすぐ辞めると思っていたものがエスカレートしていき、限界がきた日本はアメリカに相談をしたのだ。
まぁ犯人が分からない限りどうしようもないのだが…
「……ま、話したくなったら言えよ~」
そう言い、ヒラヒラと手を振って会議室へ向かうアメリカ。
正直他人事なんだなぁと思いながら、まぁ根はいい人…なのだろう
靴を履き替え、重い足をなんとか仕事場まで運ぶ
国が働いているこの会社はいつもお馴染みのメンツが集まっている
扉を開けると先に来ていた国達と目が合う
「おはよう日本。今日は早いな」
メガネをくいっとあげながらそう声をかけてくるドイツ
相変わらず真面目で礼儀正しい…
「おはよ~。あれ?なんだか表情暗いよー?」
そう顔を覗き込んでくるフランス
ていうか近い…
「また自己嫌悪にでも陥ってんだろ」
パソコンから目を離さずに言う中国
その言い方には少し刺があるように思える…
「何かあれば相談にのりますよ?」
笑顔でこちらを見ているイギリス
それはさっきも言われた…似てますねやっぱ…
何も変わらないいつものメンバー
いない国達は………多分遅刻か休み。
「おはようございます。別に平気ですよイギリスさん。ありがとうございます」
精一杯の笑みをつくり、丁寧に挨拶をする
自分の席まで来るとまずは机の中をチェックする
引き出しを開けると案の定いつ撮られたのか不明の写真が2枚入っていた
「……また…」
なんだか気分が悪くなる
最近は毎日こうだ
しかし自分は小さい島国。対処をとるために周りに迷惑はかけたくない
写真を手で覆い、そっと隠す
いつになったら………
………いや、これ以上考えるのはよそう
パソコンの電源を入れ、自分に喝を入れて仕事にとりかかる。
作業していれば多少のことは一時的に忘れられた
午後7時
「じゃ、俺帰るから。とっとと切り上げろ」
「はい。お疲れ様でした」
今日は珍しく最後まで残っていた中国がオフィスを出ていく。
その背中を最後までしっかり見送る。
日本は誰もいないことを確認しながら今朝隠した写真を出した
笑顔で笑っているところを物陰から撮ったであろう1枚。
仕事終わりに歩いているところを後ろから撮ったであろう1枚。
2つの写真を見ながらため息をつく。
一体…誰なんですか…
最近は視線や気配も、もっと身近に感じるようになったし、仕事の同僚さえ疑うようになってしまった。
こんな自分が嫌だ。
現実から逃げたい。
誰も助けてくれない。迷惑をかけたくない。
辛い。
目頭に熱いものを感じる。
気づいたら泣いていた
泣いたのなんて、久しぶりすぎて自分でも動揺してしまう
俯いたその時、扉の開いた音に驚き振り返った
「!?」
どうして…
「だから相談しろって言っただろ?Japan」
「あ、あめり…かさん…」
そこに居たのはアメリカだった。
いつもならとっくに帰っているはずだ
なぜ会社にまだ残っているのか不思議で、彼の顔を日本はじっと見つめてしまう
「最近のお前見てて気になったんだよな~」
そんな日本のことを他所にずかずかとオフィスへ入り、近づいてくる
「なんで必ず最後に帰るようにしてんのか…理由はこれか~?」
「あ」
写真を取り上げられる。プライバシーがないのかこの男は…
チラっと日本を見たアメリカは肩を掴んできた
顔を上げるとあまり見ない真剣な顔に身体が強ばる
「あのな日本。お前はもっと”俺”を頼れ。自分を大切にしろよ。そんなんじゃ他の奴らにも愛想つかせれんぞ。」
「っ…!」
ご最もだ。
しかし、そんな言葉を受け入れようとすると、我慢してきたものが溢れてきてしまう
「わ…わかってますよ!そのくらい!!…だけど…………!っ…離してくださいよ、!」
反射で言い返しながら体格のいいアメリカの腕を掴んで退けようとする
無駄な足掻きだとわかっているけど
一方のアメリカは表情1つ変えず、そんな日本を見つめている
年下の前で泣くなんて、情けなくてたまらない
止まらない涙がオフィスの床に落ちるのを見ていると急に握っていた腕が背中に回った
暖かい体温が伝わってくる
自分の身に起きていることを把握するのに数十秒かかった
「………」
何も言われなくても慰めてくれているのがわかった
数日後。被害は続いているが、前ほど苦しくはなかった。毎回慰めてくれる人がいるから…
「Good morning!Japan!」
今、1番頼りになる存在。
「おはようございます。アメリカさん」
笑顔で挨拶をする。
そう、慰め……日本の首にはあの日から噛み跡や赤い小さな跡が増えた。
コメント
4件
あ、え?待って好きすぎる フォロー失礼します
やべぇ…妄想が止まらんウェッヒヘッヘヘッヘッヘ