テラーノベル
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「お、またみんな同じクラスじゃん!よろしくな!」
「同じクラスだからってイチャつくなよ」
「いちゃつかねーよ!!お前こそ………」
チリーン……
「ん?俺が何だよ」
「……いや、なんでもねぇ」
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「痛い………渚、あれ貸して………」
「あれ?」
「何だっけ……アフタージェル?」
「アフターローションのこと?また日焼け止めをちゃんと塗らなかったの?」
カバンからボトルを取り出す。
「大体去年も……」
言いかけて、とまる。
チリーン……
「……ん?どうしたの?」
「………なんでもない!ほら、ちゃんと塗りなよ!」
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机に向かい勉強をしている紅葉。
ふと顔を上げ、窓の外の満月を見る。
チリーン……
「……?」
机の上に置かれている
文化祭に4人で撮った写真に視線を落とす。
「…………」
しばらくその写真を眺めた後、
「……こんな写真だったっけ……?」
そう呟き、もう一度だけ月を見上げる。
――何も分からないまま、
再びペンを走らせた。
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「……気をつけて行きなさい」
「ん、お参りだけしたらすぐ帰るよ」
そう言って身支度をする雪斗
「まだ雪降ってるし、寒いから。ちゃんと暖かくして行くのよ?」
「ありがとう、行ってくる」
玄関の扉を開け、粉雪が舞う外へ足を踏み出す雪斗。
ゆっくりと扉が閉まる。
「わざわざ雪の中初詣に行かなくてもいいだろうに……」
「暖かいお雑煮でも作って待っていましょ」
そう言って台所に向かう母親と、その様子を覗き込む父親。
「……なぁ……母さん」
「なぁに?」
「………量……多くない?」
くすりと笑う母親
「いいのよ♪」
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肌を突き刺す冷気。
「う〜…さむ…」
首元に風が当たらないよう、上着のチャックを1番上まであげ、両手をポケットに入れたまま歩き出す雪斗。
(………なんか毎年1人で初詣に行ってるような…)
(……一昨年は……陽向にすっぽかされて……)
(……去年は……なんで1人だったんだっけ……?)
曖昧な記憶。
(今年は……みんな受験勉強で忙しいし、仕方ないか)
そんなことを考えながら
雪道を歩き、1人神社へ向かう。
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神社に近づき、本殿までの長い階段の前で息をつく。
足が張っている。
慣れない雪道で、思った以上に体力を消耗していることに気付いた雪斗。
(……この状態で、この階段を登るのはちょっとしんどいな……)
その場にしゃがみ込み、ゆっくりと息を整える。
スマホを取り出す。
自分の寝顔が映った画面が表示される。
2022/12/31 23:53
時間を確認し、スマホをポケットにしまう。
その時…………
「………どうかされましたか?」
背後から………
女性の声………
「……!」
慌てて振り向く。
目の前には…..
全く知らない同年代くらいの女性が立っていた。
「あの……具合悪いとか?救急車呼びましょうか?」
「…………」
一瞬誰かの顔と重なった気がした。
でもそれが、すぐに気のせいだと分かった。
「…大丈夫です……少し休んでいただけなので」
遠くから女の人を呼ぶ声。
そっちの方をチラッと見た女性は
「確かに、雪の上歩くの疲れますよね。それでは」
軽くお辞儀をし、足早に友達の方へと去っていった。
再びスマホの時計を見る。
2022/12/31 23:56
気付けば、雪も止んでいた。
(行くか……)
ザッザッ
一歩一歩
ザッザッ
階段を登る雪斗
(……ここには来たくなかったんだけどな……)
理由はわからない。
でも……
前回の初詣以来……
何となくこの神社を避けていた。
それでも……
足が
心が
自然と雪斗をここに運んでいた
階段を登るごとに
雪斗の鼓動が速くなる
階段を登っているせいだけではない
何か別の理由があるのか……
必死に階段を登る。
階段を登り終えた直後。
雲の隙間から月が少しだけ顔を覗かせた。
「……2・1・0!」
「あけましておめでとー!」
「今年もよろしくねー」
周りが騒がしくなる。
膝に手をつき、息を整える雪斗。
その時……
チリーン……
ありふれた鈴の音。
だけど……
………どこかでよく聞いた鈴の音。
「…………年が明けたみたいですね」
鈴の音が聴こえた方向から
声が聴こえた。
整えたはずの心臓が再び跳ね上がる。
自然と視線が上がる。
胸が締め付けられる。
「……………」
「明けまして………おめでとう………ございま…………」
横を流れる髪の毛先が白く……
オレンジ色の髪。
赤いマフラーをしている……
知らないはずの少女。
声が少しずつ小さくなっていく。
「……お、おめでとう……ございます」
反射的に言葉を返す雪斗。
そんな雪斗の反応を見て……
少女の顔がより一層……
辛そうな顔に変わっていくのがわかった。
それでも……
無理やり笑顔を作って話し始める彼女……
「……す、すみません………!人違いだったみたいです……」
涙が頬を伝っている。
「……あの……大丈夫ですか……?」
「……ごめんなさい………私の………大切な人に………よく似ていたのでっ……」
月明かりが境内の周りを照らし始める。
「…………」
ポケットの中で、雪斗のスマホが微かに光る。
眠っている雪斗に……
頭をくっつけて一緒に眠る少女が映り込んだ。
一度だけ大きく息を吸い込む少女。
「………あ、そういえば知っていますか………?」
少女の足元から……
徐々に月の光が登ってくる。
雪斗の首がふと暖かくなる。
少女が……
涙がこれ以上こぼれないように、
月を見上げ――
それでも笑いながら……
「……今年は、卯年なんですよ……」
彼女の顔が照らし出され、頬を伝う涙に光の線が走った。
「……こ、はる……?」
口が勝手に動いていた。
無意識に……
「こはる」という言葉が、口から溢れる。
……なぜ、そんな言葉を知っているのか。
しかし、それと同時に………
少しずつ――
記憶が流れ込んでくる。
「………え………なんで………?」
もう、2度と呼ばれるはずがない…
自分の名前を呼ばれ、目を大きく見開く少女。
それと同時に我慢をしていた大粒の涙が溢れていた。
「………ゆき…くん……どうして……?私の………………」
記憶の処理が追いつかない。
混乱している雪斗。
でも……
今度は違う……
はっきりと……
自分の意思で……
目の前の少女の名前を呼んだ……
「こはる……」
聞き間違えじゃない……
はっきりと……
大好きな人に名前を呼ばれたことで、感情を抑えきれず、顔をぐしゃぐしゃにし、それでも笑顔で、雪斗に駆け寄るこはる。
「雪斗くん……!!」
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青い星を眺める銀髪の少女
『巡り巡る魂の循環……』
『卯年に産まれ……また巡って、卯年……』
『……奇跡の一つくらい、起こったとしても………』
『何の問題もなかろう……』
くすりと笑う。
そして、さらに視線を上へ……
『……これで、少しは届いたかの』
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抱きつくこはる。
「……おかえり……こはる」
抱きしめる手に力が入る。
「……はい……ただいま………」
年が明け、賑わう境内。
鐘の音は、もう鳴っていない。
代わりに――
チリーン……
鈴の音が1つ
小さく鳴り響いていた⸻
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