注意書き
・二次創作です。
迷惑のかかる行為はお辞め下さい。
・rnちゃんが可哀想で弱ってる
・bcrも可哀想で弱ってる
・rnちゃんの嘔吐
・ゲロチュー
オマケもあるので、良ければ最後まで見て行ってください〜🙌✨
傷を舐め合う蜂凛が!!!大好きです!!!!(クソデカボイス)
「めぐるくんって、変だよね」
言った側は覚えていないだろうが、言われた側は一生忘れない。そんな有名な言葉をご存知だろうか。
俺は、それを今、身に染みて体験していた。
自分は変なんだ。そう幼い頃から頭に刷り込まれて。優のように理解してくれる人が居たって、傷は消えやしない。「変」。「気持ち悪い」。そう言われて遠ざけられた日のことは、今でも夢に見る。
悪夢を見たときの起床は、とても気分が悪い。夢と現実がごちゃ混ぜになって、また否定されるんじゃないか。そんな恐怖心が湧き出てきて止められない。
冷や汗がシャツに張り付いて煩わしい。シャワーでも浴びようかと、音を立てないようにベッドを抜け出した。
(⋯⋯凛ちゃん、居ない)
ふと、チームメイトの布団に目をやると、そこで眠っていたはずの凛ちゃんの姿は跡形も無かった。偶々起きて、水でも飲みに行ったのだろうか。まァ、特に気にすることでは無いだろうと考え、歩みを進める。
シャワー室に行くための廊下。深夜なので静まり返っているこの場所は、普段とのギャップで不気味に感じる。ひたひたと、自分の足音だけが響いていた。
⋯⋯否、足音以外にも声があった。
(⋯⋯?)
悶えているような、苦しさに喘ぐような。そんな声だった。
それは、トイレの奥から聞こえてくる。具合が悪い人でも居るのだろうかと、俺はそっと足を進めた。1番奥の個室を、覗き込むようにして開ける。
「⋯⋯ぁ」
「⋯⋯凛ちゃん」
そう、便器にしがみついている彼の名前を呼んだ。
赤く染まった目元。濡れている頬。嘔吐していたことは明らかだった。
凛ちゃん。もう一度名前を呼ぶ。凛ちゃんは、気まづそうに目を逸らして、口を紡ぐ。口の端から、ツゥと唾液が零れていた。
どうしてかは分からないけれど、勿体無く思って口付けをした。凛ちゃんがびっくりしたように目を見開いて。お世辞にも美味しいとは言えない吐瀉物の味が流れこんでくる。
唇を離すと、俺たちの間に銀色の糸が引く。それは直ぐに、重力に従ってぷつんと切れた。
「⋯⋯、ぅ゛え⋯⋯っ!」
俺が口内を刺激したからか、凛ちゃんは苦しげにえずいて吐瀉物を吐き出す。特有のツンとした匂いが鼻先をつついた。
背中に手を置いて、軽くさする。凛ちゃんは、涙目で抗議をするようにこちらを睨んだけれど、直後、吐き気に襲われて気持ち悪そうに呻く。
凛ちゃんの左手には、絆創膏が貼ってある。今も貼ってあることを確認して、遠慮なくそれを剥がした。そこに隠されていたのは、やっぱり吐きダコ。
「凛ちゃん、吐きぐせ付いてるでしょ」
「⋯⋯だったら、何だよ」
凛ちゃんは忌々しげに吐き捨てる。サラサラでツヤツヤの髪を撫でながら、俺も言葉を口にした。
「⋯⋯お兄さんのこと?」
「⋯⋯⋯⋯。」
凛ちゃんは、ぼんやりと右下辺りを見つめる。その瞳には、いつもとは違う寂しさが滲んでいた。
触れると壊れてしまいそうに儚い雰囲気を持っている彼。頬っておけなくて、俺は凛ちゃんを支えるようにして立ち上がった。
「お水飲みに行こう。お口気持ち悪いでしょ」
食堂にやってきた俺たちは、水を2つ汲む。1つを凛ちゃんに手渡すと、なにか言いたげに口をはくはくと動かしていた。拙いながらも、「ありがと」と凛ちゃんは告げる。可愛くって、愛おしくって、ぎゅーっと強く抱き締めたくなるのを、なんとか押さえ込んだ。
凛ちゃんは、ポケットに入っていたらしいシートを取り出した。いくつかは使用済みで、日常的に使っていることが分かる。
「凛ちゃん、それなんのお薬?」
「睡眠薬。⋯⋯これが無いと、眠れなくて」
「そうなんだ。⋯⋯ねぇ、」
「俺が凛ちゃんが眠るまでお話するから、今日はお薬飲むのお休みしない?」
凛ちゃんが、長い睫毛を瞬かせた。
話し声で他の人を起こして迷惑をかけたくなかつたから、医務室へやってきた。ベッドに2人で腰掛ける。凛ちゃんは、唇を1つに結んでなにも話したくなさげだったから、俺が勝手に1人で話した。
今日の練習の成果。潔からおかずを分けてもらったこと。かいぶつの話。一昨日の皆の寝癖が凄かった。
そんなことを話して、話して、話して。もう話すことなんて無いと言う頃に、俺は切り出した。
「凛ちゃん、なんで吐いてたの?」
「⋯⋯⋯⋯。」
凛ちゃんは、答えない。唇をぎゅっと強く閉じて、軽く俺を睨んだ。「聞くな」と、そう言いたいのだろう。
でも、俺にはどうしても凛ちゃんが無理しているように見えて。
「⋯⋯俺はねぇ、皆に嫌われるのが怖いの」
そう急に話し出した俺を、凛ちゃんは咎めようとはしない。それどころか、「早く話せ」って目が訴えていた。いや、気のせいかもしれないけれど。
先程の悪夢を見て、黒く濁った心を吐き出すように、俺は続ける。
「俺は、『変』だから。嫌われたり、遠ざけられたりするんだ。ずっとそうされてるけど、慣れないの。」
目が熱くなって、鼻の先がツンと痛む。ああ、やっぱり俺は弱い。夢の内容を振り返るだけで、こんなにも泣きそうになってる。
震える声。じわりと目尻に溜まる涙。それらを隠すように、目線を下へ向けた。
「『変』って言われるのが怖くて、辛くて。今でもずっと、怯えてる。俺って、弱いんだよね⋯⋯。」
そう言い切ると、涙を拭って凛ちゃんに顔を向けた。出来るだけの笑顔を添えて。
凛ちゃんは、落ち着いた表情で俺を見つめていた。
「俺のことは話したよ? だから次は凛ちゃんの番!」
しん、と医務室は静まり返る。やっぱり、凛ちゃんは話してくれない。ずっと孤高を貫いている。それはかっこよくて強いことだけど、俺の前では弱みを見せてほしいなぁ。なんて。
そんなことを思ってると、凛ちゃんは口を開いた。
「⋯⋯夢、見て」
「どんな夢?」
「⋯⋯兄ちゃんに、捨てられる夢」
そう言って、凛ちゃんは瞳に影を落とす。カタカタと小さく手が震えていて、あっためてあげたくて上から俺の掌を重ねた。そうすると、ほんの少しだけ震えが収まった気がする。
「俺は、要らない子、で⋯⋯。兄ちゃんにとって、面倒臭い弟だから⋯⋯っ」
「凛ちゃん、ゆっくり息吸お。呼吸早くなってる」
優しく凛ちゃんの背中を撫でる。俺よりおっきいはずなのに、どうしてかとても小さく見える。こうして見ると、やっぱり俺よりも年下の高校1年生。ただ、抱えすぎちゃっただけの16歳。
「⋯⋯悪夢を見たときは、気持ち悪くて。毎日吐いてた。」
「⋯⋯凛ちゃん」
この消えてしまいそうな彼を、ここに引き留めたい。ぎゅうっと強く抱き締めると、いつもの凛ちゃんなら直ぐに振り払うだろうに、今日の凛ちゃんはなにも言わない。ただ、憂いを帯びた瞳を伏せていた。
「凛ちゃん、俺がいーっぱい甘やかしてあげる。俺のことお兄ちゃんだと思って、沢山甘えてみてよ!」
凛ちゃんは、びっくりしたような顔で俺を見た。それでも構わずに、抱きしめる腕に力を込めると、凛ちゃんは俺の胸に顔を埋める。
「なんで⋯⋯なんで、認めてくれないの。俺、頑張ったのに⋯⋯っ。約束通り、日本一になったのに⋯⋯っ!」
凛ちゃんの声は、震えていた。時折、しゃくりあげる声が混じっていて。大丈夫だよって意味も込めて頭を撫でる。
暫くそうしていて、時計の長い針が半分ほど回ったあと、凛ちゃんは俺に体重を預けた。そっと顔を覗くと、目元は赤くなってしまっている。
「おやすみ、凛ちゃん」
そう言って、最後に1回頭を撫でた。
「俺じゃ頼りないかもしれないけど⋯⋯。凛ちゃんに頼ってほしいな」
夜は、更けていく。
オマケ
慣れた手つきで、口の中に指を突っ込む。ぐ、と舌の付け根を押すと、反射的に嘔吐感が襲ってきて、そのまま吐瀉物を便器の中に吐き出した。ツンとした酸の匂い。吐瀉物でぐちゃぐちゃに汚れてしまった口の中。全てに慣れきってしまっている自分が居て、どこまで弱いんだろうとそう思った。
「ッ、ぅ゛え⋯⋯っ! ⋯⋯っゔ」
出来るだけ声を殺しながら、未だに胃の中に残っているものを全て吐き出してしまおうと。そう嘔吐を続ける。
今日はいつもより眠くて、薬を飲まないでも眠れるかもしれないなんて思った。でも、薬を飲まなかったせいで悪夢に悩まされて、あのときのことがフラッシュバックして、それで。
「ぁ⋯⋯にいちゃ⋯⋯ッ、お゛ぇっ」
ここに居ない兄に縋り付いて。またあの日のことを思い出して。そんな纏まりきらない感情ごと吐き出すように、口元から吐瀉物を零す。
晩飯を全部吐き出してもまだ気持ち悪くて。でも舌を押してもただの胃液しか出ず、諦めて水を流した。
そのときだ。ひたひたと廊下を歩く足音が聞こえたのは。
足音は、トイレの前にやってきて、扉をキィと開ける。あぁ、バレた。
蜂蜜色の瞳と、目が合った。
コメント
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久しぶりー! いつ見てもりとの作品はまじ神!!✨✨ 推しが弱ってるのは可愛いすぎr( これからも頑張って!!一生応援する👍
推しが弱ってるとこが好きだ、! 友達には絶対に性癖言えねぇ、
過去のこと引きずって苦しむ凛ちゃんが可愛すぎる…