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花 言 葉

1 - ス イ ー ト ピ ー

♥

109

2025年05月18日

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「 ス イ ー ト ピ ー 」



______ fj side


○月○日

「 俺達 、もう離婚しよう 。」


○月○日

「 俺 、辞めるわ 。」


○月○日

「 今までありがとうございました 。」


こんなに別れを告げたのは初めてだ 。

自分でもよくわからない何かが俺のことを

埋め尽くしてるような気がして 。


____


fj ) … 誰 。


?? ) この部屋いっつも薬臭ぇ 、


fj ) この声 .. はぁ 、お前かよ


ky ) せっかく来てやったのにそんな態度かよ


fj ) わがまま言うなら帰れー


ky ) はーいすみませーん



全てに別れを告げた日から約1ヶ月

俺はとうとう身動きも取れなくなった

視覚も無くなり頼れるのは嗅覚と聴覚だけ

そんなオレの様子を見にコイツは

毎日仕事終わりに病院に通っている



こんな人間の様子を見て楽しいのか

オレの姿は醜くないのか

沢山の疑問を抱きながら今日も

静まり返った病室で互いに笑い合う



ky ) お前普段何してんの?


fj ) 何するも何も動けないからね


ky ) 動けないっての不便だよな


fj ) そりゃあとてもね


ky ) 動けたらこんな事自分で出来るし


fj ) .. ありがとう



彼は毎日病院まで来て

俺の入浴の手伝い 、排泄物の片付け

部屋の掃除 、食事の手伝い

俺の出来ない事を全部やってくれてる。



ky ) ほら 、口開けて


fj ) … っぐ !


ky ) え 、何?


fj ) あっつ !


ky ) うわ 、御免 。冷ましきれてなかったわ


fj ) ちょ 、水


ky ) まじで御免 ..


fj ) .. っは 笑 いいってこんくらい 笑


ky ) いやでも 、


fj ) .. お前って 、ほんとイイ奴だよな


ky ) んなことねぇだろ


fj ) あ 、そーだ 。1つ願い事聞いて !


ky ) 1つだけでいいの ?


fj ) 別に 、今更望む事無いからさ


ky ) … 分かった 。で 、願い事って?


fj ) スイートピー 、今度持ってきてよ


kx ) えーっと 、スイートピー ?


fj ) そう 、花


ky ) なんでそんなもの


fj ) 好きなんだよね 、その花


ky ) ふーん 、変なの



俺はこの体のせいで実況も音楽も芸術も

何もかも全て出来なくなった


そうなる未来は以前から伝えられていた

だから 、何か他の事を探そうとした


初めて病室に入ったときからある

優しいピンク色のスイートピー

それを見てると何もかも忘れられる


見た目は見えないけれど

今でも花が好き



____ 数週間後


ky ) うぃーっす


fj ) どーもキヨでーす 、ってね


ky ) うわ 、なんだお前


hr ) 俺達も居るんだからねー


kk ) そうだそうだー


ky ) てか 、なんか人多くね


hr , kk ) ほんとだ


fj ) おかげで病室がどんどん狭くなるよ



今俺の病室には

バンドメンバー

仲が良かった実況仲間

そして 、1番の親友共

最終兵器俺達のメンバーが集まってる


ただでさえ狭い病室でこんな集まられると

どーしても暑苦しくて 、窮屈だけど

俺は幸せ者だって思える



yg ) いきなり辞めるとか言い出したから

ほんま心配でもう頭パンパンやったわ


fj ) それはすみません 、笑



言いたい事は沢山ある

でも 、体は許してくれないみたい

せめて最期 。これだけは ____



ky ) あ 、これ


fj ) ん ? あ 、スイートピー


ky ) ちゃんと買ったから金返せよ


fj ) 俺のもんでも勝手に売ってきな


ky ) 嘘嘘 、要らねーよ


fj ) それはありがたい

そうだ 、誰かペンと紙持ってる ?


sr ) あ 、持ってるよ


fj ) 1枚頂戴


sr ) いいよ 、どうぞ


fj ) ありがとう 、じゃあみんな反対側向いて



俺はsrからもらった紙に文字を書いた

目が見えないから感覚で書いてるけど

きっと読めないくらいに汚い


よし 、書ききった


気付いてねky


俺の心臓はドキドキしていた


これはきっと

命のカウントダウン


俺は泣きそうなのを堪えて

みんなを振り向かせた



fj ) よし 、こっち向いていいよ


fr ) 何してたの〜 笑


fj ) 秘密〜 笑



ky ) 許さないからな 。


fj ) ありがとう 、俺の大親友


ky ) うるせぇ



俺達は小声でこんなやりとりをした

こんな中でもカウントダウンは止まらない



fj ) ねぇ 、みんな 。俺超幸せ

こんないい仲間に囲まれて

こんないい生き方させてもらって

こんないい思い出沢山つくれて

俺に後悔なんて1つもないよ

フジとしての俺も本当の俺も

世界一幸せな人間だよ


ありがとう



_______ ky side



病室に響く不快な機械音



彼の綺麗な瞳はもう見れない

耳に残る高笑いも聞けない

キレの良いツッコミも聞けない



お前は 、幸せだったか



そんな事を思いながら彼の実況デスクに

飾ってあるあのスイートピーを眺めた



ky ) … なんだこれ



白い紙が花の間に挟まっていた

俺はそれを取り出して中を開いた



『 やさしいおもいで 』



そこには歪んだ字でこう書かれていた


スイートピーの花言葉



ky ) 変な奴



もしこの世界が彼のことを忘れても

俺は一生忘れない




俺が隣に並ぶまで 、幸せでいろよ ___

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