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First Timer

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First Timer

1 - 第1話

♥

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2024年10月01日

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『今とりこみ中』

明日香に返信を送った後、湊はシンを押し倒しその上に跨る。

シンを見つめたまま湊は動かない。

「…………えっと…」

「……」

黙ったまま湊はシンを凝視している。

「湊……さん?」

名前を呼ぶと湊は

「いいのか…?」

真剣な眼差しでシンに聞いてきた。

何を今さらこの状況で……

そう思ったシンは

「……もう休憩は挟みませんよ」

笑って答えた。

「そうじゃねぇ」

少し怒って湊が反論する。

「…どうしたんですか……?」

シンの問いに少し黙ったあと

「お前初めてなんだろ?その…………初めてが俺で……いいのかよ………」

最後は照れたように湊が言った。

聞くまでもない…確認しなくてもわかっているはずなのに…それなのに…

そんな事を…わかりきった事を気にしてくれる湊が可愛くて…愛おしくしくて…思わず湊を抱きしめた。

「俺は湊晃を抱きたいんです。あんただけを知りたい…………湊晃以外いらない…」

ずっと想っていた…

ずっと願っていた言葉を耳元で囁いた。

シンのその言葉で覚悟を決めた湊は着ていたシャツを脱ぎ捨てるとシンの唇にキスをした。

付き合ってから交わしたどのキスより深く…濃厚で…熱い…

唇が離れるとシンはうっとりと湊を見つめる。

「後悔しても…しらねぇからな」

吐き捨てるように湊が言った。

「……」

するはずがない…ずっとこうしたくて仕方なかった…付き合っても中々触れさせてくれない湊に不安が募っていた。やはり自分ではだめなのではないかと…。

怖かった…いつかいなくなってしまうんじゃないかと…。

今、目の前にこういう状況でいる事が夢なんじゃないかと…思ってしまう。

「なに黙ってんだよ………」

返事がないシンに少し苛立つ。

「しませんよ………絶対っ」

その言葉が合図かのように今度はシンから湊に口づけた。

首に腕をまわし、髪を掻き抱き乱れるほど何度も唇を重ねた。

夢中だった…

湊を下に寝かせるとシンは湊の身体を貪るように口づける。

初めてで加減がわからず強く吸い上げると

「はぁあっ……」

歪んだ表情で湊がくぐもった声をあげる。

「ごめんっ…湊さん…」

咄嗟にシンが謝ると

「なんで謝るんだよっ」

声が怒っている。

「俺…夢中で…」

言い訳をする。

湊は口を尖らせ

「めちゃくちゃにしたかったんじゃねぇのかよ……」

顔を赤くして照れながら言った。

出会って間もない頃、確かにシンは湊の腕を掴んでそう言っていた。

湊は横を向くと恥ずかしそうに

「早く…続き……しろよ……」

「…はい」

今度は優しく………。

湊の首すじに唇を這わせ口づける。

「あっ……っ…」

左右の耳元を首すじを交互に優しく…ゆっくりと吸い上げる。

「はっ…んっ……」

湊の息づかいが乱れてくるとシンは優しく……。なんてできなくなっていた。

見たい………

もっと…見たい………

初めて見る湊の乱れる姿をもっと見たいと渇望してしまった。

「はぁ…はぁ…んっ………シン……」

潤んだ瞳でシンを見る湊は今まで見てきたどの表情より艷やかで色っぽくシンを狂わせる。

衣を纏わない湊を見るのは初めてで、少し日に焼けた身体は想像していた以上に柔らかく滑らかだった。慈しむようにそっと素肌をなぞると時折湊の身体が震える。

シンを感じながら湊も自分だけ忘れられた事を思い出し不安になっていた。

もし今も記憶が戻っていなかったら…

シンの中から自分だけが排除されてしまったままだったなら…

後悔だけが残りシンと恋人として会えない日々を悔やんでも悔やみきれない。そんな毎日に耐えられただろうか…

と。

だからこうして抱き合う事ができた幸せを湊は心の底から感じていた。

誰よりも……

何よりも……

………シンが好きだ。

「…………シン…欲しい…」

想いは言葉となって湊の口から発せられた。

「……俺も」

切望する湊に応えるようにシンは自らを湊の中にゆっくりねじ込んだ。

「はあぁぁっ…っっ」

初めて知る湊の中は柔らかく温かかった。

背中に腕をまわし湊はシンを強く抱きしめる。

そんな湊を見てシンは、

二度と忘れない…

二度と離さない…

そう心の中で強く誓った。

「大好きです…湊さん……」

初めて重なった互いの身体の温もりを湊もシンも生涯忘れたくないと思っていた。



隣で眠るシンの寝顔は朝日を浴びより一層煌やいていたみえた。

昨夜の事を思い出し

とうとう…………ついに…………

『ヤってしまった……』

頭を抱える。

後悔はない…が……どんな顔をすればよいのか悩んでしまう。

目を覚ましたシンは湊を見つめる。

「おはよう。シン」

平静を保って言ったつもりだったが

「おはようございます。湊さん」

そう言って間近で微笑むシンの顔は湊には耐えられないくら位イケメンだった。

「むりぃ……」

思わず顔をそらしてしまう。

「照れないで…」

そう言ってシンが湊の肩を掴んで自分の方に向かせようとする。

照れているのは昨夜の事だけじゃなくて、イケメン過ぎるお前の顔なんだよっ〜!

ムリムリムリムリ…絶対無理っ!

「ほらっこっち向いて」

人の気も知らねぇで…こいつはっ!

「朝から…イケメン過ぎんだよ…」

つい本音を言ってしまう。

「聞こえない…もう一度言ってください」

なにっ?

「やだっ!」

「昨夜の湊さんすごく可愛かったですよ」

「……!あほかっ朝から何言ってんだよっ」

「本当の事を思ったまま言っただけです」

しゃあしゃあと……

「あ〜もういいからっ!腹減った!」

「全く…色気も何も台無しじゃないですか…」

「色気より食い気なんだよっ!」

「はいはい…」

少し呆れ顔でベッドから立ち上がるシンを目で追う。

「……シン」

名前を呼ぶとシンが立ち止まる。

湊も起き上がると座ったままシンの腰に腕をまわす。

「……ありがとうな……」

思い出してくれた事…

恋人に戻れた事…

また一緒に暮らせた事…

ずっと俺だけを想ってくれていた事…

その全てが愛おしかった。

「湊さん…俺…嬉しかったです。記憶が戻らなくてもまた付き合って欲しいって言ってくれた事…」

「…うん」

「今日と言う日を迎えられた事……。一生。絶対。忘れません」

「相変わらず大げさだな……」

そう言って笑う湊を抱きしめおでこに口づけた。

やっと戻った平穏な日常を噛み締めるように湊はそっと瞳を閉じた……。


「新しい食器使っていいですか…?」

「おぅもちろん!」

「湊さんが俺のために選んでくれた食器どんなのか楽しみです!」

「俺と!お前のだ…お揃いだからなっ…」

「はい…ありがとうございます…」



朝食が並ぶ食卓にはお揃いの食器が置かれていた……。



【あとがき】

きっとたくさんの方がこの場面を書かれているのだろうな〜と思いながらも作者なりのお話を書いてみました。

一応あの場面の続きなので…それなりの営みがあったであろうと思いつつ。表現には極力気をつけてマイルドに書いたつもりです…気を抜くととんでもない表現になってしまうので…笑

もしやばかったら教えてください!笑


それでは、また次回作でお会いできますように…

月乃水萌

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