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昼下がりの町のハイカラな喫茶店で詩軸矢太郎は動揺を隠せなかった、向かい合う形で座っている女性に突然話しかけられたからだ。
女性は洋風ソファーの事件があった時に居合わせたモガ(モダンガール)
の名を、坂北そよと言った。
社交の場ではないため、少し普段の装いに近しい服装であった。そよはミルクティーとやらを一口飲み、話し始めた、「この前の社交の場では、あまりお話できなかったので改めてお声掛けをさせていただきました。本題に入りますと、詩軸さんは事件が起きる際、何か見えていらっしゃるのですか?」
矢太郎は何故そんな確信を突くようなことを、と思ったが不思議と矢太郎は坂北も同じではと、思えてしまった。矢太郎は質問を質問で返すことは好きではないがこの時ばかりはやむおえなかった。
「それを聞くと言うことは、坂北さんも見えるのですよね?」
そよは相手を探る様な目の矢太郎に、物怖じすることなく縦に頷いた。やはりと思った矢太郎は踏み込んだ質問をした、「坂北さんは事件があるところに何が見えますか?自分自身、生きてきた中で見える方に会ったことがないので。」
と聞いた返答は少し遅れぎみに、「私は事件のある所には菊の花が、事故の所には桜の花が見えます。」
矢太郎は考えた、自分は金魚が見えるがその事を教えるべきかということを。そよは何か察したのだろう、抜け目がない。矢太郎は何が見えますか?と質問してきた、矢太郎は諦めて自分は何が見えるのかを話した。そよは少し考えたのちに微笑を浮かべて、矢太郎にある提案を持ち掛けた。
「矢太郎さん、私と一緒に探偵業をしてみませんか」
とカレーライスを店員が持ってきたと同時に提案した、勿論矢太郎はカレーライスなど頼んでいない。
つまり、カレーライスを奢るからこの場は頷いてくれ、とのことだった。
矢太郎は間抜けな声が出そうになった。