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『ちょっと体温貸して』
ツギハギくんがベッドに入りこんで
背中にぺたりとくっついてきた
布団の中で少し温くなった身体に
彼の体温はヒヤッとする
『なんで 今?』
『せっかく暖まってきたのに………』
デカい ベッドマットを 見つけて
やっとの思いで 持ってきた
ドアから部屋に入れるのが
また 大変で あーでもない
こーでもないしながらやっと搬入
いつも硬い床に寝てるから
身体中がギシギシ痛くなってた
ベッドメイクして 久々ゆっくり
寝られると 大喜びで彼を呼んだら
フィっとそっぽ向いて断られたのに
だ
『暖まってから入るに
決まってんじゃん』と
首に冷たい手を張り付けてくる
ひぇっ 冷た!
『オイ! やめろっ』
ケタケタと笑うツギハギくん
背中を預けている 彼 の雰囲気は
おおよそ怪異とは 思えないもの
気安い 男友達の ソレだが…
振り返って目があったのは
瞼のないむき出しの青い目玉と
真っ暗で空っぽの右の眼窩
うーん、紛れもない 怪異だ
オレは天井の穴からこの世界に
落ちてきた
下に瓦礫が積もっていたため
大ケガはしなかったが
その穴から 上に戻ることは
出来なかった
他の出口を求めてさ迷うなか
言葉を教えてくれる友好的な怪異や
たぶん人間?白いレインコートのコ
にも出会い (英語圏の人じゃなかった)
エレベーターから出られるような
情報をもらったが いくら探しても
エレベーターは見つからなかった
そして出会ってしまった
危ない怪異 チェーンソーの女
話しかけて友好的に解決が出来ないか
試みたが 無駄だった
最初の一撃をなんとか避けたが
胸元を掠めただけで 衣服と
皮膚がぐちゃぐちゃに引き裂かれた
痛い! 痛い!でも走らなきゃ
シぬ コロされる!!
必死に逃げ回るが だんだんと
走れなくなってきた
あー…このまま こんなワケわからん
世界で死ぬのか…
恋人が悲しむな… そうだ!なんで
忘れてたんだ 彼女が悲しむ!
絶対に帰らなきゃ 諦めるな! オレ
帰って彼女を抱きしめるまで
(死亡フラグ)
気力を振り絞って立ち上がれば
身体がグンと持ち上げられ
凄いスピードで運ばれる
アレ?見たことない怪異だ
助けようとしてくれてる?
情けないことにオレは気を失った
気がつくと先程の怪異がびちゃびちゃ
と傷口を舐めていた
治療ではないようだ なんせ
傷口に舌を突っ込んで血液を
飲んでいる 痛い!
ジゅる という音が時々聞こえる
最悪だ!殺され方が変わっただけだ
しかも意識あるまま喰い殺される
ほうがチェーンソーでぶった切られ
るより酷いだろうが!!!
なんでオレがこんな目に!?
必死に抵抗し 頭を掴み引き離そう
とした
グチょ なんか思わぬところに
指が入ってしまい
『うわ?!』
声が出る 右目があるべきところに
穴が空いている
親指を突っ込んでしまったが
怯んでいる場合じゃないと
そのまま頭を押し返した
『いたい それ すべきでない』
『あなた たすけた』
『もらう 血』
『もらう 服』
ああ よかった 話せるタイプの
怪異か… ……… 血を?!服も?
それ以降 なんだかんだ ツギハギの
彼に 世話になっている
ツギハギくんのテリトリーに
見つけた物を置かせてもらったり
休ませてもらったりすることが 増えた
少し血をあげれば快く許可してくれる
親切な怪異もいるが 無償で世話を
焼いてもらうの は 気が引ける
ギブアンドテイクのほうが 対等で
気が楽だった
それに 彼は人語が話せる
ーーー時がある
ペラペラと流暢に英語を話せる
あとは 日本語も話せるそうだ
彼は日本と××××のハーフで
碧眼の美少年だったそうだ(自称)
彼女もたくさんいたと 得意気に話す
えーと………
たくさん居たらダメだろ………?
それで 今は白いレインコートの
あのコを狙ってるそうで…
そんな話しをしていると
彼の言葉は急に怪異語になった
人語で話し掛けても返事がない
どうやら 彼は人と怪異の間で
状態が行ったり来たりしている
ようだった
ツギハギくんは怪異化しているため
なのか 床に直に寝てることが
多かった
ドアを開けて彼が倒れていたときは
死んだのかと思って驚いたが
最近は 気にも留めなくなった
しかし 自分が寝るとなると話しは
別だ 拾ってきた段ボールやら
毛布やらで なんとか寝床を作った
が 寝心地が悪い
しかも 朝起きると大抵
ツギハギくんが潜り込んできていて
オレは寝床からはみ出したり
追い出されている
『なぁ 自分の寝床は自分で
準備しろよ』
『めんどくさい』
『ベッドとか置かないのか?』
『あんたが持ってきてくれるなら
置いてもいいよ』
『………』
というやり取りがあったあとだった
今日はずいぶんと道が変化しており
あいかわらずエレベーターは
見つからないが
大きなベッドを見つけた
さすがにベッドごとは運べないので
マットレスだけ頂戴してきた
というわけだ
こんだけデカイ マットレスなら
ツギハギくんが入ってきても余裕
だろと思っていたが なんか今日は
やけに くっついてくるな…?