敦side
それから太宰さんは、色んなことを話してくれた。
マフィア時代、歴代最年少幹部や双黒と呼ばれ、中原中也と沢山の人を殺した事。
立場や年齢は違えど、よくバーで一緒に飲んでいた友人の事。
そして、友人の最期と探偵社に来た理由。
皆、太宰さんの話が終わるまで、静かに聞いていた。
太「〜そして、私は探偵社員になりました。」
僕は正直、これが全てでは無いと思っている。多分、今聞いた事以外にも、辛いことは沢山あったのだろう。
敦「太宰さん…」
太「フョードルが云っていた事も全部本当なんだ。友人を殺した私に人を救う資格なんて…」
鏡「資格はある。」
太「ッ!」
鏡「貴方の友人を殺したのは、貴方じゃない。それに、私も、人を殺した。でも、貴方が光へ導いてくれた。貴方に人を救う資格がない訳ない。」
太「鏡花ちゃん…、でも、私は数が違う。35人なんて比にならないくらいの人を殺めたこの手で人を救うなんて、」
鏡「数じゃない。命の重さは数で決められるものじゃない。それに、貴方が私を救ってくれたように、貴方にしか救えない人が屹度居るから。」
太「でも…」
敦「鏡花ちゃんの言う通りです!僕も太宰さんに助けられましたし、そのお陰で探偵社員になることも出来ました。太宰さんには、とても感謝してるんです!」
国「俺も、お前には色々と、その、なんだ、…感謝、している。」
与「ったく、素直じゃないねェ。
太宰、 あンたみたいな自殺願望は医者の敵だ。おまけに妾の異能が効かないときた。本当に面倒な奴だよ、お前は。それでも、大切な仲間だ。」
賢「はい!太宰さんはいい人です!」
谷「僕も、太宰さんに沢山助けてもらいました。」
ナ「私もですわ!」
福「太宰。実は、お前が元ポートマフィアだと知ったときは、少し驚いた。だが、お前はもう探偵社員だ。過去を忘れろという訳では無いが、今の自分を大切にしてほしいと思っている。」
乱「太宰!お前は馬鹿だ!僕が態々云ってあげないとわからないなんて。お前は、この世界で僕以外の唯一の『人間』なんだ。」
太「ッ!」
乱「この名探偵が言うんだから、間違いないよ!」
太「ふふっ、そうですね。皆も、心配かけて悪かったね。」
ナ「太宰さん、そういうところですわよ!」
太「? 」
敦「こういう時は、『ありがとう』って言ってください!」
太「…あ、ありがとう。」
全「はい/あぁ/うん。どういたしまして!」
太宰side
恥の多い生涯を送ってきました。
私には、人間の生活というものが、見当つかないのです。
そんな私でも、彼等と一緒にいると、こんな何でもない日がずっと続くのではないかと思ってしまう。
手に入れたものは、何時か必ず失われると分かっていながら。
それでも、少しでも長く続いて欲しいと願うのは、とても愚かしく、馬鹿みたいで、そんなの、まるで、
人間みたいだ
そう、思ってしまうのです。
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