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非術師は嫌い。其れが私の出した答えだ。
でも、元気のない私を見た、硝子や、灰原や七海は、一生懸命私の事を励ましてくれた。
非術師は嫌い。其れが変わる事は無い。
非術師の為では無く、仲間の為に私は、呪いを祓っている。
仲間の為だと思うと、少し気持ちが楽になった。私は、非術師を憎みながらでも、呪術師を続ける事を選んだ。
晴れて夏油は特急呪術師になり、日々湧き続ける呪いの対応に勤しんでいた。
(傑)「ふぅ…。」
(灰原)「夏油先輩!!」
(傑)「灰原か。」
「任務、お疲れ様。」
(灰原)「夏油先輩もお疲れ様です!!」
(傑)「彼れ?七海と一緒じゃないなんて珍しいね。」
(灰原)「七海はパン買いに行きましたよ!!」
(傑)「あぁ、何時もの惣菜パンかな。」
(灰原)「七海、あのパン好きですよね!」
(傑)「そうだよね。」
(灰原)「そう言えば、五条特級呪術師の話、聞きましたか?!」
(傑)「うん、聞いているよ。話題になっているからね。」
「特急1体と、1級を3体も祓ったらしいね!」
五条特級呪術師は、エリート呪術師の家系、御三家の一つ、五条家の呪術師だ。
(灰原)「そうなんです!凄いですよね!!」
(傑)「本当にね。」
(灰原)「五条特級呪術師って、どんな人なんでしょう!」
(傑)「多分…。」
「笑顔が眩しくて、見せないだけで心の奥底は凄く優しい人だよ。」
(灰原)「夏油先輩、まるで、五条特急呪術師に会った事があるみたいな口振りですね!」
(傑)「…え……。」
(七海)「灰原、此処に居たんですか。」
「夏油さん、お疲れ様です。」
「灰原、仕事に行きますよ。」
(傑)「あ、七海。」
(灰原)「それじゃあ、僕、行きますね!夏油先輩!!」
(傑)「嗚呼。」
「行ってらっしゃい。」
(灰原)「はい!!行って来ます!!」
(傑)「私は—————。」
「一体、誰の話をしていたんだ—————?」
「ん?」
五条が目を覚ますと、自分が居眠りをしていた自室に居た。
「…んー、やっぱ夢だよね。」
「長い長い、変な夢だったなぁ〜。」
プルルルルルル
不意に、五条のスマホから着信音が鳴る。
「ん?」
「恵か。」
(恵)《五条先生!!今、何処に居るんですか!!》
電話に出た瞬間、スマホから、鼓膜を劈く様な怒鳴り声が飛んでくる。
「わぁ。」
(恵)《「わぁ。」じゃ無いですよ!!どんだけ待たせるつもりですか!!何してんですか!!》
「え?」
(恵)《〜〜ッ!授業ですよ!!授業!!何分遅刻してると思ってるんですか!!》
(虎杖)《伏黒〜。ごじょーせんせーと電話繋がった?》
(恵)《あ″ぁ″…やっとな″。》
「めんご。」
「今すぐ行くね。」
(恵)《めんごじゃね″ぇ″。》
恵がそう言うと、ぶった斬る様に通話が切れた。
「これはヤバいなぁ。」
ヤバいと言いつつも、五条は少しも焦っていなかった。
教室迄続く廊下を歩いていると、五条の耳に、聞いた事のある、底無しに明るい声が飛び込んで来た。
「此の声…。」
「…灰、原……?」
五条は、廊下の窓から、声のした外を見下ろした。すると、五条の視界に、七海と一緒に歩いている灰原の姿が映った。
そして、灰原の歩いて来た方には—————。
「……す……ぐる…?」
五条が着ている様な、高専の制服を着た傑の姿があった。
プルルルルルル
また、五条のスマホから着信音が鳴り響く。五条は、恵からの着信だと思ったが、確認すると、五条家からの着信だった。
いやいやいや、如何言う事?
傑も灰原も生きてるし、彼れは夢じゃ無いとして、夢じゃ無いとしてもだよ。
如何して五条家から着信がくるんだ?と言うか、さっき恵も五条先生って言ってたけどさ。
あの術式って、確か、僕に関わった事のある人間、全員から、僕に関する記憶を消せるんじゃなかったっけ?
五条家との繋がりが切れてないどころか、僕、五条家の人間の儘なんじゃ?
五条悟と言う存在を消せるわけじゃ無いし、そりゃあ僕の情報は五条家には残ると思うけど、普通に連絡先繋がってんじゃん。
五条との関わりがある筈の五条家は、五条悟と言う存在を忘れていなかった。
神隠し事件の際の呪霊は、大した呪力量を持っていなかった。だから、あの呪霊の呪力量では、大した術式効果は発揮出来ていなかった。そして五条は、相手の脳に印を刻み術式を発動させるのでは無く、自分の手の平に印を刻んでいた。そうなれば勿論、術式の発動のさせ方も変わってくる。五条は、自分の手に刻まれている印に、自分の呪力を流し込み、術式の付与された呪力を、相手へ直接流していた。それ故、本来の、此の術式に必要とされる呪力量よりも、遥かに多い呪力量を使っていた。其れに加え、五条の領域、無量空処が、脳へ影響を与える事も関係しているのか、本来よりも、術式効果が強力な物になっていた。だから、術式を使用した五条悟だけで無く、直接術式を受けた夏油傑に関係のある人間からも、二重に、五条悟に関わる記憶が消えると言う、予期せぬイレギュラーが起きていた。其れ故、本来、無害故に術式効果範囲の制限が無い術式だったが、術式効果範囲の制限が極端に狭くなり、其の所為で、五条家の人間は、術式の影響を全く受けていなかった。
五条自身が、五条家との関わりを、あまり持とうとしなかった所為もあるのかも知れない。
だが、術式効果が強力になり過ぎた故に起きたイレギュラー、そして、其れに関連して起きた術式の制限など、五条の知る由も無い話だ。