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見つめられて、リカの視線は不自然に泳いだ。

なんだかわからないけれど、航太に見つめられると胸がくすぐったくザワザワと騒ぎ出す。


「……先輩、次お休みいつですか?」


「おっ! ついにリカちゃんからデートに誘ってくれるの?」


「……はい」


「えっ!」


ヘラっとしたと思えば急に目をまん丸にして驚き、ガタタッと派手な音を立てて近くの椅子にぶつかる航太。いつものように軽口をたたいただけだったのに、まさか返事がくるとは思いもよらなかったのだ。口元を押さえて信じられないといった顔でリカを見つめる。


そんな顔をされてはリカの方が変に意識してしまって落ちつかなくなるではないか。


「ちょ、なんでそこで動揺するんですか! やめてくださいよ!」


「だって、そんな、うわー嬉しい。やったー! どこ行く?」


「今度、子供たちのビンゴ大会あるじゃないですか。その景品買いに付き合ってほしいなー……って」


「えええええ~!」


あからさまにガクッと肩を落とす航太。グスングスンとしょげながらも自分を納得させるように頷く。


「いいよいいよ。その代わり、余った時間はデートしよう」


必死に訴えてくる航太からは拒絶させないような迫力があり、今度はリカがガタッと椅子を鳴らす。


「……い、いいですよ」


「よっしゃー!」


「……先輩、子供みたい」


ふふっと笑えば航太はリカの何倍も嬉しそうな笑顔でくしゃっと笑った。

それがなんだか可愛らしいなとさえ思い、リカもつられて笑い出す。


ぎこちなかったのが嘘のようにいつもの二人に戻った気がして、リカはほっと息を吐いた。

と同時に――。


(ああ、私、小野先輩のこと好きだな)


まるで憑きものが落ちたかのように素直にそう思えて、胸がトクンと高鳴った。

先輩が愛してくれた本当のわたし

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