nmmn、fwakです。
意味がわからない方、苦手な方はお戻りください。
少し長いです。1話完結です!
それではお楽しみください。
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今日俺はついにVTuberとしてデビューする。俺がVTuberを目指したきっかけはある人に憧れたから。その人の名前は三枝明那さん。何気なく見た彼の動画はモノクロだった俺の世界に色を与えた。
何事にも全力でよく笑い、怒り、楽しそうにする彼の姿たくさんのリスナーに笑顔を与えた。俺はそんな彼に憧れを抱いていた。
彼と話してみたい。
そんな気持ちから俺は使い所がなく有り余っていたお金で高い機材を買った。その後彼の所属している事務所に応募し無事に合格。いよいよ今日デビューするというわけだ。
♢♢♢♢♢♢♢♢
「俺三枝明那さんに憧れてていつかお話して見たいんすよぉ。」
そう話す彼。彼の名前は不破湊。1ヶ月ほど前にデビューした俺の後輩である。
リスナー「本人見てるかもよ?」
「本人見てるかもよ?って、、、明那さん俺とコラボお願いシマス……。」
リスナー「がち頼み草」
リスナー「アッキーナ頼むー!」
なんで俺なんかに憧れ抱いてんのよ。
彼が俺に憧れていると知ったのは今から2週間ほど前である。リスナーからきた動画がきっかけだった。彼が俺に憧れていると知った時1番に思ったことは「なんで俺?」だった。たくさんのライバーがいる中でなんでこんな俺の事を好きになったのかが分からなかった。
俺は自分が好きではない。すぐに傷つき、落ち込み、病んでしまう。俺はそんな自己肯定感の低い自分がとても嫌いである。
配信ではそんな姿は決して見せない。彼は俺の”表の部分”しか見てないのだ。
俺はTwitterをひらく。自分ではやめておけばいいのにと思うがまたエゴサをしてしまう。俺を否定するコメントばかり見つけては傷つく毎日。
だからであろうか。彼が俺を憧れていると聞いて少し嬉しかった自分がいたのは。俺を好きと言ってくれる。そんな彼を俺は追うようになってしまった。
彼の配信を見ていて思うこと、それは「陽キャだな。」である。俺とは到底関わることの無い人間。そう感じてしまう。しかし心の奥底で「彼と話せたら楽しいだろうな。」と思う自分がいる。
「俺ってもしかして欲張り?」
彼に対する好奇心を抑えながら今日も配信を始める。
今日は雑談配信である。配信を初めて30分ほどたった頃あるコメントが目に入る。
「明那、不破くんとコラボしないの?」
コラボ…。そんなんできるならとっくにしてるよと心の中でツッこむ。
ずっと見ているだけの自分。変えたい、変わりたい。配信が終わり俺はいつものように彼の配信を見ていた。
「あはは、やっぱおもしれぇ。」
彼の脊髄トークはとても面白い。ホストムーブを時々かます彼だが実は天然で可愛いところのギャップもいい。
「やっぱ話してみたい。」
日に日にその思いが強くなり、俺はとうとう彼に連絡をとることにした。
「ん〜これか?いやこうだな…。」
何度も何度も文を打ち直す。いい文が決まらず俺はずっと送れずにいた。
「えぇい、送っちゃえ!」
もうどうにでもなれという気持ちでメッセージを送信し、すぐにパソコンを閉じる。
「…寝よ。」
俺はベッドにダイブし、そのまま眠った。
♢♢♢♢♢♢♢♢
ピロン。通知がなる。
「ん?」
俺がメッセージを確認すると
「さえぐさ…あきな…?」
送り主はあの三枝明那さんからで俺は戸惑い、メッセージを見れずにいた。俺が恐る恐るメッセージを開くと
『 不破湊さん、初めまして。三枝明那と申します。少し前から不破さんの動画を見ており、話してみたいなと思っておりました。都合がいい日で良いのですが、今度コラボしてしていただけませんか?断ってもらっても大丈夫です。お返事お待ちしております。 』
後輩の俺にとても丁寧なメッセージを送ってくれる彼。
「コ、コラボの誘い…?」
何度もメッセージを見てもその内容は「コラボしませんか?」というもので俺は夢にまでみたこの状況に驚きを隠せなかった。
「え、あ、えへ?まじ?」
俺はすぐに返信を送る。
彼と話すことができる。憧れの人と話せるなんて、なんて幸せだろう。
♢♢♢♢♢♢♢♢
メッセージを送って2週間が経った。今日はついにコラボの日。俺は緊張しつつdiscordに入る。
「さすがにまだ入ってないよな。」
まだ配信が始まる30分前。さすがにいないと思っていると
「あ、三枝さん!初めまして、不破湊です!今日はよろしくお願いします。」
「あ、え、三枝明那です!よろしくお願いします…。不破くん早いね。」
なんと彼はもう入っており、挨拶をしてくれた。
「あはは、緊張しちゃって早く目が覚めたんすよね。」
俺たちは少し話したあと配信を始めた。
「じゃあ今日はこの辺で終わりまーす。」
「不破くん今日お疲れ様。」
「明那さん、お疲れ様です。今日はありがとうございましたー。あの、良かったらまたコラボしてくれませんか?」
「あ、うんいいよ。いつにしよっか?」
俺たちは次の配信の約束をし、解散した。彼との配信はとても楽しくてあっという間に時間が過ぎてしまった。
次のコラボ楽しみだな。
♢♢♢♢♢♢♢♢
無事にコラボ配信を終えた。憧れの人と遂にできたコラボ配信。もちろん嬉しかった。なにより明那さんの反応がいちいち可愛くて…
ん?…あれ?なんか違和感…?気のせいか?
まあまた話したいと思い、コラボの約束までしてしまった。
あれから半年経った。あれから俺たちはとても仲良くなり、リスナーからも受け入れられ、よくコラボするようになった。
「ふわっち、そろそろ配信始めよ。」
「おん、始めるかぁ。」
敬語もなくなり、呼び方も変わった。
仕事仲間ではなく友達のような関係性になれたことがとても嬉しい。しかしそれと同時に問題もあった。
「あ、ふわっち後ろ後ろ!」
「え、うわぁぁ。びっくりした。」
「あぁははは。くっくっあはは!」
…明那可愛ええ。
リスナー「不破草」
リスナー「明那ツボっとるw」
リスナー「アッキーナw」
俺の抱えている問題とは明那に対する俺の気持ちの変化だ。以前の俺は明那に対して憧れていて尊敬の気持ちがあった。今ももちろんあるが以前とは全く違うある気持ちが俺の中に生まれてしまった。
最初にコラボした時からだろうか。俺の中に違和感が生まれた。最初は気のせいかと思っていたがその違和感は日に日に大きくなり、とうとう自覚してしまった。
俺は明那のことが”好き”だと。
そしてその気持ちからか俺にさらなる欲が生まれた。
― 実際に会いたい。―
実際はどんな風に笑うのだろう。俺を見てどんな反応をするのかな。
そんな欲がどんどん大きくなっていく。今日話してみようかな?明那のことだから素直に引き受けてくれるに違いない。
「…ち!ふわっち!どうした?」
「…あ、ごめんおるよ?」
「あー良かった良かった。ミュートなったかと思ったわ。」
「ごめんごめん、ボーッとしてた。何の話やっけ?」
「だから今度新しいゲームしてみようって話!俺らエペしかしてないしw」
「あーええなぁ。……ならそれオフコラボでしてみらん?」
俺は勇気を振り絞り聞いてみる。
「え、、、オフ?」
少し戸惑っている明那。踏み込みすぎたか?
リスナー「ええ!やってほしい!」
リスナー「オフコラボ!?絶対見る!」
リスナー「やってー」
「…そんなやってほしいなら仕方ないな。ふわっちオフコラボするか!!」
「え、いいん?」
俺は明那の言葉に嬉しさを隠せない。リスナーも喜んでいる。明那と会えるんか…。嬉しい。
♢♢♢♢♢♢♢♢
あー、あー、えーこちら三枝明那です。非常にまずいことになりました。
「それならオフコラボでしてみらん?」
まさかあの話題からオフコラボの話になるとか思わんやん。リスナーからは度々「オフコラボしてー!」などコメントがくるたび無視していたのに…。ふわっちからそれ言われると断れんやん。
俺がオフコラボを嫌っている理由は簡単だ。それは俺の”裏の部分”を見られたくないから。ふわっちは俺の”表”を好きになってくれたのに、それが俺の全部じゃないと知った時ふわっちはどんな反応をするだろうか。
オフコラボとなると上手く誤魔化せないかもしれない。しかし、俺のキャラ上断るわけにはいかない。他の人ならまだしもふわっちからの誘いは断れない。
「…そんなにやってほしいなら仕方ないな。ふわっちオフコラボするか!!」
つい了承してしまった。
オフコラボ当日
今日は朝から集合する予定だ。
「見た目…変じゃないよな?」
白いパーカーに派手なでかい上着を着ている俺。髪の毛も赤いエクステをつけている。
いつもできる限り肌は見せず黒めの服を来ている俺だが、陽キャの匂いしかしないふわっちの前でそんな服は来ていられない。髪の毛も真っ黒はまずいか?と思いエクステをつけたのだ。
ソワソワとふわっちを待つ俺。
「…明那?」
名前を呼ばれビクッと体が反応する。恐る恐る振り向くとそこには紫の派手な服に紫とピンクのメッシュという派手な髪をした男が立っていた。耳には複数のピアスもしており、絶対俺が関わらないタイプの男だ。
「あ、はい…。もしかしてふわっち…?」
「うんごめんね、少し遅くなった。」
爽やかな笑顔を俺に向けるふわっち。え、えイケメンすぎん?
「明那、行こっか?」
「うん…。」
俺、絶対ふわっちと釣り合ってない。こんな俺がふわっちの横を歩いていいのか?
♢♢♢♢♢♢♢♢
「もう着いてるよ。」
明那から連絡がくる。俺は急ぎ足で集合場所へ行く。やばい少し遅くなってしまった。
「明那どこだ?」
周りを見渡すと1人明那と思われる男が立っている。
「…明那?」
男がゆっくり振り向く。
「あ、はい…。もしかしてふわっち…?」
ブルーグレーの綺麗な目と目が合う。
「うんごめんね、少し遅くなった。」
「可愛い」瞬間的にそう思った。
やっと明那に会えたんだ…。
「明那、行こっか?」
配信は俺の家ですることになっている。
「いらっしゃい。どうぞ上がって。」
「お、お邪魔します。」
とても大きなお家。リビングに入ると大きな皮のソファーが目に入る。
「え、ふわっちってもしかしてお金持ち?」
「金持ちじゃないよぉ。金の使い所あんまなくてさ。」
あまり物欲がない俺はホストで稼いだお金をずっと貯金をしており、かなりお金が貯まっている。今回はオフコラボということでその貯金の1部を崩し、いい家具を買い揃えたのだ。
明那にいい所見せたいしな…。
「飲み物何がいい?」
「あ、お水で。」
「ほーい。」
ソファーには座らず床に座る明那。
「そんな遠慮せんでや。」
俺は明那をソファーに座らす。
明那は初めは緊張していたが、話しているうちに少しずつ緊張は解けていった。
「ふわっち、そろそろ配信する?」
「そやな。ちょっと準備するわ、待ってて。」
「あ、そういえば今日は何のゲームするん?」
明那が聞いてくる。
「…これ!このホラーゲーム!かなり怖いらしくて、おもしろそうで買った。2人用だから明那としたくてずっと取っといたんよな〜。」
「…。」
明那が固まる。どうしたんだ?
「明那〜?大丈夫?」
「…あーうん、、大丈夫。はよやろや!」
明那の反応に違和感をもちつつ配信を始める。
「三枝明那でーす!」
「不破湊です!」
リスナー「初オフコラボきちゃ!」
リスナー「待ったぞー」
初めてのオフコラボということもあり配信は盛り上がっていた。
「まだ怖くないなぁ。」
「ねーまだ怖くなっっわぁああ!」
「うあぇ、びっくりした。」
リスナー「耳死んだw」
リスナー「アッキーナがちびびりw」
リスナー「草」
「明那大丈夫かww」
「マジでびっくりしたんだけど!ほぉんとやめて欲しい…。」
少し声が震える明那。少し怖かったか?
もう少しゲームを進めるとだんだんと面白くなっていき、怖さが増してきた。
「これガチで怖い系じゃん…。」
「やなー。まってこの距離逃げれるか?w」
リスナー「さすがにきついw」
「絶対死ぬやんこの距離。」
「死ぬなぁこれは。」
「……はぁ、はぁ、まってまじこれくるやん。」
「…向こうなんかあるぞ。明那あそこ行こ。」
「あ、え待って!…あぁまっって、、」
リスナー「明那大丈夫?」
リスナー「あきにゃ怖いの苦手か?」
「うぉぉ、急にBGM変わるやん、怖。」
「……。」
「明那?」
「…え、な、何?」
「あーいや大丈夫かなって。もしかして怖いの苦手?」
「え、いやそんな、、脅かされるのが少し苦手なだけ……。」
「…そう?」
さっきから明那があまり話さない。怖すぎたか?明那に怖いの苦手か聞いておけばよかったな。
さらにゲームは怖くなっていき、BGMも大きくなっていく。
「…んっあぁ」
「……。」
リスナー「喘ぐなw」
リスナー「あえぐさ」
リスナー「あえぐさww」
「…あぁっんっ」
「……。」
さっきから明那の喘ぎ声がチラついてゲームに集中できない。無意識喘ぎはやばいからホントやめて。
「……あぁ、、わあああぁぁ!」
明那が思い切り俺の腕を掴む。
「あ、明那!?」
少し震える明那。
「…あ、ごごめん。」
顔を赤くしまたゲームに戻ろうとする明那。
リスナー「え何が起きた?」
リスナー「大丈夫?」
「あー大丈夫です!すいません。ふわっちごめん、続きしよ。」
「……うん。」
「はぁ、はぁ、…んっああっ」
リスナー「あえぐさ」
リスナー「出たわね」
「……明那やめよっか?」
「あ、えぇ?いや大丈夫!まだいけるから!」
「………そう?無理しないでね。」
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やばい怖い。ホラー苦手なのに。
「んんっ」
なんでこんな不気味なBGMなんだよ。心臓のバクバクがやまない。ふわっちには心配させちゃうし何してんの俺。配信はちゃんとしないと。我慢しないと。
「……ぁ、こ、わぃ」
やばいもう限界かもしれない。涙が出てくる。
リスナー「アッキーナ?」
リスナー「泣いてる?大丈夫?」
「みなさん突然ですが今日はここで終わります。すいません。また次もオフコラボすると思うので見てください。」
ふわっちがそう言って配信を切る。
「明那大丈夫?無理しないでって言ったのに。」
「あぁごめ、、なさ、い」
「大丈夫ぅ、落ち着いてぇ。」
ふわっちが優しく抱きしめてくれる。
「……ふわっち優しいぃ。」
俺もふわっちを抱きしめる。
不破湊の優しさに惹かれてしまいそうだ。
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やばい明那が可愛すぎる。泣き顔も正直可愛いし、もっと見たかったけどこれ以上リスナーに見せてたまるかと思い、俺は配信を切る。
「大丈夫ぅ。落ち着いてぇ。」
俺は明那を抱きしめる。俺の胸にすっぽり明那が入る。
「……ふわっち優しいぃ。」
明那が俺を抱き締め返してくる。
っ!? それは反則すぎんか。
「…可愛い明那。好き好き、大好き。」
「……え、ふわっち俺のこと好きなの?」
「うん、俺明那のこと大好きだよ。」
初めて会って気持ちを伝えるのはどうかと思うが俺は我慢できずに告白してしまった。
「それは友達として…?」
「んいや、恋愛的な意味で。」
「……あぇ?ほんと?」
上目遣いをして俺の顔を覗いてくる明那。
「ほんと。明那その顔可愛いやめて好き。」
俺は明那の唇にそっとキスする。
「え、あふわっちまって。」
「あ、…ごめん先走った。明那嫌だった?」
「……嫌では、、ない。」
「そっか、良かった。」
「俺明那のことまだ好きでいてもいい?」
「……うん。許す。」
俺はさらに強く明那を抱きしめる。
「明那好きだよ。」
多分最初から好きだった。配信を見た時から。その声を聞いたときから。
大事にするから。俺の事も好きなって。
大好き。
コメント
7件
こんな神作品、見つけたのが遅すぎて後悔してます、、両片思いって感じしてめっちゃ好きです😿😿😿
てぇてぇすぎます……(⌒▽⌒) 口角が天井にいきました
フォロー失礼致します