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いつか、2人に渡せたら、それ以上の幸せは無いだろう。……ー
「っは、ぁ…ryo、ちゃ…」
また、夢、?
「ん…mtk、?寝れない、?」
「ん…、」
「こっちおいで。」
ふわりと抱き締める。…お互いの体温と匂いで、冷たい体がほぐれていく。
…あぁ、なんだろう、まるで、懐かしい故郷に帰ったような。…そんな、温かい気持ち。
…懐かしい、?…なんだろう、過去にもう一度、こんなことがあった気がする。
「は、っ、ぁ、」
また、夢。…現実との区別が段々つかなくなってきた。何時、この夢から目覚めることが出来るのだろうか。
「…っさむ、」
時刻を確認しようと見慣れた自分のスマホを手に取り、電源をつけようと試みたが画面は暗くなったままだった。…おそらく充電切れだろう。一階に降り、壁にかけてある時計に目をやる。…その時計もまた、止まっていた。
その瞬間、僕は全てを思い出した。
…床には、壊れた写真立てと、割れた花瓶。割れた花瓶の中には、枯れかけた黄色いユリが、一本。
…これ、僕の誕生日パーティーの日に二人が持ってきてくれたんだよね。…「メンカラだし、明るい黄色がryoちゃんに似合うと思って買ってきたよ。」って笑顔で渡してくれたっけ。あの時の笑顔は、今でも鮮明に思い出すことが出来る。…でも、その後…、
いつからだろう。まるで、あの時に戻ったような夢を見るようになったのは。…僕の過去の思い出にまで、二人が出てくるようになったのは。…まるで、あの時の人が二人だったかのように。……しかも、それ全部が、mtkからの視点だった。だから、夢に出てきたこと全てが真実かはわからないけど、「あの時、こんな事思ってたんだ」って今更になって気付いてさ。…「あの時こうしておけばよかった」「もしかしたら変えられたかもしれない」って意味のない後悔に縛られて、一人で、生きていくのが、段々と苦しくなった。
…だから、僕は、大量の薬を飲んでそのまま死んでしまうつもりだった。…どれくらい眠っていたかは分からない。でも、目を開けたら、そこには見飽きた灰色の部屋。…まだ、罪を償いきれていないということなのかもしれない。
意味もなくベランダのドアを開けると、明るい日差しが僕を貫いた。その光はまるで、二人がくれた、温もりのようだった。…僕はそのまま揺れるカーテンを眺めながら、二人のことを思い出していた。…あの日のことを。
「「やっほー!来たよ!」」
「ありがとう!わざわざ誕生日会なんて…」
「僕たちがやりたかっただけだから、気にしないでよね!」
「あ、これ…mtkと選んだんだけどさ。」
「黄色い、ユリ?」
「そう!メンカラだし、明るい黄色がryoちゃんに似合うと思って買ってきたんだよ!」
「えー!嬉しい、ありがとう!」
玄関で少し話したあと、三人で楽しくパーティーをした。会話の内容は自然とmtkへの心配が多くなっていって、僕は「無理しないでよね」って言ったけど、mtkは「大丈夫だよ」って笑っただけだった。その後、二人は「また来るね」って微笑んで、最後に僕を抱き締めた後、家を出て行った。今思えば、その時僕を抱き締めた手は震えていて、明らかに何かがおかしかったはずだ。…その数時間後、夜の、二時。電話がかかってきた。…警察からだった。「貴方の知り合いだと思われる人が、…」その瞬間、僕は耳をふさいだ。…だって、嘘だもん。数時間前まで、仲良くお喋りして、、それなのに、「病院に運ばれましたが、息を引き取りました」なんて。そんな、無慈悲なこと言わないでよ。…あの時の感覚は、今でも鮮明に覚えている。一気に体が冷えていく感覚。…でも、僕が絶望に陥ったのは、その後知ることになる、衝撃の事実だった。
二人は、…………………………………自死だった。
あの後警察は、事件の可能性も考えて、捜査を続けていたらしい。…そしたら、二人の家から、計画表が見つかったらしい。…その内容は、かなり細かく書かれていて、「ryoちゃんに止められたら」など、いくつかの計画変更の場合の注意事項なども書かれていた。…僕は、予定表をパラパラと見た後、1番後ろのページに短く文章が書かれていた。おそらく二人が書いたであろう文字に少し悲しさを感じながらも、その文章を読んだ。
「ryoちゃんの誕生日までは、死なないこと。絶対、!」
「どんなに辛くても、ryoちゃんの誕生日は、三人で迎えること!」
紛れもなく、二人の字だ。そう分かった瞬間、抑えていた感情が溢れ出してしまった。
自死するほど、辛かったはずなのに、なんで、?なんでよ、…僕の誕生日までは、って。もっと、ずっと、一緒に居て欲しかった。来年の、mtkの誕生日もwkiの誕生日も、僕の誕生日も、また、三人で、誕生日、集まろうよ。いつもみたいに雑談してさ…ねぇ、
「戻ってきて…」
そう呟いた僕の声は自分のものとは思えないほど、震えていて、弱々しかった。灰色の部屋に場違いな明るい光が差し込んでいる。…充電したスマホを起動し、今日の日程を確認する。だが日程を確認する前に、スクロールしていた僕の指は止まった。…mtkから、メールが来ていたからだ。
僕は急いでメールを開き、送られた日付を見る。…それは、あの日mtkたちが家を出て、すぐ後の時間帯だった。…そのメールには音源が貼り付けられており、僕は震える指で再生ボタンを押した。
……不幸の雨が振り続き 傘もない僕は 佇む毎日………
「umbrella…」
mtkの、声と、wkiのギター、、
……僕が傘になる 音になって会いに行くから…
「っ゙…もう傘はいいね、…… 僕がただ会いに行くから…、…ねぇ、mtk、wki。」
なぜ、会いに行けない?こんなにも、愛していたというのに。なんで、なんでよ、「もう傘はいいね」じゃないよ、僕が、二人に、伝えられていたら…それなのに、僕が、ッ゙気付けないまま、…
「…ッ゙ねぇ、二人、あの時幸せだった、?…二人が本当に望んでいたなら、良いんだよ、…僕は。」
…嘘。本当はあの時、気が狂いそうだった。二人がいないのに、僕はどう生きていけば良いのか、と。…あの日は、激しい雨だった。…二人は、お互いに傘をさしてやって来たのを今でも覚えている。あの笑顔が偽物だとは思えない。あの時の笑顔は、あの時だけは、本物だったよね?、、、きっと。今もまだ、信じてる。
今日は、5月19日。僕は今日もまた、愛しい二人を思い出す。
** 「黄色いユリ」…陽気、不安、偽り。**
「umbrella.」 Fin.