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#Die of Death
ちょまげ
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⚠️捏造、ブラコンストーカー(ラティーナ)、ネタバレ?、結構適当なこと言ってる、リズの家行った後のラトゥー、リズ、インターン、ストーカーの話
夜は更けた。シフト後にラトゥーが撮ってきた映像を見て、多少の会議をして、資料やコルクボードと睨めっこしながら考えたら、もう外はすっかり暗い。ラトゥーには家がない。インターンにも帰りの電車がもうない。リズは快く二人を泊めてくれた。
深夜。同じ部屋で、三人はとっくに寝静まった。暗い室内に時計の秒針が進む音だけが小さく鳴っている。
とん、とん、とん
扉を叩く音。
誰も起きない。
とん、とん、とん
再びノック音。
ようやく一人の耳が寝静まった脳に音を届けた。
ラトゥーが目を覚ました。時計を見ると、午前二時。丑三つ時。 変な時間に目を覚ました。
とん、とん、とん
今度ははっきり聞こえた。扉の方から音。最初は隣の部屋の住民かと思った。
とん、とん、とん
でもおそらく違う。規則的で静かなノック。気味が悪い。ラトゥーは気にせず寝に戻ろうとしていた。その時だった。
「おにいちゃん」
その言葉は閃光の如くラトゥーの思考を貫いた。間違いない。行方不明になった妹、ラティーナの声。
「ラティーナ…?ラティーナ!」
飛び起きた。すぐにでも姿が見たかった。会いたかった。扉を開けようとした瞬間、
「ぉ にい ちゃ ン」
歪んだ。声が歪んだ。
ラトゥーの足は止まった。妹の声なのだ、確実に。しかし、明らかに違う。形容し難い何かが明らかに違う。脳みそが警鐘を鳴らしていた。身体中の細胞がダメだと言って逃げたがっていた。しかし心だけが踵を返すことができなかった。
「ラティーナ…?」
「オに ぃ チ ゃん 、 開」
妹のはずなのに、妹じゃない。妹じゃないはずなのに、妹。
「オ にちヤ ん、ァ たし おこて るノよ よ」
「 なん しらナ ぃ ゃっ の イエいる の?」
壊れていく。
「あタ し、しんぱ イ シたのょ」
「ラティーナ…」
異様だった。全てが。
「ネ おにいちゃん」
その中でも特段異様だったのは
「あけて」
ラティーナは本来なら扉の半分程度の背丈しかないのに、扉の上の方から声が聞こえてくることだった。
「ラティーナ…!」
焦り始めた。開けてはならない。わかっている。開けたらきっと恐ろしい目に遭う。
「おにいちゃん」
「ラティーナ…」
「なあに…どうしたの…?」
別の声。リズだ。彼女も目を覚ましてしまった。
「リズっ…これは」
「おにいちゃん」
「え?…」
「しラ な ィ おんな」
寝起きのリズの顔が青ざめる。頭の回転は速い子だった。
「…妹さん…?」
ラトゥーは頷く。
視界の端で淡い黄色の耳がぴょんと跳ねるのを見た。インターン。彼も目を覚ましてしまった。
「ん〜…んー…?どしたの…?そんな騒いで…」
「あ」
「え?」
「ぁ」
「えっ、え、え?」
「ァ」
「今二人どっちか喋った?」
「い ン た- ん」
「えっ」
「ヱへ へ」
彼も聞いた。不気味な声を。耳が垂れ、体が震える。怯え始めた。
「おにいちゃん」
「あけて」
どん
扉を叩く音が大きくなる。
「あけて」
どん
みしり、と嫌な音がする。
「おにいちゃん」
ばんっ
木製の扉が悲鳴をあげている。
三人は部屋の奥に固まって、なす術なくガタガタ震えている。
「おにいちゃん」
ばん
「おにいちゃん」
ばん
「お に ィ ちゃ ん」
ばきっ
木屑が飛ぶ。
リズが喉の奥から短くか細い悲鳴をあげた。
「 オ にいち ゃ ん」
ばきり
蝶番が軋む。
「あけて」
ばきっ
「あ けて」
ばき
「ぁけ て」
ばき
我慢の限界だった。声を上げるべきではなかったのに、ラトゥーは縋るように言ってしまった。
「ラティ」
「おにいちゃん」
轟音と共に木製扉に穴が開く。向こう側は真っ黒。そこから一本、これまた黒く、細く鋭い腕が伸びてくる。腕はドアノブを探り当てると、鍵を開けた。
三人はその光景を震えながら見ているしかなかった。
精神的不安。正気度の減少。
腕が引っ込むと、扉がゆっくりと開く。
そこにいたのは、長身の影。目と歯だけが白く浮かび、恐怖を煽る。ストーカーと呼ばれる、病院内でたまに見かけるそれを見て、 三人は戦慄する。身を寄せ合って、震える。
ストーカーは身を屈めてドア枠をくぐると、部屋の中に侵入し、三人をじっと見つめる。
「おにいちゃん」
「ラティーナ…」
ストーカーの口角が上がる。嬉しそうと言うには些か恐ろしすぎたが。
「おにいちゃん」
ストーカーが近づいてくる。三人は怯えることしかできない。きっと逃げても捕まる。インターンが咄嗟にポケットからチョコレートを取り出し、二人にも分け与えた。少しでも正気度を保たなくては、そう考えての行動だった。
ストーカーは三人の目の前まで来ると、手を伸ばしてリズの首根っこを引っ掴んだ。
「きゃっ!?」
そして容赦無く投げ、彼女は壁に叩きつけられる。
「ゔぅっ!」
「リズ!!」
さらにインターンの耳を指で摘み、先ほど自分が壊した扉の方に捨てる。
「ぐえっ」
「インターン!!」
幸い扉の残骸が彼に突き刺さることはなかった。
「おにいちゃん」
ストーカーの手がラトゥーに伸びる。リズやインターンに向けたような、敵意のある手じゃない。守る手。甘える手。家族の手。
しかし
「触るなッ!!」
ラトゥーは反射的にその手を拒否した。ストーカーの動きが止まり、気味の悪い笑顔が固まる。
「…おにいちゃん?」
「来るな!!」
妹は兄に拒否された。拒否されたのだ。その事実がストーカーの腹の底で煮えくり返り、表情が歪んでいく。
「おにいちゃん…」
「なんでっ…なんで二人を傷つけてッ…」
「どう して」
「やめろ!!触るな!!!」
三度目の拒否。ここまで来たら最早拒否どころではない。拒絶だ。
ストーカーの顔が怒りで歪む。
「…おにいちゃんは…あたしにそんなこといわない…」
震えている。
壁に叩きつけられた衝撃で肺の空気が押し出されて咳き込んでいたリズも、鋭い木の破片に触れないよう体を捩っていたインターンも、ストーカーの変化に顔を上げた。
そして彼女は、ストーカーは爆発したように叫んだ。
「おにいちゃんはそんなこといわないッ!!!」
空気が震えるほどの声量。近所迷惑も甚だしい。
「やめろ!!!」
ラトゥーが制止しようとしたが、無駄だった。ストーカーはすでにその鋭い爪を持った手を振り上げていた。
「おにいちゃんじゃない!そんなの絶対あたしのおにいちゃんじゃないッ!!!」
鮮血が床に飛ぶ。
ストーカーの爪には兄の血がついていた。
床で蹲るのは、顔を爪で引っ掻かれたラトゥー。引っ掻かれたどころではない。引き裂かれた。
ストーカーは呆然としていた。自分の手にへばりつく血、体を丸めて呻いている兄。
傷つけてしまった。
「ラトゥー!!」
最初に動いたのはリズ、それに続いてインターンが、ラトゥーのもとに駆け寄る。
「ラトゥー!!ねえ!しっかりして!!ねえってば!!」
「聞こえる?僕たちの声聞こえる?病院、すぐ病院行こう…!」
家の中ではリズの叫び声と、インターンの涙声、ラトゥーの呻き声以外聞こえなかった。
混沌を引き起こした恐ろしい黒い気配は、いつのまにか消えていた。
動物病院。丁度ハーロウ医師がロビーへ出てきたところだった。すぐに見つけた。玄関先で立ち尽くすストーカーを。
ハーロウ医師は表情を変えない。まるで木にいる虫でも見るかのように、じっとその長身を見上げている。
ストーカーの手についた血はまだ乾いていなかった。瞬き一つせずに、彼女は虚空を見つめていた。次第に目に涙が溜まり、抑えきれなくなった一部が大粒で溢れていく。止まらない。くしゃりと表情が歪む。今度は恐らく、後悔と悲しみ。ストーカーは泣き崩れた。小さく見えるほど。
ハーロウ医師はやはり何も言わなかった。観察か、はたまた別のものか。慰めることもなく、号泣する巨体を、今度は見下ろした。
コメント
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うわっ、第6話めっちゃ怖かった…!扉の向こうの「おにいちゃん」がだんだん壊れていく声の表現、背筋が凍ったわ。ラトゥーが拒絶した瞬間のストーカーの豹変と「おにいちゃんじゃない!」って叫び、胸がギュッと締め付けられた。リズとインターンもちゃんと動いてて良いチームワーク。最後のハーロウ医師の無表情な観察、何考えてるか読めなくてゾクゾクする。続き気になる🔥