テラーノベル
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「今日も来ない…」わたしはがっかりしてため息をついた。この前脱走したけど自分でなんとか戻った。カルチャーは涙目になっていたし、そうとう心配させたと思う。今、何をしているのかというと、昨日、白い子犬の、確か、ポッキーっていう子の飼い主がシェルターに訪れポッキーとのて再開を果たしたんだ。だからもしかしたら里緒奈が来てくれるかもしれない。そう思って待ち続けることにしたんだ。でも全然里緒奈は来ない。それが当たり前なのかもしれないけど…。
「わ!」カルチャーがわたしを抱き上げた。「りり。今から撮影室に行くよ。もしかしたら君の飼い主が来てくれるかもしれないからね。」ぴくんとたれた耳を動かした。君の飼い主ってことは里緒奈ってこと?そう思って期待を膨らませた。「はい!こっち向いてね」カルチャーが呼びかけた。「ん?」気になって首をかしげた。「かわいいよ!りり」カルチャーがカメラを向けるもその時は首はかしげていなかったのでシャッターチャンスを逃しちゃったらしい。ごめんね! それからカルチャーはパソコンでわたしの写真を編集していた。「よし!できたぞ」カルチャーが嬉しげな声を上げた。そして黒い機械から紙を取り出して見せた。
「ほら。りり。これがポスターだぞ。これなら飼い主さんが見つかるかもな」そう言って優しく見せてくれたポスターはとてもいいポスターで、カルチャーは優しくウィンクまでしてくれた。わたしは嬉しくって「わん!」と吠えて答えた。
🐾シェルターに来た女の人
「ほれ。クラウディア。もう朝だよ」「ん〜?もうちょいあと一年くらい」「一年も寝かせられるわけないでしょ!」「ふぇいふぇい」朝から大変だ。「ふぁあああ〜」やっとクラウディアが起きてくれた。と、ガチャリ、と音がした。もしかして里緒奈?「誰をお探しですか?」と職員の男の人が女の子に聞いた。女の子は後ろを向いており、顔は見えなかったが里緒奈と同じ、薄茶色の髪をしていた。「茶色の垂れ耳の犬を探しているんです。」と女の子は言っていた。それ以外は騒音が邪魔をして上手く聞き取れなかった。「もしかしたらあの子ですかね?」職員の男の人がわたしを指差す。女の子が振り返った。「違う…」里緒奈じゃなかった。期待した分落胆も激しかった。「里緒奈…」「大丈夫だよ。りり。きっと里緒奈、だっけ?は来てくれるって」クラウディアが慰めてくれたけどやっぱり落胆は収まらなかった。
みんなは里緒奈を見たころないよね。挿絵でもでてないよね。(理由は作者のボニーは人の絵が苦手だから)だからメーカーで里緒奈を作ったよ。こんな感じ↓
髪は薄茶色で最後に見た時きれいでお気に入りの薄紫色の服をきてたんだ。目は髪と同じ薄い茶色なんだ。
🐾お散歩と脱走
「りり。散歩に行くよ」職員の女の人がわたしに声をかけた。「りりの首輪、とてもよく似合ってるね。その毛色に赤一色でとてもよく似合ってる。でもその首輪、結構ボロボロで汚れて汚くなってるよ。せっかくの飼い主さんからの贈り物でしょう?私が直しといてあげるから、預かるよ。ちゃんと返すからね」そう言ってわたしの首から赤い思い出のある首輪を外した。直してくれるって分かっていてもやっぱり寂しかった。そんなわたしに女の人は黒い首輪をつけた。そしてクリーム色のリードをつけた。「さ、行こっか」そう言って歩き出した。
「ふう。着いた。」お散歩が終わり、シェルターに戻ってきた。女の人がわたしのリードを外した。
今だ!わたしはリードを外した瞬間を狙って女の人のズボンのポケットに顔を突っ込んだ。あった!わたしの思い出の赤い首輪。「里緒奈…」その赤い首輪を首輪を優しく加えて「クラウディア!来て!」と叫んだ。「OK!アイアイサー!」頼もしい感じの声がして黒いのが駆けてきた。「悪いね!クラウディア!」「大丈夫!」そう会話を交わしたあと一目散に駆け出した。
と、しばらく走っていると長い茶色っぽい髪をした女の子が視界の端に映った。慌てて足を止めた。顔はうつむいていてほとんど見えなかった。でもわたしは分かった。「わん!わんわん!わおーーーーーーん!」力一杯吠えた。女の子が振り返る。その目は涙でゆるゆると揺れていた。「わおーーーーーーん!」もう一回強く吠えたあと、顔を見ると一目散に走った。女の子はわたしを見ると急いだように涙を袖で拭き取った。「まさか…、りり?りり!」女の子は全速力で走ってきた。「里緒奈!里緒奈!」わたしは走ってきた里緒奈に思いっきり飛びついた。「りり!りり!」「里緒奈!里緒奈ぁ!」もう夢中でお互いの名を呼びあった。もう絶対離さない。そう決めた。「ねえ、りり」クラウディアが話しかけてきた。「ん?なあに?」わたしは里緒奈に頬ずりしながら答えた。「その子が里緒奈?」「うん。そうだよ」「あれ?この子は誰?りり。」「クラウディア。友達だよ」「かわいいねえ。ま、りりほどじゃないけどすっごくかわいいね。ねえ、りり。この子、家族に迎えたいな。この子、家族いないでしょ。だったらうちに迎え入れた方が少しは楽になると思うの。いい?」「クラウディア!聞いた?今の?一緒になれるよ、クラウディア!」「ほんと?わあい!」「名前はね、そうね、りりのお供をしてくれたと思うから、ありがとうっていう意味の最後の二文字をとってクユにしようかな。」「クユ、クユ」クラウディア改クユは何度も自分の新しい名前を繰り返していた。「うん!」クユは大きく返事をした。絶対この思いを忘れない。そんな顔をクユはしていた。わたしは、絶対この嬉しさと里緒奈の温もりを忘れない。そう誓った。
そんなわたしたちを赤い夕陽が照らした。わたしは里緒奈に抱きかかえられ、クユはそっと里緒奈に寄り添って帰った。
コメント
7件
里緒奈に会えてよかったよかった😌 二匹とも幸せに
りりが里緒奈に会えてよかった😭