テラーノベル
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あなたは異世界人って信じますか?
なんて聞かれたら、あなたはどう答える?
うん、いたらいいなとか思えど、信じないよね。私もほんの三ヶ月くらい前まではそう思ってた。
ほんの、三ヶ月前までは。
六月、梅雨特有の湿気と夏の茹だるような暑さが相まった学校の廊下を歩く。
「この暑さでも冷房つけちゃダメ、換気でなんとかしろとか鬼畜なの?」
「マジそれ」
そんな会話が通りすがりに聞こえてきて、内心激しく同意する。ここは結構有名な県立高校で、生徒数も結構いるからお金はたくさんあるはずなのに、何故冷房代をケチるのかと正直思っていた。このままでは生徒がワイシャツに包まれて美味しく蒸しあがってしまう。
そんなことをぼんやりと考えながら教室に入って窓際の自席に座った。窓の外を見れば、梅雨なのに空は晴れ渡っている。晴れているのにこんなに湿度が高いなんておかしな天気だなと思いながら、パタパタと顔を手で仰いだ。湿度が高いのであまり意味はなかった。実に残念である。
その日は特に学校で何かあるわけではなく、部活も休みなので、放課後の喧騒に包まれながら帰途に着いた。
帰り道でいつも通りすぎる小さな公園、ふと何かいつもと違う気がして足を止めた。
そこには、人が立っていた。多分、女の子だろうか。腰まで伸びた癖っ毛のある髪は純白で、染めた感じはしない。
服はラメやスパンコールとは違う質感の、まるで星が織り込まれたみたいな煌びやかながらも派手すぎない布でできていて、顔は袋小路になった公園の奥の方を向いているから見えない。
私はこの人がどこの誰なのかという疑問も抱いたが、むしろ、いつも通りがかる公園にこんなにも目立つ人が立っていたのに、些細な違和感で済んだことに私は驚いた。
その人は不意にこちらを振り向いて、私に向かって歩き出す。
突然近づいて来られて、親に言われて持っていた防犯ブザーを鳴らすべきか否かを悩む。その間にも顔立ちの幼さから、高校一年生の私と同じか、もう少し幼いかななんて呑気な思考を巡らせてしまう私の頭のネジはやはり一本抜けているのかも知れなかった。
だけど、そんな思考回路は、彼女の濃紺の左眼と、薄い空色の右眼に瞬く間に奪い去られてしまった。
(ヘテロクロミア…っていうんだっけ。初めて見た。)
ヘテロクロミア、虹彩異色症を実際に見たのは初めての経験だった。
紺色も薄い空色も瞳の色としては見たことがない色合いだし、純白の髪も見慣れないし、服だってこの世のものとは思えないような煌めきを発している。
だというのに、感覚が麻痺でも起こしたのか、不思議と恐怖や驚きより先に綺麗だという感嘆がきた。
「…夜宇?」
彼女は私の顔を見て、驚いたようにその綺麗な目を見開いてそう言った。
イエユー、とはなんだろうか。
星が織り込まれたような布の服はチャイナ服と似たデザインのようだし、中国語か何かなのだろうか?と首を傾げる。
「ああ…ごめん、わからない、よね。」
彼女は寂しそうに軽く笑って、そして事もなげに言った。
「僕は星 黎明。異世界から君を探しに来たんだ。」
と。
私は防犯ブザーに、手をかけた。
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コメント
5件
こ、これは面白い導入ですね…!白い髪にオッドアイ、異世界から主人公を探しに来たっていう黎明の登場シーン、すごく印象的でした。「イエユー」っていう謎の呼び方も気になるし、最後に防犯ブザーに手をかける主人公のリアルな反応と、幻想世界のギャップが絶妙です。続きが気になりますね!