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公美子side
昨日の弓道部の夜練後の職員トイレで、恐らく人前で初めて見せる啓祐の涙を目《ま》の当たりにして今まで、啓祐は平気そうに振る舞っていたけど、ホントは女の子なんだもん、かなり辛くて苦しんでいた筈《はず》、そんな時、《《アレ》》がくれば情緒不安定になるのも頷《うなず》ける。
ましてあの弓道歴10年の三谷《みや》が相手じゃ、いくら長いこと男の振りしててもどうしても自分と比べてしまうだろうし、やっぱりほんものの男子には敵《かな》わないって思い知らされて気持ちがネガティブになるのも無理ないと思う、もうこれ以上無理しなくて良いんだよと思うと居たたまれなくなって思わず、啓祐より小さい身長をつま先立ちで背筋を伸ばし抱き締め、そして頭を撫でていたわたしだった。
その後、桃先生と更衣室へ向かいながら、例の転校生、金堂《こんどう》栞《しおり》と友達になった経緯《いきさつ》を具体的に話始める。
わたしが啓祐の秘密を知り落ち込み悩んでいたとき慰めてくれたこと。
わたしに啓祐のために協力して欲しいと言われたこと。
《《彼女》》が実は女装していて《《彼》》だった事を知って混乱したこと等々、先生は、わたしがこれまで話した内容を黙って聞いてくれた。
なんで啓祐の秘密を知ってしまったのか理由まではどうしても言えなかった。
流石に思い出すと辛いし、言ったところで信じてもらえるような話じゃないしね。
桃先生「まあ!貴女も辛かったでしょうね、、、神条くんを今まで異性として慕っていたわけだから、、気持ちを切り替えるのは酷だと思うけど、、秘密を知ってしまった以上、これからは、神条くんを同性として良い友達になって助けてあげてね。」
もう更衣室の前まで着いているのに、上手く簡潔に話せなかったため、長いこと立ち話になってしまっていた。
「先生、話が長くなってすみません」
わたしは、申し訳なく感じ謝罪した。
桃先生「良いのよ。気にしないで、それよりもかなり遅くなってしまったみたいだから親御さん心配してると思うから家に先生が連絡入れとくわね。こんなに遅くなってしまったのは先生の不甲斐なさだと思うから田辺さんは悪くないわよ、、先生、責任を持って貴女を家まで送り届けるわね。だから早く着替えてらっしゃい」
「ありがとうございます。着替えてきますね。先生は着替えないんですか?」
桃先生「私の事は気にしなくて良いから」
そう言うと先生はどこから出したのかいつの間にかスマホを取り出し右手で持つと何処かに電話しようとしていた。
恐らくさっき先生が言ってた流れからいくとわたしの家にだろう。
わたしは、更衣室のドアノブに右手を伸ばすと握り時計回りにして回すと手前に引きドアを開け中へと入っていき、自分のロッカーへ向かう。
そして数分後、制服に着替え終えて更衣室から鞄を右手で持って出ると、出口前で先生は、いつものブラウン色のスーツに着替え待ち兼ねていた。
てっきり車で送ってくれるのかと思っていたが、予想していたのとは異なり、街灯が辺り一面を照らすが、充分でないため、暗い夜道を歩いて送ってくれるそうで、確かに一人よりかは、まだましな方だと思うけど、先生は帰りは一人なのでは?
それに、啓祐も今頃、一人で暗い夜道を帰っているのでは?
いくら男のなりしてても実際は女の子なのだから何だか急に心配になった。
無事に家に帰られただろうか、、、とか
先生も、わたしを送り届けたら一人きりになるわけだから女性の夜道の一人歩きは危険ではないだろうか、、、そんな事を考えながら歩いていたらふと先生が口を開く。
桃先生「もしかして?帰り先生一人になるから心配してる?大丈夫よ。先生には帰る途中で車を待たせてあるから、、それに神条くんは空手、合気道経験者だから自分の身は守れるから大丈夫よ」
いつの間にかわたしの家の前に到着。
わたしは、先生にお礼を言うと先生は、おやすみと言い残し、Uターンして歩いていた道を戻るように暗闇の中へと消え去った。
わたしはわが家の玄関の引き戸を一旦鞄を下に置いてから両手で開け、下に置いた鞄を右手で持ち直すと中へと入った。
「ただいま」と帰って着たことを伝える。
しかし返事はなく、物音すらしない静寂の中は真っ暗なので手探りで玄関のスイッチを探し当て右手で押すと玄関の電気が点いた。
そして靴を脱ぎ揃えると、段差に気をつけながら我が家へ入る。
玄関の電気を消し、階段へ向かうと今度は階段の電気を点ける。
自分の部屋へ行くため階段を上り、部屋の前まで来ると階段の電気のスイッチを押し消灯。
そして自分の部屋のドアノブを右手で握ると手前へ引いて開け、中へ入ると手探りで右側の電気のスイッチを見つけ、押すとパッと急に明るくなり、直ぐに目に飛び込んできたのはお気に入りのピンクのテディベアの抱き枕、そのテディベアにも「ただいま」と話しかける。
ベッドに置いてあるネグリジェに着替えるため、制服を脱いでいき、ハンガーにかけてクローゼットに引っ掛け直す。
そして一段落したところで啓祐からの連絡を待つ。
たぶん、親友としてのはじめての悩み事相談だとわたしは直感で感じていた。
しかし、中々連絡が来ない。
ベッドに置いたスマホから着信音が鳴る。
液晶画面を見るとメールのアイコンに1と表示され、早速タップして受信フォルダーの中身を確認すると啓祐ではなく、秀くんからだった。
何だろう?迷わず気になり秀くんからのメールを確認するため、タップ
《≪秀「啓ちゃんは、きっと誰か好きな人がいると思うんだ。これはきっとチャンスだと思うんだよ。何とか彼女を君の力で女の子に戻して欲しいんだ。きっと彼女も好きな人の為なら頑張ると思うんだよね」≫》
わたしは、啓祐の好きになった人が誰なのか気になり打ち込み送信をタップ
《≪「それって誰なの?わたしの知ってる人?」≫》
するとリターンで返信が
《≪秀「そうだよ、君がよく知ってる人だよ。名前は、確か、飛騨誠、僕としては腑《ふ》に落ちないけど啓ちゃんの目はいつも彼を追ってるし、変に意識している感じがするよ!あんなチャラチャラした奴のどこが良いんだか僕としては理解出来ないけど、ここ数週間観察したけど間違いないと確信したね。果たして啓ちゃん自信気づいてるんだかは謎だけどね。」≫》
私もリターンで、、、Rがふたつに
《≪「実は、啓祐からたぶんその事かも知れないけど連絡が来る筈なんだよね。」≫》
再びリターンで返って着た。、、、Rがみっつ
《≪秀「そうなんだね。おそらく啓ちゃんは多分寝ちゃったかも?だよ。昔から啓ちゃん、夜は弱いんだよ。幼なじみだからわかるんだ。明日、学校で訊《たず》ねてみたらどうかな?あ!もうこんな時間22時だね。すっかり遅くなってごめん。おやすみなさい」≫》
《≪「うん。そうしてみる。気にしなくて大丈夫だよ。おやすみなさい!しゅうくん!」≫》
R がよっつのとこで最後に送信をタップ、再び送信完了と表示された。
そうなんだ、、、
啓祐寝たかも知れないなら待ってても意味ないからわたしも寝よっと。
明日、、朝練あるしね。そう思ったら大概《たいがい》直《す》ぐにどこにでも寝ちゃうわたしの特異体質。
楓によく羨ましがられるほど。
そして、翌日、朝練に行っても啓祐の姿がないので、心配になったわたしは、部活顧問でもある桃先生に、訳を聞くと生理が重くて学校休んでるそうだ。
わたしは、心配になり夜練サボって啓祐の家に向かう事にしたのだった。
啓祐の悩み事も気になるしで秀くんからのお願い事もあるし、それにしても、秀くんて人が良すぎで、優し過ぎるよ。
好きな娘に好きな人がいるってわかって辛いだろうに
だけど最後に勿体つけた《《ひみつ》》ってなんだろ?
《《他に大切なもの》》を見つけたって言ってたような、、、
わたしは、また何故か胸に棘《とげ》が刺さったような気がした。
コメント
1件
うわ、公美子sideじっくり読んだよ…! 啓祐の涙のシーンから、抱きしめて頭撫でるところ、めっちゃグッときた。公美子が「これ以上無理しなくていい」って思う気持ち、すごく伝わってきた。 桃先生との会話も良かったし、秀くんからのメールで啓祐の片思いが飛騨ってわかったときの「胸に棘が刺さった」感覚、なんかすごくリアルだった。 公美子が自ら啓祐の家に向かう決意、いいな。親友としての一歩って感じで好きだよ🔥 次どうなるか気になる〜!
天使好きな天使 テスト期間中
58
雪
54
#なつこさ
かは
1,609
朝晴ももか/新作出した✌️
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