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るー
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お久しぶりです。るーですこんばんは!
今日から5日間毎日上がるよ遅れてごめんね🙂↕️🙂↕️
沢山書くから沢山楽しんでね🙂↕️🙂↕️
⚠️注意⚠️
・nmmn注意
・キャラ崩壊注意
・通報しないで欲しいです
・運営さん愛してます
・過食嘔吐表現あり
⋆. ݁┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ݁.⋆
『頑張り屋な君へ。』
リーダーが初めて、自分の限界を認めた7日間_。
第1話「深夜2時」
午前二時十七分。
都内のマンションの一室。
デスクの上には、飲みかけのコーヒーと、何冊もの資料。
パソコンの画面には、翌週の打ち合わせ資料が表示されていた。
「……これ直して、明日のメール返して……あと、ライブの確認も」
ないこは小さく呟きながら、キーボードを叩く。
目が痛い。 肩も重い。
何日も、まともに眠れていなかった。
それでも、仕事は終わらない。
歌い手グループのリーダー。
二・五次元アイドル事務所の社長。
自分が選んだ道だ。
自分が始めた事務所だ。
だからこそ、途中で投げ出すわけにはいかなかった。
「……よし、これでひとつ終わり」
保存ボタンを押して、椅子の背もたれに体を預ける。
静かな部屋。 誰もいない。
当たり前だ。ここは自分の家なのだから。
メンバーはそれぞれ、自分の家で生活している。
仕事の打ち合わせや収録で会うことはあっても、毎日顔を合わせるわけではない。
連絡をすれば、みんな返してくれる。
困ったときは助けてくれる。
それは分かっている。
それでも、深夜のこの時間だけは、どうしても誰にも頼れなかった。
みんなだって忙しい。
りうらは最近顔出しをしてから色々と忙しそう。
ほとけは仕事の合間にも予定を詰め込んでしまう。
初兎だって、楽曲制作や収録で忙しい。
いふは会社を辞めて歌い手一本になったばかりで、仕事の環境も変わったところだ。
悠佑は最年長として、歌のこともみんなのことも気にかけている。
そんなみんなに、自分の弱音まで聞かせるわけにはいかない。
「……俺が頑張ればいいんだから」
いつものように、自分に言い聞かせる。
そのとき、スマートフォンが震えた。
グループLINEだった。
りうら:ないくん、明日の打ち合わせの時間って変更ない?
ないこはすぐに返信する。
ないこ:変更なし! 10時からね
りうら:了解! ありがと、おやすみー
ないこ:おやすみ!
画面を閉じる。
そのまま、ないこは自分の手元を見つめた。
「……おやすみ、か」
自分も、そろそろ寝たほうがいい。
分かっている。
けれど、まだ仕事が残っている。
明日の朝、みんなに迷惑をかけないために。
そう考えて、再びパソコンに向かった。
その夜も、眠ったのは朝方だった。
数日後。
ないこは、自分でも気づかないうちに、食事との付き合い方を崩していた。
食べている間だけは、頭の中の仕事が少し遠のく。
おいしいものを口にしているときだけ、何も考えずに済む気がした。
けれど、苦しくなるほど食べたあとには、強い後悔が押し寄せる。
そして、気分が悪くなり、吐いてしまうことも増えていった。
落ち着いたあとも、心は少しも軽くならなかった。
「……なんで、こんなことになってんだろ」
洗面所の鏡に映る自分を見つめる。
目の下には濃い隈。
顔には疲れが滲んでいた。
「……もう、やだな」
小さな声が、誰もいない部屋に落ちた。
大好きだった食事が、怖い。
仕事をしていても、休んでいても、頭の中がずっと忙しい。
何もしていない時間には、罪悪感さえ感じる。
それでも、翌朝になれば笑顔を作る。
リーダーだから。 社長だから。
ないこは、まだ自分が限界を迎えていることを認められなかった。
第2話 「いつもと違う声」
「ないこ、今日の資料なんやけど」
オンライン会議の画面に、いふの顔が映っていた。
「うん、確認した。修正箇所もまとめてあるよ」
「……お前、ちゃんと寝とる?」
「え?」
「いや、声。なんか変やで」
ないこは一瞬だけ黙った。
「そう? ちょっと寝不足なだけだよ」
「ちょっと、ねえ……」
いふは納得していないようだった。
けれど、ないこがすぐに話を仕事へ戻したため、それ以上追及しなかった。
会議が終わる直前。
「ないこ」
「ん?」
「なんかあったら言えよ」
その言葉に、ないこは笑った。
「うん。ありがと、まろ」
「……ほんまやからな」
通話が切れる。
ないこは、しばらく画面を見つめていた。
言いたかった。 しんどい。 眠れない。
食べることさえ、うまくいかなくなった。
誰かに助けてほしい。
でも、その言葉は喉の奥で止まってしまった。
「……言えるわけ、ないじゃん」
スマートフォンを伏せ、仕事を再開した。
その日の夕方。
りうらから個人LINEが届いた。
りうら:ないくん、今日のお昼食べた?
ないこ:食べたよー!
りうら:ほんと?
ないこ:ほんとほんと笑
りうら:ならいいけど。最近、全然一緒にご飯食べてないからさ
ないこ:落ち着いたら行こうね!
りうら:絶対だよ!
そこで会話は終わった。
ないこはスマートフォンを置いた。
本当は、食事を楽しめていないことを言いたかった。
みんなと一緒なら、少しは楽しく食べられるのかもしれない。
けれど、食べること自体が怖くなっている自分を知られるのが、どうしても嫌だった。
「……ごめんね、りうら」
小さく呟く。
約束を破りたいわけじゃない。
みんなに会いたくないわけでもない。
ただ、今の自分を見られるのが怖かった。
大好きな人たちに、心配をかけるのが怖かった。
その夜、ないこはまた、ひとりで泣いた。
第三話「返事が来ない」
異変に最初にはっきり気づいたのは、ほとけだった。
いつもなら、くだらない動画を送れば、ないこはすぐに反応してくれる。
『なにこれ笑』
『ほとけっち、ほんと好きだよねこういうの』
そんな返信が返ってくるのが当たり前だった。
けれど、ここ数日は違った。
既読がつくまで何時間もかかる。
返信が来ても、短い。
通話に誘っても、断られることが増えた。
最初は忙しいだけだと思っていた。
けれど、ある日の夜。
ほとけは思い切って電話をかけた。
数回のコールのあと、ないこが出る。
『……もしもし?』
「ないちゃん! 今、大丈夫?」
『うん、大丈夫だよ。どうしたの?』
声はいつもどおりに聞こえた。
けれど、どこか弱々しい。
「いや、最近全然話せてないなって思って! 元気かなーって」
『元気だよ』
「ほんと?」
『ほんと』
「……ないちゃん」
『ん?』
「なんか、泣いてた?」
ないこは息を止めた。
「……え?」
「声、ちょっと変だから」
『……泣いてないよ』
その返事があまりにも早かった。
ほとけは、胸の奥がざわつくのを感じた。
「そっか……」
『うん。ごめんね、今ちょっと仕事中で』
「……あ、そうなんだ」
『また連絡するね』
「……うん。無理しないでね」
『ありがと』
通話が切れた。
ほとけはスマートフォンを握ったまま、しばらく動けなかった。
「……絶対、なんかあるじゃん」
心配だった。
でも、無理に聞き出すこともできなかった。
その夜、ほとけは初兎に連絡した。
ほとけ:初兎ちゃん、ないちゃん最近変じゃない?
初兎:……やっぱり?
ほとけ:電話したんだけど、声が変だった。泣いてた気がする
初兎:俺も最近、返信遅いなとは思っとった
ほとけ:どうしよう……
初兎:一回、みんなで話そ。責めるんやなくて、ちゃんと心配してるって伝えたい
そのメッセージを読んで、ほとけは小さく頷いた。
自分にできることは、まだ分からない。
でも、ないこをひとりにはしたくなかった。
第四話「限界」
それから二日後。
ないこは、自宅のデスクで資料を作っていた。
締め切りは翌日。
どうしても今日中に終わらせなければならない。
「……あと少し」
何度もそう言いながら、画面を見つめる。
けれど、頭がうまく働かなかった。
文字を読んでも、意味が入ってこない。
手が止まる。
胸が苦しい。
「……っ、はぁ……」
深呼吸をしてみる。
それでも、落ち着かなかった。
食事をしても、気持ち悪くなる。
食べないでいると、今度は何もする気力が湧かない。
眠ろうとしても、仕事のことが頭から離れない。
もう、どうすればいいのか分からなかった。
「……俺、何やってんだろ」
目の前の資料が滲んだ。
気づけば、涙が頬を伝っていた。
「……やだ……」
止めようとしても、止まらない。
「もう、無理……」
初めて、はっきりと口にした。
無理だ。
頑張れない。
今までみたいには、できない。
そう認めた途端、張り詰めていたものが切れたように、ないこは声を上げて泣いた。
そのとき、スマートフォンが鳴った。
画面には、悠佑の名前。
出るかどうか迷った。
こんな声を聞かせたくない。
心配をかけたくない。
でも、今は誰かの声が聞きたかった。
「……もしもし」
『おう、ないこ。今、大丈夫か?』
「……うん」
『……お前、泣いとる?』
その言葉に、ないこはとうとう耐えられなくなった。
「……っ、あにき……」
『……ないこ?』
「ごめ……ごめんなさい……」
『なんで謝るんや』
「俺……もう、無理……」
声が震える。
「仕事も……何もかも、しんどくて……」
『……うん』
「ちゃんとやらなきゃって思ってるのに、できなくて……。食べるのも、寝るのも、うまくできなくて……」
悠佑は、黙って聞いていた。
「……俺、もう疲れちゃった……」
電話の向こうで、悠佑が静かに息を吐いた。
『……そっか』
その声は、とても優しかった。
『よう頑張ったな、ないこ』
「……っ」
『もうええよ。今は頑張らんでええ』
ないこは、スマートフォンを握りしめた。
『俺、今からそっち行ってもええか?』
「……え?」
『ひとりでおるん、しんどいやろ』
「……でも、あにきだって家あるし……」
『せやから、俺の家からお前んとこ行くんやろ。何言うとんねん』
いつものような、少し呆れた声。
それが嬉しくて、ないこはまた泣いた。
「……来て、ほしい……」
『おう。待っとき』
電話が切れる。
ないこは、しばらくその場から動けなかった。
助けてほしいと、自分から言えた。
たったそれだけのことが、こんなにも難しかった。
そして、こんなにも安心することだなんて、知らなかった。
三十分ほどして、インターホンが鳴った。
玄関を開けると、悠佑が立っていた。
「……ないこ」
「……あにき」
顔を見た瞬間、ないこの目に涙が浮かんだ。
悠佑は何も言わず、そっと腕を広げた。
ないこは迷いながらも、その胸に飛び込んだ。
「……っ、あにき……」
「うん、うん」
背中をゆっくり撫でられる。
「しんどかったな」
「……ごめんなさい……」
「謝らんでええ」
「……迷惑、かけて……」
「迷惑ちゃうよ」
悠佑は、ないこの背中を抱いたまま、はっきりと言った。
「俺らは、お前が倒れるまで頑張ることなんか望んでへん」
「……」
「リーダーやからって、社長やからって、何でもひとりでやらなあかんわけちゃうやろ」
ないこは、悠佑の服をぎゅっと握った。
「……俺、どうしたらいいか分かんない……」
「今は何も考えんでええよ」
「……仕事……」
「仕事は俺らで何とかする。いふとも相談するから」
「……でも……」
「ないこ」
悠佑は、少しだけ体を離して、ないこの目を見た。
「今のお前に必要なんは、仕事を終わらせることやない。ちゃんと休んで、体と心を大事にすることや」
ないこは、何度も頷いた。
その夜、悠佑はないこの家に泊まることになった。
もちろん、無理に食事をさせることも、無理に話を聞き出すこともしなかった。
ただ、温かい飲み物を用意して、ないこが落ち着くまで隣にいた。
そして翌朝。
悠佑はいふに連絡し、メンバー全員と相談して、ないこの仕事を一時的に引き継ぐことを決めた。
ないこには、一週間の休みが与えられた。
それは、七日間で元気にならなければいけないという約束ではなかった。
これ以上、ひとりで限界を超えないための、最初の一歩だった。
第五話「1日何もしなくていい」
休み初日。
ないこは、自分のベッドで目を覚ました。
隣には誰もいない。
昨夜、悠佑は「何かあったらすぐ連絡するんやで」と言って、自分の家に帰っていった。
今日は、自分ひとりだ。
けれど、昨日までとは少し違った。
スマートフォンには、メンバーからのメッセージが届いていた。
ありうら:ないくん、おはよう。今日は何もしなくていいからね!
ほとけ:ないちゃん、何かあったらすぐ呼んでね! 電話でもいいから!
初兎:ないちゃん、返事は無理せんでええからな。ちゃんと休みや
いふ:仕事の連絡は俺が受ける。お前は見んでええ
悠佑:起きたら一言だけでも連絡してな。体調だけ教えてくれたらええから
ないこは画面を見つめた。
みんな、それぞれの家にいる。
自分の生活がある。
それでも、こうして気にかけてくれる。
「……ありがと」
小さく呟いて、返信を打った。
あないこ:おはよう。今日はゆっくりするね
送信すると、すぐにほとけからスタンプが返ってきた。
ないこは少し笑った。
それから、スマートフォンを置いた。
仕事をしなくていい。
何かを完成させなくてもいい。
誰かの期待に応えなくてもいい。
そう言われているのに、落ち着かなかった。
何もしないことに、罪悪感があった。
自分が休んでいる間にも、みんなは働いている。
その事実を考えると、胸が苦しくなる。
「……俺、ほんとに休んでていいのかな」
答えは分かっている。
それでも、不安は消えなかった。
昼になっても、食欲は戻らなかった。
食べることを考えるだけで、怖くなる。
けれど、食べないことを選んでも、気持ちは落ち着かない。
ないこはしばらく迷ったあと、悠佑にメッセージを送った。
ないこ:あにき、食べるのがちょっと怖い
送信した直後、胸がどきどきした。
こんなことを言ってしまってよかったのだろうか。
面倒だと思われないだろうか。
でも、悠佑から返ってきたのは、思っていたのと違う言葉だった。
悠佑:言うてくれてありがとうな
続けて、もう一通。
悠佑:無理に食べようとせんでええけど、体が心配やから、一緒に考えよ。必要なら病院にも相談しよな
ないこは画面を見つめた。
責められなかった。
怒られなかった。
ただ、心配してくれた。
ないこ:……うん
たった二文字を送るのにも、勇気が必要だった。
けれど、その二文字を送れたことが、ほんの少し嬉しかった。
第六話「六人、それぞれの場所から」
二日目。
悠佑から、朝に電話がかかってきた。
「ないこ、体調どない?」
『……昨日よりは、ちょっと落ち着いた』
「そっか。よかったわ」
『あにき、仕事は?』
「やっとるよ。いふも手伝ってくれとる」
『……ごめんね』
「また謝る」
『……だって』
「ないこ」
悠佑の声が、少しだけ真剣になる。
「お前が休むことも、今の仕事のうちやと思っとき」
『……え?』
「元気になるために休む。それも大事な仕事やろ」
ないこは、何も言えなかった。
「今日は、何か食べられそうか?」
『……まだ、ちょっと怖い』
「そっか。ほな、無理せず専門の人にも相談しよ。俺、必要なら一緒に行くから」
『……うん』
電話を切ったあと、ないこはしばらく考えた。
食べては吐くことが続いている。
自分だけでどうにかしようとしても、うまくいかない。
だからこそ、誰かに相談することも考えてみようと思った。
すぐに全部が解決するわけじゃない。
でも、ひとりで抱え続けるより、ずっといいはずだった。
その日の午後。
りうらから電話がかかってきた。
『ないくん! 今、大丈夫?』
「うん、大丈夫だよ」
『よかった! あのね、事務所で面白いことあってさ』
りうらは、今日あった出来事を楽しそうに話し始めた。
ないこは、相槌を打ちながら聞いていた。
くだらない話。
ちょっとした失敗。
ほとけとのやりとり。
そんな何気ない日常が、今はありがたかった。
『……ないくん?』
「ん?」
『今、ちょっと笑ったでしょ』
「……え?」
『久しぶりに、ちゃんと笑った声聞いた気がする』
ないこは、思わず黙った。
りうらの声が、少しだけ優しくなる。
『りうら、ないくんのこと心配だったんだよ』
「……ごめんね」
『謝らなくていいよ』
りうらは、はっきりと言った。
『りうらさ、ないくんが元気じゃないときも、ないくんのこと好きだし』
「……っ」
『だから、元気なふりしなくていいからね』
ないこは、目を閉じた。
「……ありがと、りうら」
『うん! また電話するね!』
「うん」
通話が終わる。
ないこは、スマートフォンを胸に抱いた。
心配をかけたくない。
そう思っていた。
けれど、心配させないために自分を隠すことが、必ずしも優しさではないのかもしれない。
そう思えた。
三日目。
ほとけが、ないこの家を訪ねてきた。
事前に連絡をくれて、ないこが了承したうえでの訪問だった。
玄関を開けると、ほとけは少しだけ緊張した顔をしていた。
「……ないちゃん」
「……ほとけっち」
「来ちゃった」
「うん。いらっしゃい」
ほとけは、持ってきた袋を見せた。
「これ、飲み物とか、ゼリーとか。食べられそうなものがあったらと思って」
ないこは、袋を受け取った。
「……ありがとう」
「あとね、今日は僕、何も聞かない!」
「……え?」
「ないちゃんが話したくなったら聞くけど、無理に話さなくていいよ。今日は一緒に動画でも見よう!」
ほとけらしい提案だった。
ないこは、少し笑った。
「……うん」
二人でソファに座り、動画を見る。
ほとけが大げさに笑うたび、ないこも小さく笑った。
しばらくして、ないこがぽつりと呟いた。
「……ほとけっち」
「ん?」
「俺、最近ずっと、みんなに嫌われるのが怖かったんだ」
ほとけは、静かに顔を向けた。
「仕事ができなくなったら、リーダーじゃなくなったら、みんなに必要とされなくなるんじゃないかって」
「……ないちゃん」
「俺、みんなのこと大好きだから。嫌われたくなくて……ちゃんとしなきゃって思ってた」
ほとけは、少しだけ眉を下げた。
「……僕、ないちゃんのこと、仕事ができるから好きなわけじゃないよ」
「……」
「一緒にいると楽しいし、優しいし、たまに変なこと言うし、お寿司の話になるとめっちゃ元気になるし!」
「ちょっと、最後の何?」
ないこが笑うと、ほとけも笑った。
「そういう、ないちゃんが好きなんだよ」
その言葉に、ないこの目が潤んだ。
「……そっか」
「うん。だからね、元気じゃない日があっても、僕はないちゃんの味方だよ」
ほとけは、そっとないこの肩に寄りかかった。
「……ずっとね」
ないこは、ほとけの頭を優しく撫でた。
「……ありがとう」
「僕が頭撫でたかった!なんかないちゃん自然とそれできるのずるい!!」
「そんなこと言われても知らないよ、笑」
「あはは!笑笑」
その日は、ほとけが帰ったあとも、ないこの心に温かさが残っていた。
四日目。
初兎から、メッセージが届いた。
初兎:ないちゃん、今日ちょっと電話できる?
ないこ:できるよ!
電話をかけると、初兎の声が聞こえた。
『ないちゃん、調子どう?』
「……まだ、ちょっとしんどい」
『そっか』
初兎は、無理に励まさなかった。
ただ、静かに話を聞いてくれた。
『なあ、ないちゃん』
「ん?」
『僕さ、ないちゃんが無理してるん、気づいてたんよ』
「……え?」
『でも、忙しいんかなって思って、ちゃんと聞けんかった』
初兎の声が、少しだけ沈む。
『ごめんな』
「……初兎ちゃんが謝ることじゃないよ」
『でもな、僕、ないちゃんがしんどいときに、ちゃんと気づいてあげたかったんよ』
ないこは、唇を噛んだ。
『せやから。これからは、もっと頼ってな』
「……うん」
『僕、慰めるん得意やで?』
「……自分で言う?」
『得意やもん!』
いつもの調子に戻った初兎に、ないこは思わず笑った。
『ほら、笑った!』
「……うるさいなあ」
『ええやん。ないちゃんの笑い声、好きやねん』
ないこは、また少し泣きそうになった。
「……俺も、初兎と話せて嬉しいよ」
『おう。またいつでも電話してな』
その夜、ないこは久しぶりに、少しだけ安心して眠ることができた。
第七話「相棒だから」
五日目。
いふが、ないこの家を訪ねてきた。
仕事の引き継ぎについて話すためだったが、玄関を開けたないこの顔を見るなり、いふは眉を寄せた。
「……ないこ、ちゃんと休んどる?」
「休んでるよ」
「ほんまか?」
「……ほんと」
「仕事のメール、見てへん?」
「……」
「ないこ?」
「……ちょっとだけ」
いふは、深いため息をついた。
「お前なあ……」
「ごめん」
「いや、怒ってるんちゃう」
いふは、少し困ったように笑った。
「ただ、休むって決めたんやから、ちゃんと休んでほしいんよ」
「……うん」
二人はリビングに移動した。
いふは持ってきた資料をテーブルに置いた。
「仕事のことは、俺がやる。お前は何もせんでええ」
「……でも、まろだって忙しいじゃん」
「忙しいよ」
いふは即答した。
「でも、お前が倒れるほうが嫌や」
ないこは、言葉を失った。
「……まろ」
「ん?」
「俺、まろの相方失格かな」
いふの表情が変わった。
「……は?」
「だって、仕事もできなくなって、みんなに迷惑かけて……」
「ないこ」
いふは、ないこの言葉を遮った。
「お前、自分がしんどいときまで、俺に気ぃ遣うん?」
「……」
「相方って、仕事を全部こなせるやつの ことちゃうやろ」
いふは、真剣な目でないこを見た。
「一緒に悩んで、一緒に考えて、しんどいときは支え合う。それが相方やと俺は思っとる」
ないこの目から、涙がこぼれた。
「……俺、怖かったんだよ」
「うん」
「みんなに頼ったら、失望されるんじゃないかって……」
「せえへんよ」
いふは、迷わず答えた。
「俺は、お前が無理して壊れていくほうが、よっぽど嫌や」
ないこは、顔を覆った。
「……っ、ごめん……」
「謝らんでええって」
いふは、そっとないこの肩を叩いた。
「今は、俺に頼っとけ」
その言葉に、ないこは小さく頷いた。
「……うん」
「よし」
いふは、少しだけ笑った。
「ほな、仕事の話はここまで。今日はお前の好きな香水の話でもしよか」
「……え?」
「この前、新しいの買ったんやろ?」
「……なんで知ってんの!?」
「前にめっちゃ語っとったやん」
「……そんなに?」
「そらもう、止まらんかったで」
ないこは、思わず笑った。
いふも笑った。
久しぶりに、仕事のことを忘れて話すことができた。
六日目。
ないこは、悠佑と一緒に医療機関へ相談に行くことを決めた。
食べては吐くことが続いていること。
眠れないこと。
仕事のことが頭から離れず、休むことにも罪悪感があること。
うまく言葉にできない部分もあったが、悠佑がそばにいてくれたおかげで、少しずつ話すことができた。
帰り道。
ないこは、ぽつりと呟いた。
「……あにき」
「ん?」
「俺、ちゃんと良くなるかな」
悠佑は、少し考えてから答えた。
「今すぐ全部が良くなるとは言えへん。でも、ちゃんと相談できたやろ」
「……うん」
「それだけでも、一歩やで」
ないこは、俯いた。
「……俺、また無理しちゃいそうで怖い」
「そしたら、また相談したらええ」
「……」
「一回休んだからって、全部解決するわけやない。しんどくなったら、また休んでええんや」
悠佑は、ないこの頭を軽く撫でた。
「俺らもおるしな」
ないこは、目を細めた。
「……ありがとう、あにき」
「おう」
その日の夜、ないこはグループLINEにメッセージを送った。
ないこ:みんな、ありがとう。まだちょっとしんどいけど、相談にも行けたよ
すぐに返信が来た。
りうら:よかった……! ないくん、えらい!
ほとけ:ないちゃん、無理しないでね!!
初兎:よう頑張ったな、ないちゃん
いふ:焦らんでええからな
悠佑:何かあったら、いつでも連絡してええで
ないこは、画面を見つめながら笑った。
一週間で全部が治るわけではない。
まだ不安もある。
食べることへの怖さも、完全には消えていない。
けれど、以前とは違う。
自分の苦しさを、誰かに伝えることができた。
助けてほしいと言えた。
それだけでも、大きな変化だった。
第八話「7日目の約束」
七日目の朝。
ないこは、久しぶりに少し早く目を覚ました。
窓から差し込む光が、部屋を明るく照らしている。
スマートフォンを見ると、メンバーからメッセージが届いていた。
りうら:ないくん、今日で一週間だけど、無理に仕事戻らなくていいからね!
ほとけ:僕たち、ないちゃんが元気になるまで待ってるから!
初兎:仕事より体調優先やで。ほんまに
いふ:復帰のタイミングは、体調と相談して決めよ
悠佑:今日、みんなで電話せえへん?
ないこは、ゆっくりと息を吐いた。
一週間。
あっという間だった。
けれど、何もかもが元どおりになったわけではない。
まだ、仕事のことを考えると不安になる。
食事のあとに気分が悪くならないか、心配になることもある。
それでも、以前のように何もかもひとりで抱え込むつもりはなかった。
ないこは、返信を打った
ないこ:うん、みんなと話したい
夜。
それぞれ自分の家にいるメンバーが、通話に集まった。
画面に六人の顔が並ぶ。
「ないちゃーん!」
ほとけが手を振る。
「お、ないくん! 元気?」
りうらが笑う。
「ないちゃん、顔色ちょっと良くなったんちゃう?」
初兎が画面を覗き込む。
「そうかな……?」
ないこは照れくさそうに笑った。
いふが口を開く。
「ないこ、明日から仕事戻るとか考えてへんよな?」
「……え?」
「まだ一週間やで。焦る必要ないやろ」
「……うん。分かってる」
ないこは、少しだけ間を置いた。
「……俺、まだ、完全には元気じゃないと思う」
みんなが静かになった。
「仕事のこと考えると不安になるし、食事もまだ怖いときがある。だから……もう少し、自分の体調を優先したい」
自分から、そう言えた。
以前の自分なら、きっと言えなかった。
一週間休んだのだから、もう大丈夫だと。
そう言って、無理に復帰しようとしていたと思う。
でも、今は違う。
「……みんなに、もう少しだけ頼ってもいい?」
一瞬の沈黙。
そのあと、悠佑が笑った。
「当たり前やろ」
「ないちゃん、むしろもっと頼ってよ!」
ほとけが大きく頷く。
「俺も、ないくんとまたご飯行きたいし!」
りうらが続ける。
「せやな。元気になったら、みんなで遊びに行こな」
初兎も笑った。
いふは、少しだけ呆れたように肩をすくめた。
「ほんま、最初からそう言えばええのに」
「……ごめん」
「また謝る!」
みんなが笑った。
ないこも、笑った。
そして、少しだけ目を伏せてから、言った。
「……ありがとう。俺、みんなのこと、大好きだよ」
「知っとるわ!」
初兎がツッコむ。
「僕も大好きー!」
ほとけが手を振る。
「俺も!」
りうらが笑う。
「俺もやで、ないこ」
悠佑が優しく言う。
「……俺も。大切なリーダーやからな」
いふの言葉に、ないこは目を潤ませた。
「……うん」
その夜、ないこは久しぶりに、安心して眠ることができた。
まだ、これからも不安になる日はあるだろう。
また、頑張りすぎてしまう日もあるかもしれない。
でも、そのときは。
「……ちゃんと、言おう」
ひとりで抱え込まずに、助けてほしいと伝えよう。
そう決めて、ないこは目を閉じた。
エピローグ
数日後。
ないこは、自宅のソファに座っていた。
テーブルの上には、悠佑が差し入れてくれたスープ。
スマートフォンには、ほとけから送られてきた動画。
りうらからは、事務所であったほとけとの出来事の報告。
初兎からは、猫の写真。
いふからは、仕事の進捗と、無理をしていないかという確認。
みんな、それぞれの家で、自分の生活を送っている。
それでも、ないこのことを気にかけてくれていた。
ないこは、ひとつずつメッセージに返信した。
そして、最後にグループLINEへ送る。
ないこ:みんな、いつもありがとう。俺、少しずつだけど、ちゃんと休めるようになってきたよ
すぐに、たくさんの返信が届いた。
ないこは、画面を見つめながら微笑んだ。
頑張れる自分だけが、価値のある自分だと思っていた。
誰かを支えられる自分でいなければ、ここにいてはいけないと思っていた。
けれど、違った。
弱くなってもいい。
立ち止まってもいい。
誰かに頼ってもいい。
自分がみんなを大切に思っているように、みんなも自分を大切に思ってくれている。
だから、これからは。
「……もうちょっと、自分のことも大事にしよ」
小さく呟いて、ないこは温かいスープを手に取った。
まだ少しだけ不安はある。
でも、焦らなくていい。
自分のペースで、少しずつ。
そして、またみんなと笑って過ごせる日を、ゆっくり待とう。
リーダーだからじゃない。社長だからでもない。
ないこだから、大切なんだ。
そう教えてくれた五人のことを思いながら、ないこは静かに微笑んだ。
──七日間の休みは終わっても、ないこがひとりで頑張らなくていい日々は、ここから始まる。
終わりです!!長かったねごめんねおめめ疲れてないかい?😭😭
明日も投稿するのでお楽しみに🙂↕️🙂↕️
てか私が浮上してない間にいれいす色々ありすぎてとても嬉しい☺️☺️
顔出し下から私の愛しのゆすけさんのお顔皆見れるようになったけどいかが?可愛いでしょー?☺️☺️☺️
コメント
3件
るーさん!!! 久々の更新嬉しいです😭 これから5日間も見れるなんて幸せ🥹 おかえりなさい!
るーさん!お久しぶりです🫶🏻💕︎︎ 今回の話もとても良い作品でした!!! 今週文化祭もあってるーさんの作品も見れるって今週めちゃ学校頑張れます🥹💗

久しぶりの投稿嬉しすぎます! るーさんの書くお話大好きなので5日間楽しみでしかないです✨️