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ポツポツと音を立てて振る雨が憂鬱を誘った。窓辺に薄っすらと影が浮かび上がる。窓越しに振る雨を見て苛立ちを覚えたのか、クロコダイルは舌打ちをした。窓辺から離れれば、ソファーに重い腰を下ろし葉巻の味を噛み締めている。溜息混じりに紫煙を吐き出し、寛いでいると忙しい足音が耳に入った。今日は誰も招いていない…泥棒か?と危険を察知すると足音が此方へやって来る。足音の主が来るだろうと身構えていると、勢い良く扉が開いた。
🦩「フッフッ!遊びに来てやったぜ。ワニ野郎。」
足音の正体はドフラミンゴだった。愉快げに口角を上げ、🦩「寂しかっただろ?」と嘲笑を含めた様な声でクロコダイルへ問う。
🐊「…帰れ。身構えた俺がバカだった。」
厄介な野郎が来やがった…と心底嫌そうに顔を顰め短くなった葉巻を灰皿に置き、新しくシガーカッターで灰皿の先端を切り落としマッチで火を灯した。ドフラミンゴはクロコダイルのあまりの不機嫌さに違和感を持ち、ふと窓の外に目をやると天気が雨だと言う事に気付き余計な戯言を零す。
🦩「オイオイ…何時にも増して冷てェなァ…。歓迎の言葉の1つ位は寄越してくれても良いんじゃねェか?……成程、フッフッフ!今日は雨だったか。…道理で気分が悪い訳だ。」
不機嫌なクロコダイルを誂う様にして言葉を投げて遊ぶドフラミンゴ。堪忍袋の尾が切れたのかクロコダイルは🐊「…俺の言った事が聞こえなかったか?帰れっつってんだよ。クソ鳥。」とドフラミンゴを睨みつけこれでもかと葉巻に歯を食い込ませた。
🦩「…なんだ、今日は随分と釣れねェなァ。折角遊びに来てやったってのによォ。」
クロコダイルに叱りを受けて尚、ドフラミンゴは帰る素振りを全くとして見せない。それどころかクロコダイルへと歩み寄り、右手でクロコダイルの頬をさらりと撫でた。
🐊「釣られてたまるか。誘ってもいねェのに来る方が悪いだろう。」
しぶと過ぎやしねェか…と痺れを切らし溜息を付いた。ドフラミンゴがクロコダイルの頬をさらり撫でれば🐊「気安く触んじゃねェよ。」と直ぐ様手を振り払いドフラミンゴを睨んだ。
🦩「…流石にここまでされちゃあオレも黙ってられねェ…。言う事を聞けねェ奴は…ちゃんと躾けてやらなきゃなァ?」
クロコダイルの対応に満足行かなかったのか、ドフラミンゴは額に血管を浮かべ覇気で右手を武装色に纏わせればクロコダイルの首を片手で締める様にしてクロコダイルの首へ押し付けた。🦩「フッフッ…言う事を聞かねェてめェが悪いんだぜ?ワニ野郎。」と不敵な笑みを浮かべ嘲笑した。
🐊「あ゙…?何…を?!あ゙ッ、が…はッ…くそ…ッ、は…ッ…な…せ…ッ」
苦しそうに武装色で纏われた手を必死に鉤爪で引っ掻き足掻いた。だが勝てる筈も無く、呼吸が浅くなっていく。その様子を見て楽しそうに🦩「フフフ…苦しいか?オレのモノになるって約束すんなら離してやっても良いぜ。」とクロコダイルの首を更にきつく締めた。
🐊「…ッ……かはッ、だ…れが…てめェ…なんかッ…の…ッ…」
首を絞められても尚ドフラミンゴにモノにはなろうとしないクロコダイル。その言葉を聞きドフラミンゴは苛立ちを覚えた。🦩「そんなに死にてェか。…だが、オマエがこうなってる時点でオマエはオレのモノだ。…なァ、ワニ野郎。ヤッても良いよなァ?」とクロコダイルの耳元でドフラミンゴが囁いた。クロコダイルはその言葉に背筋が凍りつき最後の力を振り絞り抵抗した。その時だった。勢い良く部屋の扉が開いた。そこに立っていたのはミホークだった。意外な人物の登場に驚きを隠せず思わずドフラミンゴはクロコダイルの首から手を離した。🦩「…何故てめェがここに?鷹の目。」と警戒心を高めミホークへ聞いた。クロコダイルは薄っすらと薄れ行く意識の中自分の視界の中にミホークを捉え、そのまま意識を失った。
🍷「何故?此処に来るのに理由が要るのか?」
ドフラミンゴの質問に不思議そうに声色を変え質問で返した。直ぐに意識を失ったクロコダイルの元へ行こうとすると、ドフラミンゴが🦩「…いいや?要らねぇな。…おっと、其奴は意識を失ってるだけだ。死んじゃいねぇよ。フッフッフ!」とミホークへ言葉を並べた。それを聞きミホークは眉を顰め、🍷「あぁ、そんな事は分かりきっている。此奴を運ぶだけだ。…それとも、貴様が先程言っていた”おれの者”を殺す気か?」とミホークは立腹気味にドフラミンゴへ質問を投げかけた。
🦩「あァ…?オレのモノだァ…?其奴はオレのだぜ。鷹の目。…大人しく此処を去れ。そうすりゃあオマエに特注のワインを送ってやる。どうだ?悪くねェ話だろ?」
クロコダイルを取られる事を悟ったのかミホークへと物々交換を持ちかけるドフラミンゴ。だがその要求には応えず淡々とした表情で🍷「それは無理な相談だな。特注のワイン?ふむ…それは一度お目にかかりたい。…だが、今回は断らせて貰おう。」とワインの話を切り捨てた。するとドフラミンゴに🍷「もう良いか?」と話の終わりを要求した。ドフラミンゴは🦩「…フッフッ…隙があり過ぎだぜ、鷹の目。」と攻撃する素振りを見せ攻撃をしにかかった。だが、その攻撃はいとも簡単にかわされてしまった。
🍷「…戦う相手は選べ。」
ドフラミンゴが悔しそうにミホークを見た。だが、ミホークが黒刀を抜こうとすると直ぐ様撤退してしまった。ミホークは溜息を付き、クロコダイルを担いで部屋まで戻った。
🐊「…ぁ…?ここは…」
クロコダイルが目を覚ました。まだ何が起きたのか分かっていない様だ。そんなクロコダイルを見てミホークは🍷「お前の部屋だ。」と状況を説明した。するとクロコダイルが不思議そうにミホークへ問いかけた。
🐊「…何故俺を助けた。」
クロコダイルの表情は曇っていた。窓の外は今も雨が降り続けている。そんな中、ミホークは口角を上げクロコダイルへ言った。
🍷「お前をあんな奴には渡すまい。」
END