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モノローグ 颪柴三元ver.
僕は人を喜ばせるのが好きだ。よく幼稚園とかで僕が風船で何かを作ったりして幼稚園児にあげたり、とにかく人の為になる事をし続けた。
けれど、それも長くは続かなかった。その地道な事をすることが、イジメの始まりになったからなんだ。僕は他の人から渾名を沢山付けられたり、挙句の果てには先生さえ僕を揶揄って来たんだ。僕の取り柄はその人のためにすることだけだったから、これをやめてしまえば何も取り柄が無い人になってしまう。それだけは避けたかった。
でも、もうどうでもいいとさえ思ってしまった。ガッコウなんかより、家に引き篭っていれば、勉強も進むし、人の為になると思った。でも予想、いや、理想と現実は違くて、実際始めたら無気力になって、鉛筆を持つ気力さえなく、ずっと布団に寝ていて、1歩も動けなかった。
この時初めて感じた。自分がどれだけ思いものを背負っていたのかを。身体を起こす事も出来ないほど重く、震えが止まらず、涙まで出た。思い出した。その時初めて泣いたんだよ。だから不思議で、拭って食べてみたりもした。涙は感情によって味が違うって言うけど、実際どうなのかな。その時の涙は有り得ないほどしょっぱかった。でもそれは今の自分にとって塩分の一つだったのかもしれない。少し震えが止まったからだ。
ある時、誰かが自分の隣に水を置いてくれた。重い身体を起こそうとしたが、上がらない。感謝を伝える事も出来ないそうだ。するとその誰かは覗き込んできた。
ちょっと怖かった。だって人じゃなかったから。
続けてその丸っこいものは言った。「げんき?」と。僕は少しだけ口を開いて、「元気だよ」って時間を掛けて言った。すると「つらそうだよ」って聞こえた。そしてまた震えが出てきた。するとその丸っこいものは言った。「ここさむいね。ゴマたちのあたたかいばしょにいこう」と。ゴマたち?なんだそれと思ったが、今はそれに従うしかないと思った。このままだと埃を被りながら死んでしまうかもしれないから。その丸っこいものの手を取ると、身体がフワッと軽くなった気がしたんだ。嘘じゃないよ。
今、俺はその丸っこい…いや、ゴマたんの国、皆京郷でボランティアをしている。ねこという住民がいっぱいいて、よく世間話を交わしたりしている。
こうして今、俺は人の為になる事を続ける事が出来た。少々待てば、望みも叶うものなのかもしれないな。
あの頃を忘れないように、日記に書いている。
辞めてはいけないことを初めて学んだ日だった。