(注意点)
100%妄想です
酷い怪我などの表現があります
言葉遣いなど解釈違いでしたらすみません
長文で申し訳ないです
内容リクエストなど頂けると幸いです!
大丈夫な方はこのままお進みください
今回の任務は、洞窟内にいる敵の討伐。
数は1体。
しかしどんな敵かは知らされておらず、闇雲に探すしかなかった。
薄暗く長い洞窟をひたすら奥へと進んでいく。
星導「広いだけで何もありませんね。」
叢雲「ほんまだるいわ。はよ出てきてくれ。」
2人は暇を持て余し、奥へ向かって「おーい」などと叫んでいる。
伊波「こーら!そうやって油断してると足元すくわれるよ!」
小柳「おまえら気ぃ引き締めろ。気配はするのに姿が見えねぇ、どうなってやがる。」
そこはどこまでも静寂で、4人の声と足音だけが響いている。
足場は少し悪く、石や岩なども転がっていて、星導は小石をつま先で蹴った。
それを真似して叢雲も足元の小石を蹴った。
すると、転がったその小石は急に消えた。
叢雲「え!石消えよった!」
伊波「俺も見た!なんで!?」
石蹴りを注意しようとしていた伊波は、その石が消えた瞬間をちょうど見ていた。
2人は小走りで石の方を見に行くと、地面に穴が開いていた。
覗こうとすると、地面からミシミシという音が聞こえ、穴の周りから一気に崩れ落ちる。
叢雲・伊波「うわぁ!!」
2人はそのまま地面の下へ落ちていった。
小柳「大丈夫か!?」
星導「カゲツー!ライー!」
崩れた地面に向かって呼びかける。
砂埃が落ち着くと、ぼんやりと2人の姿が確認できた。
どうやら1つ下 のフロアに落ちたらしい。
叢雲「いったぁ!めっちゃ尻餅ついてんけど!」
伊波「最悪!ぺっぺっ、口に砂入った〜!」
星導「とりあえず大丈夫そうですね。2人ともこっちに戻って来れそうですか?」
下のフロアも似たように、ただ広い空間が奥の方へ伸びている。
緩やかな坂になっているので、進んでいけば合流できそうだが、ここから真上に登る道はなさそうだ。
叢雲「んー、無理やね。こっちの道進むしかないわ。」
伊波「俺たちこのフロア探索するから、あとで合流しよう!」
星導「はーい。」
小柳「くれぐれも慎重にな。」
二手に分かれての捜索が始まった。
小柳はなんとなく嫌な予感がするので、足早に奥へと進み、合流しようと急いだ。
下のフロアは湿気が多いせいか、天井からポタポタと水滴が落ちてくる。
気味が悪く、足取りも慎重になった。
伊波「あの突き当たり曲がったら合流できそうじゃない?」
叢雲「え、うーん、気のせいだったらごめんだけど、なんか変な音せん?」
伊波「音?どんな?」
叢雲「なんかが這っとるような、、」
その瞬間、ボトッと何かが落ちる音がした。
伊波「えー!なになになに?!」
叢雲「どうした?!」
伊波「首の後ろになんか落ちてきた!キモすぎ!!取って取って!」
叢雲「うわ、キモいな。」
落ちてきたのは、大きなダンゴムシのようなものだった。
たくさんの足で首にしがみついており、伊波が手で払っても全く取れる様子はない。
バタバタしていた伊波の体が、大きくビクッと跳ねると、急に動きが止まった。
叢雲「取ったるから、そのままじっとしとって。」
そう言いながら、首に手を伸ばした。
しかし、その手を伊波は払い除けた。
叢雲「動かんといてって!」
もう一度手を近づける。
すると伊波はいきなり叢雲の腹部を思いっきり蹴り飛ばした。
あまりの威力に受け身も取れないまま、壁に背を強く打ちつけ倒れる。
叢雲「ゔ、、ケホッ、、おま、何すんねん、、。」
すぐに立ち上がれず顔だけ上げると、そこには真顔で見下ろす伊波の姿。
その両目は赤く、両手の爪は獣のように鋭く伸びていた。
脳が、全身が、警告を鳴らす。
こいつ、やばい。
伊波は無言のまま爪を構えて、一気に距離を詰めてきた。
間一髪で攻撃を避けると、爪が当たった壁は抉り取られ、その威力を物語る。
とにかく離れよう。
まだ体は痛むが、そんなこと言ってられない。
叢雲は全力で走った。
おそらく首後ろに付いてるアレは、寄生タイプの敵で、寄生されるとヴィラン化するのだろう。
変身していないのにあの威力が出せるのは、きっとヴィラン化による身体強化によるものだ。
そろそろ離れたかと思い振り返ると、なんとすぐ後ろにいた。
鋭い爪が迫り、変わり身の術でなんとかやりすごす。
スピードには自信があったのだが、こんなにすぐ追いつかれては逃げられない。
怒涛の切り裂きや蹴りの攻撃をギリギリで避け続けるが、 あちこち掠って傷が増えていく。
叢雲も攻撃をしようとしたが、かわされて腰に蹴りを食らった。
今度は受け身を取りすぐに立ち上がると、伊波に向かって催涙煙玉を投げた。
伊波「うぅぅ、、!」
モロに煙を浴びた伊波は呻きながら目を擦る。
暫くは目の痛みと涙で追ってはこれまい。
少しよろけながらも、とにかく伊波から走って離れた。
息を切らしながらひたすら走った。
もうどれほど進んだだろうか。
後ろを見ては姿がなくてホッとして、それを繰り返しながら走る。
すると、前方から声が聞こえてきた。
星導が「こっちこっち〜」と手を振っている。
小柳は驚いた顔をして駆け寄ってきた。
小柳「なんかボロボロじゃね?ライは?」
叢雲「ライが、、」
星導「あ!ライー!こっちですよ〜!」
叢雲「あかん!近付くな!!」
星導「え、」
伊波は、近寄ってきた星導の腹部を、爪でザクっと切り裂いた。
星導「ゔっ、、」
小柳「星導!!」
様子のおかしい伊波のもとへ小柳が走った。
しかし辿り着くよりも早く、
伊波は、腹を抑えて両膝をついた星導を容赦なく蹴り飛ばした。
瞬間的に触手を出して、壁への衝撃を逃したものの、まるで鈍器で殴られたような衝撃に全身が軋んだ。
なかなか息が整わない。
小柳は刀を峰打ちの持ち方に変え、伊波に攻撃をしてみる。
全て爪で弾かれてしまい、攻撃が通らない。
それどころか拳や蹴りが飛んできて、一瞬の油断も許されない。
まずいと思い、一旦距離を取った。
小柳「クソっ!どうなってやがる!」
叢雲「首の後ろに寄生型の敵がついとる!そいつを剥がさんと!」
小柳「んなこと言われても、、!」
そこへまた伊波が攻撃してきて、2対1での戦いとなる。
しかしどうしても、伊波を傷つけたくない気持ちが邪魔をする。
小柳が伊波を引き付けている間に、叢雲が後ろにまわり込んで、クナイで敵を切りつけた。
ガキン!という音のみで、敵には傷一つ付かなかった。
叢雲「なんやこいつ硬いぞ!」
危機を感じた伊波は、後ろ回し蹴りで叢雲の頭を蹴り上げた。
小柳「カゲツ!!」
伊波は連撃しようと構え、小柳は 即座に叢雲を庇うように間に入る。
致命傷を覚悟したが、、
伊波は目の前で星導の触手に拘束されていた。
星導「あぶねー、。で、これどうやって取ります?」
敵をぐいぐいと手で掴んで引っ張るが、ガッチリと食い込んでいて取れない。
そこで、粘液を纏わせた触手で、敵の足を滑らせて絡め取った。
寄生から解放された伊波は元の姿に戻り、気を失って倒れた。
小柳「そのまま掴んでろ。」
刀を振り下ろすと、またガキンという音のみで敵を斬ることができない。
刀の衝撃で敵は触手から吹っ飛んだ。
小柳「硬すぎだろ!どこいった!?」
クナイでも刀でも斬れない。
どうしたものかと考えながら探していると、叢雲がむくりと起き上がった。
その両目は赤く、頭に角が生えている。
首の後ろには敵の姿。
星導「あ、カゲツ、怪我大丈夫ですか?」
触手で伊波を抱えたまま振り返ると、真っ赤な瞳と目が合った。
やばい。
そう感じたのと同時に伊波を触手で包み込み、自分も防御の構えに入ったが、
叢雲の重い拳は星導の鳩尾を捉えた。
ゴキッという鈍い音。
星導「いっ、、た。、ゲホッ、、。」
しっかりと肋骨が折れた感覚が分かった。
小柳「次はカゲツかよ!星導動けるか?!ライと離れてろ!」
すぐに叢雲の注意を引き付け、お互い激しく攻撃を交わし合う。
伊波の時のような爪は無いが、叢雲の拳は異様に硬く一撃が重い。
1発でもまともに貰えば負けるだろう。
叢雲から離れていく途中で、抱えていた伊波が目を覚ました。
伊波「え、、なにこれ、、なんで2人が戦ってるの?」
星導「あれはカゲツが、、ゔ、ゴホッゴホッ、、」
鳩尾が痛み、上手く息を吸えない。
小柳が押され気味になってくる。
このままでは勝てない。
叢雲が大きく振りかぶったところをついて、命懸けのカウンターを決意した。
両者の攻撃が交わろうとしたその時、
伊波が叫びながら間に駆け込む。
伊波「2人ともやめてよ!!」
その後ろを、苦しげな星導が追う。
思い切り伊波に飛びついて覆い被さり、
叢雲の拳は空を切った。
小柳の峰打ちは見事に叢雲を捉え、その場に倒れた。
叢雲が立ち上がれずに体を震わせている間に、触手が敵を絡めとる。
星導「つぶ、、れろ、、!」
8本の触手で敵を包み、グッと圧力をかけた。
斬れないのなら、押しつぶす。
小柳はその間に叢雲を離れた所に寝かせた。
次の瞬間、触手がビクッと跳ねた。
意図していないのに、8本はダラリと力無く垂れる。
星導「え、、動かせない、、?」
さらには全ての吸盤部分から大きな棘が生え、猛烈に暴れ始めた。
小柳「なにやってんだ!危ねえだろ!」
星導「違う!止められないんだよ!」
伊波「待って!触手の先になんかついてる!」
一旦2人は離れつつ様子を見ると、1本の触手の先端に、敵がめり込む様に寄生していた。
圧迫した時に寄生されてしまったのだろう。
星導自身の体から遠いおかげか、触手以外の自由は効く。
小柳「どうしたらいい?!」
星導「切り落としてください!」
小柳と伊波は殺傷力の上がった8本の攻撃を避けながら近付くが、あまりの速さと手数に避けるのが精一杯だった。
鋭利な棘が2人の四肢をどんどん擦り裂く。
星導は「止まれ、、!止まれ、、!」と呟きながら頭を抱えて制御を試みる。
しかし、のちに体はビクッと跳ね、手足も自分の意思では動かせなくなった。
星導「避けて!!」
突然の回し蹴りが小柳の頬を掠めた。
星導「体もいうこときかない、、ごめん、!」
小柳「意識も時間の問題だな。」
8本に手足の攻撃も追加され、いよいよ手に負えなくなってきた。
スタミナ的にも限界が近い。
2人の動きが少しずつ悪くなる。
1本の触手が小柳の背に当たり、棘が体を貫いた。
小柳「ぐっ、、!」
伊波「ロウ!!」
動きが止まった小柳を抱えて離れた。
伊波「どうしよう、、」
絶望的な状況に声が震える。
星導はふと視線を上に向けると、亀裂の入った天井部分を見つけた。
星導「ライ!天井にハンマー投げて!」
伊波「え!なんで?!」
星導「いいから早く!これしかない!」
伊波「変な案だったら怒るからね!」
訳も分からず、伊波は天井に向かってハンマーを投げた。
もともと亀裂の入っていた天井部分は、ハンマーの衝撃で伊波の想像以上に崩れた。
大量の瓦礫が星導に降り注ぐ。
一瞬、安堵したような表情が見えた。
そういうことだったのか。
伊波「星導ー!!!」
轟音、地響きと共に、星導の姿は見えなくなった。
完全に瓦礫の下敷きになり、隙間から見える手はピクリとも動かない。
伊波と小柳は急いで瓦礫をどかしていく。
小柳「あいつ、、馬鹿なのか!!!」
伊波「お願い無事でいて、、!」
なんとか星導の体を引っ張り出して状態を確認した。
骨や内臓の状態は不明だが、寄生から解放されており、姿は元通りだった。
小柳は出血箇所の止血を先に施す。
敵はどこかで身を潜めていて、寄生のチャンスを狙っていることだろう。
伊波は周りを慎重に探る。
耳を澄ますと、ギリギリという不快な音がする。
音の方を振り返ると、星導の止血をしていたはずの小柳が、
星導の首を締めていた。
目元は見えないが、グルルと唸る口元には鬼のような牙が生えている。
首には敵の姿。
両目はきっと赤いだろう。
伊波「やめて!死んじゃう!!」
急いで小柳の両手を首から離そうと引っ張るが、全然緩ませることもできない。
伊波「お願いだから!!」
叫びも虚しく、締める手にさらに力が込められた。
叢雲「狼なにしとんねん!!」
目を覚ました叢雲が駆けつけ、伊波と協力して手を緩めさせる。
左右から小柳の腕を1本ずつ掴んで星導から引き剥がす。
暴れ出す小柳を2人で抑えるのに精一杯で、敵をどうすることもできない。
星導「小柳くん、あとは任せましたよ。」
いつのまにか目を覚ました星導は、横になったまま触手を1本だけ伸ばし、
小柳に寄生する敵を絡めとった。
そしてそのまま自分の左腕の、大きな口の中へ放り込んだ。
小柳は寄生された時間が短いお陰か、一瞬意識を手放したがすぐに覚醒した。
小柳「よせ!吐き出せ!」
ゆっくりと星導は首を振り、優しく目を細めると、そっと瞼を閉じた。
星導は異質なヴィランを左腕に取り込むと酷く発熱する体質だ。
ただでさえ大怪我を負っているのだから、この行動は非常に危険。
見る見るうちに体は熱くなり、呼吸が荒くなる。
そんな時に、洞窟全体が揺れ出し、天井も崩れ始めた。
叢雲「洞窟が崩れる!はよ脱出せんと!」
伊波「でも出口どこ?!」
小柳「向こうから雨の音がする、走れ!」
星導を背負い、出口に向かって全力で走る。
見えてきたのは吹き荒れる台風、豪雨。
ひとまず洞窟の外に出て、大きい木の下に避難する。
高熱に魘され苦しそうな星導を背負って、この中を帰るのは厳しい。
立ち尽くす伊波と小柳の隣で、ゴソゴソと自分の持ち物を探る叢雲。
そしてやっと1つの小瓶を取り出した。
叢雲「あったで!解熱剤!効くか分からんけど、無いよりええやろ!」
伊波「ナイスすぎ!星導、飲める?」
一旦寝かせていた星導の肩を軽く叩く。
うっすら目を開けるが、高熱に侵され朦朧としている。
焦点が定まっていない。
とても自力で飲めそうになかった。
小柳は小さく舌打ちすると、 叢雲から瓶を乱暴にひったくり、中身を自分の口に含んだ。
雑に星導の頭を持ち上げると、躊躇なく解熱剤を口移しした。
途中星導が咽せそうになるが、しっかり嚥下するまで離さなかった。
終えると星導を2人に渡し、小柳は背を向けながら 手の甲で唇を軽く拭った。
伊波も叢雲も、何も言わなかった。
これは救命行為。
助けたい気持ちは皆同じ。
星導が少し落ち着いてきた様子を見て、小柳に心から感謝した。
台風も徐々に小雨になってきたので、背負った星導に羽織りを掛けて、4人で帰った。
帰還後、星導が目を覚ました後も、
誰もあの日の事には触れなかった。
今後も本人に言うことはないだろう。
本人が覚えていたとしても。
コメント
2件
やっべぇ……✨️すごい好きだ✨️ノベル作家さんの中でいっちばん好きかもしれないです、!!次回作もめちゃくちゃ楽しみです!!!