テラーノベル
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※誤字脱字・年齢操作(学パロ)・nmmn・オメガバーズ
ご感想お待ちしております。誰のセリフかわからない等、質問はいつでもお答えします。(訂正も加えます。)
大切なもの、心の奥にそっと 葛葉
「夏の囁き」 葛葉
「葛葉…ごめんっ…僕には…できないや…」
その頃の記憶は全然ない。だけど、この言葉だけは頭の中から離れない。なんでそんなに辛く悲しそうに声をかけるのか、俺には分からなかった。泣かないで、君が泣くと俺も悲しくなるから…
「ずはー…くずはー?」
「っ…」
「あ、やっと起きた…時間だよ、葛葉。」
「ん…」
梅雨は明け、季節は夏に入ろうとしている。いつも通り叶の声で目を覚まし、準備をそそくさと始める。
「もうそろそろで夏休みか~~。」
コップを片手に椅子に座る叶。俺は叶の後を追うように、シャツに腕を通しながらリビングに向かった。
「夏休みって、宿題多いからあんまり好きじゃないんだよね~。夏暑いし、気付いたらあっという間に夏休み終わってるし、そのあとすぐ期末じゃん?」
「なんで?学校は行かなくて済むし、朝も時間通りに起きなくて済むんだぞ?」
「まぁ、確かにしたいことは沢山出来るからいいんだけどね、」
早起きをし、ゆるく談笑しながら準備をする。それが気づいたらルーティーンになっていた。最初は辛かったものの、慣れたらそんなに苦じゃなく、それを楽しんでいる俺に最近気づきつついる。
___続いてのニュースです。昨夜、警察庁ホームページから発表された連続失踪の原因が明らかになり、原因となっている半数が、バースと関係していると言われています。…
テレビからニュースが入ってくる。それを聞きながら朝食を口にする。
「うわ、物騒だねぇ…気を付けてね、葛葉。」
「はぁ?俺なんかが襲われと思ったか?こういうのって大体、恋愛とかくだらねぇ事情でヒートとやら起こす奴らだろ?俺とは無縁だね。」
「心配してやってんだからさぁ…葛葉も例外じゃないんだからね。」
「…」
叶が困った顔をして俺に声をかける。まぁ確かに叶の言ったとおりだ。いつ、俺がこうなるか誰にも分からないし…
「運命の番に会うか分からねぇしな…」
運命とかきれいな言葉で隠されているその言葉。だけどこれは、人との築いてきた関係を崩す諸刃の剣…
「そうだね…」
叶は少し寂しそうに言った。俺はそんな叶に違和感を持たず、コップに口づけた…
「じゃあ、学園祭の内容決めていきましょーー!!」
マイクに大きな声が鳴り響く。今年も学園祭委員長の掛け声で体育館に集まっている全校生徒は右手を掲げる。
「人混みつれぇ~…」
「んふwくーちゃん大丈夫?」
俺は人混みに耐えられず、体育館から少し離れた中庭で休んでいた。
「だいじょばなさそう…くーちゃん呼ぶな。」
この学校は、電子…メタバース?やらをメインに営む最新学校だ。学園祭や演劇祭やらのイベントが多く、俺はもう懲り懲りだ…。
「別の場所行く?」
「ん…」
叶は気を使ってくれたのか、別の場所に移動することを提案してくれた。俺は俺に賛成するように立ち上がる。
―葛葉も例外じゃないんだからね…―
ふと今日の朝叶の言ったことを思い出した…
この世界には、メタバース環境のバグで、バースと言う男女性別以外のものが一部で存在する。俺はその中の一部の人間…この世界で言うなら…オメガバース?みたいなものに似ている。でも、ヒートと言うものは全然起きない。というか、起きるきっかけとして、運命の人と会わなきゃいけない…
「運命なんてただの飾りだ…」
そんなことを今考えてもしょうがない。俺は空き教室の隅で寝る体制に入る。そんなこと考えたくない…自分が闇に落ちるだけだ…
「っ…」
「あ、葛葉起きた。」
「か…なえ?」
目を開けるとそこには白い天井と、叶の顔があった。
「どこ…ここ…?」
「ん?保健室。葛葉寝てたから運んであげたの。」
「あぁ…すまん」
通りで寝苦しくないわけだ…そう思いながら体を上げる。
「別に、僕もサボれてラッキー」
そう言いながら叶はダブルピースをかましてくる。
「…お前」
「いや!あのね!さっきまで体育館で陽キャ達が学園祭予行練習だー!とか言って!心拍数測るドキドキゲームみたいなのやっててさ…マジで大変そうだったんだよ…」
俺が呆れていると冷や汗をかきながら言い訳をしてくる。
「確かに…サボれてよかたわ…」
まぁ…そんなことに巻き込まれるのは面倒だ…そう思い、同情の言葉を口にする。
「ね!でしょ!」
叶はさっきまであったことを大変そうに喋った。
「寝てくれてありがとう葛葉。お前の催眠スキルに感謝するわ…」
「なんか嬉しくねぇんだけど…」
そう言いながら、保健室を後にする。俺はまだ知らなかった。これから自分の身に何が起こるのか、関係は不思議なことに、築くことよりも、壊れる方が怖いということを…。
ここであなたも、knkzの道を開きませんか…?w
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