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来華
519
みーる
358
ゆめ🫧(元こと)
130
『ふゆかいなんて、ウソだった。』
第1話 「大丈夫、だから。」
───うり視点
「よし。」
今日も撮影。
いつも通り。
……のはずだった。
「……っ。」
頭が重い。
体も少しだるい。
(風邪か……?)
昨日から少し違和感はあった。
でも。
寝れば治ると思っていた。
「うりー!」
リビングから。
じゃぱぱの声。
「撮影始めるぞ!」
「今行く。」
深呼吸をして。
笑顔を作る。
大丈夫。
これくらい。
みんなに心配なんてかけられない。
⸻
───撮影部屋
「はい、今日は!」
「〇〇をやっていきまーす!」
じゃぱぱの元気な声。
いつも通り。
みんなも笑っている。
「うり、そこ危ないって!」
たっつんが笑う。
「分かってるって。」
軽く返す。
……けれど。
画面が少し揺れる。
(立ちくらみ……。)
誰にも気付かれないように。
机に手をつく。
「うり?」
ヒロが小さく声を掛けた。
「顔色悪くない?」
「え?」
ゆあんも振り返る。
「そう?」
うりは笑う。
「寝不足なだけ。」
「ほんと?」
えとが心配そうに見る。
「ほんとほんと。」
「大丈夫。」
その一言で。
みんなは納得した。
……一人を除いて。
⸻
───ゆあん視点
(絶対嘘。)
うり。
さっきから全然元気ない。
笑ってるけど。
いつもの笑い方じゃない。
「……。」
気になる。
でも。
『ふゆかい』って言われるくらいだし。
俺が聞いても。
「大丈夫。」
って言われるだけかな。
そう思って。
何も言えなかった。
⸻
撮影終了。
「お疲れー!」
みんなが伸びをする。
「今日も疲れたな。」
どぬくが笑う。
その時。
ガタン。
「……!」
椅子を掴む音。
振り向くと。
うりが。
ふらり。
「うり!?」
じゃぱぱが駆け寄る。
一歩。
踏み出そうとして。
そのまま。
力が抜けた。
ドサッ。
「うり!!」
リビングが一気に静まり返る。
「おい!」
「しっかり!」
たっつんが肩を支える。
「熱っ……!」
のあが額に手を当てる。
「すごく熱いです!」
「えっ!?」
なおきりが慌てて救急箱を持ってくる。
「水!」
「氷枕!」
「体温計!」
みんなが一斉に動き出す。
その中で。
一番最初に。
うりの手を握ったのは。
ゆあんだった。
「うり。」
返事はない。
苦しそうな呼吸だけ。
「……。」
ゆあんは。
ぎゅっと手を握る。
「なんで。」
小さく呟く。
「無理したんだよ……。」
その声は。
誰にも聞こえなかった。
⸻
じゃぱぱは静かに言う。
「今日は撮影中止。」
「まずはうりを休ませよう。」
全員が頷く。
ゆあんだけは。
うりの手を離さなかった。
その姿を見て。
みんなは少し驚く。
普段なら。
軽口を言い合ってばかりの二人。
そんなゆあんが。
今は誰よりも。
うりを心配そうに見つめていた。
誰も。
その手を離させようとはしなかった──。
『ふゆかいなんて、ウソだった。』
───じゃぱぱ視点
「熱、39.2℃……。」
体温計を見て。
思わず眉をひそめる。
「高いですね……。」
のあも心配そうにうりを見る。
ベッドの上。
うりは苦しそうに眠っていた。
「……っ。」
浅い呼吸。
苦しそうな表情。
きっと。
ずっと我慢していたんだ。
「無茶しすぎだろ……。」
たっつんが小さく呟く。
⸻
その時。
コンコン。
部屋のドアが開く。
「……。」
入ってきたのは。
ゆあんだった。
「うり。」
静かに名前を呼ぶ。
返事はない。
眠ったまま。
苦しそうに息をしている。
ゆあんは。
ベッドの横へ座る。
そっと。
うりの手を握った。
「……。」
その手は。
少し熱かった。
「早く元気になれ。」
小さな声。
誰にも聞こえないくらい。
優しい声だった。
⸻
数分後。
じゃぱぱが口を開く。
「ゆあん。」
「ん?」
「ここは俺たちもいるから。」
「少し休んでこい。」
ゆあんは首を横に振る。
「いい。」
「でも。」
「俺がいる。」
短い一言。
でも。
その目は本気だった。
⸻
「ゆあんくん。」
のあが優しく微笑む。
「交代しながら看病した方が、お互い休めますよ?」
「……。」
ゆあんは少し俯く。
「やだ。」
ぽつり。
「俺が見る。」
「でも……。」
「やだ。」
もう一度。
はっきりと言った。
⸻
部屋の外。
「珍しいな。」
シヴァが腕を組む。
「ここまで頑固なの。」
「よっぽど心配なんだろうな。」
ヒロが静かに言う。
「普段はあんなに言い合ってるのに。」
どぬくも苦笑した。
えとは小さく笑う。
「ふゆかいって言われてるけど。」
「本当は仲良しなんだね。」
みんな。
同じことを思っていた。
⸻
夜。
のあが部屋へ入る。
「ゆあんくん。」
「ご飯できましたよ。」
「あとで食べる。」
「冷めちゃいます。」
「……。」
少しだけ考えて。
「じゃあ。」
「ここで食べる。」
「え?」
「うりの近くがいい。」
その返事に。
のあは思わず笑った。
「分かりました。」
⸻
お盆を持ってくる。
ゆあんは。
片手でおにぎりを持ち。
もう片方の手は。
ずっと。
うりの手を握ったまま。
「……。」
「そんなに離れたくないんですね。」
のあが小さく呟く。
ゆあんは照れくさそうに笑った。
「起きた時。」
「一人だったら嫌かなって。」
その一言に。
のあは胸が熱くなる。
「優しいですね。」
「……別に。」
少し照れたように視線を逸らす。
でも。
握る手だけは。
最後まで離さなかった。
⸻
深夜。
交代の時間。
じゃぱぱが部屋へ入る。
「ゆあん。」
「俺が代わる。」
「……。」
返事がない。
「ゆあん?」
近付く。
すると。
ゆあんは。
椅子に座ったまま。
こくっ。
こくっ。
船をこいでいた。
それでも。
うりの手だけは。
ぎゅっと握ったまま。
「……。」
じゃぱぱは小さく笑う。
「本当に離さないんだな。」
その様子を見ていたみんなも。
誰一人。
無理に交代させようとはしなかった。
「今日は。」
「好きなだけ隣にいてやれ。」
その言葉に。
全員が静かに頷いた──。
『ふゆかいなんて、ウソだった。』
───ゆあん視点
カチッ。
時計を見る。
午前一時。
「……。」
部屋は静かだった。
聞こえるのは。
エアコンの音と。
うりの苦しそうな呼吸だけ。
「……熱い。」
額に乗せたタオル。
もうぬるくなってる。
「待って。」
洗面所へ走る。
冷たい水で濡らして。
ぎゅっと絞る。
また部屋へ戻る。
「うり。」
そっと。
タオルを替える。
「……。」
少しだけ。
苦しそうな表情が和らいだ。
「よかった……。」
⸻
コンコン。
ドアが開く。
「ゆあんくん。」
のあだった。
「何か必要ですか?」
「大丈夫。」
「でも……。」
「俺がいるから。」
小さく笑う。
「今日は。」
「俺が看病する。」
のあは。
その言葉を聞いて。
優しく微笑んだ。
「無理だけはしないでくださいね。」
「うん。」
ドアが閉まる。
部屋はまた静かになった。
⸻
午前二時。
「……ん。」
うりが小さく動く。
「うり?」
「水……。」
かすれた声。
「待って!」
ゆあんは急いでコップを持ってくる。
「起きられる?」
そっと背中を支える。
「……ありがと。」
ゆっくり。
少しずつ。
水を飲む。
「もういい?」
こくり。
うなずく。
「寝て。」
布団を掛け直す。
「……。」
うりは目を閉じた。
⸻
午前三時。
「……。」
また熱を測る。
ピピッ。
「39.5……。」
少し上がってる。
「……。」
ゆあんは俯いた。
「早く下がれよ。」
その声は。
震えていた。
⸻
───じゃぱぱ視点
廊下を歩く。
気になって。
部屋を覗く。
すると。
ベッドの横。
椅子に座るゆあん。
何度も。
何度も。
タオルを替えていた。
「……。」
声を掛けようとした。
でも。
やめた。
「今は。」
「あいつに任せよう。」
小さく呟く。
⸻
朝方。
午前五時。
「……。」
ゆあんの瞼が重くなる。
眠い。
でも。
寝ちゃだめ。
もう一度。
うりの額に触れる。
「あれ……?」
さっきより。
少しだけ。
熱くない。
体温計を当てる。
ピピッ。
「38.1!」
思わず笑顔になる。
「下がった!」
嬉しくて。
何度も体温計を見る。
「よかった……。」
心の底から。
安心した。
⸻
その時。
「……ゆあん。」
小さな声。
「え?」
うりが。
少しだけ目を開けていた。
「……水。」
「うん!」
急いでコップを持ってくる。
「ゆっくりね。」
背中を支えながら。
少しずつ飲ませる。
飲み終えると。
うりはゆっくり笑った。
「……ありがと。」
その一言だけで。
ゆあんの目には。
涙が浮かんだ。
「……よかった。」
「ほんとに。」
「よかったぁ……。」
安心した瞬間。
張り詰めていたものが。
全部ほどけた。
「……。」
うりは。
そんなゆあんを見つめる。
何か言おうとした。
でも。
まだ声が出ない。
だから。
代わりに。
そっと。
ゆあんの頭を一度だけ撫でた。
「……。」
ゆあんは照れくさそうに笑う。
「早く寝て。」
「元気になって。」
その言葉に。
うりは小さく頷き。
再び眠りについた。
その様子を。
部屋の外から見ていたみんなは。
誰も中へ入らなかった。
「ゆあんに任せよう。」
じゃぱぱが静かに言う。
「今はあいつが、一番安心させられるみたいだから。」
全員が静かに頷いた。
そして。
誰にも気づかれないまま。
夜は少しずつ明けていった──。
『ふゆかいなんて、ウソだった。』
───うり視点
「……ん。」
ゆっくり目を開ける。
見慣れた天井。
「ここ……。」
シェアハウス。
そうだ。
俺、倒れて……。
そこまで思い出して。
ゆっくり体を起こそうとする。
「……。」
昨日より。
体が軽い。
熱もだいぶ引いたみたいだ。
その時。
視線が。
ベッドの足元へ向いた。
「……え。」
そこには。
ベッドにもたれるように座って。
すぅ……。
すぅ……。
静かな寝息を立てる。
ゆあんがいた。
「……。」
手には。
体温計。
足元には。
何枚も使ったタオルが入った洗面器。
机の上には。
新しい冷却シート。
飲みかけの水。
薬。
全部。
きれいに並べられていた。
「……まさか。」
その時。
コンコン。
「うり?」
じゃぱぱが部屋へ入ってきた。
「あ、起きたか。」
「じゃぱぱ……。」
「体調どう?」
「だいぶ楽。」
「そうか。」
安心したように笑う。
でも。
うりの視線は。
ずっと。
眠るゆあんに向いていた。
「……あいつ。」
「ずっとここにいたの?」
じゃぱぱは。
少し笑って頷いた。
「ああ。」
「昨日からずっと。」
「え……。」
「何回交代しようって言っても。」
『俺がいる。』
『俺が看病する。』
『やだ。』
「それしか言わなかった。」
「……。」
「ご飯も。」
「ベッドの横。」
「眠そうでも。」
「ずっと手を握ってた。」
「熱が上がればタオル替えて。」
「水が欲しいって言えば飛んでいって。」
「朝方、熱が下がった時なんて。」
『よかったぁ……。』
「って泣きそうになってたぞ。」
「……。」
胸が熱くなる。
「なんで……。」
普段。
あんなに言い合ってるのに。
「……。」
その時だった。
「んぅ……。」
ゆあんが小さく動く。
ゆっくり目を開ける。
「……。」
寝ぼけたまま。
一番最初に。
うりを見る。
「うり!」
ぱっと目が覚める。
「起きた!」
椅子から勢いよく立ち上がる。
「熱!」
「もう大丈夫?」
「頭痛い?」
「苦しくない?」
「お腹空いてない?」
質問攻め。
「落ち着け。」
うりは思わず笑う。
「大丈夫。」
「熱も下がった。」
「ほんと?」
「ほんと。」
その一言を聞いた瞬間。
ゆあんは。
その場にへなっと座り込んだ。
「よかったぁ……。」
力が抜けたように笑う。
その顔を見て。
うりは全部分かった。
本当に。
心配してくれてたんだ。
「……ゆあん。」
「ん?」
「ありがとな。」
ぽん。
頭に手を乗せる。
ゆっくり撫でる。
「……!」
ゆあんは目を丸くした。
「え。」
「な、なに。」
「お礼。」
「……。」
照れくさそうに頭をかく。
「別に。」
「当たり前だし。」
「仲間だから。」
その言葉に。
うりは小さく笑う。
「そうだな。」
その時。
「おー!」
「起きたか!」
リビングからみんなが入ってくる。
「うりくん!」
「よかったです!」
のあが嬉しそうに笑う。
「もう心配したんだから!」
えともほっとした表情。
たっつんがニヤッと笑う。
「でも一番心配しとったんは。」
「この末っ子やな。」
「え?」
「昨日ずーっと。」
「『うり、早く元気になれ。』」
「って言っとったで。」
「たっつん!!」
ゆあんの顔が真っ赤になる。
「言うなって!」
「照れとる照れとる。」
どぬくが笑う。
「かわいい。」
「やめろぉ!」
リビングは笑い声に包まれる。
そんな中。
うりはもう一度だけ。
ゆあんを見る。
「ありがとな。」
今度は。
はっきり聞こえる声で。
ゆあんは照れながら。
「……だから。」
「当たり前だって。」
そう言って笑った。
普段は。
“ふゆかい”なんて言われる二人。
でも。
本当は。
誰よりも仲間を大切に思っている。
そのことを知ったみんなは。
少しだけ。
嬉しそうに笑っていた。
シェアハウスには。
今日も。
温かい笑い声が響く。
それが。
いつもの。
からぴちの日常だった。
──完
コメント
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うわぁ……第5話、めっちゃ泣きそうになったよ……😢 うり、無理しすぎだよ。でも「大丈夫」って笑うところ、なんかわかるな。自分が心配かけたくない時って、ああやって平気なふりしちゃうんだよね。 で、ゆあんがね……!ずっと手を離さずに看病してて、最初は喧嘩ばかりしてるのに、本当は誰よりも大事に思ってるのが伝わってきて、胸がぎゅっとなった。特に「ふゆかいなんて、ウソだった。」ってタイトルが回収されて、もう完全にやられたよ。 普段は軽口叩いてるけど、仲間を大切にする気持ちはちゃんとあるんだね。本当に温かい話だった。ありがとう、..rinさん、素敵なエピソードを届けてくれて🥀