【竜蘭】
(約6500文字)
◎1話は死ネタってなってるけど結局ハピエンになると思うからかりちゃんも読めると思う!
・病み
・自殺未遂
・キャラ崩壊
・誤字脱字
・自己満
・意味不(気味)
*誰の地雷にも配慮しておりません。
その他何でも大丈夫な方のみご覧下さい🙇♂️
兄が死んで1ヶ月が過ぎた頃。
未だ兄の喪失感に慣れない体を起こして、朝食の準備をする。
兄が消えたことで俺の日常は大きく変わった、といえば嘘になる。
兄が消えてしまっても、俺は未だに天竺のメンバーとして健在しているし、相も変わらず趣味を続けている。
しかし、楽しいとか、幸せだとかの感情を失ったのは確かだろう。
俺の生活の全ては兄を中心に回っていた。
兄だけが俺の心の拠り所で、俺が感情を包み隠さず出せる人物だった。
ある一つの思いを除いて。
そんな兄が消えた今、孤独感と喪失感に襲われる日々を送る俺に希望なんて無い。
兄が消えてしまったのは俺のせいだ。
他の誰でもない、自分自身。
感情をぶつける場所がどこにも無くて、ただ1人静かに涙を流すことしかできない。
こんな俺を見たら兄は笑うのだろうか。
「泣き虫だなぁ、竜胆は」
そう言って頭を優しく撫でてくれたなら、どんなに嬉しいだろう。
「大丈夫だよ、俺がいるからね」
そう言って抱きしめてくれたなら。
この夢を見るのは一体何度目だろうか。
もうありもしないと分かっているはずなのに
心が追いついてこない。
「クソ…ッ!!」
願わくばもう一度あの日に、
俺が兄ちゃんを手放してしまったあの日に、
戻れはしないだろうか__
こうして俺は、まだ朝食を消化しきってないにも関わらず2度目の眠りについた。
過去に戻ってきた、なんて
少しでも期待してしまった自分に驚いた。
あるはずがないだろう。
そんな非現実的なことが。
兄がいないと知能までも低下してしまうのか。
「はぁ…」
いつもより重めの溜息をつき、ベッドから出ようと体を起こした瞬間だった。
自分が寝ている方とは逆側から、少し重みを感じた。
振り返ってみればそこにはかつてあったものがあったのだ。
シーツに広がる長い髪
太陽に照らされる白い肌
布団を抱き抱えて眠る君
よく見慣れた、懐かしい光景。
…とまぁ、こんなのきっと夢に決まってる。
前にも同じような夢を見て、信じて後悔しただろう。
早く夢から覚めてくれないだろうか。
この人が目を覚ます前に。
現実に戻れなくなる前に。
少しだけ、触れてみたいと思った。
ただ、懐かしい大切な人に。
もう二度と逢うことの出来ない人に。
涙が頬を伝って落ちた。
今も、これからも見れるはずだったこの光景を、ずっと見ていたくて。
溢れて止まらなくなった。
泣き止め、泣き止め、泣き止め
もう受け入れていたはずだろう。
なのになんで、いつまでも届かない夢を見せ続けるんだ。
やめてくれ、もうこれ以上。
最愛を失ったという事実を何度実感させれば気が済むんだ。
これが呪いと言うやつだろうか。
兄の呪詛なのかもしれない。
兄に縛られ続けるのならそれでもいいと、少しだけ思えてしまう。
早く消えてくれないか。触れることの出来ない、話すことの出来ない兄に、そう願った。
まだ幻覚の兄はすやすやと眠っているようだ。
まるでそれは兄そのもので、夢か現実か一瞬
区別がつかなくなるほどだった。
「現実だったらいいのに…ッ、」
そう呟いてはまた涙が零れ落ちてくる。
「ん…んぅ…、」
やめてくれ、耐えられない。
兄の幻聴までも聞こえてしまったら本当に戻れなくなってしまう。
「やめ、てよ…ッ、」
誰にも届かない声を吐き捨て、また涙を流す。
「…りん、どう…?なんで泣いてるの、?」
あぁ、俺はどこまで兄に縛られるのだろう。
今俺が言葉を返したら、きっともう現実には戻れなくなるだろう。
…それでもいいか。別に。
いやいやダメだ。何を言ってるんだ俺は…
「ねぇ、竜胆?大丈夫?」
「は…」
確かに、触れられた。
そして今も、裾を掴まれている。
「…?竜胆?」
俺はもう戻れないところまで来てしまったのだろうか。
分からない。分からないんだ。
「竜胆?体調悪い?」
「…ッ、なんで」
「…??」
「なんでここいんの…?」
「…いつもじゃね、?」
間違いない、これは兄だ。
そう言ったらきっと周りは俺を諦めるだろう。
だが否定する理由がどこにある?
俺に触れられ、会話を交わせ、触れられたその手は温かい温もりがある。
透けているだとか、会話が通じないとかなら幻覚だと断言できるだろうが、違う。
「なんでさっきから黙り込んでんの?りんどー?」
そう言って俺に頬を擦りつけてきた。
言動全てがかつての兄と変わらないのだ。
俺の中でこの人は完全に兄なのだ。
他の人間が口を揃えてそう言えば認めてもらえるだろう。
「…兄ちゃん、出かけよ」
「いきなりかよー。で、どこ行くの?」
「三途達ンとこ。」
「なんで三途ー?別いいケド」
こうして俺達は準備を済ませて三途やイザナ達の元へ向かった。
ピンポーン
「はい…って竜胆か…久しぶり、だな」
「うん、久しぶり。」
「…落ち着いたか?」
「まぁ、そこそこ。」
「とりあえず上がれよ、」
「うん、ありがと」
兄は何故かずっと俺の後ろに隠れていた。
というより眠くて寄りかかっていただけだが。
三途はまだ兄に気付いていないらしい。
はたまた見えていないのかのどちらかだろう。
「…ねぇ、三途」
「…ンだよ」
「えっと…その…俺の隣にいる人、見えてる、、?」
「っ…、」
やはり幻覚だろうな、そう思った瞬間
「やっっぱいるよな?!」
やっぱり、ということは確信が持てず、それでいて俺に話したら…と色々考えてくれていたのだろう。
「…だよね、間違いじゃない、よね」
「ねぇ何の話~?」
「蘭…なのか…?」
「え、なに?」
「おい竜胆…どういうこと…だ、?」
「わかんない。今日はここに俺の幻覚なのか本物なのか確かめるために来た」
「そういう事か…」
「だから何の話~?!」
「お前本当に蘭なのか…?」
「そーだけど?!逆にそうじゃなかったら誰よ?!」
「マジなのかよ…?おい竜胆、これ一体どういう…」
「…うん、わかんない…他の人んとこにも行ってみるつもりだからさ…」
「おいおい泣くなよ…」
「竜胆ー?どうしたの、?」
「なんでもないよ…行こうか」
「うん…?」
「俺も行っていいか?」
「いいよ、行こ」
その後、イザナやイザナと一緒にいた鶴蝶、獅音にモッチーなど、様々な知り合いに『俺の隣にいるのは兄ちゃんか』と尋ねた。
答えはみんな同じだった。
信じられない、そう言いたげな顔でみんな『確かに蘭だ』そう答えた。
兄はそのやり取りを見る度、何の話なのか分からないと口にする。
俺自身もこの状況が理解出来ていないので兄の質問に答えることは出来なかった。
それに、兄の存在に皆が驚いている理由を教えろと言われても、兄は死んだはずだからだなんて中々容易に話せることではなかった。
そもそも兄はいつまでの記憶を持っているのかも分からないし、生前のように希死念慮に近い感情を持っているのかも分からないのだ。
とにかく今の兄には分からないことが多すぎる。
しかし、失ってしまった最愛ともう一度やり直せるのかもしれない、そう考えると軽率な行動は出来ないなと心から思う。
まずはゆっくり兄から色々聞きだしてみようと思う。
「兄ちゃん、、?」
「なんで疑問形なの???で、なに?」
「えっと…生き、てる…?」
「は?生きてんじゃんw」
「え、と…」
「どーしたの、竜胆。なんか怖い夢見たの?」
「いや…」
もしかしたら、悪い夢を見続けていただけなのかもしれない。
っていやいや…そんなはずないか。
確かに火葬だってしたのに、なんで兄ちゃんは今ここにいる?
それをなんとかオブラートに包んで聞き出したいのだが…
「なァ、蘭。お前、ほんとに生き返ったのか?」
こいつはバカだ。
そんな直接的な聞き方するか普通!
「生き返った…あぁ、そういうこと。」
と、兄ちゃんは何かを理解したような表情を浮かべながら言った。
「え…どういうこと…?なにか思い当たることとかあんの…?」
思い切って聞いてみた。三途のバカすぎる問いかけにも動じなかったし多分大丈夫だろう。
「あ、あー…うん、まぁ…」
「お願い、俺もう後悔なんてしたくないから。何かあるなら隠さず全部俺に話して」
もう二度と、大切な人を失いたくない。
「えっとねぇ…なんていうか、俺は死んだって実感全然ないの。ただ、数ヶ月?か分かんないけど記憶が無いんだよね。だから俺がここにいるのは多分、その失った記憶の中のどこかで何かがあったから、なのかなぁって。詳しいことなんて俺は全くわかんないし、とりあえずなんで死んだのかな〜って気になってる」
「え…数ヶ月ってことは…?いちばん新しい記憶とか分かる?」
「んーとね、あ、なんか天竺のみんなで遊園地行ったろ。その記憶はある」
「遊園地…5ヶ月くらい前だな…」
「5ヶ月…兄ちゃんの体調が悪くなる前、か…」
「5ヶ月も前なの?!うっそ〜…」
「…」
ある仮説を立てた。
もしかしたら今ここにいる兄ちゃんは、5ヶ月前の兄ちゃんと何も変わらなくて、このまま5ヶ月が過ぎればまた兄ちゃんは同じように…
という仮説だ。
あと数週間くらい経って兄ちゃんの体調が少しづつ悪くなっていったら、5ヶ月後に熱を出して、俺に幸せの意味を問いてきたら。
その時の返答次第で兄ちゃんは俺の前からまた消えてしまう。
この仮説が正しいのだとしたら、兄ちゃんを救うチャンスができたということになる。
でも、俺は兄ちゃんの生前の悩みや思いを何一つとて知らない。
唯一知っているのは、あの時話した俺にとっての幸せが、兄ちゃんにとっての幸せではなかったということ。
俺は兄ちゃんに嘘をついてしまったから定かでは無いけれど。
とにかくこれから兄ちゃんに辛い思いをさせないように、1人で思い詰めないようにするために頑張ろう。
兄ちゃんを救えるのは俺だけだから。
「…おい、竜胆!」
「え、なに?三途」
「何じゃねぇよ!考え事か?」
「うん、ちょっとね」
「竜胆ー、蘭ちゃんひま〜」
「買い物でも行く?」
「行く〜!!」
「三途も行く?」
「おう。」
…
「りんどー!これ欲しいー!」
「いいよ、俺が買うから」
「やったー!ありがと♡」
笑ってる。嬉しい。
夢で見る兄ちゃんはいつも泣いていて、辛そうな顔をしていたから。
生前も体調が優れなくなった頃からずっと笑ってくれなかったから、本当に嬉しいんだよ。
この笑顔を絶対に守り抜こう。
「りんどー?大丈夫?」
「なんでもないよ、次どこ行く?」
「えーっとねぇ、三途、どっか行きたいとこあるー?」
「俺は別にどこでもいいけど…」
「竜胆は?」
「俺も兄ちゃんが行きたいとこならどこでもいいよ」
「2人ともなんか変〜。まいいや、あそこのカフェ行こー!」
幸せだなぁ…
「…っ」
「りん…」
「あ、ごめん…行こっか、」
そう言った瞬間、兄ちゃんは俺を抱きしめた。
「にい、ちゃん…?」
俺を包む腕は暖かくて、優しくて、懐かしかった。
「竜胆、俺は生きてるよ。大丈夫だよ。俺が死んだ理由は分かんないけど、勝手に竜胆の前から消えたりなんかしないから。心配しないで」
あぁ、なんで兄ちゃんは。
いとも容易く俺の心を読んで、それに優しく応えてくれる。
「うん、うん…」
「ね、落ち着いた?」
「うん、ありがとう、」
…
「…でさ、なんで俺は死んだの?」
カフェに着いて5分ほど経った頃、兄ちゃんがそう質問してきた。
…”自殺”だなんて、言ったら兄ちゃんはどう思うのだろうか。
俺達がそう言ったことで、また自殺しようと言う考えを持ってしまったりしないだろうか。
そんな事を考えていたら、顔に出ていたのだろうか。
「…自殺、とか?」
「ッ…!」
三途が酷く驚いた顔をした。
そして俺を見るなり、どう答えればいいんだと小声で聞いてきた。
分からなかった。
兄ちゃんは人の考えを汲み取るのが得意だし、冷静に物事を対処できる人だから、案外この話をしたって気にしないのかもしれないし、
もしかしたらずっと、完璧な灰谷蘭でいるために無理をしているのかもしれない。
「ねぇ、どうなの?」
ここで嘘をつくのは簡単だ。だが、それと同時に兄ちゃんが嘘を見破るのもまた簡単なのだ。
ならば事実を言った方がいいのかもしれない。
「…うん、そうだよ…」
「おい竜胆…!」
「…そっかァ。ちなみに遺書にはなんて書いてあった?自殺した決定的な理由とか分かる?」
「…遺書には、俺達への気遣いの言葉とか、そういうことしか書いてなかった。決定的な理由は分からないけど、多分、俺のせい…」
「…俺らしい、と思う?」
「ある意味兄ちゃんらしいとは思ったよ」
「ふはっ、確かにね」
「…」
もし、また兄ちゃんが自殺してしまったらどうしよう…
俺がいない間に、見てない間に、知らない間に
また前みたいに手遅れになってしまったらどうしよう
怖い。兄ちゃんを救いたいって本気で思ってるけど、救えなかったらって考えたら…
「…竜胆」
「…なに、?」
「…今は自分から命捨てようなんて思わないけどさ、もしまた俺がそんなことしようとしたら、竜胆はどうする?」
俺の心を見透かしたように、少しニヤつきながら聞いてきた。
きっと揶揄っているのだろう。でもそれだけじゃない…確認…?
兄ちゃんは簡単に俺の考えてることを見透かすのに、俺は兄ちゃんの考えていることが分からない。
この差はなんなんだろう。
「…もちろん俺の目の前でしようとしたら自分を犠牲にしてでも助けるけど…俺がいないところで…だったら、ッ…」
恐らく俺の中であの時の事はトラウマになっているのだろう。
思い出すだけで怖くて辛くて体が震える。
二度とあんな思いをしたくないと。
「竜胆、ごめんね。そんなに悲しそうな顔しないで。…辛かったね、ごめんね…」
違う。謝って欲しいわけじゃない。
ただ傍にいて、笑ってくれていたらそれだけでいいんだ。
「…家、帰った方がいいんじゃねぇ?」
三途が気を利かせてくれたのだろう。
きっとこれから少し深刻な雰囲気になってしまうから。
「そう、だね…兄ちゃん、帰ろう」
「…」
「…兄ちゃん?」
「うん、そうだね」
「…?」
なんだか兄ちゃんの様子が少し変わった気がする。
気のせい、だろうか。
…
「じゃ、何かあったら連絡しろよ。」
「うん、ありがとう。また明日」
「明日も来んのかよ笑」
「多分ね笑」
「…」
「蘭、また明日な?」
「…うん、」
「兄ちゃん?行くよ?」
「うん、…」
どういう経緯で俺のベッドに兄ちゃんが現れたのかはまだ分からないけど、久しぶりに外を歩いたのだろうか。とても疲れているように見える。
「兄ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だよ、」
「そう…?無理しないでね…?なんかあったらすぐ言ってよ…?」
「分かってるって笑 いつからそんな過保護になったわけ?笑」
「…後悔したくないから、だよ…」
「…そっかぁ」
「うん、」
やっぱり兄ちゃんの考えていることが分からない。
心が読めたらいいのにな…
既に非現実的な事が起きているのだから、突然テレパシー能力でも使えるようにならないだろうか…
…
長かったですね…(((焦
突然この話の続きを出した理由
(以下、読まなくても大丈夫です笑)
これ1話を書き始めた理由が
『突如バッドエンドを書きたくなったから』
なんですよ。(1話参照)
私たまに自分の作品読み返して誤字脱字無いか確認してるんですけど、確認中にこれの1話読んで、
「え、何この終わり方…辛すぎん…!?」
ってなったんですよ()
それで投稿する予定は無かったけど続き書いてみようかな、ってなっていつもとは違う書き方で書き始めたんです。
そしたら思ったよりいい感じになったのでせっかくだからって気持ちで投稿することになったわけです。
普段と書き方違いすぎて読みずらいかもしれませんね…💦
最近はいろんな書き方試してるので、この書き方いいなーっていう作品あればコメントして頂けると今後の作品作りの参考になります…!
正直この書き方は語彙力が無さすぎて文考えるのに時間かかるし疲れる((ボソッ…
今回雑談多めで申し訳ないです🙏
see you again♡⋆͛
コメント
12件
神ってます…いや毎回神ってるんですけど、今回も神ってます。蘭ちゃんが内になにが秘めてるのも良いですね…続き待ってます!!
この話めちゃくちゃ好きかも😭 蘭ちゃんが最後なんか隠してる感じとかまた最高だよ😭 気付いたらポロポロ泣いてた😭 最初にしネタだけど最後ハピエンになるから見れるって書いてくれるのラブ( ˶ˆ꒳ˆ˵ )