テラーノベル
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⚠️卒メン登場、10周年夢叶えのネタバレ
その他いろいろ含みます
今回は超長編
ymmt side
憧れの佐藤卓さんに会いたい
ymmt視点
僕がずっと憧れ、参考にしてきた佐藤卓さんに、会うことが出来た。
彼とは、クイズの面白さや、クイズが持つ可能性について、深く対談し、興味を持って貰えた。
其れだけでは無い。
これから、共に仕事をしてみないか、とも誘われた。
これは、ずっと、彼を参考にして来た者として、一人のクイズプレイヤーとして、とても光栄な事だ。
これも、ひとえに社員の皆んなのお陰だ。
乾「なんか嬉しそうっすね、山本さん」
乾が話し掛けてきた。
余程、僕は感情が外に出ていたらしい。
『ありがと、乾。』
『夢叶えプロジェクトを企画してくれて。』
乾「ちょっ、山本さん、、、」
焦った乾の声が聞こえた。
そこで初めて僕は初めて乾に抱き付いて居た事に気付いた。
『あ、ごめん、』
慌てて離れる。
乾「まぁ、いいすけど。」
そう言って去って行く、彼の後ろ姿。
耳が赤いのは気のせいか。
ini視点
山本さんに抱き付かれた時。
正直、戸惑った。
けれど。
嬉しさもあった。
そもそも、僕がこの企画を監修し、やろうと思ったのは、山本さんが居た からだ。
何度も、佐藤卓さんの話を聞いた。
その度に、山本さんを笑顔にしたいと思ったのだ。
だから。
一度くらい山本さんの夢を叶えたかったのだ。
izw side
連休が欲しい
izw視点
こんな長い休みはいつぶりだろうか。
最近は仕事が多く、一日休めることはあっても、連休がなかった。
最後に連休を取ったのは七年前だろうか。
この仕事は好きだ。不満はない。
ただ、久しぶりに海外旅行、
してみたいな。
“叶えたい夢、ありますか”
そう聞かれた時、軽い気持ちで口にしたこと。
あれよあれよ言う間と裏で話が進み、
多忙なはずの俺の仕事は何時の間にか綺麗に組み替えられて居た。
この皺寄せが何処かに行くのか。
そんな現実的な事は考えないでおこう。
そして、当日。
俺は東南アジアに来ていた。
路上で現地の人とサッカーに興じたり。
#クイズノック
あお
1,503
i / n / i .
89
あお
150
暇人
503
ずっともう一度食べたかった料理を、食レポも気にせず、大口を開けて食べたり。
高所恐怖症なのに観覧車に乗って、たくみに笑われたり。
他にも、沢山。
こんな時間に追われずのびのびと過ごせたのはいつぶりだろうか。
本当に、うちの社員には感謝しかない。
東南アジアの街中、屋台を巡ってゲテモノを食っていると。
ふと、人混みの向こうに見知った後ろ姿を見かけた気がした。
気のせいだろうか。
まさか、異国の地で。
確証は無いけれど。
今追いかけなければ。
何故かそう思って俺は人波の向こうに揺れる金髪を目掛けて走った。
kwkm視点
雷獣に加入して幾年か経ったか。
俺は東南アジアに旅行に来ていた。
何故行ったこともないこの場所に来ようと思ったのか。
自分でもわからない。
何となく。
呼ばれたような。
そんな思いで市場を歩いていると。
見慣れた姿が見えた。
伊沢さんだ。
遠くからでもわかる。
現地の人に溶け込まない明るさ、ラフな格好。
しかも、虫を食ってる。
そんな奴、1人しかいない。
駆け寄って話したい。
溜まった感情、クイズ、何でも。
そんな気持ちに駆られた。
でも。
あの時、QuizKnockを抜けたのは自分だ。
そんな自分が、今や人気絶頂の彼に話しかけて良いものか。
俺は未練を振り払うようにして反対方向に歩き始めた。
不意に腕を掴まれる。
伊「待てよ、川上、」
振り返ると伊沢さんがいた。
『伊沢、さん』
如何して。
そんな顔で俺を見るんですか。
izw視点
見慣れた後ろ姿。
直ぐに追い付き、腕を掴む。
『待てよ、川上、』
川「伊沢、さん、」
振り返った川上は。
何処か辛そうで、何かを堪えているような。
その顔を見て。
俺の胸が締め付けられた。
やっぱり。
俺は、まだ川上に未練があったのだ。
『なぁ、ちょっと、話さないか。』
『いろいろ。話したい事溜まってんの。』
kwkm視点
伊「なぁ、ちょっと、話さないか。」
「いろいろ。話したい事溜まってんの。」
伊沢さんはそう言う。
その魅力に。
絡め取られて仕舞う前に。
俺は自らあの場を離れたのに。
駄目だったみたいだ。
そもそも。
大勢の喧騒の中で彼の姿が直ぐに目に入った理由。
彼の声が、誰よりも鮮明に聞こえた理由。
カクテルパーティー効果。
人は、大勢の人間が話している場所でも、自分が意識している人の声を無意識に拾い上げることがあるらしい。
好きだから。
気にしているから。
はっきりと聞こえたんだろう。
俺はとっくに伊沢さんから離れられなくなって居たのだろう。
gn side
ルービックキューブを10秒以内に揃えられる様になりたい
gn視点
普段から考えて居る。
夢は自分で叶える物だと。
人に叶えて貰うのは、面白くない。
自分で努力して、掴み取るのが良いのだと。
だから、
“叶えたい夢、ありますか?”
そう聞かれた時、戸惑った。
少し考えた時。
以前の問チャン言ネルの企画会議を思い出した。
問「次何の企画撮ろーか。」
『十周年に関係あるやつにしたいよね』
問「10秒で何かするとか?」
『ルービックキューブを10秒で揃える、とか?』
問「いいじゃん、それ!」
そんな会話をした。
ショートの尺的にも、企画内容的にも、僕のキャラでも。
良い企画だった。
ただ、僕は早くても20~30秒でしか揃えられない。
その企画はお蔵入りとなった。
ただ、揃えられたら良いだろうな、と。
漠然と思って居た事。
口に出すと、スタッフさんが動いてくれた様だ。
数週間もしないうちに、スピードキューブで有名な方がオフィスに来てくれた。
そして、僕のルービックキューブ漬けの日々が始まった。
其れから、数ヶ月。
僕の挑戦は、まだ続いていた。
スランプに嵌ってしまったのだ。
20秒を切ることは出来たものの、スキップが起きても10秒を切れない様なタイムが続いていた。
今日も会議室で僕は1人でキューブを回していた。
もう、回した回数など数え切れない。
指に痕まで出来て仕舞った。
問「どーぉ、調子。」
問が入って来た。
パソコンを持って居た。
編集作業をしに来たのだろうか。
問「そんな根詰めすぎないでよ、」
問は静かに隣に座り、編集したり、時々キューブを回したりして居た。
それがどれだけ僕の救いだったか。
『ありがと、問。』
『ずっと隣に居てくれて。』
そう言うと、問は
問「いいって。」
「僕らずっと生まれた時から一緒でしょ?」
そう言った。
「アンドロギュノスの神話、あるでしょ。」
「昔の人間は、二人分の身体を持っていたけれど、バラバラにされたって。」
「僕ら、双子だから。」
「きっと昔は、一緒だったんだよ。」
問もそう思って居たんだ。
sgi
オーダーメイドグローブが欲しい
sgi視点
野球人として、憧れていたものがある。
其れは勿論、オーダーメイドグローブだ。
中学の頃、クラブメイトが持って居るのを見て、酷く憧れた。
何時か、俺も自分だけのグローブが欲しい。
そう思って、約二十年が経った。
オーダーメイドは高価だし、中々作る機会も無い。
そうして、気付けば二十年が過ぎていた。
だから、今回「夢を叶える」と言われた時、真っ先に思い出した。
昔見た、あのグローブ。
其れが、長い間記憶の奥底に残って居たのだろう。
こういうのを、ノスタルジアと言うのだろうか。
過去の記憶が、現在の感情を呼び起こす。
そんなことを考えながら、グローブを作ることになった。
背中を押された様な気がして。
グローブ作りは、とても楽しかった。
自分の十周年のメンバーカラーである青を基調にして、イニシャルや革の色、ウェブの形、縫い目の一つまで拘った。
何を選ぶか。
どんな形にするか。
一つ一つ決めていく度に、少しずつ「自分だけのもの」になっていく。
選択の積み重ねが、所有することへの愛着を強くする。
心理学でいう、保有効果に近いのかもしれない。
まだ手元にすら無いのに、既に大切なものになっていた。
そして、待ちに待ったグローブが届いた。
箱を開けた瞬間、思わず息を呑んだ。
思っていた何倍も格好良くて、何処か輝いて見えた。
掌に収める。
革の匂い。
硬さ。
手に馴染む感覚。
其の全てが、自分の為だけに作られたものだと実感させてくれる。
二十年前に抱いた憧れが、今、現実になった。
更に、五十嵐さんとキャッチボールをする機会まで貰うことが出来た。
自分の投球フォームを見て貰うことも出来た。
ボールを投げて、返ってくる。
其れだけのことなのに、酷く楽しい。
自分の投げた球を、五十嵐さんが受ける。
そして、また自分のグラブに戻ってくる。
何度繰り返しても、飽きなかった。
夢を叶えるというのは、もっと劇的なものだと思っていた。
けれど、実際は違う。
こういう何気ない一瞬の積み重ねが、後から振り返った時に「夢だった」と気付かせてくれるのかもしれない。
『って事があってさ、鶴崎』
『めっっちゃ楽しかったんだよ』
『ほんとに』
身振り手振りを交えながら、熱弁する。
鶴「良かったじゃないですか」
『そうなんだよ』
『本当に、夢叶ったわ』
trsk視点
須貝さんの全身から、喜びが溢れて居る。
其の背中を見ながら、僕は自分のスケジュールを見直す。
明日は、僕の始球式。
開始時刻。
球場。
集合時間。
何度も確認した予定表。
全部、頭に入っている筈なのに。
どうしても、集中出来ない。
須貝さんの話が、頭から離れない。
二十年越しに叶った夢。
嬉しそうに笑う顔。
何時もより少し幼く見えた表情。
何度も、頭にちらつく。
……困ったな。
明日は、僕の番なのに。
須貝さんのことばかり考えている。
こんなことでは、始球式で失敗するかもしれない。
そう思って、もう一度予定表に目を落とす。
けれど。
視界の端に、さっきの須貝さんの笑顔が浮かぶ。
何故、こんなにも気になるのだろう。
ただ、嬉しそうにして居ただけなのに。
其れを見ているだけで、僕まで嬉しくなった。
……否。
きっと、僕はずっと前から知っている。
須貝さんのことが、好きなのだ。
だから、困っている。
明日は始球式。
たった一球に、今までの練習を懸ける日。
なのに。
頭の中に居るのは、野球のことではなくて。
さっき笑っていた、須貝さんのことだった。
trsk side
ピアノを弾ける様になりたい
trsk視点
昔、少しだけピアノを習って居た。
けれど、長く続いた訳ではない。
楽譜は読める。
簡単な曲なら、右手だけで弾ける。
其れでも、人前で一曲弾き切れる程の腕は無かった。
だから、僕が今回、叶えて貰おうと思った夢は。
ピアノを、ちゃんと弾ける様になりたい、ということだ。
夢は、矢張り自分の努力で叶えるものだと思って居るからだ。
選んだ曲は、ブルグミュラーの『アラベスク』。
有名な曲だからこそ、誤魔化しが利かない。
テンポ。
強弱。
左右の音量差。
一つ狂えば、全体の均衡が崩れる。
何度も同じ小節を繰り返す。
反復練習によって、指の動きを手続き記憶へ落とし込んでいく。
そう考えれば、少しだけ勉強に似て居た。
そして、本番の日。
須「本日はお集まり頂き、誠にありがとうございます」
司会を務めるのは、須貝さん。
舞台袖から聞こえてくる声は、いつも通り落ち着いて居る。
其れに対して、僕は酷く緊張して居た。
須「鶴崎、緊張してる?」
『……してますよ。手、冷たいですもん』
須 「大丈夫、大丈夫」
そう言って、須貝さんが突然、親指を立てた。
須「ナイスガイの須貝でーす!」
「ナイスガイのつもりになって頑張れ」
『そんな急に?』
須「いいから。ほら、鶴崎も」
『僕もやるんですか?』
須「やる」
仕方なく、僕も親指を立てる。
それだけ。
ただ、それだけ。
なのに。
さっきまで心臓を締め付けて居た緊張が、少しだけ解れていく。
須「ほら、笑った」
『……須貝さんのせいです』
須「じゃあ成功じゃん」
そう言って、須貝さんは笑った。
胸の奥が、少しだけ騒がしくなる。
緊張による交感神経の昂進。
そう説明することも出来る。
けれど、たぶん其れだけではない。
この人に、格好悪いところを見られたくない。
この人に、ちゃんと見て居てほしい。
そんな感情まで、理屈で説明する必要は無いのだろう。
須「鶴崎、出番」
『……はい』
舞台へ出る。
椅子に座る。
鍵盤を見る。
深呼吸を一つ。
そして、最初の音を押した。
途中、少しだけ指が迷った。
それでも、止まらなかった。
一音ずつ、積み重ねていく。
やがて最後の音が、静かに消えた。
拍手が聞こえる。
顔を上げると、舞台袖に須貝さんが居た。
そして。
また、あのポーズ。
僕も小さく笑って、同じ様に親指を立てた。
ピアノが弾ける様になりたい。
そう思って始めた筈だった。
けれど今日、鍵盤の向こう側に見つけたものは、其れだけではなかった。
もう一度だけ、舞台袖を見る。
須貝さんは、まだ笑って居た。
――次に弾く曲を考える時も。
きっと僕は、あの人が聴いてくれることを、少しだけ期待してしまうのだろう。
mn side
kwmr side
小説執筆の時間が欲しい
kwmr視点
東京から沖縄へ向かう飛行機に乗った。
こんなふうに遠くまで来るのは、久し振りだった。
沖縄に着く。
空港を出ると、東京とは明らかに違う空気が肌に纏わり付いた。
湿度が高い。
太陽が眩しい。
何より、空が広い。
レンタカーを借りる気にはならなかった。
今日は歩いて、疲れたら適当に公共交通機関を使えばいい。
そうして、何となく街を歩く。
土産物屋を見つけた。
色鮮やかな琉球ガラス。
紅芋の菓子。
沖縄らしい菓子箱。
そして、大小様々なシーサー。
その中に、一対ではなく、片方だけの小さなシーサーがあった。
『……これ、ふくら好きそうだな』
自然に口から出た。
そこで、少しだけ笑って仕舞う。
ふくらは旅行、嫌いだよな
わざわざ遠くまで行くより、家で好きなことをしている方が良い。
確か、そんなことを言っていた気がする。
なら、沖縄なんて絶対に来ないだろう。
そう思った筈なのに。
シーサーを見ながら、
ふくらなら、これ見て何て言うかな
なんて考えている。
人間の記憶というものは、奇妙だ。
何かを認識すると、それに関連する記憶が連鎖的に想起される。
心理学でいうプライミング効果。
一度意識の上に乗ってしまえば、些細な刺激ですら、その人を連れて来る。
結局、シーサーを手に取った。
思ったより軽い。
『……買うか』
理由は分からない。
ただ、棚に戻すという選択肢だけは、何故か最初から無かった。
そのまま海岸へ向かった。
夕方の海は、昼間とは違う静けさを纏っていた。
波が寄せては返す。
水平線の向こうへ、太陽が沈んでいく。
綺麗だった。
暫く何も考えずに海を眺めていた。
――ふくらにも見せたい。
まただ。
何処に居ても、結局ふくらのことを考えている。
土産物を見ても。
海を見ても。
知らない街を歩いていても。
認知心理学的には、注意バイアスとでも言えば説明出来るのだろう。
けれど。
理屈で説明出来ることと、自分の気持ちを理解することは、別問題だ。
帰り道。
もう一度、土産物屋の前を通った。
店先には、シーサーが並んでいる。
そこで、ふと気付いた。
シーサーは、一対で置かれることが多い。
口を開けたものと。
口を閉じたもの。
二体で一つ。
魔除けとして、互いに家を守る存在。
僕が買ったのは、その片方だけだった。
『……そういうことか』
何が、とは言わない。
ただ。
一人で沖縄まで来たのに。
結局、土産物を選ぶ瞬間まで、ふくらのことを考えていた。
一人分の旅行だった筈なのに。
何処かにもう一人分の余白がある。
その余白を、誰が埋めているのか。
考えなくても分かった。
鞄の中から、さっきのシーサーを取り出す。
片方だけの小さなシーサー。
『……ふくらに渡すか』
旅行嫌いのふくらが、これを喜ぶかは分からない。
それでも。
東京に帰ったら、これを渡そう。
そう思った。
沖縄に来て、一番最初に買った土産。
そして。
一人で来た筈の旅行で、最後まで一人になれなかった証拠。
そう思うと。
何故だか少しだけ、帰るのが楽しみになった。
fkr side
コナンの聖地、イギリスに行きたい
fkr視点
昔から、名探偵コナンが大好きだった。
事件が起きて、手掛かりが集まって、最後には一つの答えへ辿り着く。
あの過程が堪らなく好きだった。
だから、コナンを観ているうちに、もっと色々なことを覚えたくなった。
歴史も、科学も、地理も。
これ、コナンくんも覚えてるのかな。
俺も覚えようかな。
そう思うことも増えて、気が付けば僕はクイズまで始めていた。
知識が増えるほど、世界が少しだけ広く見える。
それが面白かった。
そんな僕が、今、イギリスに居る。
ロンドンの街を歩き、シャーロック・ホームズに所縁のある場所を巡る。
ずっと来てみたかった場所だった。
本当に、夢のようだった。
……なのに。
どうしてだろう。
何かを見つける度に、河村のことが頭に浮かぶ。
この建物、河村なら知っているだろうか。
この話をしたら、どんな問題にするだろう。
そんなことばかり考えてしまう。
昔の僕なら、こんな場所に来たら、ただ夢中になっていただろう。
けれど今は違う。
知識を得ることも、クイズを考えることも、誰かと話すことも。
その全部に、河村の存在が混ざっている。
ふと、街角で立ち止まった。
石造りの建物。
古い時計。
行き交う人々。
どれも日本では見られないものばかりだ。
それなのに、頭の中に浮かんだのは、やっぱり同じ人だった。
『河村にも見せたいな』
思わず、口に出してしまった。
コナンが好きで。
その「好き」から、色々なことを知りたくなって。
クイズまで始めた。
そして今、その旅先でさえ、河村のことを考えている。
好きなものを追い掛けて来ただけなのに。
いつの間にか僕の世界には、河村まで居るらしい。
少し可笑しくて。
でも、嫌ではなかった。
ロンドンの空を見上げる。
帰国したら、話してみよう。
この街で見つけたことを。
覚えたことを。
そして――今日、何度も河村のことを考えてしまったことも。
番外編
iniの手紙
拝啓
こうちゃん、いや、渡辺先輩。
お元気ですか。
QuizKnockも、今日で十周年を迎えました。
十年。
数字にしてしまえば、たった二桁です。
けれど、その二桁の中には、数え切れないほどの出来事が詰まっているのだと思います。
QuizKnockがまだ小さな存在だった頃。
今よりずっと少ない人数で、手探りのまま記事を書いて、問題を作って、動画を撮って。
今では当たり前になったものも、最初から当たり前だったわけではありません。
その始まりの一端に、先輩が居ました。
そして何より。
僕をQuizKnockに誘ってくれて、ありがとうございました。
あの時、先輩が僕に声を掛けてくれなかったら。
あの日、僕がその誘いを受けていなかったら。
今の僕も、今のQuizKnockも、きっと存在していません。
そう考えると、あの出来事は単なる偶然だったのか、それとも後から意味を与えられた必然だったのか。
因果関係を証明することは出来ませんが、少なくとも僕にとっては、人生の転換点だったと断言出来ます。
初期のQuizKnockを知っているからこそ、今のQuizKnockを見ると、不思議な気持ちになります。
人数も増えました。
出来ることも増えました。
知名度も、規模も、当時とは比較にならないほど大きくなりました。
けれど、根底にあるものは、あまり変わっていない気がします。
知らないことを知る面白さ。
難しいことを考える楽しさ。
そして、くだらないことを本気で楽しむこと。
知識というものは、集めるだけではただのデータです。
そこに好奇心が加わって、初めて「知る」という行為になる。
QuizKnockは、その好奇心を誰かから誰かへ伝播させる場所だったのだと思います。
先輩が僕に渡してくれたものも、きっとそういうものだったのでしょう。
一つの誘いから始まったものが、十年という時間を経て、こんなにも大きなものになりました。
先輩。
QuizKnockの初期を支えてくれて、ありがとうございました。
そして、僕をその中に入れてくれて、本当にありがとうございました。
十周年という節目を迎えても、まだ僕たちは知らないことばかりです。
だから、これからも問い続けます。
考えて、間違えて、笑って。
また新しい知識に出会って。
そうやって、次の十年へ進んでいきたいと思います。
十年前のあの日から続いている、この長い物語の続きを。
いつかまた、先輩にも見せられたらと思います。
敬具
追記
また、いつでもオフィスに遊びに来てください。
先輩が居なくなってから、随分と時間が経ちました。
それでも、オフィスのどこかに先輩が居るような気がする瞬間があります。
だから、たまには本当に来てください。
十周年を迎えたQuizKnockを、今度は少し離れたところから、一緒に見て貰えたら嬉しいです。
長編すぎた………
最後まで見てくれてるかな
QuizKnock十周年おめでとう!
っていうのを投稿したかったから、スペシャルを書いてみた
QuizKnock、今までありがとう!
そして、これからも、宜しく!
コメント
3件
めちゃくちゃいいじゃないっすかぁ...!!
めっちゃ良い話だった……! それぞれの「叶えたい夢」にちゃんとした背景があって、しかもメンバー同士の関係性がじんわり滲んでるのが最高でした。特に河村さんの沖縄旅行とふくらさんのイギリス旅行、どっちも「この人に伝えたい」「見せたい」って相手の顔が浮かぶ瞬間、すごくリアルでぐっときました。iniさんの手紙も、十年の重みが詰まってて胸熱です。十周年おめでとうございます!