曲に合わせた縄跳びの演技構成も決まり、後は本番に向けて最後の準備を整えるだけだった。二人は鏡の前に座り、タブレットを開いてメイクの説明を確認していた。メイクは普段からやり慣れているものではなく、手探りの状態だったが、ステージでのパフォーマンスを成功させるためには必要な仕上げだった。
「じゃあ、お互いにメイクをし合おうか。タブレットの説明に沿ってやってみよう。」
彼がそう提案すると、アキラも同意して頷いた。二人はメイク道具をテーブルに並べ、まずは彼がアキラにメイクを施すことにした。タブレットの画面に表示された手順に従い、ファンデーションを取り出し、アキラの顔に優しく伸ばしていく。
アキラの顔に触れるたびに、彼の心臓が少しだけ速くなるのを感じた。近距離で見るアキラの肌は滑らかで、彼女の長いまつげが微かに震えているのがわかる。彼女の吐息が彼の指先に伝わり、緊張した空気が漂っている。
「ごめん、ちょっとくすぐったいかもな…」
彼が苦笑いを浮かべて言うと、アキラは軽く笑った。
「大丈夫だよ。俺も初めてだから、緊張してるけど…」
アキラの言葉に励まされ、彼は続けてアイシャドウを塗り始めた。アイラインを引くときには、アキラの目元が少しだけ閉じられ、彼は慎重に線を描いた。彼の指がアキラのまつげに触れるたびに、彼女の吐息が少しだけ乱れるのを感じた。
「よし、これで…どうかな?」
彼が最後にリップスティックを塗り終えると、アキラは鏡を見て目を丸くした。見慣れた顔が、ほんの少しメイクで変わり、さらに可愛らしくなっていた。彼女は照れたように笑って、彼に感謝の言葉をかけた。
「ありがとう、すごく上手だよ。」
次に、アキラが彼にメイクを施す番だった。彼は椅子に座り、アキラの顔を見上げる。アキラが慎重にファンデーションを塗り始めると、彼は彼女の近さを感じ、心臓がドキドキと高鳴るのを感じた。
アキラの指が彼の肌に触れるたびに、その緊張感が伝わり、彼の呼吸が浅くなる。アキラがアイシャドウを塗り、まつげにマスカラを塗るとき、彼は目を閉じて彼女の指先の動きを感じた。タブレットの説明に従っているとはいえ、アキラの動きは慎重で丁寧だった。
「ちょっとくすぐったいな…」
彼が小声で言うと、アキラもまた微笑んだ。
「もう少しだから、我慢してくれよ。」
彼はその言葉に従い、静かに待った。最後にリップスティックが塗られ、アキラが「よし、完成だ」と言ったとき、彼は鏡を見た。
「うわ…」
彼は思わず声を上げた。鏡の中には、自分が見たことのないような可愛らしい女性の顔があった。アイメイクが目を大きく見せ、リップスティックが唇をふっくらと彩っている。まるでアイドルかモデルのような仕上がりに、彼は自分の顔だとは信じられない気持ちだった。
「これが…俺…?」
彼は驚きのあまり言葉を失った。アキラも同じように鏡を見つめながら、微笑んでいる。
「そうだよ。俺たち、ちゃんと女性らしく見えるんだな。」
アキラの言葉に、彼は少しだけ誇らしい気持ちになった。自分たちがこうして女性らしさを表現できることに、そしてそれを受け入れられる自分に少し驚きながらも、彼は元の体に戻るためにやるべきことを理解していた。
「よし、これで準備は万全だな。ステージに立って、全力を尽くそう。」
彼は笑顔で言い、アキラも頷いた。二人はメイクで整えられた自分の顔を確認し、互いに自信を持ってステージに向かう準備を整えた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!