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うわあああ第68話読み終えたよ…!!😭💦💦もうね、冒頭から「深泉王」ってタイトルで嫌な予感してたんだけど、まさかフィーネちゃんが攫われるとは思わなかった…!!ベルガルムの存在感がえぐすぎて、でかいし声低いし執着がキモかっこいいし…「実に良い」って呟くところとかゾッとしたよ😨💀フィーネが「ごめんなさい」って泣きそうな顔で言うシーンは心臓ギュッてなったよ…シンゴくんも「謝るな」って叫びたかったよね絶対!!続きが気になりすぎて今夜眠れないかも…次の更新が待ち遠しいです!!🔥
ごぼ……。
ごぼぼ……。
巨大装置の奥で、液体が脈打つ音が響いていた。
温泉水。
蒸気。
熱。
そして、魔力。
何本ものパイプが装置へ突き刺さり、この草津ダンジョンそのものを動かしているみたいだった。
俺は、ゆっくりと近づいた。
嫌な予感しかしない。
「……これ、完全にアウトなやつだな」
ノエルが眉をひそめる。
「ただの給湯設備じゃないわね。魔力の流れが濃すぎる」
フィーネも小さく頷いた。
「……水の精霊力が、全部ここに集まっています……でも、それだけじゃないです……」
「他にもあるのか?」
フィーネは、装置の中心をじっと見つめた。
その瞳が、少しだけ揺れる。
「……魔力が、循環しています……何かを作ってる……」
クロエがロッドを肩に乗せたまま笑う。
「何かって?」
フィーネは、ゆっくりと息を飲んだ。
「……魔です」
その瞬間。
ごぼん!!
巨大装置が大きく脈打った。
全員の足元に振動が走る。
次の瞬間、装置の中央が縦に裂けた。
白い湯気が一気に噴き出す。
熱風。
蒸気。
視界が真っ白になる。
その向こう側で、何かがゆっくりと立ち上がった。
……人型。
だが、人じゃない。
身長は三メートル近い。
全身を白い鉱石みたいな外殻が覆い、その隙間を熱湯が流れている。
肩からは蒸気が漏れ、胸の中心には赤く脈打つ核。
王冠みたいに突き出た頭部。
そして、濁った金色の瞳。
そいつは、まるで最初からそこにいた王みたいな顔で、俺たちを見下ろしていた。
コメント欄が一気に流れる。
『うわあああ』
『ボスきた!!』
『絶対ラスボスだろこれ』
『でかい!!』
ノエルが低く呟く。
「……ネームド級」
クロエも笑みを消した。
「これは、ちょっと強そうだね」
そいつは、静かに口を開いた。
「――目覚めたか」
低い声だった。
温泉の底から響いてくるみたいな、重い声。
「長い眠りだった」
俺は剣を構える。
「……お前、何者だ」
そいつは、ゆっくりと腕を広げた。
「我が名は――深泉王(しんせんおう)ベルガルム」
ごぼ……ごぼぼ……
背後の巨大装置が、それに呼応するように脈打つ。
「この地の熱を喰らい、源泉を支配する王」
その言葉に嘘はなかった。
立っているだけで分かる。
こいつは、今までの敵と格が違う。
ベルガルムの視線が、ゆっくりと俺たちを舐める。
ノエル。
クロエ。
俺。
そして――
フィーネで止まった。
空気が変わる。
ベルガルムの目が、細くなる。
興味を持った。
それがはっきり分かった。
「……美しいな」
低く、静かに。
その声に、フィーネの肩が小さく震えた。
ベルガルムは一歩、前へ出る。
「その眼」
視線が突き刺さる。
「世界の理を視る眼か」
フィーネが息を呑む。
「……っ」
ベルガルムの口元が、わずかに歪んだ。
「欲しい」
その一言に、ぞっとした。
執着だった。
王が宝を見つけた時みたいな目だった。
「源泉を視る眼。
流れを読む眼。
構造を暴く眼」
ゆっくりと。
確信するように。
「実に良い」
ベルガルムは手を伸ばした。
「王の隣に置くに相応しい」
黒い腕が、床を滑るように伸びる。
速い。
「フィーネ!」
俺が踏み込むより早く、その腕がフィーネの身体を絡め取った。
「きゃっ……!」
細い身体が、一瞬で引き寄せられる。
届かない。
あと一歩。
その一歩が遠い。
「フィーネを放せ!」
剣を握る手に力を込め、踏み出す。
だが、遅い。
踏み込んだ瞬間、足元の床が赤く光った。
「っ!?」
魔法陣。
いつの間に刻まれていたのか、巨大装置の周囲一帯に、複雑な紋様が走っていた。
次の瞬間――
ドゴォッ!!
足元から、熱湯の柱が噴き上がる。
「ぐっ!」
反射的に身体をひねる。
ノエルが叫ぶ。
「シンゴさん! 下がって!」
《多層聖界・プリズムウォール》!
白い結界が展開され、熱湯を押し返す。
だが、その一瞬。
その、たった一瞬が致命的だった。
ベルガルムは振り返らない。
黒い腕にフィーネを抱いたまま、巨大装置の中心へ沈むように歩いていく。
熱と蒸気が渦を巻く。
白い湯気が視界を奪う。
まるで、深泉そのものが王を迎え入れているみたいだった。
「返してもらう」
低い声だけが響く。
「我が深淵を見通す、その眼を」
「待てッ!!」
俺は叫んだ。
跳ぶ。
だが、届かない。
熱湯が壁みたいに立ちはだかる。
視界の向こうで、フィーネの身体がゆっくりと装置の中心へ引き込まれていく。
「フィーネ!!」
クロエが何かを叫ぶ。
ノエルがさらに結界を重ねる。
全部、遠い。
見えているのは、ただ一つ。
連れ去られていく、小さな背中だけだった。
最後の瞬間。
フィーネの耳が、ぴくりと震えた。
そして――
「……シンゴさん」
小さな声。
かすれるような、消えそうな声。
それでも、はっきり聞こえた。
フィーネは泣きそうな顔で、こっちを見ていた。
それでも、必死に。
「……ごめんなさい」
違う。
謝るな。
お前が謝ることなんて、一つもない。
叫びたかった。
でも、その前に。
深泉王ベルガルムは、
フィーネを連れたまま、
最深部の奥へ消えた。
静寂。
ごぼ……ごぼぼ……
巨大装置だけが、何事もなかったみたいに脈打っている。
俺は、その場で立ち尽くした。
呼吸が浅い。
頭が、真っ白だった。
遅れた。
届かなかった。
守れなかった。
拳を、握る。
爪が食い込むくらい強く。
ベルガルムの最後の声だけが、まだ耳に残っていた。
――奪い返せるものなら。
俺は剣を構えた。
震えていた。
怒りで。
後悔で。
絶対に取り戻す、その意志で。
「……待ってろ」
喉の奥から、声を絞り出す。
「今、行く」
その瞬間。
草津ダンジョン最深部は、
本当の意味で戦場になった。