テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
タイトル「DecadenceBoys」
「未成年に関わらず飲酒と喫煙か…」
捲っている資料からニコライに目を移す
「嗚呼、ああ、そうだよ。大正解だおっさん」
真っ赤な顔で天を仰ぎながら、アイザックに目をやる
「今自分の立場がわかってるのかニコライ・アディソン」
「知らないね」
ヒック、としゃっくりを1回したあと、立ち上がり、窓から外を見る
「外に出たいんだよ、出させてくれよ。なあおっさん」
「ダメだ。まだ事情聴取は終わってない」
その声が聞こえていないのか、ゆっくりとニコライはドアに近づき、ドアノブに手を掛ける
「命令だ。部屋から出るな」
「頭がイタいんだよ…アンタみたいな警察官には判らないだろうがな…俺のこの苦痛が判らないだろう?」
ヨロヨロと蹌踉めきながらドアノブに力を加え、捻ろうとするニコライの腕を掴み、語りかける
「外は後から幾らでも出られるだろ」
「そうかな」
「何かあったのか」
「なんでもない」
「…本当か?」
「なんでもないつってんだろ!」
テーブルを勢いよく蹴った振動で、数本の鉛筆が地面に落ちる
「なにをする」
アイザックの手を強引に振りほどき、ドアを体当たりするように力強く開ける
ーーーー
「84年製の車か…良いね、最高に格好いい。なあ、おっさん。アンタも読めよ」
玄関ホールに置かれた椅子に座りながら、車雑誌を押しつけるようにアイザックに勧める
「いや、私はいい」
「車雑誌だ。男なら皆大好きだろ」
「人によるだろう」
アイザックはそう言いながら、ポケットに手を入れ、ニコライに語りかける
「両親は今グリーンバレー街のルート14に居るらしい。あと少しで来るな」
「俺に両親は居ないが」
「高校生が独り立ちか?それとも反抗期か?」
「構うなよ」
車のエンジン音と光が小さな警察署を横切り、車から男女が降りてくる
「ニコライ!」
怒号が玄関ホールに響き渡り、母親らしき人が後ろからついてくる
「ニコライ!お前自分が何をしたか判ってるのか!お陰で赤っ恥だぞ」
胸ぐらを掴み、威圧するように叫ぶ父親の服の袖を掴み、「やめましょうよ、ねえ、あなた」と止める女に向かって「黙ってなさいアーシー」と威圧混じりに制圧する
「あなたが母親のアーシー・アディソン?」
アーシーは数回頷き、「あなたは?」と逆に問い返す
「私は少年課のアイザック・ウィルソンです」
「嗚呼、すいませんアイザックさん。私の息子が」
胸ぐらから手を離し、穏やかな声で挨拶をする
「父のジャック・アディソンです。よろしく」
ジャックの伸ばした右手に、自分の右手を重ねる
「握手なんかしてどうする」
睨みながら椅子の肘掛けを使って立ちあがり、少しずつジャックに近づく
「俺をまた撲つつもりか、お父さん」
「何を言う。ああ、すいませんね。最近反抗期でして」
ニコライの手を強引に引っ張り、「お前は早く車に乗りなさい」と低い強い声で促す
「ッチ…」
ジャックの言うまま、母に肩を抱かれながら車に向かう
「では、息子がお世話になりました」
軽く会釈をしてその場を立ち去った
ーーーー
「ねえ、ニコライ。今日はお父さん出張だから、どこかに出かけない?」
スクランブルエッグをパンに挟み、かじりつきながら、頭を横に振る
「今日はダチと遊ぶんだよ」
「ダチって…あのチンピラ?」
「大丈夫。別に犯罪はしないって」
「昨日未成年飲酒と喫煙で補導されたでしょう」
黙り込むニコライに、更に畳みかける
「それによく近所の人達とケンカするじゃないの。暴力はやめてって言ってるじゃない」
答えないニコライに、「ニコライ、聞いて」と少し強い声で言うも答えず、ニコライは立ち上がって食器を片づける
「世間体を気にするお父さんの腰巾着の言うがままになりたくない」
「なんですって?」
「腰巾着って言ったんだよ。首輪つけられてワンワン鳴く飼い犬みたいで滑稽だね」
「あなたね。私は心配して…」
「心配してるならどうして俺を見てくれない」
「…」
「男になりたいんだ。クールでナイスな男に。判ってる。力を誇示するだけが強さじゃないって。でも…でも周りに比べたらあまりにも取り柄がないんだ。だから早く大人になりたいのに…誰も俺を見てくれない。虐められてもずっとみてみぬふりだ!」
「違うわニコライ。それはあなたが…」
「俺に「あなたが気づいてないだけ」って言うつもりか?」
無言のまま立ち尽くす母親に背を向け、早足で玄関へ向かう
「ちょ、ちょっとニコライ!何処行くの!」
その叫びを無視して、家を飛び出した
ーーーー
自分の車から降り、崖を見下ろす
「高いな。ここでやるのか?ジェイムス。ハザードレースっての」
「ああ、だが…ちぃとばかし早いな。深夜まで待つか」
いじめっ子グループのリーダー、ジェイムス・スタッキーが車のボンネットに座りながら言う
「にしても意外だな。まさか逃げずに来るとは」
「俺はやる時ァやるタイプなんだ」
「っは、そうかいヒヨッコ」
ーーーー
バニーガールのバーにジェイムスとその取り巻きと共に入る
「好きな奴頼めよ」
そう言ってメニュー表を渡し、そのメニュー表に目を落した時、顔全体に冷たい感覚が襲う
「ゲホッ…ゴボ…」
「ハハハハ。眠気を覚ますには水がいいと聞いてな」
ケラケラと笑うジェイムスを睨み付けながら、カウンターに居るバニーガールの店員にメロンソーダを頼む
「ああ、俺はコーヒーで」
ジェイムスの注文に、取り巻き達は「大人だなぁ」「ああ、俺もコーヒー」「どっかの腰抜けとは大違いだなぁジェイムス」とジェイムスを持ち上げるように盛り上げる
ジェイムスは、水をかけるときに使った水筒の中にある水を飲みながら言う
「俺、お前のこと好きだぜ。弄り甲斐がある」
その言葉を無視して、独特な雰囲気を漂わせるバニーガールバーの店員が出したメロンソーダを一口飲んだ
ーーーー
バニーガールバーで昼間で時間を潰し、ゲームセンターで夜まで時間を潰す
「何で朝に俺を誘ったんだ」
前に居るジェイムスに問う
「焦るなよ。まだ夜は始まってないぜ」
妙に格好つけた言い方に腹が立つ
「ああ、そう」
「しかし、俺も変わったな」
先ほどの自販機で買ったコーラの缶を持ちながらジェイムスは言った
「母さんが死んでから」
「なんだと?」
「判らないか?母さんが病気で死んでから、俺は変わったなって意味だよ」
コーラを持つ左手の親指を伸ばし、ニコライを指さす
「羨ましいぜ。母親が居て。俺には居ない。居るのは祖父に雇われたお手伝いだけだ」
「可哀想だな」
「笑えよ」
小学生の時に不注意で起こした火災で祖母を死なせ、祖父に見限られた
唯一みてくれた母は病死だった
母子家庭のジェイムスは、一気に家族を失った
寂しかったとも言えず、自身のプライドと祖父の期待で強がっていた
似た心境のニコライを見下し、イジめ、自尊心を保とうとした
「俺を、笑えよ」
ーーーー
ゲームセンターで夜まで時間を潰し、崖まで自分の車で登る
風がなびく崖の上で、ジェイムスとニコライ、ジェイムスの取り巻き、そして野次馬の少年少女の車のヘッドライトが白や黄色に光る
「お前が先行だ。ニコライ。ルールはブレーキを踏んだ数が多い方が負けで、同じ数か一度も踏まないなら勝ち。ダウンヒルとヒルクライムで交代しよう。ヒルクライムでラウンド1だ。クラッシュしても負けだぜ」
「…ラウンドは何回だ?」
「4」
「わかった」
「気をつけろよ。この崖道は2台並んで並走するのがやっとなんだからな」
自分の車のドアに手をかけた時、ジェイムスは1つ付け足した
「バトルはフェアじゃない。それだけは言っとくぜ」
構成案:
ニコライ達はハザードレースを始めようと、画策する
↓
いじめっ子のリーダーと車でチキンレース
↓
1ラウンド目でジェイムスがニコライにちょっかいをかけ続ける(ニコライは先行)
これによりジェイムスのシャフトなどが歪み、3ラウンド目でジェイムスのタイヤがスリップ(ニコライは先行)
スリップした衝撃でガードレールにぶつかり、慌ててジェイムスは軌道修正するも失敗し、更に壁にぶつかり、てこの原理で車体が跳ね上がり横転
↓
ジェイムス死亡
↓
警察は事故として処理する
↓
いじめっ子達との間で「ニコライ擁護派」と「ニコライ否定派」に別れギスギスする
↓
更にいじめっ子達との溝が深まり、内部でも殺伐とした空気が流れる
↓
ある日、擁護派の人を否定派が癇癪により殺人
↓
否定派の人はそれらを隠蔽する者や逃げる者に別れていく
ハザードレース:
狭い崖道(車2台並走がやっと)を縦に並んで走り、ヒルクライムが終わり崖まで来たら、今度はダウンヒルレース
その際、ヒルクライムで後追いした車はダウンヒルで先行、先行の車は後追いと後退し、ダウンヒルで先行の車は後追い、後追いの車は先行と交代し続ける
後追いの車は先行にちょっかいをかけ、先行車か後追いの車どちらがブレーキを踏むか(もしくはクラッシュするか)を競う
クラッシュの判定はスピンや横転、落下
クラッシュした場合その時点でチキンとなる
ラウンドは4回(ヒルクライムでラウンド1、ダウンヒルでラウンド1)で、ブレーキを踏んだ(引いた)数が多い方が負けで、ブレーキを踏んだ数が同じだったり、両者ともブレーキを一度も踏まなかった場合は両方「勝ち」
未完成品ですが…まあ、生存報告という事で
#たぐなんかねえよお前なにいっとん
潮田ゆうた
4,326
コメント
6件
はい先生!! ヒルクライムとダウンヒルって何ですか!
みぅだよ🤍🥀 第770話、読んだよ…「DecadenceBoys」の進捗、ありがとう。まだ未完成って言うけど、もう既にすごく重くてリアルで、息が詰まる空気が伝わってきた。ニコライの「どうして俺を見てくれない」って言葉が胸に刺さったな。ジェイムスの背景も含めて、誰もが孤独で、誰もが間違った方向にしか叫べなくて…この先もちゃんと受け止めたいから、更新楽しみにしてるね🌙