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自創作BLキャラの「ブルー・ストロベリー」の過去回想メイン、誕生日小説です!
〜ブルースター〜
もうほとんどの人が起き始める時間帯。
今日は俺の誕生日だ。今まで誕生日なんてそんな意識したことなどなかったが、恥ずかしながら、まるで子供のようにわくわくしながら薬を飲んで眠りについた。
〜〜
???
「少年〜!な〜に私の研究室で居眠りしてんの〜?起きて〜!」
ブルー
「ん”…ん…?」
???
「ほら早く〜!研究の論文書かなきゃいけないんだから〜」
ブルー
「師…匠…?」
レモン・ラソス
「も〜!だからその「師匠」って呼ぶのやめてよ〜」
「私には「ラソス」っていう素敵な名前があるんだから、「ラソスさん」って呼んでよ〜」
ブルー(21歳)
「…嫌です…」
ラソス
「え〜?ブルーちゃんのケチー!」
師匠は大げさに肩を下ろして口をへの字に曲げる
ブルー
「「ちゃん」呼びするのやめてください…あと「少年」呼びも。俺はもう「少年」なんていう年じゃないですし…」
ラソス
「ほら〜!少年もされたら嫌な呼び方あるでしょ?私も一緒!だから師匠呼びはやめて!」
ブルーは嫌そ〜うな目つきでラソスを見つめると、そそくさとデスクの上に散らばっている資料を片づけ始めた
ラソス
「無視するな〜!あ!もしかして〜、反抗期再来?」
にやにやと楽しそうにラソスはブルーを見つめる
ブルー
「師匠…俺もう21歳ですよ…?」
俺はため息をつきながらまた師匠の方を向いた
ラソス
「冗談だよ〜…でも、少年は何歳になっても私にとっては「少年」だよ」
ブルー
「なんですかそれ…」
ラソス
「ふふ〜♪少年にもいずれ分かるようになるさ〜♪」
師匠はいつもはおちゃらけているのに、このときはどこか、「あの時」のように頼りになる大人な雰囲気を醸し出していた
まるで歌を歌うかのように話しているのに。
不思議なものだ
ラソス
「にしても少年もあの時に比べて成長したよね〜。身長もこんなに伸びて…今では私より高いし…」
「あの時」のことは何年も経った今でも忘れられない。いや、忘れることなんかできない
〜〜
暗い空には雲一つなく、キラキラと輝く星々が我一番と自己主張をしている静かな夜。
俺はコンビニのバイトが終わったあと、家から少し離れた道路の隅で実験道具を広げて研究シートとにらめっこをしていた。
ジャリジャリと安物のサンダルが砂利道を歩いてくる音が近づいてくる。
ラソス
「あれ〜?少年。こんな夜遅くに道端で一人、何してんの?」
ブルー(中学卒業後15歳)
「…は…?誰だよお前…」
その人は急に話しかけてきたと思ったら俺の研究シートを堂々と覗き込んできた
そしてそばに置いておいた薬品を並べ替え始めた
ブルー
「なっ、なにするんだよ!?」
ラソス
「いいからいいから〜ほら、できた。この並び変えた順番通りに薬品混ぜてみ?」
ブルー
「は…?なんで…」
ラソス
「混ぜないなら私が混ぜちゃうよ?」
ブルー
「ッ…混ぜる…」
俺は並び変えられた通りに薬品をなけなしの金で買った攪拌棒を使って混ぜ始めた。攪拌棒とビーカーが当たって、カラカラと心地の良い音が静かな夜の空気を震わせる。
※攪拌棒(かくはんぼう)…薬品を混ぜるときに使うガラス製の棒
ラソス
「その攪拌棒古いね〜…ほら、こことか欠けちゃってる。今度新しいのを買ってあげるよ!」
その人はまるでこれからも俺と関わるつもりかのような口調で話す
まったく、変な人だ
ブルー
(うるさい…)
そのとたん、赤色の薬品が飲み込まれるように青色に変化した
それはまるで宇宙が広がっていくようだった
思わず見惚れていると、その変な人は自慢気に口を開いた
ラソス
「少年、これが見たかったんでしょ? コバルトとチオシアン酸カリウムを混ぜる実験。」
あぁ、そうだ。俺はこれが見たかった。
赤い液体が青い液体に美しく変化する姿は、まるで赤いいちごから突然変異して生まれた青いいちごの俺のことを認めてくれているように感じた
ラソス
「青いいちごみたいな深い青色で綺麗だね〜!」
ブルー
「ッッ…!?」
しまった。人気の少ない真夜中だからといって、青いいちごであるということがバレないようにするための香水をつけるのを忘れていた。
ラソス
「そんなに身構えなくても大丈夫だよ〜」
「っていうか、少年、見る限り中学生っぽいよね?あ、時期的に卒業したころか!その年でこの実験を一人でやろうとするなんて、やるじゃん少年〜!」
その変な人は俺のことが友達と言わんばかりの勢いで肩をつつく
ラソス
「あ!そういえば名乗ってなかったね!私は「レモン・ラソス」!少年は?」
変な人はゲリラ豪雨のようにペラペラと喋る
ブルー
「……ブルー…ブルー・ストロベリー…」
ラソス
「「ブルー」!!シンプルでいい名前だね〜!」
ラソス
「ん〜そうだ!少年、私の弟子にならない?あとついでに一緒に住んでくれない?最近一人暮らしを始めたんだけど、やっぱり「おかえりなさい」を言ってくれる人が居ないと寂しくてさ〜」
ブルー
「…なんで名前教えたのに「少年」って呼ぶんだよ…?」
ラソス
「ん~~なんとなく?「少年」のほうがしっくりくるからさ〜」
この人はいったいなにを言っているんだ。
苦戦していた実験を勝手に手伝ってくるし、
名前を教えたのに「少年」って呼んでくるし、
俺が青いいちごだって知っても…差別…してこないし…
ラソス
「ってことで!一緒に私の家、行く?」
こんな変な人について行くわけがない。知らない人について行くのは危ないことくらい、中学ではほぼ科学しか勉強してこなかった俺でも流石にわかる
でも、俺は気がつくと変な人が差し出した手をとっていた
それからは俺は師匠に「おかえりなさい」を言う担当として一緒の家に住み始めた。
と同時に、もう二度と、暴力を振るう父と引きこもりの兄、家に帰ってこない母がいる家に戻ることはなかった。
〜〜
師匠の家はあまり人がいない林の浅いところにぽつんと建っていて、シラカバで作られた清潔感のある家は外から見ると、とてもおちゃらけた研究者が住んでいるだなんて予想できない綺麗さだ。
家の中も白基調の清潔感のある雰囲気は変わらず、短い階段を登って家に入ると、マーマレードをたっぷり塗ったパンでも出てきそうな謎のわくわく感がある
でも、研究室だけは、床が薄汚れていたり、壁に薬品が飛び散った跡などが残っていて、ほかの部屋とは一変変わっていた
ラソス
「っていうか今日少年誕生日だよね〜!フルーツサンド作ってあげるよ!」
ブルー(21歳)
「…やっぱりケーキじゃないんですね」
ラソス
「だって、ケーキって甘すぎるんだもん〜。それに、少年、私が作る特製フルーツサンド、好きでしょ?」
ブルー
「まぁ…好きですけど…」
ラソス
「じゃあ決まりね!って…あちゃ〜、隠し味の牛乳がきれてる〜…ちょっと買ってくるね!」
“隠し味”なのにはたして俺に言ってもいいのだろうか、と毎回思う。
ラソス
「それじゃ、いってきます!」
ブルー
「……」
なぜだろう、今、師匠を外に出してはいけない気がする。
ラソス
「少年?」
ブルー
「…あ、なんでもないです」
でもそう思う理由が見当たらなかったので、
この考えは無視した。
ラソス
「そう?じゃあ、改めて、いってきます!」
ブルー
「いってらっしゃい」
その後、俺はもう二度と、師匠に「おかえりなさい」を言うことはなかった。
居眠り運転の車に轢かれたと、後から聞いた。
〜〜
ブルー
「はッッ…!?」
勢いよく体を起こすと、目の前には少し薄汚れた壁と電気を消した見慣れた光景が広がっている。口は少し乾いていて、まぶたが不自然に重い。どうやら俺は夢を見ていたようだ。
ブルー(28歳)
「はぁ…またこの夢…」
どうせ、師匠はもう帰ってこないのに
よろよろと窓まで歩いて恐る恐るカーテンを開けると、もう夕方だった。完全に昼夜逆転である。
ピンポーン
そんな考えを頭に巡らせていると、
快調なインターホンの音が鳴った。
相手はわかっている
慣れた手つきで扉を開けると、満面の笑みをしたレッドが立っていた
レッド(28歳)
「ブル〜〜!!誕生日おめでとう!!」
レッドは子供のように抱きついてくる
当の誕生日である本人よりも何倍もはしゃいでいる
ブルー(28歳)
「ありがとう」
レッド
「いっ〜ぱいプレゼント用意したからね!!」
俺は今になってハッと気づく。
レッドの後ろに大量の箱があることを
ブルー
「レッドッ…おま…プレゼント買いすぎだろ…」
いったいいくら使ったのかは…怖いから聞かないでおく
レッド
「ブルーが誕生日なの、嬉しくてついつい買いすぎちゃった〜!」
レッドは大げさにリアクションをとる。
まるで師匠のように
レッド
「ブルーも28歳で僕と一時的に同い年かぁ〜✨️」
大量の箱を家に入れ、「失礼するね」と言いながらレッドはソファーに腰をかける
ブルー
「同い年でいられるのは1週間だけだけどな」
レッド
「それでも嬉しいの〜!」
その時、俺はレッドの手に一つの包みがあるのを見つけた。ほかのプレゼントはすべてテーブルに置いているのに。
ブルー
「レッド…その包みは…?」
レッド
「あっ、こ、これは…えっとねっ…」
急に口調がたどたどしくなって目をそらすレッド
レッド
「えっと…僕が作ったサンドイッチなんだけど…うまく作れたか不安で…」
レッドはそう言ってかすかに震える手で包みを渡してくる
その手にはいくつもの絆創膏が貼ってあった
ブルー
「これ…」
俺は思わず目を見開いた
その包みを開くと、ところどころ不自然に切り込みが入っているパンに、はみ出るほど量は多くないのになぜかはみ出ているいちごを挟んだフルーツサンドが不器用にラップに包まれて入っていた
レッド
「どうしても僕の手作りのものを渡したくて…でも、僕、料理苦手でしょ?だから何回も作り直して…味見したけど、やっぱり不安で…」
ブルー
「……」
〜〜
ラソス
「私の家はもうちょっと先で〜」
とたんに、ぐぅぅ…と音が鳴る
そういえば、今日は何も食べていなかった
ラソス
「…ふっ…あははは!w 少年、お腹空いてるのか〜!」
ブルー(中学卒業後15歳)
「あッ、こ、これは違うっ…」
ラソス
「いいんだよ正直でよろしい!!ほら、私の夜食のいちごのフルーツサンド分けてあげるから!」
そう言って片手にぶら下げていた袋から二切れのフルーツサンドを取り出して、その一切れを渡してくる
俺は最初は警戒したが、師匠の自信ありげな表情を見て、恐る恐る手を伸ばした
ブルー
「ッ…!美味しい…」
ラソス
「でしょ〜?なんてったって私の手づくり、特製フルーツサンドなんだから!」
ありふれるほどの笑顔だった
〜〜
ブルー(28歳)
「……」
俺はゆっくりとフルーツサンドを口に入れる。
パンは切り方ががさつだが、ふわふわしている
中にはすべて違う形に切られたいちごが入っていて、生クリームと合わさるとほんのりジューシーな甘さを発揮する。
ブルー
「ッッ……美味しい…すごく…美味しい…」
今まで溜め込んでいた分の気持ちが大粒の涙となって目から流れ落ちる。せっかくのフルーツサンドがしょっぱくなるかと思ったが、甘くなった
レッド
「え!?そ、そんな泣くほど美味しい!?無理して食べてない!?」
レッドが珍しく慌てている
ブルー
「無理なんかッ…してないっ…ただ…」
レッド
「ただ…?」
ブルー
「やっぱり…レッドのこと…好きだなぁって…」
レッド
「えっ!?きゅ、急にどうしたの!?」
ブルー
「いや…なんでもないッ…レッド…ありがとな」
レッド
「ッ…!…ううん、当然だよ!僕も、ブルーのこと大好き…!」
ブルーの家の外の小さな花壇に植えてある、 ブルースターの花は咲き乱れていた