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かがみもち!
曲パロ!
あの夏が飽和する
⚠️ほとんど歌詞引用
どうぞ
一章 夏の日の記憶
「昨日人を殺したんだ」
君は、そう言っていた。
梅雨時ずぶ濡れのまんま部屋の前で泣いていた。
あまりにも唐突で、僕はしばらく何も言えなかった。
「…何、それ……」
聞き間違いだと、冗談だと、そう言って欲しかったのだろう。
けれど、答えは返ってこなかった。
夏が始まったばかりというのに君は酷く震えていた。
そんな話で始まる、あの夏の日の記憶だ。
「殺したのは隣の席のいつも虐めてくるあの人」
ぽつぽつと、ひとつずつ確認するように言葉を漏らした。
「もう嫌になって、肩を突き飛ばして、打ちどころが悪かったんだ」
「もうここにはいられないと思うし、何処か遠いところで死んでくるよ」
そう言って、諦めたように笑った。
そんな君に僕は言った。
「じゃあ、僕も連れてって」
財布を持って、ナイフを持って
携帯ゲームをカバンに詰めて。
要らないものは全部、壊していこう。
「大事なものじゃないんですか?」
あの写真も、あの日記も。
「今となったらもういらないかな」
きっとこれは本心だった。
自分でも、どうしてここまでするか分からなかった。
ただこれは、人殺しとダメ人間の
君と僕の旅だ。
そして僕らは逃げ出した。
この狭い狭い、世界から。
家族も、クラスの奴らも何もかも。
全部捨てて、君と二人で。
電車に揺られながら、窓の外を眺める。
思えばこんな穏やかな時間はあまり無かったな、と、喧騒の中冷静に思ったことを覚えている。
「……良かったんでしょうか」
「あなたが言い出したんでしょ…」
「遠い遠い、誰もいない場所でふたりで死のうよ。」
もうこの世界に価値などないよ。
人殺しなんてそこらじゅう湧いてるじゃんか。
「貴方は何も悪くないよ」
悪くないよ。
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二章 逃避行
結局、僕らは誰にも愛されたことなどなかった。
そんな嫌な共通点で、僕らは簡単に信じあってきた。
君の手を握った時、微かな震えもなくなっていて、
僕よりずうっと冷たかった。
だれにも縛られないで、普段なら絶対に歩かない線路の上をふたり歩いた。
金を盗んで、ふたりで逃げて、
どこにも行ける気がした。
今更怖いものは僕らには無かった。
初夏の白く強い光が照りつける。
額の汗も、落ちたメガネも。
今となっちゃどうでもいいって。
「あぶれものの小さな、逃避行の旅だ!」
「いつか夢見た、優しくて誰にも好かれる主人公なら」
「汚くなった僕たちも見捨てずに、ちゃんと救ってくれるのかな。」
そんな、小さな疑問を口にした時
君は眉を寄せて、すぐに口を開いた。
「そんな夢なら捨てました。
だって、現実を見れば…」
「『シアワセ』の四文字なんてなかった、今までの人生で思い知ったじゃないですか」
「自分は何も悪くねぇって、誰もがきっと思ってますよ」
そんなことを真顔で口にする君に、少しだけ苛立ったのは、次会った時に言おうと思う。
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三章 まるで映画のような
宛もなくさまよう、蝉の群れに。
水も無くなり揺れ出す視界に。
迫り狂う鬼達の怒号に。
馬鹿みたいにはしゃぎあった。
涙が出るほど笑って、
冗談を言い合って、笑って。
ふとしたことでまた笑って。
そんな日が、あと少しだけ続くと思った。
ふと、君はナイフをとった。
「貴方が今までそばにいたから、ここまで来れたんです」
「だから、もういいよ」
「死ぬのは私一人でいいよ」
_____そして、君は首を切った。
まるで何かの映画のワンシーンだ。
白昼夢を見ている気がした。
ふわふわと、今にも手放しそうな意識の中、
気づけば僕は捕まって。
君がどこにも見つからなくて、
どこを探しても、名前を呼んでも、
君だけが、どこにもいなくて。
そして、時は過ぎていった。
ただ暑い、暑い日が過ぎていった。
家族も、クラスの奴らもいるのに
何故か君だけはどこにもいない。
あの夏の日を思い出す。
生暖かい風が吹く、青い、青い夏の日。
僕は今の今でも君を唄っている。
君をずっと探しているんだ。
君に言いたいことがあるんだ。
9月終わりにくしゃみして、
6月の匂いを繰り返す。
君の笑顔は、君の無邪気さは、
吐き気がするほどに頭の中を飽和している。
誰も何も悪くないよ
君は何も悪くはないから。
『もういいよ、投げ出してしまおう?』
そう言って欲しかったのだろう?
なぁ。
コメント
1件
「昨日人を♡♡♡たんだ」という衝撃的な一文から始まって、もう引き込まれました。誰にも愛されなかった二人が、逃げて、笑い合って、最後に君だけが去っていく。特に「死ぬのは私一人でいいよ」からの流れ、すごく切なかったです…。あの夏の記憶が頭の中で飽和してる、という表現が胸に刺さりました。とても美しくて苦しい1話でした。続きが気になります。