「お値段聞きたい?私は教えてもらったわよ」
紗理奈はウキウキして、平たい紺色のベルベッドのケースの蓋を開けて見せた
シャワーを浴びたばかりの、上半身裸でタオルを首にかけた直哉が、その箱を覗き込んだ
大粒のダイヤが20個もあしらった、ITOMOTOジュエリーのティアラが、部屋中の灯りを反射して輝いていた
「いったいいくらするんだろうな・・・・」
直哉がその輝きにホ~・・・と、見惚れながら言った
「明日これをお返しするのが本当に残念だわ、でも借りものだとしても、今日一日これをつけれたなんて本当に嬉しい!アリスさんのおかげよ!」
紗理奈が微笑みながらもう一度自分の頭に、名残惜しそうにティアラをつけて、鏡の前で右、左と自分を眺めてくるくる回っている
風呂上がりのすっかりあの綺麗なメイクを落とし、あどけなさが残ったすっぴんの彼女が、サテンのキャミソールとお揃いのミニのショートパンツ姿で、ティアラだけが異次元にキラキラ光っている
その時鏡越しにこちらを見ている、直哉と目が合ったような気がした
何だか彼の様子がおかしい、ベッドボードにもたれ、膝に本を広げているのにページをめくっていない
―?
というより本を読むのをやめている
鏡越しの彼の眼差しは紗理奈を見つめている、正確には彼はキャミソールから覗く、胸の谷間をチラチラ見ていた
妊娠したせいでここ数日張って大きくなっているし、今朝鏡で見たら乳首の色も心なしか、赤く濃くなっている気がしていた
胸の小さな姉が妊娠した時、期間限定の豊胸だと笑っていたのを思い出した
鏡越しに合う彼の眼差しは、切望を宿してぼんやりと陰っている
紗理奈に見られていることに気付くと、彼はわずかに顔を赤らめ、あわてて本に視線を戻した
紗理奈は微笑んでティアラを箱に戻し、直哉にゆっくり近づいて行った
ベッドによじ登り、直哉の膝を割ってそこに入り込み、彼の太ももを人差し指で行ったり来たりさせた
「おもしろい本なの?」
ゆっくり指で太ももを愛撫しながら聞く
「う・・・うん・・・・面白いよ」
彼の顔がますます赤くなり、わざとこっちを見ずページから目を離さない、紗理奈がガチガチの股間をそっと触ると、彼がハッと息を飲み、ドサッと本を落とした
「え~と・・・紗理奈・・・君は・・・そんなこと出来ないはず・・・」
「結婚式の夜なのに?」
彼は紗理奈と目を合わそうとせず、頬を赤く染めた
「紗理奈・・・俺を誘惑しないでくれ・・・それでなくてもずっと我慢しているのに」
「どうしてダメなの?」
彼が抵抗して手をどけさせようとしたので、紗理奈が唇を尖らせた
「だって・・・・ 」
彼はしどろもどろでさらに頬を赤らめた
「その・・・つまり・・・ずっと考えてたんだ、俺が突つくと・・・マルは嫌なんじゃないかって・・・」
クスッ・・・「マル?」
彼が紗理奈にキスをした、優しくて愛情が溢れていた、思わず胸が切なくなる
「その子の胎児ネームだよ・・・エコー写真を見てから、なんとなく丸いイメージだから・・・俺が勝手にそう呼んでたんだ、ちゃんとした名前はこれから考える、男と女で違ってくるし・・・ 」
「バレないようにすれば?きっと寝てるわよ」
クスクス笑いながら紗理奈は言う
「本当に? 」
「うん・・・だってまだ私の指先ぐらいの大きさよ?」
じっと紗理奈を見つめて、口の中がカラカラになった直哉が、ごっくんと喉を鳴らした
「いや!!やっぱり駄目だ!」
直哉がぶんぶん首を振る
「でもまだこれから数か月もあるのよ、一度も愛し合わないつもり?生まれるまで?そんなの私が寂しいわ 」
紗理奈はもっこりと膨らんだ形を、惚れ惚れと上下にさすった、手が触れた途端彼がギクッとしたのがおかしかった
いきりたって可哀想なぐらいだ、母性本能から彼が我慢している、欲望から解放してあげたいと思った
「せっ・・・せめて・・・安定期に入るまで・・・ 」
「マルちゃんだって、ママが嬉しければ嬉しいはずよ・・・」
彼のモノを優しくさすり、ハムっと耳たぶを口に含む
「紗理奈・・・もう・・・ 」
ブルッと彼が震える、口ではダメだといいながらも、そこからはもう紗理奈のなすがままだ
紗理奈がそっと直哉のスウェットを引き下げると、直哉が腰を持ち上げて脱がせやすいようにした
大きく起立したものを紗理奈が優しく掴み、検分した
「何回みても不思議よね・・・こんなに硬くなってるのに、皮膚はなめらかでしょう?舐めるとそれがわかるのよ・・・」
ハァ・・ハァ・・・「っ・・俺を殺すつもりか・・・ああっ・・・ 」
紗理奈がチュツと先端を含む
「うまくできてるかしら?あなた大きいから全部飲み込めないわ、でも頑張ってみる 」
上下に動く紗理奈の口が次第に速まり、強制的に直哉はどんどん昂ぶらされていく
もはや腰を突き出さずにはいられない、自分は今とても非力で紗理奈のなすがままだ
ああ・・・彼の表情が可愛い・・・
「紗理奈・・・ああっ、紗理奈・・・いい・・もう堪らないっ!」
直哉は紗理奈を物凄いスピードで着ている、ものをはぎ取り、横向きにして背中を向けさせた
言葉が出てこないかのようにゆっくりとしゃべる
「俺の美しい紗理奈・・・・こうやってみよう・・・背中を・・・そう・・・俺にもたせて・・・お尻を・・こっち・・ 」
「こう?」
彼女の背中を胸に引き寄せ、引き出しにしまった二本のスプーンみたいに横向きに体を重ねる
紗理奈の片脚を持ち上げ、自分の腰の上に乗せる、たわわな胸を背中から両手で包む
ああ・・・妊娠しているせいでずっしりと大きくなっている、素晴らしい・・・
この体制なら深く入り過ぎることもないし、お腹に負担もかからない
「ああ・・紗理奈・・・幾夜も幾夜も、君を求めていたよ・・・・どうかこれは現実であってくれ・・・どうかさめない夢ではないように・・・」
すっかり彼女に酔いしれた彼の大きなモノが、紗理奈の柔らかな入口を押し広げてゆっくり入って来る
思わず紗理奈も甘い声を漏らし、うっとりと押し広げられて侵入してくる快感に、ため息をついて酔いしれた
私だって求めていた、圧倒的に熱い彼の感覚・・・
ああ・・・切ない・・気持ちいい・・
彼が教えてくれた・・・彼しか出来ない事、もう何も考えられない
直哉は少し進んでは動きを止め、後ろから伸びて来た手は紗理奈の敏感な場所を、指で巧みに愛撫しては、紗理奈の肩にキスをした
恥ずかしげもなく声を出し、背中をそらし、腰を揺らす、身をよじって押し付けているうちに、彼は完全に紗理奈の中に収まった
紗理奈はずっと待っていた、この満たされる感覚が本当に嬉しくて、目に涙をにじませ、腰を揺らし、渾身の力で中を絞めたり緩めたりして、彼に甘える
ハァ・・ハッ「ああっ!ダメだよ・・・サリーそんなにしたら・・・俺は・・・っ 」
「だって私も気持ちいいんだもん」
「キスさせてくれっっ」
直哉が喉の奥でうめき声を発して引きつり、熱く解き放たれた液体が、紗理奈の中に海のように広がった
顔を後ろにそらされ、彼の痙攣が収まるまでいつまでもお互いの唇を吸った
紗理奈は横たわったまま息を弾ませた
これほど巧みでエロティックな男性はきっと、この先自分の人生には出てこないだろう、狂おしいほど好きになるのも・・・自分は多分何でも彼の言う通りにしてしまいそうだ
紗理奈はため息をつき、ずっと上げられたままだったので、少し痺れている脚を彼に撫でられて幸せに浸った
そしてこの体位は気に入った
..:。:.::.*゜:.
シャワーを浴びて髪を乾かし、歯磨きを済ませて紗理奈がベッドに戻ると
直哉はベッドボードに座ったまま、ぐっすり眠りこけていた、全身裸でかろうじて股間だけは、上掛け布団で隠れている
紗理奈は熟睡している彼と向かい合わせで、ベッドに座り長い時間彼を観察した
長い睫をピクピクさせながら、すっかり熟睡している
無理もない、今朝は朝から結婚式で目まぐるしい一日の後、フィニッシュは先ほど二人で迎えた、目もくらむ絶頂だった
眠っている時の彼の顔は、少し切なそうに眉を寄せて幼く、迷子になって泣きそうな男の子に見える
ずいぶん長い間この寝顔は見せてもらえなかった、なぜなら彼は行為の後さっさと帰ってしまっていたから
今はこの愛しい男性は眠って、何を夢見ているのだろうか
窓の外からはまだみんなが歌っている声が聞こえる
紗理奈はそっと彼の真っすぐで、高い鼻梁にキスをした
クスクス・・・「決めたわ・・・私生まれ変わったら妖精になって、あなたの鼻筋を滑り台にして遊ぶの・・・」
あっ!!!!
それは突然またやってきた
ぐっすり眠る直哉の横で、紗理奈は急いでノートパソコンを広げ、パチパチ打ち出した
座ってノートパソコンを膝に置いて打ったり、寝そべってパチパチ物語を綴った
気が付くと2時間ぶっ通しで書き続けていた
ふぁ~~っ・・・とあくびをし、ノートパソコンを床に置き、温かい直哉にぴったり寄り添った
う~ん・・・と、直哉が紗理奈の方に寝返りを打ち、無意識に紗理奈の頭を自分の腕に乗せ、頑丈な脚を絡めて来た
真下から顎の伸びかけた無精ひげを、ちょいっと1本引っ張ってみる
・・・抜けない
固くて太い皮膚を突き破って、5ミリほど生えている髭は全身脱毛した、紗理奈にとって珍しくじっと見つめていた
彼は朝に一回だけ髭を剃るタイプの男性だ、これであんまり濃くはないのかもしれない、しばらく紗理奈は直哉のあご髭を弄んだ
彼の体をこんな目近で探検するのは楽しい
ウトウトと温かい彼に抱かれるのが心地良い・・・これからはここが私の場所
夢の中に吸い込まれていく時に、紗理奈は彼に優しく囁いた
「愛してるわ・・・・・ 」
..:。:.::.*゜:.
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