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第一章 マフィア編
第四話「初任務」
暗い地下施設。
古流斬となった少年は、教官の前に立っていた。
教官は一枚の写真を机へ置く。
「今日がお前の初任務だ。」
写真には、一人の男性が写っていた。
「組織を裏切った男だ。」
「始末しろ。」
古流斬は写真を手に取る。
表情一つ変えずに頷いた。
「……了解。」
⸻
その夜。
古流斬は標的の家へ向かう。
音もなく屋根へ飛び乗る。
窓から部屋をのぞくと、一人の男性と幼い娘が食卓を囲んでいた。
娘が笑う。
「お父さん、おいしい!」
その光景を見た古流斬は、幼い頃の自分とはるかを思い出す。
(……。)
しばらく沈黙したあと、古流斬は静かに家へ入った。
男は気配に気づき身構える。
「誰だ!」
古流斬は一瞬で男の背後へ回り込み、首筋を打つ。
男は気を失った。
古流斬は男が生きていることを確認すると、自分の腕をナイフで浅く切る。
流れた血を床へ落とし、戦闘の跡を作る。
そして一枚の紙を置いた。
「生きろ。もう二度とマフィアに関わるな。」
古流斬は窓から静かに姿を消した。
⸻
翌日。
マフィア本部。
教官が報告を受ける。
「任務完了です。」
床に残された血を見て、誰も疑わなかった。
教官は満足そうに笑う。
「やはり古流斬は優秀だ。」
しかしボスだけは何も言わず、静かに報告書を閉じた。
「……面白い。」
まるで何かに気づいているようだった。
⸻
一方その頃。
助けられた男は、古流斬が残した紙を見つめていた。
「命を救ってくれたのか……。」
男は娘の手を握る。
「この町を離れよう。」
その夜、一組の親子は姿を消した。
⸻
地下施設へ戻った古流斬は、一人で夜空を見上げる。
「俺は……。」
「本当にこれでいいのか。」
答えはまだ見つからない。
だが、少年は誰にも知られず、罪のない命だけは救い続けていた。
――第四話「初任務」 完
コメント
1件
読了しました。第四話、めちゃくちゃ良かったです……!「始末しろ」と言われた標的が幼い娘と食卓を囲む姿に、古流斬が自分の過去とはるかを重ねる展開が胸に来ました。♡♡♡ずに気絶させて、自ら腕を切って戦闘痕を作る――その“命を救うための偽装”が本当に巧みで、この世界の掟と少年の優しさの両立が生む緊張感がたまらないです。そしてラスト、ボスが「面白い」と気づいている様子が不気味で、続きが気になりすぎます。設定の裏側がじわじわ見えてくる構成、とても好きです。続きも楽しみにしています!