何でも許せる方向け
・出てくる全てのこと、物、人に関係なし
・ド捏造
・腐若干香る(付き合っては無い)
上全て理解出来た方のみお読み下さい。
寒い日のつぼ浦と青井の話。
「はぁ〜……寒。」
吐いた息は白くなって空気に溶けていく。ロスサントスは今日も今日とて白銀世界だ。柔らかい雪がふわふわと地面に降り立っている。色とりどりの屋根の上に雪が積もり、全部真っ白でお揃い状態だ。
まだまだ無限に降ってくる雪を屋上で眺めているのは、ロスサントス警察官青井らだおである。少し前の事件で使ったヘリを修理した後、ボーッと煙草を吸っていた。
今日は手が悴んでいつもよりヘリが上手くできなかったな、今日は寒かったからマフラーを付けてたけどもっと服着込めばよかったな、などと考えていたら、ガチャっと屋上の扉が開いて、人が出てきた。
「さみ〜!!…あ?アオセンじゃねぇか。何やってんすか?」
出てきたのは歩く狂気、ロケランブッパ悪魔、国家ギャングこと特殊刑事課つぼ浦匠である。今は冬で雪も降っているのに、半袖半ズボンアロハとは相変わらずだ。どうせ指摘しても裏起毛がどうたらこうたら言うんだろうが。
「煙草吸ってた〜…てかつぼ浦お前半袖半ズボンとか正気?見てるだけでめちゃくちゃ寒いんだけど。」
「裏起毛だから大丈夫だ!」
「さみーって言ってたの聞こえてたからな。」
「等々幻聴まで聞こえるようになっちまったのか!可哀想に」
「はぁ…..まぁもういいけどさ。風邪とか引くなよ?あ、馬鹿は風邪引かないかw」
「喧嘩なら喜んで買うぞ??」
「うそうそうそwwいい意味でいい意味でw」
ザッザッとサンダルを地面と擦らせながら歩いてくるつぼ浦とテンポよく話をする。途中バットで殴られそうになったが、とても便利な言葉、 ‘いい意味で’ で乗り切った。
隣に来たつぼ浦を見るとやはり寒そうである。口から漏れる息は白く、鼻先は冷えて真っ赤。よーーーーく見ると小刻みに震えている。なんだやっぱり寒いんじゃん。
「…ねぇお前ほんとに寒くないの?」
「あ?しつこいっすよ!寒くねぇってんだ!」
「ふーーん……………あのさ、」
ふわりとらだおが付けていたマフラーを外す。
「これ、邪魔だから持っといて。」
と言ってつぼ浦の首にするすると付ける。
「…は?なんで俺が持つんすか!てかつける必要あります?」
「うるさいうるさ〜い!なんでもいいでしょ付けといてよ」
なんで俺が、とつぼ浦がボソボソ言っている。そんなつぼ浦に青井が似合ってる似合ってる、とテキトーに言う。
赤いマフラーから、ついさっきまで人が付けていた、とわかる温かさがじんわりと感じられる。別に寒くないのに。わざわざ適当な理由までつけて無理やり押し付けてくるなんて酷い先輩だ。ただまぁ、いつもは迷惑を掛けているから、仕方なく持っておいてやる。
「……..」
マフラーなんかを付けていると、気にしていなくても、ふんわりと匂いを感じてしまうもので。柔らかくて暖かい中に、煙草の苦い匂いがする。いつも青井が吸っている煙草の匂いだ。それになんだか少し安心してしまう事が腹立たしい。
「くっせ。」
「え!?嘘、臭う!?」
「煙草の匂いがします。」
「あ、そういう事かぁ…よかったマジでやめてよ…」
胸の辺りを抑えながら加齢臭かと思った…とボソリと言っているのが聞こえる。言ってもまだ30代成り立てなのに気にしすぎだろ。と心の中で思う。
━━━━銀行強盗発生
「あ、“これらだお行きまーす”…よし。じゃ、マフラー持っといてー」
無線に一言入れた後、直ぐにヘリを出し逃げるように飛び去って行った。
「あ!おいアオセン!!!……はぁ…返そうと思ったのにこれ結局付けたまんまかよ…」
口ではそう言いつつも、口元は嬉しそうに緩んでいた。
おまけ、他の人に見つかった
「エ!!ツボウラそれラダオのじゃナイ!?」
ビシッとマンゴーが指を刺したのはつぼ浦の首元、赤いマフラーだった。
「えそれらだおのなんスか?なんでつぼ浦さんが?」
マンゴーと一緒に話をしていた成瀬も気づいたようだ。
「ん?…あァこれか。なんかアオセンに押し付けられたんだよなぁ…ったくひでぇ先輩だぜ」
呆れつつ、マフラーをふわふわと指先で撫でている。成瀬はそれを見て、ほーん?と何かを思いついたようだ。被り物の下で口元がニヤニヤしている。
「あぁじゃあつぼ浦さんの代わりに、自分が持ちましょうか?」
成瀬がつぼ浦に歩み寄りながら問いかける。
つぼ浦は驚いたように目を丸くした後に、目線を上に向けて、何やら考え込んでいるようだ。
「……まぁ、カニ君に預けてアオセンに後で何か言われたら面倒だからな!!気持ちだけ受け取っとくぜ!ありがとな!」
しばらく考えた後に、ニカッと笑いながら断わる
「あ、了解っす!」
その答えに満足したように成瀬はニッコリと笑った。まぁ、被り物をしているのでつぼ浦には見えていないが。
成瀬はきっと近日中、この街に新たなカップルが生まれるだろうと、期待に目を閉じた。
マフラーと想いと。ー終ー
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