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とある田舎町、街灯が目立つ真夜中に俺達は 孤児院を出た。これから東京へ向かうのである。園長室には「明後日までには戻ります、 どうか探さないで下さい。」と手紙を書き置 いて置くとした。門をよじ登り孤児院を出た 俺達は足早に隣町の駅へと向かった。あたり は薄暗く少し不気味ではあったが、初めて夜 中に街を歩くのはやけに新鮮であった。途中 異変に気づいた孤児院の者が追いかけて来る と思うと大変冷や汗が止まらなかったが、隣 街に着き駅が見えるや否や、その不安は立ち 消えとなった。それからの皆んなでコツコツ と貯めていた小銭で切符を買い汽車へ乗り込み、俺達は見慣れた街を後にした。汽車に揺 られながら俺達は、これからの事、今の興奮 とかをそれぞれに語り合った。 途中、車掌が 切符を確認しに来た。車掌は俺達を見ると思 議そうな表情を浮かべていたがその場はどう にかやり過ごした。汽車に乗ってからも俺達 は内心ハラハラしていたが、窓に映る景色が 少しずつ変わるのを見て、とてもワクワクした。