🍀𓂃𝑜𝑝𝑒𝑛𓂃🍀
いらっしゃいませー
当店に お越しくださりありがとうとございま す。
初めましての方も足を運んでくださりありがとうございます。
それでは当店の注意事項をご確認下さい
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この物語はフィクションです
ペアIV×Ⅰ(桃赤)
(白絡みあり微黒白 )
Ⅰ「」IV『』
マフィア要素を含みます
苦手な方・地雷な方は自衛をお願いします
また「nmmn」という言葉を知らない方は
閲覧をご遠慮ください
知識 説明不足の所も多々有ります
拙い物語ですが最後まで見てくださると嬉しいです
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以上になります。
それでは行ってらっしゃいませ
赤side「ターゲット」
ターゲットを始末する。
ボスにそう命令された時には喜んでと頷いた。
命令を遂行したらボスが喜んでくれる。
その為なら俺は何だってする。
「…ターゲットは、ここに居るはずだけど」
メモに記された住所に向かうと1つの建物に辿り着いた。
薄暗く掃除が行き届いておらず汚い建物に
入るのを躊躇った。
─ボスも何考えてんだか…
本来なら暗殺は、俺には与えられない任務だ。
任されるのは銃に自信があるアンダーボス
・ソルジャーが任される事が多い。
→アンダーボス
(ボスの右腕、No.2。 ヤクザでいう所の若頭)
→ソルジャー(構成員)
「ターゲットの顔だけ見て帰るか」
ターゲットの顔写真は確かポケットに入れてる筈だ。
ポケットに手を突っ込む中を探る…が、
─無い…
「落としたか…」
何処で落としたかも大事だけれど拾われないことの方が重要だ。
─ターゲットに拾われたらまずいな。
『お兄さん…写真落としましたよ?』
「……」
写真を手渡したのは、桃色の髪に桃色の瞳。服装はオーダーメイドで作られたシャツスーツに黒のネクタイ。
桃色のネイルに血色のいい真紅の唇。
『うちの組織になにか御用ですか?』
柔らかい話し声は、女性だと彷彿とさせる。
─ターゲット。
「いえ、特にこれといった用は無いです
写真拾って下さりありがとうございます」
冷静を装ってターゲットに頭を下げ 、礼を伝えた。
頭上からカチッとグリップを握り、銃を構える音が聞こえた。
─お見通しか。
「っっ……」
『最近抗争が少ないなぁって不思議に思ってたんだけど、まさか暗殺企んでたなんて驚いたなぁ…で、君は何処のソルジャー?』
コツコツと額に銃を突き付けられる。
素直に話さないとトリガーを引いて額を撃ち抜かれて殺される。
─けど標準をずらせば対処出来る。
「……」
『黙りか…組織の事話したら命は助けてあげたのに〜』
「…命なんてとうの昔に捨てましたよ」
『…そっか』
引き金が引かれここまでかと吐息を漏らす。
が、ターゲットは申し訳ない表情で声を漏らす。
『あ、…』
「間抜け……な先輩」
『っ!、っ…った…』
ナイフで喉元を切り付け、突きつけられていた銃を蹴り飛ばす。
「…っ…噂通りその銃、弾入れてないんですね」
『…殺傷とか苦手なんだもん。抗争とかも馬鹿らしいし。』
「そういう考えだから俺みたいな後輩に命狙われるんですよ」
蹲るターゲットに今度は外さないように ナイフを握り締める
『…負けました』
「…負けを認められましても、殺すのが俺の仕事なんです」
ナイフを握り喉元を切り裂こうとした時、
携帯端末に着信を告げる音が鳴り響いた。
画面を確認すると、ボスからの着信が入った。
「…もしもしボス?嗚呼、はい、今ターゲットと接触しています。そろそろ始末出来ますけど…あ“、?はいはい… 」
『……?』
「失礼します… 」
通話を終え携帯端末を鞄にしまいターゲットに向き直った。
「…要件が変わりました。」
『?』
首を傾げるターゲットに、うちのボスの通話内容を簡単に教える。
「両方の組織が抗争が収まるまで協力する事になったので、今日から相棒だそうです」
『…それだったら君の任務遂行出来なくない?』
ターゲットは呑気に俺の任務のことを気にかける。
─自分が殺されそうになったのに呑気な奴
「抗争中は 貴方のお守りするので出来ませんね」
『お守り…って、俺…君に守られる程弱くないもん…』
「はっ…wどの口が言ってるんですか、 あんた組織の中で最弱だって噂されてますよ 」
実際やってみて弱いと思った。銃に弾を込めて無いマフィアとしての自覚の無さ。
マフィアなのに殺傷を嫌う考え方。
─全然マフィアに向いてない。
「最弱でも俺が傍に居る限り死なせませんので安心して背中預けて下さいね」
─向いてはいないけど守りがいはあるなんて 思う時点で俺もマフィアには向いてないのかな。
『君も…』
「はい?」
『君も俺が傍に居る限りは死なないでね…』
「あんたと違って俺は死にません」
恥ずかしい台詞を、自分でも吐いたつもりだが相手の方が上手だ。
─敵対マフィアを心配するなんて変な奴
『内藤ないこ、…』
「は、っ?」
『名前!!俺は内藤ないこっていいます。』
名前を教えられて首を傾げた。
ターゲット自ら名前を暗殺者に教えるなんて 正気の沙汰じゃない。
─名前を知れるのは、好都合か。
名乗られたなら自分も名乗るのが礼儀なのだが…本名を教えるのには、抵抗があった。
「…りうら」
『…!』
名前を教えただけで嬉しそうに口角を上げる。
─単純……
「名前…好きに呼んで」
『少しの間だけどよろしくね』
嬉しそうに握手を交わす。
交わした後、手持ちの銃をリボルバーにしまい、俺の手を引く。
「触らないでください」
『りうら、触られるの苦手な人?』
「…触られ慣れてないだけです。」
今まで関わったことの無いタイプ。
どう扱ったら良いか分からず言葉に詰まる。
─調子狂う…
ただの暗殺者とターゲットを相棒にするなんてボスは何を考えてるのか分からない。
─でも俺のすることは決まってる。
ターゲットを暗殺することだけを考えればいい。
『可愛い暗殺者さんだね〜』
「あんたが勝手に思ってるだけで、 俺は可愛くありませんよ」
距離を空けて歩こうにも彼は、平然と隣を歩く。
『組織に用事なら俺が案内するからおいで』
「敵対マフィアに組織の中見せて…いいの?」
『見られて困る所は無いからそんなに警戒しないで 』
「手の内を見せる奴にはロクな奴が居ない。」
反抗的な態度をとっても気にしない様子で
所属する組織の中を彼に案内されながら
中に入った。
桃side『相棒』
組織の長い廊下を紹介しつつ彼とコミュニケーションを取ろうと口を開く。
『りうらは、ボスに命令されたら何でもするの?』
「…何でもするよ。俺はボスの手足…命が尽きても代わりなんて幾らでも居る存在。 」
『ソルジャーって皆そんな考え方なの、、?俺には理解出来ないなぁ』
「あんたの立場は知らないけど…ソルジャーは組織の捨て駒だよ。」
─っふふ……敬語じゃない話し方可愛い。
口は悪いけれど彼は組織やボスを大切に思っているのは伝わる。
─自分の命を軽んじているのは悲しいな。
『りうらの代わりは居ないよ…若いのにしっかりしてて偉いね 』
『いい子』と彼を褒め何度も頭を撫でる。
小刻みに震える彼を安心させる為に、背中を撫でる。
「ッ、っ…やだ、っっ……ごめ、んなさ、い……ごめん…なさ…」
嫌がられはしたが、拒絶する彼の表情は暗く何度も謝罪する。
力を入れたら壊れてしまいそうな程 、泣き崩れる華奢な体。
「もっといい子になりますから…捨てないでください、!!拒絶してごめんなさい……ごめんなさいごめん…っ、…く、なさい… 」
『…おいで』
もっと優しい言葉をかけれたら良かった。
けど、取り乱す彼に無責任な“大丈夫“を口にしたくなかった。
─俺には権利が無いから。
相棒でも触れて欲しくない 過去やトラウマが ある。
─りうらが話せる状態になれたらりうらの口から聞きたい。
今は俺に出来る事をしよう。
近くのソファーに座らせキッチンから水と落ち着いた時用にクッキーを持って隣に腰掛けた。
『りうら、お水持って来たらから一旦お水飲もっか』
「…っ、ごめんなさい…っ、っごめんなさい 」
『りうらは悪い事してないよ…傍に居るからお水飲もう 』
「っ、…っ、…っは、ーは…」
ティッシュで唾液を拭い、水を飲めない彼の為に、 手を濡らし口の前に差し出した。
『舐めていいよ…』
「っっ……」
『…りうら、怒らないから舐めていいよ?汗も沢山かいてるから舐めて… 』
─飲まない…
どうしようか濡らした手を拭くべきか頭を抱えた。
「…んっ、…っ、…ふ…んっ、ん…」
『っ、…ゆっくりでいいよ…落ち着いたらペットボトルから飲もうね 』
擽ったさはあったが猫に舐められていると思えば嫌悪感は無かった。
「…すみません」
『全然気にしてないから、汗拭けそうかな』
「ご迷惑おかけしました…ボスに報告することあるので戻ります」
『こんな時間に報告?もう暗いから明日でも…』
「…相棒命令なら従いますよ」
─からかってる様子も無いし…本音で話してるんだろうな。
帰って欲しくないなら命令するけど…
りうらの立場上帰らないといけない。
業務報告等は当日中に済ませておくべき。
─怖がる原因は分からないけど…もしボスが関わってるなら帰したら駄目だ。
『寂しいから傍に居て…欲しいな…』
大人になっても人に甘えるのは申し訳なさと羞恥心が込み上げる。
「傍に居るだけでいいの、…?お世話しなくても迷惑じゃない…?」
『お世話される程、だらしない性格じゃないよ…むしろ俺がお世話したいくらいだもん』
「お世話…してくれるの、…??」
『したいからさせて欲しいな…』
すりっと頬擦りをする眠た気な彼に視線を向ける。
『朝まで一緒に居て…』
「朝までは…無理かも…早朝は武器の手入れしないとだから…ごめんなさ…」
『相棒より武器の手入れが大事??』
束縛するのも不慣れでどうしたら相手を引き止められるか分からない。
『相棒なら…傍に居て…俺の事だけ考えて』
「っ…一緒に居る時は、あんたのことだけ考えるから…手離して…」
無意識に掴んでいた手を離し、恥ずかしくて思わず彼から距離を取った。
「…傍に居るけど何したらいい…入浴のお世話しようか、?」
『お世話しなくていいから…先お風呂入って来て!』
風呂場の場所を教えお風呂に入るように背中を押した。 素直にお風呂に入った後に 、彼が着るための衣服をタンスから取り出し手渡した。
「…っ寒、い…」
『りうらちゃんと拭かないと寒いよ… 』
「拭き方分からなくて…」
『……今から拭くからじっとしててね』
髪からぽたぽたと水滴を落とす彼の髪をタオルで優しく拭いた。
「…ふわふわしてる」
『りうらの髪もふわふわしてるよ…特別なお手入れしてるの?』
癖っ毛じゃない髪に触れるのは、初めてで髪を拭くのが凄く楽しい。
「洗って、乾かしてるだけだよ…あんたの髪はぼっさぼさだけど乾かしてるないでしょ」
『乾かしてはいるんだけど…起きてたら跳ねるんだよね』
「あんたの髪の毛洗おうか?」
髪を拭き終えドライヤーで髪を乾かす前に
彼は髪を洗おうかと提案する。
『…っ、明日も早いから先に寝てて』
「待ってるから…一緒に寝てくれる、?」
上目遣いで服の裾を掴みこちらを見上げる。
寂しいのか服の裾を離さず強く服を引っ張る。
─可愛い…
『…俺はソファーで寝るからりうらはベッドで寝てね。』
「やだ、っ…一緒に寝る…っっ!」
衣服を取り出しお風呂場に向かおうとすると後ろからとてとてと彼がついてきた。
『…』
「脱がないの、?」
当たり前のように脱衣所までついて来て 平然とした様子で見つめる。
『りうらが出て行ったら脱ぎます…』
「やだ…俺が目離したら逃げるでしょ…?
あんたに逃げられたら殺せないから困る」
─逃げないのに…
ターゲットだから目に掛けているだけ。
彼の目的は俺を殺すこと。
今は組織同士が同盟を築いているけれど、
彼にとってはこんなに近くに居るのに殺せないことに腹が立っているだろう。
「邪魔なら出てく…」
『…っ、邪魔じゃないから髪洗って貰っていい…?』
涙目に負け彼を連れバスチェアに座った。
「お風呂の時はタオル要らないでしょ 」
『ぇ、…それはその…』
口篭り視線を彼から外す。
─見られて恥ずかしいとは、言えない。
同性なのに恥ずかしいって感情を抱くのが 可笑しいんじゃないかなって。
「耳真っ赤…だけど恥ずかしい?? 」
『……別に』
「あんたマフィアの癖に嘘吐くんだな… 」
呆れた溜息を吐き、俺の表情を覗き込もうと 体を前のめりに近づけてくる。
『っ…ち、か…い…!!』
「…?顔もっと見たいから近付いただけ 」
『俺の顔見ても面白くないと思います…』
「面白いよ…?あんたの表情ころころ変わるから…」
距離を縮めて表情を覗き込むのも上手らしく 何度顔を逸らしても目が合ってしまう。
『顔見なくていいから髪洗って…!!』
「変なの…シャンプー同じの使っていい?
髪質は悪くないからちゃんと乾かせば(癖毛)治るかな」
『本当??』
「俺は嘘吐かないよ…」
からかいつつも髪を洗う仕草は優しく髪を洗われるのが心地良い。
『っ…ん…』
「流すから目瞑ってね…」
『はぁーい…』
心地良い時間もあっという間で髪を洗い終え、シャワーで流す。
「タオル退けよっか…聞いてる?睡眠時間も確保しないとだから洗うよ」
『…っ…うん…っ…』
眠たい瞳で彼を映すがぼんやりとしていて
顔色が伺えない。
「……寝てる…殺される自覚とかないのかな…」
「(…無防備で隙もあるのに、どうして…)」
「…余計なこと考えずに体洗わないと…」
赤side 「離れられない(物理)」
「んっ、……朝…」
カーテン越しに照らし付ける太陽の光で目を覚ます。
時計を見ると朝の6時。朝食を作る時間は余裕にある。
「っと、…!?」
体を起き上がらせようとすると抱きつかれているのか体がやけに重い。
『…っっ…むっ…ぅ、』
「…」
隣を見ると涎を垂らすターゲット。
起こすのは申し訳ないが、布団を揺らし目を覚ますのを数分待った後、目を覚ました。
『…ん、…っ??朝ぁ?って…え、…俺昨日…っっ…』
「おはよう…昨日はよく眠れた?朝ご飯作りたいから離れて貰えると助かるんだけど…」
『…もう少し寝れるから一緒に寝よう』
「痛、いから離れろって…!」
振り払おうにもターゲットは嬉しそうに指を絡める。
「あんたの朝食の準備するから…離…せって…」
『俺のお世話してくれるの…嬉しいけどー
朝ご飯は俺が作るのー』
─何なんだよ…
触られるのは恥ずかしがる癖に、自分から触れるのは余裕そうでムカつく。
「っ…っ、あんたなんか…」
『っふふ…顔真っ赤…この部屋暑かった?』
─直ぐ殺せるのに可愛いって感情を抱くな。
必要最低限の接触しかしたらいけないのに。
「…あんたがくっついてるからだろ、!
体固定すんな…」
『背後の方が起きた時気まづくなくていいかなって思ったの』
「気まづくないから…離れろって… 」
抱き着く腕を離そうにも力が強く物理的に彼から離れられない。
『っ……ふぅ、っ』
「…ゃ、…っ…」
耳元に吹きかかる吐息にくすぐったくて声がもれた。
「…っ…していいことと悪いことがあ…る…」
『眠たいなら寝ていいよ、おやすみ』
目元を覆われ視界が暗くなり徐々に瞼が重くなる。
「…ね、な…っ、っ…」
『寝ていいよ…起きる時間になったら起こすからね』
「…っ… 」
─寝るのなんていつぶりなんだろ…
体を彼に預けたまま眠気に耐えれず意識を失った。
『可愛い暗殺者さんだよね… 』
桃side『ご馳走様でした』
『りうらもうお昼だよー』
「…っ、…?」
目を覚ました彼は寝起きらしくまだ眠た気に 枕に顔を埋めた。
─あぅ…可愛い顔見れなくなっちゃった…
「寝顔見んな…っ…身支度したら行くから廊下で待ってて」
『出てく前に一言言うけど…昨日はご馳走様でしたー』
「はっ、?」
頭の上で?マークを浮かべる彼に表情を見せず首筋に手を当てた。
『いやー昨日のりうら可愛いかったよー?
何度も泣くから唆られt』
「…っっ」
『朝からこわーい…危ないから下ろそうね』
怒った表情でナイフを突き付ける彼の手に触れナイフを下ろさせた。
「…絶対殺す」
『っふふ…怒った顔も可愛いねー 俺強気な子はタイプd』
話終える前に接近する彼を落ち着かせようとするも手を振り払われてしまった。
「あんたの好みは聞いてない…抗争が終わったら殺す」
『あー怖い怖い…まだ死にたくないから殺されたら困るなー?』
俺としてはまだ死ねない。
それまでこの可愛い暗殺者さんとの距離を縮めないといけない。
─この組織に俺が居ないと困るからね。
「……お腹空いた」
『良かったら身支度手伝おっか、?』
「要らないけど…コンシーラーあるなら貸してほしい」
『別に隠さなくても昨日のことはn』
「殺されたくなかったらさっさと貸して」
─やだこの子。直ぐナイフ突き付けるんですけど。 最近の子って頭に血が上るのが早いのかな。
『ちゃんとおねだり出来たら貸してあげるよ』
「ならいい…あんたに頼んだ俺が馬鹿だった」
すたすたと先を歩く彼。
─やだーツンデレなんだからーそんな堂々としてる所も可愛い。
『はいはい、からかってごめんねーっ、あた、… 』
「………ありがとう」
『どーいたしまして』
─あぁー可愛い!!
え、赤くなってお礼言う の可愛いすぎる…課金したi
「あんたって頭の中まで気持ち悪いんだね」
『えーそうかなぁ、?』
─…人の心読める子いるんですけど…平然装いながら内心焦りまくりだよ。
素直じゃない所も愛おしいけど自分で納得した後、頬が徐々に熱を帯びる。
『………』
「どーかした?」
『やっ、…なんでもない』
顔を覗き込む心配なのに体は勝手に後退る。
傷付いた彼の表情を見逃さなかった。
「距離詰めすぎてごめん…怒ってる、? 」
『……っ…』
潤んだ瞳でこちらを見つめる彼を見ると胸が苦しいくらい早く脈打つ。
─嗚呼…こんなの我慢出来ない…
本当は彼に優しくしたいのに俺は彼が嫌がることしか出来ない。
「…っ、!?…っ…ん、…んんぁ、っ……っ…」
『ごめん…』
「っ…離せって、!」
『今はりうらに構う余裕無いの…ごめんね』
彼を抱き上げ腕を掴んだまま覆い被さった。
「……っ、…」
『急に大人しくなって…怖い、?』
「汚いからやめた方がいい…」
『…昨夜も見たけどりうらの体は綺麗だy』
「っ、…あんたの手料理食べなかったのに…」
泣き顔で食べたかったと言われ頬がじわじわと緩む。
─守りたいな。
『冗談…真に受けて可愛いねー』
「あ“、っ…??」
『あーよちよち怒った顔も可愛いから落ち着こうねー』
「……ご飯…食べたいから抱っこ」
『はぅ、っ……!?』
自分が可愛いことを知っていないと出来ない行動を彼は首を傾げながら平然とする。
その行動に母性が擽られる。
『お兄ちゃんが抱っこするね〜…軽、い…』
「っ、そっちの抱っこじゃない… 」
『嗚呼……対面嫌だったねー』
赤ん坊と同じ抱き上げ方は満足しなかったらしく怒り気味に睨まれる。
『いただきます…』
「っ、…、…」
おろおろと手を彷徨わせる彼を見て首を傾げる。
『食べないの?食べれない物あったら残していいよ』
「…よしって言われるまで待てしないと怒られる…から」
─犬じゃないんだから…待てとかよしって言われても困る
『あーん…』
「…っ??」
『よし…食べていいよ』
「っん、…美味しい、っ…」
形だけの餌付けをするのに嫌悪感はあるけれど彼の為ならしたいって…思った。
『次も食べよっか、あーん』
「…んっ…美味しいっっ…」
─うん、可愛い。
食事1つとっても育った環境や彼の家の教育方針が良く分かった。
「ご馳走様…でした…」
『お粗末様デシタ…』
食べさせ終わる頃には、癒しの供給過多に口から血を零す。
「食器洗ってくるからゆっくりしてて…」
『……割らないでね…』
「あんたじゃないから割りませんー」
素っ気ないけどちゃんと可愛い。
照れた仕草 泣き顔の破壊力の強さを短い日数だが沢山知れた。
赤side「嘘?本当?」
「…」
彼の隣で職務を行う中、横目で彼を眺める。
『どうかした??』
「あほズラ眺めてだけ…あんたって真顔でもあほっぽいよね…」
『りうらは可愛い顔してて可愛i 』
お腹を殴り言葉を遮ってもなんて事のない顔で書類に目を通す。
『(…怒った顔可愛いなぁ〜可愛いお顔見れるなら殴られるのも本望…かな)』
「……へらへらしてる」
『睨んでるお顔も可愛い』
─可愛い可愛いって言い過ぎ…でしょ。
睨んでも笑っても彼は嬉しそうに接してくる。
「んー!終わり…」
必要な書類に判を押し、椅子から立ち上がりその場で背伸びをする。
『お疲れ様…紅茶かコーヒーどっちがいい? 』
「紅茶飲んでみたい…」
『分かった…待っててね』
頭の上に手を乗せられ何度か撫でられたのが 初めてて首を傾げた。
「…?」
『よしよし…いい子いい子』
「っ……っ」
振り払うと怒られるかもしれないと思うと素直に頭を撫でられた。
『(珍しい)』
「書類の片付け…してくるね…」
『俺が片付けるからゆっくりしてて…それより帰らなくて大丈夫なの?』
「…」
─えっと今の時間は… 11時…
「……帰らないと」
彼の書類の整理をしたり彼と過ごす時間が
心地良いと思って長居してしまった。
『もうすぐお昼だけど、ご飯用意してていーい?』
「いい…あっちで食べてくる」
『えー寂しい…』
「直ぐ戻るから寂しがらないで…欲しい」
─何言ってるんだろ…
ターゲットに笑って欲しいと抱くなんて可笑しい。
「いい子だからね…」
『っへへ…嬉しい』
彼がしてくれたように背の高い彼の頭を撫でた。
─感情なんて要らない…ターゲットには心を許して貰えたらいい。
「行ってくる…」
『ぎゅっしてからでいい…? 』
「…勝手にして」
抱擁する彼の体温が暖かくてほっとする。
「っ、ん…」
彼に抱きつき返し、頬を擦り付けた。
この体温を手放したくなくて顔を埋めた。
『…っ…りうら…??どうかしたの、?』
「…っ、なんでもない」
名残惜しいが彼から離れ、鞄を肩に掛ける。
桃side 『心配だから…』
「…ただいま戻りました。すみません…
今から武器の手入れと お飲み物も後で持って来ますね… 」
『俺も手伝っていい?』
「…付けてたの」
俯き気味に話す彼の声音は一緒に居る時より
低く無機質な声。
「紹介し忘れましたが、ターゲットの内藤ないこさんです…」
『うわー本人居るのに言うんだ…』
「事実、ターゲットだから嘘は吐いてないもん」
颯爽と武器庫に向かう彼を見送り、彼のボスに銃を突き付けた。
『俺が最弱じゃないことはあの子には内緒ですよ』
ターゲットだから傍に居る彼を繋ぎ止める為に、要らない人は消さないといけない。
─アンダーボスって肩書きも負け無しなのも
全部…好きじゃない。
『嗚呼…?弾無しの銃は、カモフラージュの為に持ってるだけですよ』
『…んー共闘も好きじゃないですし…あの子への扱いが酷いのも好きじゃないです。
あの子は、俺の大切な人なんですよ』
あの子に聞こえないように銃の引き金に指を添える。
「ボス…の武器…整理します、…か…っ…」
目の前の光景に驚いて目を見開く彼を見て
可愛いなと実感する。
─どうして戻ってきちゃうかな…好きな子には汚いものなんて見せたくないのに。
『汚いから向こう行ってな』
「嫌、…だ、ボス…ボスっ!!」
─こいつの何処がいいんだか…
ソルジャーの教育も虐待に近く飼育しているという言葉がしっくりくる。
『りうら…の顔に血付いたら…嫌だから お外出てね。ね、?いい子だからお外行って』
青ざめる彼の頬に触れ早く出ていけと耳元で囁いた。
─従順だから外に出て。
「う、ん…っ…分かった…」
納得して頷くよりも恐怖に怯えながら頷く彼が本当に可愛い。
『従順だねーここで見たことは全部忘れよっかー』
目元から零れる涙を掬い、頬を袖で拭う。
「…っっ……」
足音を鳴らさないように、走り去る彼を見て
心から安堵した。
『早く片付けてあの子追いかけないと…嗚呼、“大丈夫“ですよ。痛みは少なくしてあげますから… 』
─やっぱり甘い声より、低い声の方が話しやすいな。
「ひっ…く…っっ…ぅ、ぅ……」
零れる涙を手で何度も拭い嗚咽を漏らす。
苦しくて何も出来ない無気力な自分に絶望した。
「ぅぅ……」
『…まだ泣いてるの…あんな奴のために泣くなんて勿体ないよ 』
さっきまで銃を掴んでいた指で俺の目元に
ハンカチを当てる。
「何の用……俺のことも消す気になった…?」
『消さないよ…?ひ弱な俺には、 りうらの首を絞めるのも難しい…』
試しに首筋を軽く締めてみた。
か細い首筋を締めるのには罪悪感があるが
首を絞める力を強めた。
「あ“っ……っっ“…ん“、ぅ“…っ……や、め“…」
『意外と人の首を絞めるのって難しいんだよ?』
「っ…っっ…ん…っ、はぁ、ーはぁー」
荒い呼吸をする彼の隣に腰掛け、背中を撫でた。
『急に絞められて怖かったよね…』
「慣れてるからいい…相棒でも立場も違う…から…好きにして…」
諦めたような声に怯えた目で恐る恐る手に触れる。
「あんたのこと、もっと知りたい… 」
『何が知りたい、?答えられる範囲なら 答えるよ』
握り返す手を絡め恋人繋ぎにすると彼は驚いていたが拒絶はしなかった。
「あんたの好きなこととか色々知りたい… 」
『俺が好きなのはりうらだけだよー他に好きなことも興味あることもないよ… 』
その後も彼の質問に答え、時々泣きじゃくる彼の背を撫でる。
「あんたは、俺のことどう思ってる?」
『…え、っ……??』
思いがけない質問に答えられず黙り込む。
─どう答えたら怒らないかな……
可愛いと答えたら腹を殴られる。グーパンだよ…グーパン。
赤side「認めたくないけど……」
趣味嗜好も普段していることや誕生日を教えて貰えた。
最後は自分のことをどう思っているかと尋ねた。
─どうせ可愛いって言うに決まってる。
そう思っていたのに彼は黙り込んでしまった。
「答えにくい質問だった??答えられないならあんたの話もっと聞かせて」
こてんと首を傾け、彼に微笑んだ。
自分でも驚くくらい彼に心を開いてしまっている。
─ずっとボスの愛玩物だって
言われて愛されていたのに。
『最初は、可愛い暗殺者さんだなって思ってたよ…何しても可愛くて色んな表情を見たいって思って沢山意地悪しちゃった…』
からかっていた自覚も暗殺者だってことも
忘れずに覚えていた。
─自覚してないと思ってたんだけど、根は真面目なのかな。
『あの時りうらのことは抱いてないけど…泣いてたのは事実…寝言でずっと“やめて“って泣いてたんだよ』
「悪夢はずっと見るからそんなの誰も気にしないよ…組織もボスも気に止めず飼育してた…」
飼える愛玩物なら 心が壊れても体が動くなら利用される。
殺せと言われればターゲットは始末しないといけない。
そうしないと生きれないから。
痛い思いをするのも気持ち悪い思いもするのも嫌で 組織に絶対服従するしかなかった。
『途中から可愛いって思うよりりうらのことは守りたい対象になって…気持ち悪いって引かれるかもしれないけど… 』
握ってる手が震えている。
どんなことを言うのか気になって、繋ぐ手をぎゅっと握る。
『す、きだなって…実感して、凄く意識した…』
恥ずかしそうに顔を隠す彼。
─別に引いたりしないのに…
『急にこんなこと言ってごめんね……ちゃんと諦めるから 』
─ちゃんと諦めるって何、? 自分の気持ちを押し殺して別の誰かを好きになるって言うの。
気持ちを押し殺すのは自分と似ている。
でも…彼に関わってから少し変わった。
「あんたの1番は俺だけにして…欲しい…」
『合わせなくていいよ 』
「合わせてない…」
彼になら体を許したっていい。
そう思うくらい彼に惚れてしまった。
「あんたが好き…」
『……っ、本当??』
勇気を出して言ったことも信じて貰えないことにショックを受けた。
「認めたくないけど……本当」
『…っ、っ…』
「泣かなくてもいいじゃん…」
─血の涙も無いマフィアかと思ったけど泣くって思うとほっとする。
『嬉し泣きだからいいの』
「ハンカチ使う??」
泣いている時どう接したらいいか分からず戸惑うことしか出来ない。
『落ちついたら話すから少し待ってて…』
「ゆっくりでいいから…あんたの気持ち全部教えてよ」
『ないこ復活ですっ!!』
「おかえり、?」
涙を拭き終えた彼は元気に声を張り上げた。
『で、話というかお願いなんだけど…名前で呼んで欲しい』
「…あんたに名前ってあったっけ、?」
『えー俺達両思いですよねー???恋人の名前は覚えてy』
「ないこさんでしたっけ、?」
『そう…で、す…ぅ、ぅ…可愛い…』
抱きつく彼に抱きつき返すと肩がピクリと跳ねる。
─抱きつき返すの嫌だったかな、?
『そんなの何処で覚えたの……?すっごく嬉しいんですけど…』
「自分で覚えて…」
『なら良かったー他の人に教わってたらその人殺すつもりだったから。』
─物騒なこと言うなぁ……
「恥ずかしいから…離して…」
『…ちょ、っとま、…ってグーパンはやだやっ、たぁ……』
「離れないからでしょ。ここに長居するつもりもありませんから…ないこさん逃げよう」
手を握り隠し持っていたナイフを手に取る。
ターゲットに使う予定のナイフがまさか組織を潰すために使うとは…思わなかった。
─腕落ちてないといいけど…
『そのナイフ懐かしいねー初めて会った時に突きつけられたなぁ…』
「あの時は、殺すつもり…だったからこうなるって分かるわけない… 」
にこやかに銃を握る彼の笑顔は心強い。
─腕は確かだけど…足引っ張ったりしないかなぁ。
『任せるよ、相棒…??』
「足引っ張んないでよ…」
背中合わせにお互いの手を握り、武器を振るう。血飛沫を浴びても悲鳴が聞こえても
可哀想という感情は抱かなかった。
─ないこさんが居るからすぐ片付けられる。
桃side『悪戯』
『…っ、、お疲れ様』
「ないこさんもお疲れ様…殆ど片付けさせてごめん…」
肩を落とす彼の背を撫で、全然そんな事ないよと言葉を返す。
「血洗い流さないと…汚いよね…何処かホテルあったかなぁ…… 」
『行くとしても血拭わないと怪しまれる。
マフィアが経営してるホテルとかなら… 行けるけど…』
行く宛てもなくブラブラと彼の手を引き
人通りの少ない道を歩く。
「知り合いが経営してる所行ってみる?
マフィアなのは知ってるからそのままでも…っ…わ、!急に何…?」
『充電ー 』
借りて来た猫のように大人しい彼を他の人に見せないように抱きしめた。
「少しだけね…その間に連絡するね」
『……』
「もしもし……」
【はいはい、?こんな深夜にどうしたん?】
「仕事今終わったんだけど、今日泊めて欲しいんだけど…部屋空いてるかな?」
【空いとるけど、血塗れで来んとぃてぇよ…血腥い匂い嗅ぎたない 】
仲良さ気に話している彼に少しでもいいから構ってと指を絡めた。
「後でね…血はある程度拭いてから来るから今からそっち行くね…」
【はいはい、可愛い相棒に頼まれるなら
いつでも待っとるよ…何人で来るん、?】
「ふた…っ、…」
話す彼の口を塞ぎ相手に声が聞こえないように唇をすぐ離す。
『黙ったらお友達心配しちゃうよー?話さないと…ね??』
「分かってるから、大人しくしてて…ごめんね、野良猫触ってたら寝そうになってた」
髪を撫でようと手を伸ばすと嫌そうに避けられてしまった。
【ほんま猫好きやなぁ、?…でも会話はちゃんとしようや。】
「っ、ん…すこーし待っててねー 」
首筋にキスをした後、猫なで声で話す彼の声を聞き、嫌な予感がした。
『あの…りうらさん…暴力は何も解決しn 』
「一旦黙ろっか… 」
『すみm』
「…お待たせ。仕事場の上司と行くよ」
【凄い音しとったけど…虫でも居ったん?】
「うん。…冷蔵庫の奥から出て来るのは反則だと思ってる」
【ゴキブリ苦手なんは変わっとらへんねんな…】
「初兎ちゃんみたいにりうらは食べようとしないので…じゃあね」
【…っふふ…ゆっくり来ぃや。】
電話を終えた彼は不貞腐れた表情で振り返ってきた。
『構…』
「あ “?さっさと行くよ。時間は有限!」
血を軽く拭い目的地に駆け足で向かった。
赤side「構ってよ」
【…!りうらおかえり〜ぎゅっ!!】
『っ、!?』
─驚く馬鹿の頭を抑え、後ろに居るように手を引いた。
「初兎ちゃ、ん…暑い…今汗かいてるから離れて 」
【おぉ、…汗くっさ…で、後ろの童貞ピンク誰?上司やっけ?】
『誰が童t』
「多分童貞のないこさん…俺よりも身分は高いと思うよー」
頭を抑え込んでも黙らないなら首を絞めて意識を失わせるか判断に迷う。
『アンダーボスやらせてもらってますー それt』
「要らないこと言わなくていいから部屋行こー初兎ちゃんまたね」
【…ふぅ、こっちは仕事やのに呑気やなぁ…よく自分の組織壊せたな?】
冷たく見つめる親友の堕落した紫色の瞳。
─これが普通の反応って分かってる。
「あ、のね…」
【でも良かった…】
事情を説明する前に親友は屈託のない笑顔を向け抱き締めた。
「??初兎ちゃん?」
抱きしめられた理由が分からず戸惑いの声をもらす。
【りうらが幸せそうで安心した…表情豊かなん見るの久しぶりやもん…おかえり】
犯してしまった罪を否定しても幸せそうで
良かったと涙を零しながら話す親友。
「……ただいま。初兎ちゃん」
冷え症な手に触れる。
もういいからねと言い、手を離す。
【りうらのこと守ったって… 】
『言われなくても守りますよ。それと絶対幸せにします。』
【なんやそれwしますじゃなくて絶対幸せにしろ 】
彼の首元を掴み 、怒声を上げる。
掴むのに飽きたのか首元から手を離す。
【防音と防壁の部屋やから安心して過ごしぃや。】
「やらしいことはしないから…ね、?」
【っははw分かっとんよ…ゆっくり休みぃよ】
頭を撫でる手はぎこちなかったが、暖かく心地良く感じる。
「ないこさん、お部屋ここだから荷物貸して」
『俺が持つからりうらはこっち持って』
荷物を手に取りもう片方の手で腰を抱き寄せる。
「ないこさん…そういうのは部屋の中でしてください…」
『っ、荷物置いたら構ってねー』
「お風呂入るので後で構いますねー」
雑にあしらい入浴の用意を取り出した。
─甘えられても素直に返せない。
「ただいま…ないこさんお風呂上がったよ」
『放置されて寂しかったからぎゅーして』
「ないこさん次お風呂入って……お風呂上がったら構うから 」
構って上げたいのは山々だが、血濡れた手で
彼に触れるのには抵抗がある。
『ケチ…』
「ケチじゃないー」
『ただいま。』
「…お、おかえりなさい」
風呂上がりの彼を見て慌てて目を逸らす。
髪から滴る水滴が 色っぽい。
『髪拭いて貰っていい??自分で拭くの面倒で…』
「……自分で拭いてください」
拭こうとする手も意識しているのが恥ずかしくて伸ばそうとする手を引っ込めた。
『りうらさんもしかしてだけど意識してくれてる?そうだったらめっちゃ唆るんですけど…』
からかう時 のさん呼びも敬語にも怒りたいのに顔を見れなくて目を逸らし続けた。
「……」
『図星だった?』
隣から調子に乗っている声と腰に触れる手。
─人が黙ってたらすぐ調子に乗る。
『りうらさんこっち見…』
「…っ」
『 あ、の……嬉しいけど…顔真っ赤すぎない、?』
「ないこさんが構って」
頬が赤いのも声が震えているのも分かっている。
─押し倒した経験も無いから正解とかも分からないもん。
桃side 『オタクじゃないからね?』
【りうら居る…?居ったら話したいことあるから開けて欲しいんやけど…】
扉をノックする音と落ちついた低音の声。
返事を待っているのか扉を開ける気配がない所に好感を持った。
『お友達話あるみたいだから下りよっか? 』
「…ん、初兎ちゃん…なぁにぃ、?」
【掃除終わったから報告と夕飯呼びに来たんよ…今日はあの人が手伝ってくれてなー?】
「初兎ちゃんお料理出来たっけ、?」
【あの人に教えて貰いながら作ったんよ……
味は大丈夫やと思う。】
仲良く話す2人を見守っていると嫌そうにだが手招きをされた。
【あんた居らんかったらりうらが寂しがるから夕飯一緒に食べようや】
『りうらと同じ空気吸っていいんですk』
【りうら悪いことは言わへんからこんなオタクと居るん辞めぇや】
『はいー?誰がオタクですかー?俺はりうらの恋人ですよー?』
【そういう発言がオタクやねん…りうらホンマにこいつでええの?】
─心配なのは分かっているけれど、 俺オタクじゃないから!?
「ないこさんがいいの…りうらはないこさんがすき…だから…」
『…りうら可愛い…すぎん、?よしっ、結婚しよう』
【ほらーオタクやん…可愛いりうら任せるん怖くなってきたわ】
『全国のオタクに謝ってくださいー』
【はいはいーごめんなさいー】
『俺のはオタクの解像度低めだから優しい目で見てくださいー』
毎回指を絡めると顔を赤く染める彼が愛おしい。
─中々素直になれないツンデレな所もふくっと膨らんだ頬も推せるよねー?
【…で、2人はどこまで進んだん、?】
「初兎ちゃんそれ食事中に話すことじゃないよ…」
【だって気になるんやもんーまぁ、奥手そうな童貞ピンクやし手繋ぐまでは進んだんかな。】
『キス止まりですけど、りうらさんから押し倒されはしましたよーね?りうらさん 』
「…っっ…知らない」
─照れちゃった
【これ以上は聞かんとこかな… ご馳走様。 】
「初兎ちゃんもっ、幸せそうで良かった…」
【昔よりは幸せ…なんかな?僕の場合は片思いでええんよ】
─そんなものなのかな。
両思いよりの方が良さそうだけれど……
付き合ったら冷める人もいるから片思いがいいって人の意見も分かる。
『独占したいとか思いません、?』
【独占して相手困らせたくないんよ…あの人の場合は、漢前すぎて…勝てる自信が無いんよ】
「筋肉だし鈍いから告白しても通じないもんね。」
【そう。付き合うんは難しいんよな… 】
同性から告白されたら嫌悪感を示す人は、居る。
俺みたいに告白をして付き合うのは 宝くじが当たるよりも難しい。
【飲み仲間やから毎日会えるんは、嬉しいんやけど…笑い上戸やから…その、…見とって……好きやなぁって実感しとる…】
「ないこさん、恋してる初兎ちゃん可愛いね」
『可愛いけど、…りうらの方がかわ…』
「言わなくていい!!」
【(可愛い)】
─こうやって過ごす日が来るなんて思っていなかったな。
マフィアである以上恋愛は難しいと思ってた。
組織のアンダーボスが暗殺者に惚れ込んで居ると知ったら組織はガッカリするだろう。
『りうらに出会えて俺は幸せ』
「……そう。」
素っ気ない返事だけど、愛おしい恋人とこれからも殺しの仕事を続けていく。
血飛沫を浴び、血濡れた手で恋人に触れる。
『触らs』
『……っ、痛いー殴らなくても良いでしょー?』
「うっさい…親友の前で言う人は居ない…
2人の時なら許容出来るけど……」
【うちの子に手出したら殺すで、?グーパンするでグーパン 】
『やだ、この子達…すぐグーパンしようとする。』
拳を握る2人を堂々と宥めるが、容赦なく拳が腹に当たる。
『……酷、い…もうお婿にいけなぃぃぃぃ!!』
【「五月蝿い」】
冷笑を浮かべる2人を眺め腹を抑える。
「初兎ちゃん向こう行こーあの人にも挨拶したい。 」
【…酒飲むからそんなに話せへんけど、ホンマにそいつほってく、? 】
心配する気がないのに上から冷ややかで呆れた声が降ってくる。
「連れて行ってもお酒飲まなそうだし…放ってo」
『初兎の好きな人と酔ったりうらも見たいs』
【童貞ピンクに紹介する人は、居らへんよ…
それと僕の名前は初兎やし、!!】
膨れた頬に触れ、怒声と共に名前を名乗る。
─あれってそう読むんだ…初見だと読めなそうだけど。
同じ組織の人間なら初めに名乗るけれど、
外部の人間からすると名前が読めない。
赤side「ターゲット」
【悠佑さんこんばんはー今日もお酒飲みませんか、?】
〖おーえええな…っと頬に血ついとるよ〗
【自分で拭きますよ…!悠佑さんの服汚れるのは嫌です。】
「初兎ちゃんと話してるのが、悠佑さん…うちの…?アンダーボスだった人」
『…えーイケメンー無理ぃぃ…』
軽く説明し、彼と組織の人間を引き合わせた。
─付き合えたから心は、開いて貰ってる…よね?
「どこら辺が無理なの??料理上手で面倒見いい人だよ」
〖褒め上手やけど、褒めても何もでぇへんよー〗
「…悠佑さんに何か貰う為に言ってるんじゃないです」
〖ほんまかなぁー??で、ないこはなんで居んの?? 〗
名前を紹介していなくても、悠佑さんは彼の名前を平然と口にする。
─アンダーボス同士なら…面識とかあるのかな
『なんの事かなー今日が初対面で、』
【何言うてんねん…組織同士の挨拶の時、会ったやろ】
『なんの事かなぁ〜』
〖ないこ…誤魔化さんと素直に話しぃよ。
りうらに話せへんなら黙るけど…〗
無理に話すことはないよと声をかけられると
考え終えたのかゆっくり口を開く。
『組織同士の話し合いがあるんだけど…俺は、掃除屋みたいな立場でその時話して 仲良くなった感じかなぁ、?』
「へーそんなのあるんだー悠佑さん全然連れて行ってくれないから…知らなかったね?初兎ちゃん」
【ああ、?うん…っ…悠佑さんは組織の大事な要やからそういうのはあんま言ったらあかんねん…】
〖初兎が行きたいって言うんなら連れて行っても良かったけどあーいう堅苦しい所苦手…やろ、?〗
ぽんぽんと頭を撫でる手が好きだと周囲が分かるくらい初兎ちゃんは分かりやすい。
庇護対象だから頭を撫でることに何の意味も持っていなくとも初兎ちゃんにとっては幸せな触れ合い。
【苦手ですけど…悠佑さんのかっこいい所傍で見たいですよ】
〖初兎は褒め上手やなぁ…よしよし〗
─頑張ってるって言いたい。
痛々しい純愛を見てるだけで苦しいなら
本人は気付いて欲しくて苦しい思いをする。
【悠佑さんの銃使うの間近で見たいです。
だから今度の仕事は連れてってください】
〖仕事は無理かな…もし連れてくんなら…〗
ちらりとこちらを見る悠佑さんに何だか嫌な予感がした。
─俺はいいけど…初兎ちゃんにとっては、断られるのは…
〖りうらにお願いしたいな〗
嫌な予感はこんな時によく当たる。
親友の恋を応援したいのに上手くいかない。
【そーですよね…っ。りうらのナイフ使い上手やからきっと…悠佑さんの力になりますね!】
「初兎ちゃん…俺は行かないから…もう泣かないで…」
─泣いて欲しくない。
そんな気持ちを汲み取って彼は、無理して笑顔を浮かべる。
【泣いてへんよ!りうらの方が顔暗いから笑って? 】
自分に抗争の強さや技術が無いからって諦めて傍を離れようとする。
【僕は悠佑さんに迷惑かけたないからさ…
本来やったら話す事も出来ひん人なんやもん】
肩が小さく震える。掠れて直ぐに消える声に胸が締め付けられる。
─泣かないで。
〖初兎は非戦闘員やから怪我して欲しくないっていう 俺のエゴ。〗
【…っはは…ほーんま…悠佑さんは優しすぎますよ】
可笑しな話。
マフィアには怪我は付きもの。
非戦闘員だろうが、抗争の場に足を踏み入れたら必ずと言っても怪我をする。
─そんな温情はマフィアには要らないのにな。
「ないこさん、いい雰囲気なので席外しません?」
『それは夜のお…』
「外の空気吸うだけだから…変な気起こさないでね」
『起こさないよ…りうらとデート出来るなら幸せ。』
自分に言い聞かせる。
お前は…………なれないと心の中で罵る。
「俺も“シアワセ“だよ」
『っ、珍しくりうらがデレたー!』
ヘラヘラと笑う彼を可愛いと思うのも幸せなんだろうな。
初兎ちゃんに軽く手を振り、にこりと微笑んだ。
─頑張って!
【(程々に頑張るわ)】
生まれた時から同じ組織で育てられたから
会話しなくても通じ合える。
─相棒だから当たり前かもだけど。
相棒になると嫌でも相手の考え方や趣味嗜好を知ることになる。
『っっ!!風強いねー薄着だけど寒くない??』
「寒いの慣れてるので平気ですよ。」
夏とはいえ夜は冷え込む。
肌に当たる風は冷ややかだか熱くなった頬には丁度良かった。
『湯冷めしちゃうからあんまり外には出れないけど、星が見れるなら出てよかったかな…』
「星見るの好きなの、?りうらは夜目じゃないから見えない…」
『綺麗で可愛いものはすきだよー』
調子に乗って頬に口付ける彼の愛情表現も
中々慣れない。
「ないこさん、する時は言わないと…恥ずかしい…」
『っふふ…もっと照れてもいいのに』
背後から抱きつく彼の方に振り向き、笑みを浮かべた。
─慣れたつもりなんだけどな
『っ、…はは……そっか、そっかー…油断してた…』
「ないこさん、…今どんな気持ちですか?
痛い…ですか…死ぬ自覚で、もっ…」
『…好きな子に刺されるなんて本望に決まってるでし、ょ…りうらになら騙されても幸せだったよ』
喋る度に血を吐き出す癖に、頬に手を添え幸せそうに笑う。
─幸せな訳無いでしょ…
『っ…りうらこっち来て…んっ…っ』
「……っ、…!?んんっ!」
押し返そうにも彼の大きな手が顎を掴み、
貪るように口づけられる。
『…っ、ん…、死ぬなら一緒がいい』
「…っはは……馬鹿じゃないの……?」
ターゲットに引き寄せられるなんて致命的なミス。
─暗殺者失格だ。
「あんた置いて死ねるわけないじゃん…だからもっと…痛いことして、よ」
ナイフを彼に手渡し、外さないでよ喉元に触れた後、血と息を吐き出した。
桃side『……幸せ』
『りうらっ…俺今すっごい幸せっっ 』
「っ…何処が幸せなの、?俺たち死にかけだよ…」
血で汚れた手と毒に蝕われる体。
お互いの息を少しでも長くしようと何度も口付ける度、体から血が溢れる。
『それでも…俺は、ね…幸せだよ…っ可愛い暗殺者さんと逝けるなら喜んで逝くよ』
「…俺も、ないこさんのこと好きになれたよ…上手いこと恋人になれた。」
─ハニートラップにかかるのは好きじゃないけどね
けど、りうらにならされてもいいと思えた。
『っわー仕事の話しないでよ…はは…お腹痛いからあんまり笑わせないで…』
「っ…ないこさ、ん…動くと傷口開きますよ」
『…っ、…動かないと顔見れないからやぁーだ。』
顔を見ようと顔を覗き込む為に、覆い被り痛みに耐えれずへらりと笑みをこぼす。
心配させないように手を握り、 血の雨を降る。
『…ありがとう…もう大丈夫だからね』
「っ、…ごめん」
─謝らないでよ、俺は君に殺されて幸せなんだから。
むしろ俺の方が謝りたいくらいだ。
彼に毒を含ませ殺しそうになってる。
「…愛してる……誰かを愛したいと思ったのはないこさんが“初めて“」
─嗚呼、ごめんね…俺がりうらの初めて奪っちゃって。
誰かを愛したいと思ったのも死ぬ時傍に置いておきたいと思ったのもりうらが初めて。
『ずーっと一緒……』
愛してるの返しなんて知らない。
人の愛し方も気持ちの伝え方も知らない。
今まで人に興味をもてなかったのだから
仕方がない。
そんな言い訳をどうか許して。
あくまで繋がっていたかった。
心の底からりうらを大切にしてたよ。
『愛してる…これから先もずーっとね…』
「……っ…っ」
息が詰まる。言葉を吐くと 胸が苦しい。
『目開けて…俺より先にいかないで、よ』
俺はこんな結末望んでない。
『ね、ぇっ…りうら目開けて…』
お願いだから。これ以上欲張ったりしないから。
目を開けた彼を見て、息を吐く。
「…っ、…ごめん、寝そうになってた」
『……そうだね、子供はそろそろお眠の時間かなぁーw』
ぎゅっと彼を強く強く抱きしめお互い目を閉じた。
血と汗の匂い。 涙と甘い匂い。
彼から香る匂いが好きだ。
苦しそうに泣きじゃくる背を撫でるのも好きだった。
『最後のターゲットでごめんね…ごめ…』
─眠たいな
重い瞼を下ろせと脳が命令を下す。
もう少し彼と話したかったけど、もう時間が来たみたいだ。
『りうらおやすみ』
「…っおやすみなさい」
さようなら愛しい愛しい“相棒“
𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸
最後まで読んでくださりありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。
それでは行ってらっしゃいませ!!
コメント
8件
初コメ 失礼します 。 全てにおいて 完璧すぎました ︎🫶🏻🤍 1番 刺さった作品かも ... 2人で 幸せになるのかな とか 思ってたらまさかの結末すぎて 涙が ... ぶっくまーく 失礼します .ᐟ.ᐟ
涙が涙が〜〜〜💦😭😭😭
初コメ失礼します😖絶対に好きになっちゃいけない関係から始まり、赤さんがトラウマ持ちなとこもつんつんしてるとこも桃さんが優しく見守ってて所々変態チックな所もあり😭最後で涙腺崩壊しちゃって、😭語彙力ないんですけどこれが桃赤さん達の幸せなのかなと思うと涙が止まらなくて止まらなくて😭😭😭他にも伝えたいことは沢山沢山あるのですが...一言に纏めさせていただきます😭世界一愛してる作品です😭長文失礼しました😭